CHASE YOUR DREAM INTERVIEW #09 車いすバドミントン / KOHEI KOBAYASHI

多くの人の支えがあって、今の自分がいる。「断トツ」の結果で応えたい

株式会社ブリヂストン 甘木工場(福岡県朝倉市、トラック・バス用タイヤの生産工場)で
勤務する小林さんは、平成29年度強化指定選手に指名され、今後の活躍が期待されている。
車いすバドミントンの魅力や今後の目標を伺った。

小林幸平プロフィール

1979年福岡県朝倉市生まれ。2007年(株)ブリヂストン入社。17歳のとき、交通事故で脊髄を損傷し車いすの生活となる。車いすバドミントン選手である妻・小林悦子さん(パナソニック社員)の影響で、2015年3月よりバドミントンを始める。急成長を遂げ、国内外の大会で好成績を残している。第2回日本障がい者バドミントン選手権大会でシングルス準優勝、ダブルス3位。

初めは「車いすなんてかっこ悪い」と思っていた

― パラスポーツを始めたきっかけは?

初めのころは、「車いすなんてかっこ悪い」と思っていました。でもあるとき、友人が車いすバスケットボールの試合に誘ってくれて、高速でコートを駆け回り、両輪が浮くぐらい激しくボールを奪い合う姿を見て、素直に「カッコイイ!」と感じた。やってみると全然うまくいかず、負けず嫌いな性格に火がつき毎日練習しました。
九州にはいくつかクラブチームがあるのですが、あえて当時弱かった佐賀のチームに加入しました。自分がチームを強くしてやる!と意気込んでいましたね。数年後にチームで優勝できたときはとてもうれしかったです。

― ブリヂストンに入ったきっかけは?

バスケを頑張ろうとすればするほど、移動のガソリン代や競技車の維持にお金が掛かる。バスケもしたいけど、きちんと収入のある仕事もしたい。でも、学生時代まともに勉強してこなかったので、私を雇ってくれる会社なんて、そうそうない。障害者職業能力開発校に通うことに決め、猛勉強の日々をスタートさせました。勉強の仕方すら知りませんでしたが、わからないながらやっているうちに次第にコツがつかめて、資格試験に合格できて、勉強が楽しくなって……。結局、その開発校で取れる14、15個の資格をすべて取得。「30年教えてきて、ここまで勉強した人は初めて」と先生も驚いてくれました。健康には良くないですが、バスケと勉強の繰り返しで、あの頃はあまり寝ていませんでした……(笑)。
その努力のかいもあって、ブリヂストンへの入社が決まりました。しかしその後、練習があるために残業できず、後ろめたい気持ちになり、仕事に集中するためバスケチームは引退し、一度スポーツと離れました。

東京2020から正式競技、車いすバドミントンとの出会い

― 車いすバドミントンを始めたきっかけは?

妻の影響です。車いすバスケットボールの日本代表に手が届く実力のあった妻ですが、バスケットで世界を目指すには体力の限界を感じて、車いすバドミントンに転向。厳しい練習をこなしてめきめきとうまくなっていました。そんな妻が「大会でどうしても勝てない」と言うので、「練習相手になるよ」と軽い気持ちでラケットをにぎったんです。しかし、これが全く返せない。運動には自信のある自分が手も足も出せないことに、愕然としました。悔しくて必死になって相手をしているうち、再びスポーツにのめり込んでしまいました。自分でコーチ、練習場所を探して練習に励むうち、国内外の大会で成績を残せるようになりました。

― 車いすバドミントンの魅力は?

一見ただ打ち合っているように見えるバドミントン。実は「駆け引き」の世界なんです。短いショットを打つと見せかけて長く打つ、前を守ると見せかけて後ろに下がる、ゆっくりしたラリーでリズムを作ってからスマッシュで崩す、という具合です。特に車いすは、一瞬の判断が遅れ初動が1秒遅れると、もう間に合わない。サーブが放たれてから地面に落ちるまで、一瞬たりとも気が抜けません。お互いが相手の動きの先の先を読もうと、全神経を集中させる。その緊迫感ある駆け引きが魅力ですね。

彼に勝たなければ、世界では勝てません

― 今後の課題は何でしょう。

今日本トップ選手でどうしても勝てない相手がいます。彼に勝たなければ、世界では勝てません。2017年は彼から1ゲーム以上勝ち取ることが目標です。車いすを的確に動かす技術、シャトルをコントロールする技術、相手の動きを読む技術、バテない持久力……まだまだ課題はたくさん。1分1秒でもムダにしないよう、平日は仕事の後、土日はほぼ1日、トレーニングに励んでいます。

私も、人に何かを与えられる存在になりたい

― 東京2020パラリンピックへの意気込みをどうぞ。

仕事もバドミントンもさせていただいている私は、本当に恵まれていると思います。ここまでこられたのは、家族や友人、コーチ、職場の方々など、多くの人の支えのおかげ。障がいを持ったからこそ、人の優しさに助けられていると強く実感します。私も、人に何かを与えられる存在になりたい。それが、東京2020パラリンピックでのメダルを目指す理由です。皆さんが喜んでくれたり、障がいを持つ方が元気をもらってくれれば嬉しいです。応援よろしくお願いします。

小林幸平 / Kohei Kobayashi 車いすバドミントン小林幸平 / Kohei Kobayashi 車いすバドミントン

主な戦歴

2016年 日本障がい者バドミントン選手権
シングルス 準優勝
コロンビア インターナショナル2016
シングルス 準優勝
世界ランキング18位