CSR

トップコミットメント

株式会社ブリヂストン代表取締役 CEO津谷 正明 株式会社ブリヂストン代表取締役 COO西海 和久

グローバル企業に対する期待に応え、イノベーションによって社会の課題解決に寄与します。

●企業の社会的責任が問われた1年
2015年を振り返ると、持続可能な開発のために世界が取り組んでいくべき課題と目標が「持続可能な開発目標(SDGs)」として国連で採択された節目の年でした。また、国内外の様々な企業において、世の中に大きな影響を及ぼす不祥事が発生し、社会の企業を見る目が一層厳しさを増した1年になりました。企業にとって、自分たちはどのように社会と関わっていくか、社会の信頼や期待にどう応えていくかを、あらためて考えさせられることになったと感じます。
経営環境全体に目を向ければ、国際関係、政治、経済、治安、環境問題、技術革新など、世界的にあらゆる面で大きな転換期にあり、変化のスピードはますます速くなっています。そのような状況の中、社会課題は今後さらに複雑化・深刻化するものと予測され、グローバル企業である当社への期待は、これまで以上に高まっていると認識しています。

●イノベーションによって深刻化する社会課題の解決に貢献
当社グループは、「最高の品質で社会に貢献」を使命に、「誠実協調」「進取独創」「現物現場」「熟慮断行」という4つの心構えから成る企業理念をもとに事業活動を行っています。その上で、時代の要請に応え、時代をリードする製品やソリューションを送り出し、「真のグローバル企業」「業界において全てに『断トツ』」の達成を目指します。

企業は社会的存在であり、社会のルールに従って活動することが求められます。同時に、社会の発展を促す製品やソリューションを生み出し提供することに対しても大きな期待がよせられており、これらが企業が成長する原動力になることに間違いありません。ブリヂストングループについて言えば、技術をベースに社会の多様な課題に解決策を提供することができると考えており、社会の期待もここにあると思っています。私たちを取り巻く環境が大きく変わる中、社会的な責任を果たしつつ、従来の延長ではない新たな価値を提供することが、競争力の強化、及び企業としての持続的な成長に結びつくと考えています。

さらに、サステナビリティに関する課題が様々ある中で、我々は地域社会の人々と共存しながら、事業を通じて、モビリティと環境の領域を中心に課題解決に取り組んでいきたいと考えています。

モビリティは、当社グループの事業は人やモノが動く分野との関わりが深く、社会課題の解決に幅広く寄与できることから、当社グループが取り組むべき重要な課題であると考えています。当社グループが保有する技術を背景に、社会やお客様のニーズを的確に把握しながら、タイヤやその他の自動車用部品、鉱山向け事業などの製品やソリューションを通して、様々な産業の効率化と環境負荷の低減に貢献していきます。

様々な企業活動を通じて、地域の人々の信頼や従業員の誇りを醸成することは、持続的な成長に重要だと考えています。その実現に向けて、人々の安全・安心な暮らしを支える、次世代の学びを支える、地域の健やかな暮らしを支える活動を進めています。

環境に関する問題は今や、人類にとって差し迫ったテーマの一つとなっています。観測史上初といわれるような異常気象が次々と起こり、地球が非常に危うい状態に向かいつつあると感じています。現代社会や、当社が関わっている車社会が環境に様々な影響を与えるのは確かですが、それを技術によって、あるいは社会のシステムとして解決することができると私たちは考えています。当社グループはWBCSD※1に加盟し、タイヤセクターとして活動していますが、これだけでなく、当社としてもよりスピードを上げて環境問題の解決に取り組んでいきます。具体的には、2011年に発表した環境宣言に基づき、「自然と共生する」「資源を大切に使う」「CO2を減らす」の3つの活動を推進しています。
このうちの「自然と共生する」では、取水による生態系への影響低減を目指し、2020年までに取水量原単位を2005年比で35%削減することを中期目標にグローバルな活動を進めており、2015年の実績では約28.5%削減となりました。
「資源を大切に使う」については「100%サステナブルマテリアル化※2」の実現を2050年を見据えた長期目標として掲げています。この1年の間にも「グアユール※3」由来の天然ゴムを使用したタイヤの完成、パラゴムノキ病害抑制に向けた画期的な新技術の確立、持続可能な天然ゴム経済の実現を目指して国際ゴム研究会(International Rubber Study Group)が提唱するSNR-i (Sustainable Natural Rubber Initiatives)※4活動に参画するなど、着実な進捗がありました。
また「CO2を減らす」に関しても、低炭素社会の実現に向けたCO2排出量削減の具体的な中期目標を定めて活動を続けています。2015年の実績では、「モノづくり」におけるCO2排出量は約37.0%削減(目標値:2020年までに2005年比で35%削減)となり、目標年である2020年に対して5年前倒しで、削減目標を達成しました。また、燃料電池自動車の普及に欠かせない水素ステーション向け高耐圧性の水素充填用ホースを発売するなど、社会の変化に沿った技術の進化もありました。

