社会貢献活動

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イルカ人工尾びれプロジェクト

  • プロジェクトについて
  • 人工尾びれ開発ドキュメント
  • 開発者インタビュー

「フジは、私を新しい分野に導いてくれたきっかけ。
いつまでも元気でいてほしいと願っています」

化工品研究開発本部 開発第一部
関 亙

─ 初めてイルカの人工尾びれ製作の依頼を受けたとき、どう思いましたか?

「私は2003年よりプロジェクトに加わりましたが、最初話を受けた時は、ちょっと変わったことをやっているなというのが正直な感想でした。ゴムを使っているとはいえ、生き物相手だし、商売とも関係なさそうですからね。でも、テーマとしては非常にチャレンジングだし、誰もやったことがないことですから面白そうだなと思いました。」

─ プロジェクトにおいて、主に担当されていた内容や役割は何ですか?

「私が担当したのは、コンピューターによる人工尾びれの強度解析です。人工尾びれの中に、FRPという芯材が入っているんですね。FRPとはファイーバー・レインフォースド・プラスチックスの略で、樹脂でナイロンとかカーボン繊維を固めたもので、飛行機や船などいろいろなものに使われています。これは軽くてかなり強い素材なんですが、海で泳ぐイルカの力は非常に強いので、水の抵抗を受けて曲がったり折れたりしてしまう。これを折れないような構造にして、イルカがジャンプしても壊れないものを設計しようということで、その構造解析に関わりました。 当初の人工尾びれはやわらかく、フジの泳ぎに推進力が出なかったので、尾びれの強さをどう改良していくかがポイントでした。
そのためにいろいろな工夫をしましたが、最終的には自然をまねたということになるのかもしれません。実際のイルカやその他の生き物の尾びれの形は、全体が流線型で、真ん中が厚く、周辺ほど薄くなっています。そういう自然の形をまねた構造設計を行い、折れにくいものができました。」

─ 人工尾びれの開発でもっとも難しかったのはどんなことですか?

「やはり、相手が生き物なので、本当にこれでいいのかがわからないということですね。強度という点では、強ければ強いほどいいんですけれども、固いほうがいいのか、つけ心地はどうなのか、相手がイルカですから聞くわけにもいきません。どういうふうに設計すればフジが幸福なのか、人工尾びれをつけて泳ぐ様子を観察して判断せざるを得なかったというところですね。」

─ 開発に携わって嬉しいと感じたことなど、このプロジェクトの醍醐味は何ですか?

「生き物相手の仕事というのは、まったく経験がなかったので面白かったということです。この仕事のおかげで、獣医や生物関係の研究者の方と知り合いになったり、今まであまり関わりのなかった分野の本や論文にも目を通したりして、知見が広がったかなと思います。あと、なんでもそうかもしれませんが、ものを作ってうまくいったということが一番嬉しいですね。」

─ 関さんにとって、フジはどのような存在ですか?

「フジは私にとって、新しい分野に導いてくれたきっかけ。だから、いつまでも元気でいてほしいと願っています。」

─ 今後、このプロジェクトをどのように見守っていきたいですか?

「私自身、まだ人工尾びれについてよく分からない点があります。それは、フジにとって、固い尾びれとやわらかい尾びれのどちらがいいのか? 相手がイルカなので聞くことはできませんが、それについて解答が出ないかと、今後興味がありますね。」