サイト内検索

「パラスポーツの先に見える未来」

  • 対談
  • イベント

今、スポーツだけでなくさまざまな分野において夢を追いつづけることが難しくなっています。そんな中、2020年12月に実施されたのが「Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE」。チームブリヂストン アスリート・アンバサダーをはじめ、さまざまな分野で活躍する9人の豪華出演者たちが、時代に向き合いながら夢や目標へと挑戦することをテーマにトークセッションを行うライブ番組です。
3回目のセッションテーマは「パラスポーツの先に見える未来」をテーマに、チームブリヂストンの秦由加子選手(パラトライアスロン)、同じく有安諒平選手(パラローイング/東急イーライフデザイン 所属)、日本財団パラリンピックサポートセンターのプロジェクトマネージャーであり、国際パラリンピック委員会・教育委員のマセソン美季さん、さらにサポーターを代表して、山ちゃんこと南海キャンディーズの山里亮太さんが登場。それぞれの立場からパラスポーツについてのトークを繰り広げました。

自分から前に進めば、道はどんどん拓けていく。

まずは秦選手と有安選手がパラスポーツと出会った時のエピソードから番組が始まりました。実は秦選手がパラスポーツに出会ったのは、26才の時。中学校一年生の時に骨肉腫という病気になり、右足を膝上から失って以来、学生生活では体育とも体育祭とも無縁の生活を送っていた秦選手が、初めて今までの自分を変えたいという決意のもとで始めたのが幼い頃にやっていた水泳だったそう。まずは地元のスポーツクラブに入会し、泳ぎ始めたのがきっかけだったとか。

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

秦選手は、パラスポーツを始めたことで自身の障がいとの向き合い方が180度変わったと話します。「2008年から本格的に競泳を始めて、2012年のロンドンパラリンピックまでは水泳一本でした。翌年にトライアスロンに転向しましたが、屋外競技なので、すごくみんなの気持ちがオープンなんですね。健常者と障がい者が隔たりなく同じレースに出て、同じコースを走って、同じようにハイタッチをして、フィニッシュした瞬間は同じように喜ぶスポーツだったので、初めて健常者との垣根を取り払うことができ、自分自身の障がいに対する壁がなくなりました

一方、有安選手も同様に、パラスポーツとの出会いは自身の価値観が180度変わるものだったと話します。「僕も秦選手と同じく中学生の頃に目が悪くなってきました。思春期だったこともあり、障がいがスポーツに対して足枷に感じてしまい、ハンディキャップでしかないな、マイナスだなという風にずっと思っていたんですね」。転機が訪れたのは20才くらいの時。初めてできた視覚障がいの友達が、パラスポーツの視覚障がい者柔道をやっていました。「おもしろそうだなと思って自分も始めたら、その先に世界大会やパラリンピックという大きな舞台があることを知り、その時に初めて自分に障がいのあることがパラリンピックへのチケットに感じたんです。ずっと足枷だったものが、障がいがあってラッキーだったかも、みたいに転換できたんですね。そういう意味でパラスポーツとの出会いは、僕の中で障がいをしっかり受け入れられることができた出来事です」。その後、有安選手は東京都が主催する障害者スポーツ協会の発掘プログラムに参加し、現在のボート(ローイング)の関係者に声をかけていただいたことで競技を始め、今に至るそう。

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

そんなふたりの話を聞いた山里さんは、目を輝かせます。「今、有安選手がおっしゃった、障がいがチケットになるんだっていう考え方や、秦選手がおっしゃるみたいに自分が進んでいったら、周りがどんどん垣根をとっぱらってくれる、自分たちが前に進めば、自分たちのいいように変わってくるっていうお話は、すごく素敵ですよね。しかもそれを、競技を通じて見せてくれることがかっこいいなって」

さらに山里さんは、ご自身の経験からこんなお話も。「僕は車いすバスケットボール、ウィルチェアーラグビー、シッティングバレーボールの観戦経験がありますが、観たことでめちゃくちゃ印象が変わりました。自分も車いすに乗って体験させてもらい、いかにパラリンピアンの人たちがすごいことをやっているかってことがよくわかりました。体験したりルールを知ったりすると凄さが感動的に伝わってくるので、そういう機会が増えればいいなと思います」

