技術開発の現場TECHNOLOGY

次世代の低燃費タイヤ技術

ologic

中央研究所 研究第2部
I.K.
1999年入社
理工学部 機械工学科
機械工学 専攻

※記事の内容及びプロフィールは取材当時(2015年12月)のものです。

技術開発の経緯・背景

従来の開発理念である、すべてに対する「安心」を念頭に、環境、安全、快適を追求し、新たな付加価値の創造を目指した研究開発に取り組んでいます。

「ologic」の研究開発に着手した当初は、環境への意識の高まりの中で、低燃費性能の向上が強く求められていました。それまでレーシングタイヤの研究者として、タイヤのグリップ力=車の運動性能を向上する革新技術の開発を推進していましたが、注力していたF1へのタイヤ供給がブリヂストンの単独となったことや時代背景を受けて、将来の低炭素社会に向けて、安全性・運動性能を低下させない次世代の低燃費タイヤ技術の開発へと軸足を移していきます。

ダントツの低燃費性能を実現しつつ「環境」と「安全」を両立させるため、タイヤのあるべき方向性をゼロから見直すことで、これまでにない全く新しいタイヤの開発を目指しました。

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技術の特徴・画期的な点

常識の枠にとらわれない次世代エコタイヤの姿を追求するため、転がり抵抗の大幅な低減だけで満足するのではなく、次世代の車両開発にも影響するような、タイヤメーカーからの革新的次世代エコタイヤ技術を提案しようと、机上予測によるコンセプトワークを進めました。

タイヤの大きさや空気圧は従来、車格毎にほぼ決まっていましたが、その外径や空気圧が各種性能に大きな影響を及ぼすことはタイヤ力学の観点からわかっていました。
車の高性能化に伴い、大型・広幅化が進められてきた従来のタイヤのトレンドに対し、向上させたい性能に対してあるべき姿を極めようと、転がり抵抗を極小化する大径+高内圧、高内圧状態でもグリップ力を発揮させる狭幅化、さらにその狭幅化が空気抵抗の低減や排水性・WETグリップの向上を実現しつつ、重量・乗心地の課題も緩和するといった特徴を、理論・実験両面から体系的に検証していきました。
こうして狭幅・大径+高内圧化による超低転がり抵抗とWETグリップ性能を高次元で両立する次世代タイヤ技術 「ologic」 のコンセプトを確立。モーターショーでのプレス発表や学会発表を通じて、自動車業界への提案につなげました。

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ブリヂストンならではのこだわり・苦労した点

世界初の技術の発表に向けて、さまざまな性能評価を解析が可能ですが、空気抵抗や燃費計測などクルマ+タイヤ系の連成効果、燃費へのイ自分たちで行いました。
タイヤ単体の性能は、通常のタイヤ開発同様に従来の設備で比較ンパクトなど、これまでにない評価軸もあり、机上予測・実験計測・比較解析・性能検証といった研究開発プロセスも、みずからもハンドルを握って進めました。
しかし、前例のない特殊な狭幅・大径サイズのタイヤは、試験用に装着する車の選定も難しく、専用特殊サイズホイールの特注、各車両での装着チェックと、実車試験を行うにも苦労の連続です。

他社に先んじて研究成果を対外発表することで、次世代の新しいタイヤサイズとして業界標準を確立しようと、日・米・欧と世界の自動車学会で順次論文を発表、国内外の自動車業界から高い評価を得ることができました。
モーターショーなどでは他社の追従も見られるようになり、BMWとの共同研究を経て、「BMW i3」への承認を獲得できたことで、ologicへの注目はさらに高まり、「BMW Supplier Innovation Award 2014」や「Tire Technology of the Year」など、多くの賞を受賞できました。

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今後の展望

「BMW i3」をはじめ、各自動車メーカーとの共同研究を進めていますが、新規の専用プラットフォーム開発が必要となるologicの拡大には更なる魅力性能の向上、課題となる性能を克服することが必要です。現在、魅力性能を向上させる専用技術の開発をはじめ、クルマ+タイヤ系のシステムとして課題を克服するため自動車メーカーとの共同研究を行っているほか、将来の次世代車に向けた展開、さまざまな車格に対応できるologicシリーズの拡大、従来の車両への装着も狙った中間的サイズの提案を進めています。

ologicはブリヂストンが提案する次世代タイヤの方向性の一つですが、将来、このような狭幅・大径タイヤが行き交う社会の実現を目指して、更なる革新技術の開発、自動車メーカーとの共同研究を進めたいと思っています。

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