ウェットのワインディングロードで熱くなる
そうした室内の快適度はタイヤの良否に左右される面が大きいが、スーパーアメリカでは575Mマラネロよりもサイズアップ/ロープロファイル化が進んだタイヤにもかかわらず(ブリヂストン・ポテンザRE050:前255/35ZR19、後305/30ZR19)、静粛性は満足いくもので、スポーツタイプのタイヤとしては望外に良好な乗り心地を得ている。サスペンション・ストロークはさほど潤沢に与えられているわけでもないが、凸凹した路面を通過しても当たりがあくまでも軟らかいタイヤのおかげで、後輪から突き上げるようなショックも見られず、巧妙に吸収してくれるのはありがたい。
むろんアウトストラーダの中央寄り車線を猛進しながら、スーパーアメリカの予想外にラクシュリーな乗り味に身を委ねていても構わないが、終始雨に祟られた今回テストドライブで短時間ながら試すことができたワインディングロードでも、陶酔の時間を過ごせたことを最後に付け加えておきたい。ひとたびエンジンに鞭入れてワインディングロードを走り始めると、車体がひと回り小さくなったような一体感を覚えるのはフェラーリの常ながら、そこで小さく感嘆の声を洩らしてしまったのは、濡れた路面でもすぐ自信をもってABSが介入するギリギリのところを探っていく気になれ、ASCのスイッチさえオフにしなければ軽いテールスライドを気ままに楽しめたからだ。グリップとスライドの狭間を探るような運転をしているドライバーにとって、こうした接地感の高さと剛性感ある手応え、そしてステアリングホイールに伝わる情報量の多さはなによりの武器となる。最高出力が25ps増しの540psとなったV12エンジンを存分に堪能するのは、次の機会までおあずけとなったが、ガードレールもなく、その向こうは断崖絶壁のワインディングロードであれほど熱く運転に没頭することができたのも、まさに世界最速のコンバーチブル・ベルリネッタを標榜するスーパーアメリカの面目躍如ではないだろうか。 |