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「前例なき世界の歩き方」

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今、スポーツだけでなくさまざまな分野において夢を追いつづけることが難しくなっています。そんな中、2020年12月に実施されたのが「Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE」。チームブリヂストン アスリート・アンバサダーをはじめ、さまざまな分野で活躍する9人の豪華出演者たちが、時代に向き合いながら夢や目標へと挑戦することをテーマにトークセッションを行うライブ番組です。
2回目のセッションテーマは「前例なき世界の歩き方」。出演したのは、チームブリヂストンからプロゴルファーの宮里藍さんと谷真海選手(パラトライアスロン)、ファッションデザイナー、実業家で株式会社ウツワ代表取締役のハヤカワ五味さんです。夢や目標に向かってグローバルに活躍していくためにはどのようにしたらいいのか? スポーツとビジネス、それぞれの分野でプロフェッショナルとして活躍されている3人に、今、見えている景色をヒントに、物理的には海外に行くことができない状況だからこそ、できることを一緒に考えていく時間となりました。

イチから築いてきた経験が次の困難に立ち向かう自信をくれる

番組の前半では、前例のないジャンルで夢や目標を叶えてきたゲストのみなさんの経験から、その道のりや歩き方、年齢や性別、立場にとらわれず挑戦していくためにどんなことが必要なのかを語り合ってもらいました。まずは女性プロゴルファーとして前例のない実績を残してきた宮里さんが、困難や苦悩を乗り越えてきたエピソードから。

宮里藍 × 谷真海 × ハヤカワ五味 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

18才でプロになった宮里さん。最初の頃は勢いのままプレーしていたそうですが、続けていくうちに波があったと話します。「ゴルフでは“イップス”という言葉があって、運動障害という意味合いなんですが、記憶や恐怖心から体がうまく動かない状態に陥ってしまったことがあります。その時はとても大変でした」。そこで宮里さんはメンタルトレーニングを取り入れ、スポーツ心理学とスポーツ科学の両方からメンタルを掘り下げていったそう。自分自身はどういう選手なのかという情報を増やしていき、イップスを克服したんだとか。

その話を聞き、ビジネスでもコーチングという形で自分自身や自分の考えと向き合うことがあると語るのはハヤカワさん。「それがスポーツの分野でもあるのはすごく興味深いですね」と話します。

谷選手はこれまでの困難や苦難について、自身がパラリンピックを目指し始めた大学生当時のことを振り返ります。今とは状況が違い、練習環境自体を自分で作らなければならなかったとか。「一般採用で会社員になって、競技が前提ではなかったので、練習の時間や場所の確保、コーチやトレーナー探しなど、イチから自分で道を作ってきました。こういう経験を経たことで、どんなことでも乗り越えていけるんだと思えるようになりましたね」

宮里藍 × 谷真海 × ハヤカワ五味 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

結婚や出産、競技の転向など、環境が大きく変わるタイミングが何度かあった谷選手。モチベーションの維持についてこんな話をしてくれました。「出産に関しては、まずは産後の体を以前の状態に戻しながら、いけるところまでいってみようというところからスタートしました。試合に出始めると世界を目指したいという気持ちにスムーズに移行していけたんです」その際、自分で道をつくっていった時の経験が生きて、自分自身でできること、周囲に助けを求めたいことを分けて考えることもできたそうです。

分野や世代を超えて共鳴し・刺激しあえること

続いて、10代のうちから起業して、ファッションデザイナーで実業家という新たなキャリアを築いてきたハヤカワさんが、ビジネス分野でのモチベーションを維持する秘訣を明かしてくれました。「直近だと新型コロナの影響で環境が変わってしまったこともあり、それを割り切って、その中でどうやってふるまっていくか、それを楽しめるかどうかっていうのが、起業家としてモチベーションを維持するために重要なのかなと思います。結局、自分のことを知って、自分が何をしたいのかとか、自分はなにが得意なのかとか、それこそアスリートの方と同じで、自分の強みを把握できている人や、それを活かせる人とそうじゃない人ではだいぶ違ってくると思うんです」

宮里藍 × 谷真海 × ハヤカワ五味 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

そんなハヤカワさんの話に刺激を受けた谷選手。「起業家の若い女性と話すのは初めてですが、世界を目指しているアスリートみたいに意志が強くて、チャレンジングな道さえもエンジョイしてしまう。そういう精神は通じるものがあるのかなと思いますし、かっこいいですよね」

