ミッション
- 安全はすべてに優先する
- 安全は私たちブリヂストンの企業経営の基盤です。
安全な職場で安心して働くために一人ひとりが実践します。
ブリヂストングループでは全従業員一人ひとりに企業経営の基盤として安全、衛生、防災活動に日ごろから取り組むことを求めています。ブリヂストングループは2012年、「安全宣言」をリファインし、「安全はすべてに優先する」「安全は私達ブリヂストンの企業経営の基盤です。安全な職場で安心して働くために一人ひとりが実践します。」と定めました。また、その活動範囲は、バリューチェーン全体を対象として、安全活動を推進しています。「安全宣言」は、従業員、協力会社様、当社関連施設へのご訪問者の方などのステークホルダーを対象としており、全職場に掲示しています。
労働安全・衛生ワーキンググループでは、ISO45001に準拠したグループ安全マネジメントシステムを構築しており、下記の11の項目について共通安全基準を導入しています。
- マネジメントコミットメント
- 3S(整理・整頓・清掃)
- KY(危険予知)
- 安全ルール
- 火災リスクアセスメント(火災による地域やお客様への影響を評価し、BCPを強化)
- 協力会社の安全管理
- ホイスト・クレーン※1作業
- タイヤ空気充填作業
- 許可が必要な閉所作業(酸欠など)
- 監査
- 再発防止
さらに、グローバル安全基準と事業を行っている全ての地域の規制要件をクリアするよう安全トレーニングを行っています。
- ※1巻上装置・横行装置により、動力を用いて荷を吊り上げ、水平に運搬するための装置
推進体制
グローバル推進体制
グローバル品質経営コミッティ(GQMC)傘下の労働安全・衛生ワーキンググループ(WG)は、グローバル経営執行会議(Global EXCO)※1の監督のもとで、グループ全体の共通安全規定項目を最も効果的に実施する方法を検討しています。労働安全・衛生WGには、「グローバルマネジメントシステムの確立」、「グローバル安全基準の標準化」、「評価基準/KPIの設定」、「販売店・倉庫の安全活動」、「モニタリング・提案」、という5つの作業部会があります。各作業部会は、それぞれの視点に立ってグループ全体の基準を策定します。モニタリング・提案作業部会は労働災害の予防に関する情報を収集し、労働安全・衛生WGが活用できるよう、4半期毎に報告書を作成します。また、各作業部会は労働安全・衛生に関するリスク分析を、取締役からなる監査委員会及びGlobal EXCOに定期的に報告します。
また、ブリヂストングループでは、安全・防災・環境推進本部と各戦略的事業ユニット(SBU)からなるネットワークを構築し、災害やその後の再発防止に関する情報を共有し、課題の特定や方針の決定を行っています。これらの方針や対策の詳細をグループ全体で共有すべく、各SBUでは、グループ各社の労働安全・衛生責任者が集まる会議を開催し、SBUの事業管理者と安全・衛生責任者との間での活発な意見交換を推進しています。また、各工場では、現地の規制に従って安全・衛生委員会を定期的に開催し、安全面の強化やリスク軽減について労使間で協議しています。

- ※1代表執行役CEOを含むメンバーで構成される執行に関する最高位の会議体。
KPI
各SBUは、労働安全衛生にかかわる事故の発生数削減に向けて独自の評価指標(KPI)と目標を設定し取り組んでいます。ブリヂストングループでは、2019年に新たに2つの安全に関するKPIを導入しました。「安全成熟度」は「安全宣言」の浸透度を、見える化が難しい意識レベルまでを含めて計るもので、「リスクアセスメント」は新規の事業、プロジェクト、設備の安全性を評価するものです。当社グループはこれらのKPIに対する進捗状況を測定しており、改善に活かしています。グループ全体におけるKPIの目標については、今後検討し、開示する予定です。
日本国内の推進体制
ブリヂストンでは、経営の立場から本質的な安全・衛生の課題解決を推進しています。安全・防災担当執行役員が人事・労務など、様々な部署と協働し、課題特定や共通安全規定項目の実施状況の確認などの全社的な労働安全・衛生活動を推進しています。
「中央安全衛生委員会」は、従業員と経営層(関連執行役員や本部長など)の双方の代表者からなる全社的な組織で、年2回開催される会議では、職場での労働安全・衛生のリスク軽減やレベル向上について積極的に議論を行っています。
ブリヂストン安全衛生管理組織図