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

パラスポーツをもっと身近な存在に

そんな山里さんの話に対して「体験などによってパラスポーツを身近に感じていただけるのは嬉しいですよね」と返すのはマセソンさんです。パラアスリートとして活躍し、引退後の現在は教育の分野からパラスポーツに携わっています。そんなマセソンさんが教育を選んだ理由についてこう話してくれました。「私は交通事故がきっかけで車いすで生活するようになりました。すると社会の中にある今まで気づかなかったバリアに気づくようになってきたんです。車いすで生活しているだけで不当な差別や偏見を残念ながら経験することもあります。その時に差別や偏見を生み出しているのは教育の影響だと知って、すごく衝撃的でした。その一方で、教育をうまく使ったら人の意識を変えていけるはずだと思い、教育に携わるようになりました」

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

パラスポーツを通して人生が変わったり、気づきを与えられたりしたと話すみなさん。トークの話題はこれからのパラスポーツのあり方についてへ。

秦選手は、健常者が走っているマラソンコースにいくと、義足の人とはすれ違わないと言います。「ということはパラスポーツが一般的ではないってことですよね。パラスポーツを普通の障がい者も楽しめるようにするためには、やっぱりパラリンピックに出場する選手や、パラスポーツを競技活動のひとつとして本格的に取り組んでいる人をもっと増やしていく。みなさんの目に触れる機会が増えることで、障がい者が体を動かしてみたくなるようなきっかけになればと思います」

パラスポーツには伝えるべきメッセージがあると話すのは有安選手です。「いろいろな人にパラスポーツに興味をもってもらい、一緒に取り組んでもらったり、山ちゃんのように一緒に体験してもらったりして、ルールなどの発見を重ねてもらうことで、本当の理解につながっていく。まずは我々アスリートが本気で頑張って、スポーツとしてのおもしろさを伝えて、興味をもってもらった上でルールを知ってもらう。それが障がいを知ってもらうことになり、社会を変えていくことにつながっていくんじゃないかなと思います」

パラスポーツも観て、体験してエキサイトしてほしい

パラスポーツへの熱い思いが次々と語られる中、番組は後半へ突入。グローバルという視点でパラスポーツと社会の変化、そして、その先にある未来についてのトークが展開されました。世界各国ではパラスポーツはどんな存在なのでしょうか?

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

日本におけるパラスポーツの認知度を示すデータ(2014年調査データ)が紹介され、日本人はパラリンピックを観たことはあるけど、それが理解度には結びつかなかったり、盛り上がりが持続しなかったりという課題が明かされます。そして、それを解決するために、山里さんができることを語りました。

僕たちが体験して、楽しいですよ、おもしろいですよと伝える回数を増やすことかなと思いますね。競技自体にはすごく魅力があるから、あとは伝える人間の熱量とか、数、技術かなって」。そして、山里さんは逆になにをしてほしいのかなとパラアスリートのふたりに投げかけました。すると秦選手から大胆な提案が。「私、山里さんにトライアスロンをやってほしいです!」しかし、山里さんは「えーっ! 私?」と困惑。「僕、今のところ13メートルしか泳げないんですけど。息継ぎができないので」。そう言われて引き下がる秦選手ではありません。「それで全然いいんです。一緒にトライアスロンをやってくれれば、どんな感じかなっていうのはわかると思います」そう提案する秦選手に対して、山里さんがシュノーケリングをつければ泳げると話すと、場内は笑いに包まれ、和やかな雰囲気に。

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

また、パラスポーツに対する海外と日本の大きな違いについて、カナダ在住のマセソンさんはこう話します。「違いは3つあると思います。1つ目は海外では障がいのある人たちが普通に社会の中に溶け込んでいるという点。2つ目はスポーツが生活の中に文化として根付いているかどうかという点。3つ目はパラスポーツを観戦する人たちの目が肥えている点です」

続いて、秦選手が文化としてパラスポーツが根付いていると感じた都市として、2016年のパラリンピックで訪れたリオデジャネイロでの様子を紹介。「レースを終えたら、沿道で応援していた子どもたちと親御さんが私のサインをもらうために列をつくってくれたんです」その光景を見てアスリートとしてリスペクトしてくれていると感じて感動したそう。

