グレートバランスの進化が紡ぎ出すアイデンティティ

1981〜 GR-01

時代が求めた「居住性」

 70年代後半から80年代初頭は、クラウンなどの高級車が次々と発表され、その卓越した居住性から、タイヤにおいても同様の性能が求められた。従来の運動性能や安全性を犠牲にせず、新しい価値を付加したタイヤを創るという、ブリヂストンの挑戦が始まった。

業界初、アラミドを採用

 初代REGNOには、快適な乗り心地を確保するために、アラミドという素材が、業界で初めて採用された。衝撃の吸収に優れ、しかも柔軟性に富んだこの素材は、防弾チョッキなどに使われている。この「アラミドホールド」とともに、「ワイヤーインサート」を入れることでREGNOは性能の「グレートバランス」を確立したと言える。
 また、タイヤが出す走行ノイズを、長さの異なるブロックを用いることで低減する技術がある。通常は3つのピッチ(パタンのひとつのブロックの長さ)を使うところで、REGNOは、「5ピッチ」を採用した。3ピッチを5ピッチに広げることで、さらなる静粛性を追求したのである。

1985〜 GR-04

「タイヤはみな同じ」ではない

 タイヤにも機能と美しさを両立させることはできないのか。「行動の美学」から始まったREGNOの挑戦は、タイヤに「美しさ」と「格調」までも求めていく。これらのアプローチは、タイヤにおける「価値」に新しい風を吹き込んだ。

初めての曲線デザイン

 ブロックを小ぶりにすると、見た目にも上品なイメージになる。それに加えてREGNOが挑戦したのが、やわらかい曲線を使うこと。80年代のREGNOは、基本的に曲線基調でデザインし、美しさと静かさを両立させた。機能的にも水が流れやすくなり、WETの排水性が高まる。当時、溝といえば直線で切るものだと思っていたところに、曲線を持ち込んだのは画期的なアイデアだった。

1986〜 GR-11

パタンノイズの低減

 パタンブロックの位相が揃っていると一度に路面に大きく「バン!!」とぶつかるために音のエネルギーが高くなるところを、小さく「バンバン」と数回に分散させることで静かになる。これが、「位相ずらし」のアイデアである。これもREGNO独自の発想で、現在、市販されているほとんどのタイヤがこの「位相ずらし」を採用している。

【図】ブロックの「位相ずらし」の考え方

1988〜 VS51

REGNO初の輸入車向けシリーズ

 輸入車には外国タイヤメーカーのタイヤ、という概念が一般的だった時代に、あえて輸入車をターゲットにしたタイヤを開発した。それがVS51である。REGNO開発の背景には高級車の増加があり、より快適性の高いタイヤが求められていた時代であったが、それは逆に保守的なイメージでもあった。当時のブリヂストンは、輸入車向けタイヤのブランドとしてイメージがそれほど高くなかったため、輸入車にもマッチする若々しさ、清新なイメージを狙って開発を行なった。メルセデス・ベンツやBMWの格好よさへの「憧れ」をタイヤでも表現することを目指したのである。これ以降、REGNOの「グレートバランス」は、高級輸入車オーナーの国産タイヤへの意識すら変えていくこととなる。

1990〜 GR-600

グレートバランスの大きな進化

 この時期、ブリヂストンは独自の発想により次々と新しい技術を開発し、REGNOを大きく変えていく。お客様が求める機能と価値を両立させた「グレートバランス」はこの時期に大きく進化し、それらの技術は今もってタイヤの進化に影響を与え続けている。

クリスクロスサイプの発明

 タイヤの回転方向は決まっているため、 水は前方に排出される。したがって、この流線方向に溝を切っていくと、排水性に優れることになる。この考え方に基づき、GR-600から「方向性パタン」を採用するようになった。しかし、当時REGNOのお客様からは、そういった若者のデザインは嫌だという反応もあった。そこで発明したのが「クリスクロスサイプ」。溝とクロスする方向に細い切れ込みを入れることで、回転方向が際立って見えるのを視覚的に打ち消した。方向性パタンの性能上のメリットを生かしながら、視覚的にも、今までのお客様に も受け入れてもらえるような工夫である。このクリスクロスサイプはGR-600から始まって、GR-600E、GR-5000、GR-7000まで、約10年間続いた。

【図】クリスクロスサイプ

2000〜 GR-7000

「より静かな走り」へ

 パタンや溝の構造を徹底的に検証し、「音」の問題を解決してきたREGNO。GR-7000では、荒れた路面からの振動によって伝わる「ロードノイズ」の制御に取り組んだ。タイヤの構造自体を見直し、ベルトの外側にある部分に、振動しにくい素材で生み出された新技術、「ノイズ吸収シート」を採用した。これにより「ザー」「ゴー」といったロードノイズを大幅に低減することに成功。これ以降、この技術はREGNO静音技術の代名詞となっている。

