環境 | 資源を大切に使う

タイヤのリサイクル・再利用

考え方

ブリヂストングループはプロダクトサーキュラリティ※1の向上に取り組んでいます。当社グループでは各国や地域における法規制を遵守し、販売店で回収した使用済タイヤを有効活用・処理しています。世界で3,600店舗近く展開する直営店のうち、一部の国や地域を除くほぼ全ての店舗で、処理事業者との契約において回収後の有効活用について定めており、2022年にはその割合は全店舗数の98%に達しています。当社グループは、タイヤのリサイクルを通じて、使用済タイヤの有効活用と新たな価値の創造に取り組んでいきます。

具体的には、グローバルで以下のような活動を推進しています。

  • 原材料として利用(マテリアルリサイクル)、熱回収など、販売店で回収された使用済タイヤの有効利用
  • 各地域やグローバルで展開される取り組みへの参画
  • NGOなどとの連携による投棄されたタイヤの回収

また、使用済タイヤは、建設資材や園芸用資材、フロアマットなどにも利用されています。

  1. ※1 使用済み製品の循環性を示す概念であり、ブリヂストンでは、回収した使用済み製品が有効活用された割合を指標として用いています。
  2. ※2 持続可能な開発のための世界経済人会議(WBSCD)による業界全体のデータ
    wbcsd tires TIP: END-OF-LIFE TIRES(英語)PDF

業界活動を通じた取り組み

WBCSDのタイヤ産業プロジェクトへの参画

持続可能な開発のための世界経済人会議(WBSCD)のタイヤ産業プロジェクト(TIP)によれば、世界全体では年間約10億本の使用済タイヤが発生していると推定されます。使用済タイヤの環境影響の低減は、タイヤ業界に共通する重要課題です。

ブリヂストンは、2006年のTIP発足当初から、当プロジェクトに参画し、世界有数のタイヤ会社・ゴム会社として、業界各社と協力しながら持続可能な社会の実現に向けて取り組みを推進しています。TIPは、使用済タイヤを適正に処理し、使用済タイヤの環境影響の低減に努めるよう関連産業や各国政府に促すことで、効果的な廃タイヤ管理システムの構築を目指しています。TIPでは、世界全体の自動車数の84%を占める45ヵ国を対象とした調査を基に、下記のマニュアルとベストプラクティスを発行しました。

JATMAとの協力(日本)

タイヤ業界では、一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)を中心に、サーキュラーエコノミーの構築に向けて、廃タイヤの削減とリサイクルに取り組んでいます。具体的には、タイヤのリサイクル状況のモニタリング、使用済タイヤの不法な収集・投棄を防止する方策に重点を置いています。JATMAの調査によれば、日本国内における2022年の使用済タイヤのリサイクル率は98%でした。当社では、JATMAと協力してこの比率をさらに高め、国内での廃タイヤの環境への影響を低減していきたいと考えています。

USTMAとの協働(米州)

ブリヂストン アメリカス・インクは、U.S. Tire Manufacturers Association(USTMA)の中心メンバーとして同協会と協力し、米国タイヤ製造業界の共通理念である将来に向けた安全で持続可能なモビリティの実現を目指して取り組んでいます。

具体的には、使用済タイヤを、環境面及び経済面で合理的な手法で建材から燃料に至る様々な用途にリサイクルすることを推進し、使用済タイヤの循環利用の最大化を目指しています。

USTMAは1990年に創設されて以降、米国の各州や米国環境保護庁(EPA)ならびに業界と協力して、放置された野積みタイヤの削減と、持続可能な使用済タイヤ市場の育成を促す規制の実施に取り組んできました。USTMAでは、廃タイヤに関する情報の提供や、行政やリサイクル業者、業界及びその他のステークホルダーが参加する会議も開催しています。

USTMAの会員企業は全米の17州で57工場を操業、29万1,000以上の雇用を創出し、年間1,706億ドルの経済効果を生み出しています。

ETRMAとの協働(欧州)

ブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエーは、European Tyre & Rubber Manufacturers Association(ETRMA)の中心メンバーとして同協会とそのメンバーと協力し、欧州政府が新たに発表した「Roadmap New Circular Economy Action Plan」を支持しています。欧州のタイヤ業界は、資源の有効利用に基づくインクルーシブ・エコノミー(包括的経済)、つまり革新的で持続可能な市場経済に導かれ、材料の機能損失を最小限に抑えて廃棄物を高い価値のまま回収し、全ての廃棄物が管理される社会の実現を目指しています。

