【佐藤琢磨スペシャルトーク後編】佐藤琢磨×エリオ・カストロネベス トップレーサーの想い

2017年に「世界3大自動車レース」の一つに数えられている「インディ500(インディアナポリス500マイルレース)」で、 日本人ドライバーとして初優勝した佐藤琢磨選手と、同2位のエリオ・カストロネベス選手をゲストに招き、レース中のバトルの話から、インディ500にかけるふたりの想いまで語り合っていただきました。

佐藤琢磨選手とエリオ・カストロネベス選手のプロフィールとトークショーの動画はこちら

エリオ・カストロネベス(以下エリオ):ミナサーン、コンニチハ! タクマ、ユウショウオメデトウゴザイマス。

佐藤琢磨(以下佐藤):ありがとうございます。

エリオ:デモ、ライネンハ、ワタシガカチマス!

司会:のっけからすごい発言が飛び出しましたが、お二人が初めてお会いしたのはいつごろだったのでしょうか。

佐藤:初めて会ったのは2010年ですね。だけど、インディカー・シリーズに行く前から、名前はもちろん知っていました。偉大なチャンピオン、エリオ・カストロネベスを倒すっていうのは、インディカーを走る上で大きな目標でした。

司会:実際に会ってみた印象はどうでしたか?

佐藤:このとおり、めちゃくちゃ陽気な人で、しかもパドックの中でたぶん一番の紳士ですよね。だから、トラック上でやり合っていても、一番面白い、一番信頼しているドライバーの一人です。

エリオ:アリガトウゴザイマス。

司会:日本語お上手ですよね! では、エリオ選手の琢磨選手に対する印象はどうでしょう?

エリオ:琢磨はもともとF1やF3で活躍していたから、インディカー・シリーズに来たときから実際にすごく速かったですね。そのころから彼とはいつかすごいバトルをするんじゃないかと思っていましたが、今年のインディ500はまさにそれでした。1コーナーで背後から琢磨が来たときは、ヤバイと思ったのを覚えています。

司会:なるほど。

エリオ:琢磨はウェット路面でのレースが本当にうまい。だから雨の日は、琢磨を見ていつも勉強しているんです。

佐藤:そう言ってもらえると、うれしいですよね。エリオとは何度もバトルをしているんだけど、一度もコース上でトラブルにはなっていないんです。エリオとレースをしているときの楽しさっていうのは、お互いのリスペクトから生まれているんだと思います。

司会:究極のドライバー同士だからできるレースなんでしょうね。さて、レースにトラブルはつきものだと思いますが、エリオ選手がタイヤに救われたと思うレースがあれば教えてください。

エリオ:インディカー・シリーズではシーズンを通してブリヂストンのファイアストンタイヤを使っていますが、やっぱり安定性がすばらしいですね。レースでは370km/hくらい出すこともあるから、車ももちろんだけど、まずタイヤを信じていなければコーナーには突っ込めない。

司会:なるほど、そういうタイヤへの信頼があって、あの踏み込みができるんですね。エリオ選手はインディ500で三度も優勝しているわけですが、やはりインディ500というのは特別なレースですか?

エリオ:本当に歴史のあるレースですから、特別な感慨があります。もし、世界のレースの中で一つだけ優勝させてもらえるのであれば、僕は間違いなくインディ500を選びます。

司会:それでは、今年のインディ500を、残り11周くらいから振り返ってください。

佐藤:残り9周で、エリオに外側から抜かれたときに本当にすごいと思ったんですが、いつ外側から行こうと決めたんですか?

エリオ:もう目をつぶって行こうと思っただけです。

司会:このときの琢磨選手の心境はどうでしたか?

佐藤:あのときは、前にもう一人マックス・チルトンというドライバーがいたんですよね。それで、マックスを同じように抜いてくれと期待していたら、本当にやってくれました。あのとき自信はあったのかな?

エリオ:もちろん自信はありました。でも、琢磨の乗る車の調子があまりにも良かったので、最後は琢磨のエンジンがブローアップしろと願っていましたよ。

司会:エリオ選手はインタビューで、あのレースでは琢磨選手のパフォーマンスが後半どんどん上がってきたと話していましたよね。

エリオ:あのレースでは、琢磨の車に問題があって彼は途中、順位を落としました。でも、そのあと抜き返してトップに来ましたから、あれはエンジンのパワーだけでなく、ドライバーの技術の高さによるものです。

佐藤:あのときは僕の車にもちょっとしたトラブルが見つかっていて、それが引き金になって止まる可能性は十分にあった。こういうときは、本当に運もあるんだなって思いますね。

司会:エリオ選手はエンジンブローしてくれって願っていたそうですが、琢磨選手はどうでしたか?

佐藤:僕は、最後にエリオとの戦いに持ち込みたかったんです。3コーナーで外側から抜かれたとき、僕はまったくエリオを押さえられなかった。エリオはさらに前にいる車も同じように抜いてくれるだろうと、そうしてくれたら、僕は便乗して2位に上がろうと思っていました。2位に上がれば最後はエリオを抜いて勝てると信じていましたから。

エリオ:やっぱりバトルですから、仕掛けなければならないと常にプレッシャーは感じていました。でも、クラッシュするかもしれないと思い、行けませんでしたね。

佐藤:僕の車は、ニュータイヤのときには一番速い車ではなかった。だけど、15周ほど走り、タイヤがどんどん摩耗してきて、ほかの選手がアクセルをゆるめなきゃいけなくなったときに、僕の車は性能低下が小さくて、相対的に一番速くなるようなセッティングだったんです。

エリオ:前半は曇っていて気温が低かったのでダウンフォースを確保できていましたが、最後の10週は太陽が出てきて気温が上がってきたので、だんだんダウンフォースを失って苦しくなった。最後にもう一度アウトから抜こうと限界までプッシュしたんだけど、届きませんでしたね。

佐藤:逆に僕の車は、前半ダウンフォースが強すぎたのですが、後半になって暖かくなるとダウンフォースが小さくなり、ちょうどよい状態になりました。だから後半調子がよくなったんですよね。

司会:本当にいろんな要素が絡んでレースは展開されているんだなというのが、こうやってベテランドライバーの話を聞くとよくわかりますね。二人あわせて82歳のベテランドライバー達が来年も頑張ってくれるのではないかと思います。今日はどうもありがとうございました。

⇒トークショーの様子の前編はこちら

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