そして、話題は、夢の実現に向かって歩んでいく時の目標になる存在や後押しになるきっかけについてに。

宮里さんは、現役時代に世界ランク1位の選手の背中をずっと追いかけていたと言います。「強くなるためにはどういった立ち振る舞いをすればいいのかを一番近くで見ることができたので、そこから自分なりに落とし込んで、自分であれば、どんな選手になっていけるのかなと想像をふくらませていました。自分がこの人に勝つためにはという感じで、自分自身のイメージをひろげていくことが多かったですね」

実は宮里さんは、谷選手が社会人になって入社した会社の所属アスリートなのだそう。「私のほうが年上ですが、競技だけでなく、記者会見や優勝インタビューでも堂々と英語で話していて、すごく刺激をいただいていました。自分自身も世界に行く機会があるんだから、こういう風にその機会を活かしていきたいと思いましたね」と谷選手は話します。

谷選手は自分より年下の宮里さんに憧れて、尊敬していたそうですが、同様に宮里さんも若い世代から刺激を受けることがあるんだとか。「今の若い世代のプロゴルファーは、自分が同世代だった時と全然違う印象です。情報が増えている中で、自分の感覚にならって自分を信じて突き進んでいく力が強い。挫折への対処もしっかりしていて、考える力があるんです」

分野の違う人たち、それぞれの前例なき道の歩き方について、気づきの多い時間となりました。

辛い時期こそ過去の経験が前を向かせてくれる

そして後半は、世界各地が未曾有の状況に直面する中、どのように世界、グローバルへの挑戦を続けていくのか? そのヒントをみなさんのエピソードから探っていきました。

宮里藍 × 谷真海 × ハヤカワ五味 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

東京2020パラリンピックが延期になったことによる気持ちの変化を話してくれたのは谷選手です。「私自身は2020年8月末の大会本番までを目標の期限と決めて、だからこそできるチャレンジもありましたし、犠牲を払っていた部分もあります。そういった意味で1年の延期を受けて、精神的にとてもギリギリな状態に追い込まれました」。若くてこれからの選手にとってはプラスの1年となりますが、谷選手はすごく悩んだとか。「しばらくは練習強度を落としつつトレーニングは続け、答えを急がずに家族との時間をゆっくり過ごしながら、自分の気持ちに向き合いました」

この時に活きたのが、結婚、出産、競技の転向での経験だったそうです。「延期という事実を変えることはできませんが、そこまでをどう過ごしていくかについては、険しい道ですけど、これまでの経験が生きてゆく、この辛い時期こそ、きっと自分自身にプラスになるという風にはとらえていました。ただ、悩んでいた事実も口にできないような空気感もあって、それ自体苦しくて。パラリンピックの招致メンバーである自分自身がそこから身を引くなんてことは、すぐには言えなかったですし、正直、自分自身の気持ちも変わるかもしれないので、しばらく考えてみようとは思いましたね」

スポーツ界全体を踏まえて思うところを話してくれたのが宮里さんです。「それぞれの競技を代表する選手たちの視点で考えるとたぶんみんなショックだったと思います。ただ、アスリートはやはりそういう難しい状況になった時にどう打破するかをつねに考えて行動していると思うので、感情的になる期間は短かった印象ですね。みんなそこから自分の目標をどう立てているか、臨機応変に目標をかえて、そこに向けて自分ができることをみんなひとつずつやっていた印象があります」

宮里藍 × 谷真海 × ハヤカワ五味 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

ハヤカワさんからはビジネス視点からこんな話をしてくれました。「例えば、事業やサービスを8月に出すことが決まっていて、最後数ヶ月は8月までだからということで、すごく気を張って頑張って積み重ねていたのに、『それが1年出せません』となったらとても辛いですよね」。ただ、そういった場面でも、それをどう乗り越えるかは、それまでにうまくいかない時期を乗り越えた経験によるのだそう。ハヤカワさんは続けます。「それでもう少し大きな課題が降ってきたとしても、あの時はこうしたし、じゃあ、今回はこうしてみようって参考になることもありつつ、もう少し大きなものを乗り越えていけるようになっていけるんだろうなって、自分としては最近のスランプを経て思いましたね」

目の前のことに一つひとつ着実に向き合う

みなさんの変化への対応力や考え方を伺ったあとは、グローバルな夢や目標をもっている方が、物理的に世界に行くことができない中、それにむけて目標設定をどこにしたらいいのか、どんな心構えでいればいいのかを話してもらいました。

