社会貢献活動

「地域特有の課題」に取り組む社会貢献活動|各地域での活動事例|日本

イルカ人工尾びれプロジェクト

  • プロジェクトについて
  • 人工尾びれ開発ドキュメント
  • 開発者インタビュー

1.ゴムでイルカの尾びれをつくる?

フジの発病

バンドウイルカのフジ
3頭の仔を出産している子育て上手なイルカのフジは、全長2.71m、体重235kg、推定年齢は38歳。伊豆半島沖で捕獲され、1976年に沖縄美ら海水族館にやってきました

沖縄美ら海水族館で飼育されているメスのバンドウイルカのフジは、推定年齢38歳(2007年現在)。1976年に水族館にやってきて以来、3頭の仔を出産している、ちょっぴり頑固な性格の母イルカです。長い間、他のイルカたちとダンスやジャンプなどのショーを披露して、水族館を訪れたお客さんたちからたくさんの拍手をもらってきました。
ところが、2002年10月、フジに異変が起こります。感染症と循環障害のために尾びれの壊死が進行し、切除手術により一命は取り留めたものの、尾びれのおよそ75%を失ってしまったのです。
以前のように自由に泳ぎ回ることができないフジは、仲間から離れ、プールにただ浮かんでいることが多くなりました。そんなフジの変わり果てた姿を見て、水族館の獣医師があることを思いついたのです。

切除手術後のフジの尾びれ
壊死の進行を食い止める切除手術により、フジは尾びれの大部分を失いました。病気は完治しましたが、尾びれは人間の手のひらくらいの大きさになってしまいました
ぐったり横たわるフジ
小さな尾びれでは自由に泳ぐことができず、フジはプールの水面に浮いているだけの状態でいることが多くなりました
尾びれの壊死
白くドロドロした部分が、壊死しているところ

獣医師からのコンタクト

「イルカの皮膚の感触はゴムに似ている。フジのために人工尾びれをつくってもらえないだろうか」
こんな話が獣医師からブリヂストンに持ち込まれたのは、2002年の12月のこと。これまでさまざまな製品の開発を手がけてきたブリヂストンも、生き物相手の開発は経験がありません。戸惑うブリヂストンスタッフに獣医師は言いました。
「あの子をもう一度、仲間と一緒に泳がせたいんです」
その熱意に打たれたブリヂストンスタッフは、なんとか手助けできないかと考えました。開発者にとって、世界で誰もやったことのない開発であるという事実も、心動かされるものでした。
まずは可能性を確かめようと、紙粘土でイルカの尾びれのモデルを作り、シリコーンゴムで人工尾びれのサンプルを作製してみたところ、「なんとかできるかもしれない」という感触を得ました。また、イルカを視察するため、八景島シーパラダイス水族館へも赴きました。そこで実際にイルカの肌に触れてみて驚きました。その感触は、まさにゴムそのものだったのです。
「泳げるかどうかはわからないけれど、少なくとも尾びれの形をしたモノはつくれる。やれるところまでやってみよう」
こうして、ブリヂストンによるフジの人工尾びれの開発が現実味を帯びてきたのです。

サンプルの制作
紙粘土でフジの小さな尾びれと健常イルカの尾びれのミニモデルを作り、健常イルカの尾びれモデルの中にフジの尾びれモデルを吊るして、その空間部分に型取り用シリコーンゴムを流し込み、人工尾びれのサンプルを作製しました
イルカの視察
八景島シーパラダイスで初めてイルカに触れたブリヂストンスタッフは、イルカの肌が薄く弱いこと、硬度70度程度のゴムと似た感触であることを知りました

前へ

次へ