ETRMAとタイヤ業界は、サーキュラーエコノミーに最大限の貢献をするため、拡大生産者責任(EPR)の仕組みがある欧州諸国で廃タイヤの管理に直接関与しています。EPRとは、製品ライフサイクルの使用後の状態にまで範囲を広げた、生産者が製品に対して負うべき、完全または部分的な業務上・財務上の責任です。この仕組みでは、製造元には自社の製品から生じた廃棄物が環境に配慮した方法で適正に処分されるよう促す注意義務があります。そのため、タイヤ生産者が出資して、最も経済的な方法での廃タイヤの回収・管理を目的とする非営利会社が設立されました。国家当局への報告義務があるため、明確で信頼できるトレーサビリティの模範となる例が生まれています。

その他の連携

Soles4Souls Asiaと協働して廃タイヤから靴を生産(インドネシア)

ピーティー ブリヂストン タイヤ インドネシア(BSIN)は2020年、国際NGOであるSoles4Souls Asiaと、廃タイヤから新品の靴を作るプロジェクトに関して2年間のパートナーシップを締結しました。 靴の生産は、パートナーである靴メーカー各社の工場で行い、2022年末までに4万本のタイヤを約40万足の靴に生まれ変わらせ、使用済タイヤの有効活用を目指します。生まれ変わった靴は、支援を必要とする世界中の人々に届けられます。また、様々な販路で販売され、その売上の一部はSoles4Souls Asiaに寄付されます。

このパートナーシップは、ブリヂストンの使用済タイヤを靴底として再利用し、資源の継続使用によって廃棄物を減らすサーキュラーエコノミーの推進力となります。さらに、BSINは、このプロジェクトの拡大に向けて、Soles4Souls Asiaのグローバルな支援活動をサポートするため6万ドルの寄付を約束しました。

感染症拡大を防ぐためのタイヤ回収・リサイクル活動(米州)

環境ヘの影響を最小限に抑えるために廃タイヤの回収・リサイクルを目指すとともに、デング熱やジカ熱、チクングニヤ熱ウイルスの繁殖防止に関する地域社会への啓発を行っています。民間企業、政府組織、非営利団体、地域社会が共通の目的達成のために連携するこの取り組みでは、廃タイヤの適切かつ合法的な処分を推進しています。2014年にメキシコで、2017年以降コスタリカでこの取り組みを開始し、1,135トンを超えるタイヤを回収しました。回収されたタイヤは、セメントキルンで使われる代替燃料として利用されるほか、土木工事の際に斜面の管理や地盤改良に用いられる土留め材としても活用されています。
コスタリカには、現地の法的要件を満たすための年次目標に基づくタイヤ回収プログラムがあり、このプログラムのもと、2015年から2022年までに約5,789トンのタイヤを回収しています。

産業変革研究プログラム(オーストラリア)

オーストラリアでは、「産業変革研究プログラム」に参画し、鉄道のバラスト軌道の耐久性向上に向けてレールを支える枕木やバラスト、路盤への使用済タイヤの活用などの研究を進めています。

  1. ※鉄道の路盤の上に砕石や砂利などのバラストを一定の厚さに敷き詰め、レールやそのレールを支える枕木から構成される構造物

地域に根差した取り組み

使用済タイヤリサイクル施設(日本)

ブリヂストンタイヤソリューションジャパン(BTSJ)は、「ブリヂストンタイヤリサイクルセンター大阪」を運営しています。リトレッドタイヤ※1の製造と再利用が困難なタイヤの中間処理※2の機能を1か所に集約した施設で、大阪府全域及び京都府・兵庫県・滋賀県・和歌山県の一部地域でのタイヤの回収※3、リユース、リサイクルを行っています。

同センターは、「平成27年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」において、「リデュース・リユース・リサイクル推進協議会会長賞」を受賞しました。今後もさらなる資源の有効活用に取り組んでいきます。

  1. ※1接地部分であるトレッドゴムを貼りかえて再使用できるようにしたタイヤ。
  2. ※2リトレッド加工できない廃タイヤの破砕処理。
  3. ※3法令上の条件及び手続きに沿った回収となります。

大型タイヤの貯水槽(米州)

米国のエイケン工場は、使用済の建設・鉱山車両用ラジアルタイヤを、牛などの家畜用に水を貯めておく「大型タイヤの貯水槽」として再利用しています。2022年は、約151本のタイヤを転用しました。

B-Happy Eco-Parksプログラム(コスタリカ)

コスタリカでは、使用済タイヤを公園や教育施設の運動場に利用する「B-Happy Eco-Parks」プログラムを展開しています。エルサルバドル、グアテマラ、パナマなどでは、2012年以降これまでに39か所以上の運動場が建設されました。