安全の取り組み
マネジメントシステム
ブリヂストングループでは既にISO45001に沿ったグループ全体の安全マネジメントシステムを構築しており、現在はグループ全体の安全基準の策定を進めています。2020年4月時点で、全165工場の内33%にあたる55の工場でISO45001またはOHSAS18001認証を取得しており、グループ全体の安全基準は策定されたものから順次、全ての事業所で採用しています。グループの生産拠点では、チェックリストを使って労働安全・衛生項目(適用法規制の遵守など)について評価するとともに、さらなる労働安全レベルの向上にも努めています。
グループ内で重大な労働災害が起きた場合は調査を実施し、関連部署と情報を共有します。根本原因の分析結果をもとに、再発防止の対策を講じます。
また、(1)安全に関する研修、教育、訓練の実施、(2)作業手順書の適切な策定、(3)異常発生の報告・改善、ならびに(4)防火用具の日常点検について、社内チェックリストを用いて確認しています。当社グループ内の安全推進体制を強化し、意識のさらなる向上を図るため、2019年にグループ全体のリスク評価基準に基づく成熟度評価手法の開発を開始しました。2020年以降、当社グループの全事業所を対象に、この評価を段階的に導入する予定です。
共通安全規定項目に沿った活動を通して適切な労働安全が確保されるよう、常に労働安全・衛生の推進体制の強化に努めています。
ブリヂストン共通安全規定項目
ブリヂストングループは、共通安全規定項目を全ての事業所で実践しています。この項目は基本的な安全活動として、「3S(整理・整頓・清掃)」、「KY(危険予知)」、「RA(リスクアセスメント)」、「安全ルール」で構成されており、全事業所で全従業員が日々の活動として実践しています。2019年には全従業員を対象に安全教育を実施し、共通安全規定項目を推進するインストラクターを120名養成しました。
具体的な実施事項を定めた「活動標準」の発行とこれに沿った活動の推進だけでなく、各事業所に「ブリヂストン共通安全規定項目」に精通したインストラクター(指導者)を配置することで、全事業所が統一された内容で安全活動を展開・実行できる体制を整備しています。
また、「自分の体は自分で守る」「仲間の身も守る」ことを従業員一人ひとりが実践できるよう各事業所において管理・監督者層を含む階層別の安全教育を実施しています。こうした推進組織を明確にした全員参加型の推進体制を構築し、積極的な活動を進めることで、「ブリヂストン共通安全規定項目」が浸透・定着するよう、今後も引き続き取り組んでいきます。
インストラクター研修 修了者
2017年 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|
インストラクター研修 修了者(人) | 135 | 122 | 120 |