また、有安選手はヨーロッパでの盛り上がりについて、こう話してくれました。「国際的に見るとボート(ローイング)ってすごく人気のある競技で、特にヨーロッパではすごく盛り上がります。パラアスリートに対しても観客がビールを飲みながら"いけいけ!"って感じでシンプルにスポーツとしてエキサイトしてくれて、その雰囲気がすごくいいなあと感じます。こうしたスポーツとしての楽しみ方をみなさんに知っていっていただけるような発信を選手としてもやっていかなきゃいけないですし、ぜひ興味をもっていただいた方みなさんで力を合わせて、パラスポーツ全体を盛り上げていけるような動きができたらいいなと思います」

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

秦選手、有安選手、マセソンさんの話を聞いた山里さんは、サポーターの心構えについて、こう話します。「さっき有安選手がしてくれた話がすごくわかりやすくて。我々サポーターは、何にも考えないで目の前で起こる競技を全力で盛り上げたら、選手が盛り上がる。選手が盛り上がったら、競技自体が盛り上がる。ムーブメントとして盛り上がったら、たぶん企業も注目して、俺たちもどんどん応援しようじゃないかって流れになると思いますね。そのきっかけとなるのは、なにも考えずに盛り上がる。そんな簡単なことで選手たちの力になれる。力になれるって、ちょっと偉そうだけどめちゃくちゃいいじゃないですか

“全力でのっかること”が、世界を変える第一歩。

最後は出演者のみなさんが「パラスポーツを通して思い描く未来」、そして、「それを実現するために今日からできること」を紹介してくれました。

まずは、カナダにいるマセソンさんから。彼女がパラスポーツを通して思い描く未来は、“違いに寛容な社会”です。そして、象のイラストを添えて、違いがあるからいいんだ“ぞう”と紹介。「そのためには当たり前を疑う経験を増やすといいかな」と語りました。

秦選手がパラスポーツを通して思い描く未来は、“Chase our Dream”。「ブリヂストンが“Chase Your Dream”を掲げて、チームブリヂストンの私たちアスリートは夢を追いかけているわけですが、パラスポーツは、体の不自由さや足りないところを補うために、いろいろな道具が必要になりますし、お金もかかります。たくさんの人の力を借りながら、みんなでその夢を実現していくのがパラスポーツだと思うので、私自身もこの夢を体現するひとりとして、みなさんと一緒に夢を実現していきたいなと思ったので、この言葉を選びました」

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

パラスポーツを通して思い描く未来について“笑顔”という言葉を掲げたのは有安選手。「パラスポーツの大きなメッセージのひとつに、多様性の理解があると思うんですね。パラスポーツが盛り上がった先に、どんな特性や違いを持っている人でも、みんなが笑顔で過ごせるような状況があればいいなと思ってます」そして、それを実現するために今日からできることとして"ひとつ隣のパラスポーツ"と紹介。有安選手によれば、パラリンピック競技一覧から、パッと思い浮かんだ競技のひとつ隣の競技を調べると、ルールや対象の選手などいろいろな新しい発見があり、パラスポーツの世界が広がるとのこと。

最後に山里さんが掲げた言葉は“全力でのっかるだけ それで世界を変えられる”。「目の前で行われる素晴らしい競技をただただなにも考えず全力でのっかっていれば、それだけでいろいろなものが変わっていく。こんなおもしろい世界があるんだってことがわかる。僕らメディアに出る人間は、のっかりやすい世界をつくれるようにお手伝いできたらなと思いました」

秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE

みなさんのお話から、パラスポーツには多様な特性や特徴があるアスリートが参加し、それぞれの可能性を最大限に発揮できるような工夫や考え方があることがよくわかりました。そして、人に夢や希望、さまざまな気づきを与えてくれ、それが社会を変えていける力に変わっていける。選手、サポーターそれぞれの立場から、パラスポーツの明るい未来が描けたようなセッションとなりました。

アーカイブ動画はこちら
  • TOP
  • ACTIVITY
  • Dream Studio
  • 秦由加子 × 有安諒平 × マセソン美季 × 山里亮太 in Dream Studio by TEAM BRIDGESTONE×日本財団パラリンピックサポートセンター
    SHARE
    ポストコロナの行方/音楽とスポーツと僕らのこれから

    ポストコロナの行方/音楽とスポーツと僕らのこれから

    トップランナーとして歩み続ける二人は、これからをどのように歩もうとしているのか。

    SHARE このページをシェアする

      東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の公式ウェブサイトです。

      このページの先頭へ