社会貢献活動

「地域特有の課題」に取り組む社会貢献活動|各地域での活動事例|日本

イルカ人工尾びれプロジェクト

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6.さらなる改良と現在

シェル型人工尾びれの改良

2005年からは、カウリング型人工尾びれの改良と平行して、「シェル型」と呼ばれる人工尾びれの改良も進められました。これは、イルカをモチーフにした作品を手がける造形作家が、フジの尾びれのレプリカをもとに作製した、ポリカーボーネートという樹脂でできた人工尾びれです。
改良の第一歩として、シェル型人工尾びれをデータ化し、3Dモデルを作製。これを元に金型を製作して量産体制を整え、2006年1月、シェル型人工尾びれ「E-1」が出来ました。

シェル型尾びれの3Dデータ
造形作家がフジの尾びれのレプリカをもとに作製した、ポリカーボーネート製の人工尾びれを3Dデータ化したもの

シェル型尾びれ「E-1」
シェル型人工尾びれの3Dモデルを元に金型を製作して作られたもの
シェル型尾びれ「E-3」
「E-1」の装着部分の厚みを変えたもので、これがシェル型の集大成ともいえる

ところが、装着テストの結果、この尾びれのポリカーボーネートが割れてしまいました。そのため、装着部分の厚みを変えた「E-2」および「E-3」を作製し、4月、シェル型の集大成ともなる壊れない人工尾びれが完成したのです。

素材と構造の見直し

壊れないカウリング型人工尾びれはすでに完成しましたが、問題がなくなったわけではありません。その問題とは、(1)ゴムの強度が弱く、フジが泳いでいるうちに尾びれをプールサイドや底に当ててしまい、亀裂が生じたこと (2)カウリングや芯材の耐久性が不十分で、数か月ほどで疲労破壊を起こしてしまったこと、でした。
そこで、今度は材料を見直し、それまで使用してきたシリコーンゴムから、より強度の高い高反発天然ゴム/EPDMブレンドゴムへ変更。芯材もさらに強度と耐久性をアップさせるため、コンベアベルトの補強材として使われている素材を使うことになりました。また、2006年春より、カウリング型の人工尾びれも3Dデータ化され、その形状が基本形になりました。そして2006年5月、カウリング型人工尾びれの改良版が完成したのです。

カウリング型尾びれの3Dデータ
2006年春、カウリング型の人工尾びれが3Dデータ化され、以降のモデルの基本形になりました

のちに「YBECC」と名づけられたこの人工尾びれのおかげで、フジの泳ぎはよりスムーズになりましたが、フジの尾びれに擦り傷ができてしまうという問題が発生しました。
これを受けて、2006年9月、装着部分の大きさに余裕を持たせた「YBECC2」を、10月には、水の抵抗を下げるべくカウリングの尾びれへの埋め込み部分を改良した「YBECC3」を、そして2007年4月には、軽量化を図るためカウリングの埋め込み部分を薄くした「YBECC4」を開発し、24時間装着してもフジへの負担が少ない人工尾びれとなりました。
しかし、通常のイルカと比べるとやや柔らかいという問題もあり、2007年6月には人工尾びれ内部に入れる補強材を増やしたやや硬い「YBECC5」を開発しました。現在、フジはこの「YBECC5」を使用しています。

YBECC3[2006年10月]
水の抵抗を下げるため、カウリングの尾びれへの埋め込み部分を改良しました
YBECC4[2007年4月]
カウリングの埋め込みによって重くなった尾びれの軽量化を図り、カウリングの埋め込み部分を薄くしました。カウリングの位置を元に戻し、装着部分の開口部の前方スリット位置を変更、装着しやすい尾びれになりました
YBECC5[2007年6月]
人工尾びれ内部に入れる補強材を増やし、YBECC4よりも硬い尾びれに改良しました

これからもフジと一緒に

今、仲間と一緒に元気にプールを泳ぎ回るフジは、沖縄美ら海水族館の人気者です。その姿は多くの人々に驚きと感動を与えています。 ブリヂストンはこれまで、「フジの生きる支えになりたい」という思いで、数々の挑戦と失敗を経て、改良を続けてきました。このプロジェクトを通して、さまざまなことを学び伝えられるように、そして、フジの命を支え続けられるように――。わたしたちはこれからも、フジを見守り、挑戦を続けていきます。