安全意識の醸成
ブリヂストンでは、従業員の安全意識を醸成するために、2009年から継続して労働安全意識調査を実施しています。この調査では災害の発生や安全活動について質問し、安全意識が毎年どれだけ向上しているかを調べます。調査の回答は、指摘された様々な課題の改善に活かし、さらなる安全意識の向上につなげています。
また、安全を企業経営の基盤と捉え、高めるための継続的な取り組みの一環として、経営層は海外グループ会社を含む各地の事業所を訪れています。
ブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエー(BSEMIA)では年齢や国籍が異なる、多様な人材が活躍しています。そのため、安全に対する意識を高めるために安全教育ビデオやVR技術を用いた安全訓練など新しい手法を取り入れています。
安全な職場づくり
ブリヂストンでは、グループ全体のリスク評価基準に従って、工場や店舗、倉庫での労働災害リスクの軽減に取り組んでいます。リスク評価を実施して様々なリスクを特定するとともに、重傷につながるリスクを軽減するために、工学的な対策の導入や適切な作業手順の整備を推進しています。また、ISO45001に基づく当社グループのリスク評価基準に従って、新たに設備を導入する際や新たな業務手順あるいは業務手順の変更が発生した場合などにも、リスク評価を行います。
さらに、当社では設備安全の専門家であるセーフティエンジニア(SE)の配置・育成にも取り組んでいます。また、現行の作業や設備に加え、新規・変更案件についてもリスク評価を行い、その結果に基づいて災害を招くリスクが高い設備を特定し、安全対策を実施しています。また、2020年後半には、災害につながらなかったものの、その可能性のあったミスや不測の事態を報告するための「ニアミス」グローバル標準メカニズムを新たに定め、その標準に基づく対策を実施し、事故の予防を強化する予定です。これまでは、各事業所が独自の取り組みを行ってきましたが、今後は世界中の全事業所に適用される必須項目を定めた、グループとしての標準を導入してまいります。
作業負担の軽減
ブリヂストンでは作業環境の管理・改善の一環として、空気冷却機を設置し、工場内の空気を循環させることにより、熱中症対策を行っています。また、熱中症を予防する飲料やあめも従業員に提供しています。さらに当社の一部の工場では、人間工学的なアプローチで問題を改善するために、OWAS法(Ovako Working Analysis System)による作業姿勢と身体への負荷の評価を始めました。
災害発生状況
ブリヂストングループでは、生産拠点や物流拠点、販売拠点などで発生した災害の状況を把握するため「グループ・グローバル労働災害区分」を定め、四半期ごとに発生状況を把握すると共に、類似災害発生の防止に活用しています。
2019年は、ブリヂストングループ4,606か所の生産・物流拠点や小売店で29件の重傷災害※1が発生し、大変残念なことに1名の方が労働災害で亡くなりました。この事故を受け、当社グループは当局の事故調査に全面的に協力し、パーフェクトな安全に向けて引き続き尽力して参ります。
日本国内のブリヂストンの拠点における2019年の労働災害発生状況は、度数率※2は全国製造業平均及びゴム製品製造業平均のいずれも下回りましたが、強度率※3は両平均を上回りました。また、2019年からは、グローバルでの度数率についても、データの集計を始めています。
ブリヂストングループの安全に関するデータは、第三者機関であるロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッドによって検証・確認され、情報の正確性と透明性の確保に努めています。
今後も重傷災害の発生ゼロを目指して、「ブリヂストン共通安全規定項目」を軸に、ブレない、妥協しない、例外をつくらない安全活動を推進しています。
- ※1ブリヂストングループでは「重傷災害」を右記のように定義しています。指の第一関節以上の切断、失明、骨折(手足の指や片方の手足、ひびを除く)、または1か月以上の通院
- ※2度数率=(死傷者数/延実労働時間数)× 1,000,000
- ※3強度率=(延労働損失日数/延実労働時間数)× 1,000
度数率(ブリヂストングループ)
2019年 | |
---|---|
従業員 | 2.96 |
協力会社 | 1.99※4 |

- ※42019年7月から12月までの6ヶ月間のデータ


- ※5労働基準監督署による障害等級確定により、数値を更新しました。
死亡者数(ブリヂストングループ)
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|---|
従業員 | 1 | 1 | 0 | 1 |
契約会社社員 | 2 | 2 | 1 | 0 |

職業性疾病度数率※6(OIFR)(ブリヂストン)
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|---|
従業員 | 0.22 | 0.50 | 0.31 | 0.39 |