●自分たちが持つ技術や商品を俯瞰して「ソリューション」を提供
当社グループはこれらの重要な課題に対し、強みであるイノベーションと改善によってビジネス機会を捉え、お客様の視点に立ったソリューションビジネスを創出していきます。
具体的には、商品単体のみならずサービスとの組み合わせによるソリューションビジネスの展開に注力します。例えば、当社グループが鉱山のお客様に供給している鉱山車両用の大型タイヤは、品質に対する要求が非常に高く、徹底して効率が求められる商品です。同様に、品質や効率性に厳しいコンベヤベルトも鉱山のお客様に納入していますが、従来は別個の事業として展開していました。これらを一体化して、タイヤとコンベヤベルトの最適な組み合わせ提案や、使用状況のモニタリング、メンテナンス、使用済み製品の処理なども考慮した鉱山用ソリューションへと広げることで、お客様により高い付加価値を提供することが可能になると同時に、長寿命化による環境負荷低減も果たします。
また、当社グループはトラックやバス用タイヤでもソリューションを提供しており、さらに乗用車向けではタイヤ、防振ゴム、シートパッドなど当社が提供する商品によってノイズ・バイブレーション・ハーシュネスを低減させるNVH※5ソリューションを推進するなど、今後も様々なソリューションビジネスを展開していきます。
当社ならではの高品質な技術や商品を組み合わせたソリューションビジネスによって、競争優位性をさらに強化し、お客様にとってサプライヤーからビジネスパートナーへと存在を高め、共通価値を創造することを目指しています。

●使命・心構え・宣言からなる企業理念体系を整備
一方で、人権、安全、CSR調達などのサステナビリティーを巡る課題については、企業存続のために必須である領域と認識しており、これまでもCSR「22の課題」として取り組んできました。今後も引き続き、これらの領域においてもグループ全体でステークホルダーからの期待・要請に応えながら取組を進めていきます。
当社では、企業理念を補完するものとして2011年に「環境宣言」、2012年に「安全宣言」をリファインしました。そして2015年に新しく「品質宣言」を制定し、これによって企業理念体系の整備が完了しました。

環境宣言では「自然と共生する」「資源を大切に使う」「CO2を減らす」という社会価値創造、持続可能な社会の実現に向けた活動の方向性を明確にしました。

安全宣言は絶対基盤であり、従業員だけでなくお取引先様も含めて、安全な職場で安心して働く環境を維持することを大前提としています。

そして品質宣言は顧客価値創造、持続的な競争優位確立を目指すものです。品質は当社グループのDNAとして、我々の目指す方向とぶれない軸を示しています。また、社会の品質に対する要求の厳しさが増す中、改めて品質に対する自分たちの考え方を整理し、立ち戻る意義があります。

今後は、この企業理念体系を基盤に、グループ・グローバルでの活動のさらなる展開・浸透・進化に取り組んでいきます。

コーポレート・ガバナンスにおいては、内部統制のより一層の強化と執行の更なるスピードアップをともに実現していくため、当社は2016年3月より指名委員会等設置会社に移行いたしました。経営と執行の効率と効果の両面での進化を目指していきます。

●フレームワークが整い、次は内容の充実へ
我々、津谷CEO・西海COOの体制で経営改革を進めて4年が経ち、2016年は次の段階に移る時期だと意識しています。ガバナンスの仕組み自体が次の段階に移り、組織としてもソリューションカンパニーを含め新しい形態に踏み出して事業展開を始めます。そして2016年8月には、ブリヂストンがオリンピックパートナーとなって初めてのオリンピックがリオデジャネイロで開かれます。
様々な面で、2016年は当社グループにとって重要な年になります。プロアクティブに社会課題と向き合い、社会的責任を果たすとともに、持続可能な社会の実現を目指し、ステークホルダーの皆様との対話を行いながら、共通価値を創造していきます。

  • ※1 The World Business Council for Sustainable Development(持続可能な発展のための世界経済人会議)の略です。
  • ※2 当社では「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。
  • ※3 「グアユール」とは、その組織の中にゴム成分を含む米国南西部からメキシコ北部の乾燥地帯が原産の低木です。
  • ※4 生産から消費に至る天然ゴムのサプライチェーンを対象とし、経済・環境・社会の三本柱が調和した持続可能な天然ゴム経済の確立を目的にIRSGにより立ち上げられた活動の一つです。
  • ※5 N(noise):騒音、V(vibration):振動、H(harshness):ハーシュネス

株式会社ブリヂストン
取締役 代表執行役CEO 兼 取締役会長
津谷 正明

津谷 正明