宮里さんは、今までの人生の中で家にいる時間が一番増えたと話します。「人と会うことを制限していると、本当に孤独な時間が長くて。私自身も苦しい時期はありましたが、でも結局、目の前のことを一つひとつやっていくしかないんだなっていう風に、現役の時にスランプを経て経験したことを改めてあてはめている感じになりました。今できることに集中して一つひとつ積み重ねていこうと意識を変えたら、少し楽になった部分はありましたね」

谷選手も、もともとトライアスロンは、練習も本番も自分と向き合うものだと話します。「水泳はできなくなりましたが、ランニングと自転車の練習は家でできたので、人と会わずに続けていくことはできました。今シーズンもう試合はないだろうなという状況だったので、気持ちはオフに、体だけはなるべくオンに積み重ねられるようにってことは意識してましたね」

宮里藍 × 谷真海 × ハヤカワ五味 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

一方で、コロナ禍でのコミュニケーションの難しさについて言及したのはハヤカワさんです。「オンラインのコミュニケーションの難しさをすごく痛感しています。特に私の場合、人になにかを発信することは得意ですけど、情緒的なコミュニケーションが苦手なんです」。オンラインに適応していくことが私にとって一番難しいと話すハヤカワさん。こう続けます。「ある意味、遠く離れていてもコミュニケーションをとるという人類が向き合ったことのない難しさに直面し、最近ちょっとだけ答えが見えてきたのかなと思っているところですね。結局、対面のほうが情報量が多く、オンラインになると情報量が減ってしまうので、例えば、なんとなく作業している時間に通話だけつないでおくとか、量でカバーしていくみたいな新しいハックのようなものを見つけて、いったん試しています」

新型コロナが終息し、また世界に挑むことができるようになったら、みなさんはどんなことにチャレンジしたいのでしょうか?

今までと違う視点を得られそうだと話すのは宮里さんです。「今までと同じような生活が戻ってきた時に、それまで感じたことのないものを感じそうな気はしてますね。当たり前に旅行できることであったりとか、私もアメリカに家があるんですけど、そこの家の時間の大切さだったりを改めて感じられる期待感はすごくあります。別の視点を持てるというのは、自分の視野を広げるためにすごく重要なことなので、その時になにを感じるかをすごく大事にしたいなと思います」

続いて「コロナ禍になってみて、私はレースをしながらいろいろな国を訪れて、さまざまな文化や価値観、言語、食べ物や景色に触れることがすごく好きだったんだなと実感しました」、そう話すのは谷選手。そして、世の中が元通りになったら、もう一度アスリートとして世界に飛び出して、それを思う存分味わいたいとのこと。

前例なき世界を歩むために必要なのは自分を知り、自分と向き合うこと。

宮里藍 × 谷真海 × ハヤカワ五味 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

リアルでは世界にいくことができない今、将来自分が活躍するフィールドを国内外に広げていく中で、普段から何を意識するべきなのか。みなさんのエピソードの中にはいろいろなヒントが溢れていました。最後に今回、異分野の人の経験や考えに触れてどんな発見があったのか、みなさんに聞いてみました。

共感する部分のほうが大きかったと話すのは宮里さんです。「どの分野でも通るような道、必ずこういう波があって、その波に対してどう対処していくかっていうところで、すごく共感を得られると感じましたし、それが勇気につながりました。自分がやっていることは間違っていないと思えましたし、次の目標に向けての力になると思ったので、今日はすごく貴重な時間を過ごさせていただきました」

谷選手は「たぶん私が一番年上だと思いますが、本当にドキドキしてしまうくらいみなさんしっかりしていて、すごくいい刺激をいただきました。心の整え方が上手なところは共通するところですね。自分自身も東京2020パラリンピックが終着点ではないので、それをいい通過点として今後もチャレンジングな人生を送っていきたいと感じています」と語ってくれました。

宮里藍 × 谷真海 × ハヤカワ五味 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

「すべてのジャンルに言えると思うんですけど、なにかひとつを極めようとすると、最終的には誰かではなく自分と向き合っていかなければいけないんだと思いました」そう話すのはハヤカワさんです。「どれだけ環境が変わったり、どれだけ今まで知らない場所にいったりしたとしても、一貫して活きてくる部分があるんだろうなと。あらためて自分と向き合っていきたいと感じました」

異なる分野の3人によるお話は、ここでしか聞けないエピソードも満載で、充実した時間となりました。多くのみなさんが前例なき世界にむけて一歩を踏み出す後押しになれたのではないでしょうか。

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