- ※6職業性疾病度数率=(職業性疾病件数/総労働時間) x 1,000,000
防災の取り組み
ブリヂストングループは過去の事故事例をもとに、消火訓練や電気配線の予防点検などの防災訓練に重点を置いた「防災グローバルガイドライン」を作成しています。また、グループ内で発生した出火事故内容及び対策項目は各事業所へ全て連絡し、類似事故の発生防止に努めています。
当社グループでは、9月8日を「ブリヂストングループ防災の日」と定め、各事業所で毎年この日に防災訓練を行っています。これからも引き続き防災対策を強化し、安全・安心な職場作りに努めていきます。
グローバル防災センターでの活動

ブリヂストングループの安全宣言「安全はすべてに優先する」を、防災の視点からグループ全従業員の心に刻み込むために、2015年9月、東京都小平市のブリヂストン社内に「グローバル防災センター」を設立しました。
防災もまた、当社グループにとって重要な「企業経営の基盤」です。「グローバル防災センター」では、2003年9月8日に発生したブリヂストン栃木工場の火災など、忘れてはならない防災事故の原因を振り返る教育・研修を行っています。
「グローバル防災センター」では、過去の火災について語り合い、一人ひとりの心に刻み込む研修や、静電気による粉じん爆発を従業員が体感することができる体感機を使用して火災の危険への認識を強め行動につなげる研修など、多様な研修を実施しています。また、火災現場の残存機器や設備の模型を用いて、災害の予防と早期発見につなげる研修も行っている他、国内だけでなく海外で発生した火災の事例も紹介し、国際的な体験型の研修環境を提供しています。
ブリヂストンでは、常に、グローバル防災センターで行う研修の充実に努めています。2011年の東日本大震災から5年が経った2016年3月11日には、震災からの教訓を紹介する自然災害関連の研修を追加しました。
グローバル防災センターでの受講者
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|---|
受講者数 | 2,289 | 3,114 | 2,198 | 1,989 |

衛生管理の取り組み
ブリヂストンでは、「健全な労働力の確保と働きやすく快適な職場の整備」を目指して、健康管理活動などの労働衛生管理を行っています。
健康管理の取り組み
定期健康診断
ブリヂストンは、労働安全衛生法に基づき、定期健康診断や特殊健康診断、ならびに必要に応じて海外勤務者健康診断を実施しています。健康上の問題が見られる従業員は、社内の健康管理センターに駐在する産業医などから適切な健康管理指導を受けます。
ブリヂストンでは全国の12事業所に12名の産業医を配置し、毎年1回、産業医全員が参加する会議を開催しています。当社には、特定健診や保健指導などに対応する保健師などの労働衛生スタッフも常駐しています。
メンタルヘルスケアの取り組み
ブリヂストンは、従業員の心と体の健康をサポートします。メンタルヘルスの取り組みは、従業員の家族も対象とし、外部EAP(従業員支援プログラム)の支援を得て、産業医や医療スタッフが中心となって行っています。当社では、厚生労働省の指針(セルフケア、管理監督者が行うラインによるケア、事業場内産業保健スタッフなどによるケア、事業場外資源によるケア)に基づき、「こころの健康づくり計画」を事業所ごとに策定しています。
本社カウンセリング室のキャリアカウンセラーが、従業員のメンタルヘルス向上を支援します。2010年に導入された「復職支援プログラム」では、人事部門と従業員の直属の上司、医療チームが密接に連携し、従業員が無理なく職場に復帰できるよう支援するとともに、再発リスクを軽減します。2016年には、全事業所で従業員のストレステストと組織診断を導入しました。
衛生活動評価
ブリヂストンでは、健康管理活動及び管理状況を、労働衛生の5分野(総括管理、労働衛生教育、作業環境管理、作業管理、健康管理)について、自社基準に照らして評価しています。2010年に工場や事業所に導入し、2011年には国内グループ会社に拡大しました。
今後はさらなる健康教育の充実に努めるとともに、労働衛生関連規制やグループ独自の基準の遵守を強化していきます。