【図】ノイズ吸収シート

2006〜 GRV

初めてのミニバン専用REGNO

  日本はミニバンブームを迎え、従来とは異なる快適性が要求された。特に「音」に関しては広い車内空間を持つクルマの特性上、抑えきるのは難しい。また車重があるため、摩耗性能も一段上の性能が求められた。それらをいかに両立させるのか、従来とまったく違う側面からのアプローチが求められた。
 音響工学で、側管を設けるとピークが分散して音圧が下がり静かになるという技術があるが、ブリヂストンはこれをタイヤに応用できないかと考え、「サイドブランチ型消音器」を取り入れたのである。これによって音が静かになり、排水性と静粛性の両立が可能になった。
 また、GRVは、REGNOにとって初の非対称形状となった。理由はふたつある。ひとつはミニバン特有の偏摩耗を抑制すること。もうひとつは直進安定性をよくすること。さらに、IN側とOUT側で要素が異なる非対称パタンではデザイン上の美を損なう懸念があったため、クリスクロスサイプを復活させた。個々のデザインに今までREGNOで伝統的に使ってきた要素を取り入れることによって、従来からのお客様にとっても違和感がないように考えたのである。

2007〜 GR-9000

音響の科学的解析と応用

 音響を科学的に解析し、それを応用する技術が確立する。さまざまなアプローチがある中で、ブリヂストンは機能と美しさを十分に維持・進化させながら、「音」の部分をさらに改善させたタイヤを創り出した。

進化したサイドブランチ

 音の周波数の動きは、サイドブランチの溝の長さに依存する。この長さにバリエーションをつければ、さまざまな周波数の音を分散する効果が期待できる。サイブランチの長さに2種類のバリエーションを持たせることで、分散効果を生み出そうとした。REGNOらしいS字曲線の全体の美しさは踏襲しながら、サイドブランチの溝の長さを変えて、音を静かにする効果を高めた。そうして完成したのがGR-9000である。

【図】サイドブランチ型消音器

2011〜 GR-XT

REGNO、30年目の回答

 常に持てる技術を結集し、プレミアムタイヤの最高峰を目指し続けたREGNO。その30周年に投入されるGR-XTは、走行時の路面による音の変化が大きいと、音が気になり、不快に感じることに着目。科学的アプローチを駆使して、3D技術の導入によりさまざまな路面での音の低減を実現した。また、官能評価までも行ない、人が心地よいと感じる音色を追求し、さらなる静粛性を得た。

【図】うるさいと路面と静かな路面(イメージ)

3Dヘルムホルツ型消音器の誕生

 GR-XTが採用している「3Dヘルムホルツ型消音器」は、管に入口が狭くて中がふくらんでいるような体積を与えればサイドブランチ型同様の消音効果があることがわかり、それをパタンデザインに応用したもの。3Dヘルムホルツ型の一番の魅力は、スペース効率がよいこと。サイドブランチ型は溝の長さに依存するのでその分スペースが必要になってくるが、3Dヘルムホルツ型は体積も少なくて済む。GR-9000のときは4本ある溝のうち外側の2本にしかサイドブランチが入っていなかったが、今回は4本すべての溝に消音機能を加えることが可能となった。外見上は、すべて曲面でできているアーチ型にした。光が当たったときにキラキラと反射するという、外観上の効果も狙っている。

【図】3Dヘルムホルツ型消音器

環境性能の向上(ナノプロ・テック™)

 時代の求める環境性能。GR-XTは、これに応えるため、ブリヂストンの先進技術である「ナノプロ・テック™」を採用した。ナノレベルでの分子構造解析、それはたとえるなら、1本のネジで地球を動かすようなもの。この「極小の差が生む大きな違い」はREGNOの「グレートバランス」をさらに孤高へと導いた。

【図】ナノプロテック™

伝統の文様「分銅繋ぎ」とREGNO

 ブリヂストンの最高級タイヤ、REGNO。エンブレムたるその名称は、他のブランドに先んじて、さまざまなデザインを施すことを許されてきた。REGNO GR-XTのタイヤサイドには、古来からその形が美しく、縁起物とされてきた「分銅繋ぎ(ふんどうつなぎ)」を立体的に進化させた模様をデザインし、REGNOの優美さと高級感を表現した。実際、これに光が当たるとキラキラと輝いて、お客様の満足度をよりいっそう高めてくれる。  このような日本古来の文様を配したのには、理由がある—地下足袋に始まる会社の歴史と誇り。プレミアムタイヤとして日本製であることにこだわり抜きたい、ブリヂストンの矜持。その想いが、このデザインに結実した。紡がれたストーリーに、想いを馳せていただきたい。

【図】「分銅繋ぎ」模様のタイヤサイドデザイン