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ニュースリリース(和訳)
 

「フェラーリ スーパーアメリカ試乗記 ~ポテンザRE050標準装着~」


- Ferrari Superamerica -
 スーパーアメリカの名がフェラーリのラインナップに復活した。1955年のパリ・サロンでフェラーリのブースを飾った410スーパーアメリカ、そして59年のトリノ・ショーでそれに続いた400スーパーアメリカは、ごく限られた富裕層を相手に少数がシリーズ生産されただけの最高級のフェラーリである。メーカーはシャシーのみを用意し、そこにカロッツェリア(イタリアのボディ製作工場)の手によって、顧客の好みに従ってバラエティに富んだボディが製作・架装されたのである。1950年代半ばにして410SAの最高速は260km/hと飛び抜けたもので、400SAになるとそれは280km/hまで向上した。それだけにイランのパーレビ国王やフィアットのジョヴァンニ・アニエッリなどが顧客リストに名を連ね、その絢爛豪華な雰囲気に惹かれた世界のミリオネアたちの羨望を一身に集めることになったのも無理からぬ話だった。しかし1台ごとに手作りされる超弩級の高級車ゆえ、410SAは34台、400SAは47台が生産されるに留まった。かように、幻のごとき存在の高級スポーツカーがスーパーアメリカなのである。
オープンこそ本来の姿

 現代に蘇ったスーパーアメリカはここまで少数ではないが、それでも世界559台の限定生産で、わが国には20台のみが割り当てられるという希少モデルである。ギアボックスは近年のフェラーリの常で6MTとF1ギアの2種が選べ、前者に3024万円、後者には3139.5万円というプライスタグが掲げられている。575Mマラネロをベースとするだけに、前方から両車を識別することは難しいが、後方に回れば一目瞭然、スーパーアメリカの最大の売りである"レボクロミコ"と呼ばれる電動ガラスルーフが、その後姿をきわめて個性的なものとして際立たせている。575Mのリアクォーターガラスはボディパネルに、いっぽうリアウィンドーはルーフと一体化された凸面ガラスに代えられた結果、かつてのフェラーリ・ディーノや308GTを思い起こさせるルーフラインが与えられたが、ただひとつ、リアガラスが凸面であることに違和感を覚える人もいるだろう。ディーノや308GTのリアガラスは凹面状をしていたからだが、ご安心あれ、オープン時に電動のガラスルーフが180度回転してトランクリッド上に収まると、リアガラスは凹面状となって往年の姿を表わすというわけだ。つまり屋根を開けた状態こそ、スーパーアメリカ本来の姿だと言える。

 サンゴバン社が開発した電動ガラスルーフは開閉作業を約7秒と素早く終えられるうえ、0.8mmのポリウレタン・フィルムをラミネートした特殊ガラスを採用することで透過率を5段階に調整でき、室内の明暗度をコントロールできる。オープン状態でもサイドウィンドーを上げていれば日本の法定速度である100km/hだとコクピット内は平穏そのもので、120km/hに至ってようやく後頭部の髪が軽くなぶられる程度。ソフトトップだった550スパイダー(正式名称はバルケッタ・ピニンファリーナ)と比べても空力面で進化していることがわかるし、なによりガラスルーフとなってクローズド時にクーペと変わらない静粛性を手に入れたことが大きい。

ウェットのワインディングロードで熱くなる

 そうした室内の快適度はタイヤの良否に左右される面が大きいが、スーパーアメリカでは575Mマラネロよりもサイズアップ/ロープロファイル化が進んだタイヤにもかかわらず(ブリヂストン・ポテンザRE050:前255/35ZR19、後305/30ZR19)、静粛性は満足いくもので、スポーツタイプのタイヤとしては望外に良好な乗り心地を得ている。サスペンション・ストロークはさほど潤沢に与えられているわけでもないが、凸凹した路面を通過しても当たりがあくまでも軟らかいタイヤのおかげで、後輪から突き上げるようなショックも見られず、巧妙に吸収してくれるのはありがたい。

 むろんアウトストラーダの中央寄り車線を猛進しながら、スーパーアメリカの予想外にラクシュリーな乗り味に身を委ねていても構わないが、終始雨に祟られた今回テストドライブで短時間ながら試すことができたワインディングロードでも、陶酔の時間を過ごせたことを最後に付け加えておきたい。ひとたびエンジンに鞭入れてワインディングロードを走り始めると、車体がひと回り小さくなったような一体感を覚えるのはフェラーリの常ながら、そこで小さく感嘆の声を洩らしてしまったのは、濡れた路面でもすぐ自信をもってABSが介入するギリギリのところを探っていく気になれ、ASCのスイッチさえオフにしなければ軽いテールスライドを気ままに楽しめたからだ。グリップとスライドの狭間を探るような運転をしているドライバーにとって、こうした接地感の高さと剛性感ある手応え、そしてステアリングホイールに伝わる情報量の多さはなによりの武器となる。最高出力が25ps増しの540psとなったV12エンジンを存分に堪能するのは、次の機会までおあずけとなったが、ガードレールもなく、その向こうは断崖絶壁のワインディングロードであれほど熱く運転に没頭することができたのも、まさに世界最速のコンバーチブル・ベルリネッタを標榜するスーパーアメリカの面目躍如ではないだろうか。

 
[ レポート:Car Graphic編集部 大谷秀雄 ]
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