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プレーに打ち込めることが、何より幸せ

田中愛美

  • インタビュー
  • 車いすテニス
田中愛美

車いすテニスをはじめて、およそ7年。プレーの内容はもちろん、テニスを通して人としても大きく成長した田中愛美選手は、東京2020パラリンピックへの出場が期待されるひとりだ。
決して平坦ではなかったこれまでの競技人生。その歩みを振り返った時に、彼女の胸に去来する思いとは?

ライバルでもあり
同志でもある選手たちの存在が、
モチベーションに。

― 戦いの舞台を世界に広げていく上で、つらかったことや支えになったことは何ですか?

自分の思うようなテニスができなくて、勝てない時期はつらいですね。負けることって何回経験しても慣れないですし、敗戦後は、試合会場でコーチにうまくできなかったところを注意されて、泣いてしまうこともあるんです。でも、そんな時に私を救ってくれるのが、ライバルでもある海外の選手たち。私がコーチから怒られている姿を見て、「たかが一回の負けじゃないの。私なんて今まで何十回負けてきたと思ってるのよ」とか「あなたのいいショットもたくさんあるし、そんなに悲観することないわよ」みたいな感じで励ましてくれるんです。中には私の母親ぐらいの年齢の選手もいて、私のことを娘や妹みたいに可愛がってくれるので、本当にありがたいですね。自分と同じ舞台で戦っている同志の存在がモチベーションになりますし、この人たちが信じてくれているんだから、なんとしても自分のプレーをやらないといけないなと思えるんです。

田中愛美選手

先輩選手からしてもらったことを、
今後は自分が下の世代にしていきたい。

― 車いすテニスを続ける中で、意識や思いはどのように変化してきましたか?

車いすテニスを始めた頃は、技術が拙いだけでなく、メンタルも弱かったんです。ダメなところだらけで、ただ、がむしゃらにプレーしていたように思います。でも、試合を重ねるうちに、海外の選手をはじめ、いろいろな方に声をかけていただけるようになり、そういう方々とテニスの話をするうちに、ほかの選手の考え方がわかってきたんです。その結果、試合中にテニスがおもしろいと感じることも増えてきましたし、試合の流れを考えられるようにもなってきました。これはすごくありがたいことですし、このようにキャリアの長い選手が自分に対してやってくれたことを、そろそろ自分も下の世代の選手たちにやっていきたいと思うようになりました。最近では、こういうことがあった時には、こういう風に声を掛けられると救われるんだってこともわかってきたので、それを下の世代にも伝えていきたいと思います。

田中愛美選手

結果が出ない時は、
とにかく1回勝つためにひたすら練習する。

― 思うように結果が出ない時に、その壁をどうやって乗り越えてきましたか?

負けが続いている時は、試合が終わってからも会場に残って、ひたすら練習を続けます。とにかくまずは1回、勝ちたいんです。だから、次の大会で最初に対戦する選手にフォーカスして、過去の試合映像をチェックしたり、練習の様子を直接見たりしながら、その選手がやられたら嫌なことや、相手のプレーを崩すための戦術をひたすら考えますね。

田中愛美選手

世界ランキング3位の選手に勝利したことで、
格上選手にも勝てるように。

― ここ数年で特に印象に残っている試合はありますか?

2018年の福岡での大会で、初めて世界ランキング3位の選手に勝った試合です。緊張の中、なんとか自分にできることができたと思いますし、試合の終盤では「これ、あと2ゲーム取ったら、明日の連盟のトップページに載るのは愛美じゃん!」みたいなことまで考えられるほど、精神的に余裕をもってプレーすることができました。普段の車いすテニスの試合って観客がほとんどいないんですが、この試合では親や地元の小学生などが観に来てくれて、私がポイントを取るごとに声援を送ってくれたんです。人に観られていると変なプレーはできませんし、会場の雰囲気も含めて、そのすべてがプラスに働いた試合でしたね。これ以降、格上選手に勝つことも増えてきたので、自分が大きく成長するきっかけにもなりました。

田中愛美選手

東京2020パラリンピック本番までに
緊張感のある試合を数多く経験したい。

― 現時点での目標と、それに向かって取り組んでいることを教えてください。

東京2020パラリンピックの車いすテニス出場内定に向けてしっかりとポイントレースを勝ち抜いていくことが、現時点での目標です。ポイントにこだわって試合に出場するだけでなく、パラリンピックで対戦するであろう選手たちと緊張感のある試合を数多く経験したいですね。試合の組み立てをしっかりと考えながらプレーすることも必要ですし、極限の状況でも普段通りのプレーができるような状態にもっていくことも大切です。練習では自分の体が軽くなるようなイメージで、楽しんでプレーができているので、それを試合でも出せるようにしたいですね。

田中愛美選手

パラスポーツを通して、
障害があってもできることは
無限大だと知ってほしい。

― パラスポーツを初めて観る人に伝えたいことは?

どの競技の選手も、使えない体の機能がどこかにあるから、パラスポーツをやっています。でも、試合を観たら、そんなハンデを感じさせないほど、できることが多いと感じていただけると思いますし、障がい者のやれることは無限大だってことを、パラスポーツを通して知ってもらえたら、すごく嬉しいですね。重度の障害をお持ちの方でも、例えば、電動車いすでテニスをやっている選手がいるように、なにもできないなんてことは絶対にないので、障害をお持ちの方のご家族にも、いろいろなパラスポーツがあることを知ってもらいたいと思います。

田中愛美選手

お世話になった人たちには、
車いすテニスのプレーを通して、
今、自分が幸せだと伝えたい。

― これまでお世話になった人に伝えたいことは?

高校生の時に怪我をしてからは、いろいろ大変な時期もありましたが、多くの支えてくれる人たちのおかげで、今、こうやってプレーができています。だからこそ、パラリンピックでは、自分が頑張っている姿を見てもらいたいですし、プレーを通して、なにより今は幸せだよってことを伝えられたらいいですね。

田中愛美選手

PROFILE

田中愛美

田中愛美MANAMI TANAKA

1996年生まれ、熊本県出身。中学からテニスをはじめるが、高校1年の冬、事故のため車いす生活に。退院後車いすテニスを開始。2016年ブリヂストンスポーツアリーナ入社。同年「車いすテニス世界国別選手権」で日本代表に選出。2021年、東京2020パラリンピックに初出場。2022年より長谷工コーポレーション所属。

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