社会貢献活動

「地域特有の課題」に取り組む社会貢献活動|各地域での活動事例|日本

イルカ人工尾びれプロジェクト

  • プロジェクトについて
  • 人工尾びれ開発ドキュメント
  • 開発者インタビュー

3.もっと強く、より自由に。

イルカらしい形状へ

新形状人工尾びれ[2004年3~5月]
材質:硬度70度および40度シリコーンゴム 横幅:70cm 縦幅:25cm 重量:2.2kg 実物のイルカの尾びれに近い形状で、肩部分に切り込みを入れて開閉部を大きくし、2本のベルトをたすきがけにして固定するクロスバンド型。尾びれの強度を増すために、中にカーボンファイバーの芯材を入れました

フジに以前のような元気な姿で泳いでもらうためには、人工尾びれをより実物のイルカの尾びれに使い形状に改良することが必要でした。そこで、流体力学の専門家である元東京大学教授・神部勉博士に協力を仰ぎ、水族館に保管されていた他のイルカのホルマリン付けの尾びれを三次元測定して得た3Dデータをもとに新形状の人工尾びれを開発。幅が広くて厚みの薄い、イルカらしい人工尾びれが出来上がりました。
2004年3月、新形状人工尾びれの装着テストが行われましたが、ここでも課題がみつかりました。厚みを薄くしたぶん、ゴム製の人工尾びれは柔らかすぎてぺらぺらになってしまうため、フジは疲れるのか、すぐに泳ぐのをやめてしまうのです。そこで、人工尾びれの中にカーボンファイバーの芯材を入れることで強度を上げ、この問題を解決しました。装着方法についても、たすき型にナイロン製のバンドで締め付けるクロスバンド型を考案し、よりフィット感のあるものになりました。
強度が増したことで、フジは泳ぎやすくなったように見えました。しかし、クロスバンド型のベルト部分や、水が入り込んでしまう大きく開いた肩の部分に抵抗が生まれ、スピードが出ないことが問題でした。

装着方法の改良

このころ水族館では、人工尾びれを着けて力強い泳ぎを見せるようになったフジが、水中から体を持ち上げて立ち泳ぎする「ツイスト」という技の練習中、クロスバンド型人工尾びれが抜けてしまうという事態も起きていました。
そこで、ブリヂストンは人工尾びれの新たな装着方法を考案しました。カーボンファイバーの補強材・CFRP製の板をかぶせ、後端部でネジとナットで取り付ける「カウリング型」という方式です。

カウリング型人工尾びれ[2004年6月]
材質:硬度70度シリコーンゴム(CFRP補強板入)横幅:70cm 縦幅:25cm 重量2.2kg
尾びれを装着する肩の部分から水が入り込まないよう、肩部分にカウリングと呼ばれるカーボンファイバー製のカバーをかぶせ、ネジで固定するタイプ
CFRP補強板
カウリングに用いられた、カーボンファイバーの補強材・CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics、カーボン繊維による強化プラスチック)製の板。補強材の設計には、FEM(コンピューターによる強度解析)を用い、構造計算を行いました

2004年6月のテストで、カウリング型の人工尾びれをつけたフジは、今までにない躍動感にあふれた見事な泳ぎを見せました。その尾びれの動作は、他のイルカと見分けがつかないほど。そこには、他のイルカたちと一緒にスムースに泳ぎ出すフジの姿がありました。
その後、ブリヂストンは東京大学大学院工学部の水槽で、カウリング型とバンド型それぞれの人工尾びれにかかる水の抵抗力を調べる実験を行いました。その結果、(1)バンド固定法よりカウリング固定法の方が、抵抗が約2倍少ないこと (2)尾びれの適切な曲がりを得るには補強板が必要であること、が判明。これ以降の人工尾びれは、「補強板入りカウリング式」を基本構造とすることになったのです。

東京大学環境海洋工学部での水槽実験
カウリング型とバンド型のそれぞれの人工尾びれに働く揚抗力の計測を行い、最適な材料、形状、固定法の検証を行いました