【タイヤとSDGs】 世界のタイヤメーカーによるSDGs取り組み計画

【タイヤとSDGs】 世界のタイヤメーカーによるSDGs取り組み計画

最近よく耳にする「SDGs」、何の略かご存じですか?
国や企業、学校などでも意識が高まっているSDGsですが、今年の5月には世界のタイヤメーカーが協働してSDGsへの取り組み計画を発表し、持続可能な社会のために様々なアクションを起こしています!

SDGsとは?
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略、持続可能な世界を実現するための国際目標です。2015年に国連サミットで採択され、17の目標、169のターゲットで構成されています。
2030年までに、世界で約12兆ドルの市場機会と約3.8億人の雇用を生み出すともいわれているSDGsの達成に向けて、世界のタイヤメーカー11社による協働プロジェクト「Tire Industry Project」(TIP)が、今年の5月にその取り組み計画(ロードマップ)を発表しました!

タイヤ業界によるSDGsへの取り組み計画
ブリヂストンも参加しているこのTIPでは、17の目標のうち、業界として協働することで大きな効果が見込める8つの目標に重点を置き、天然ゴム等の調達から始まるサプライチェーン、生産・物流などのオペレーション、お客様に届ける商品やサービスなどの切り口から、具体的な取り組みの方向性を示しています。
今回は、発表された取り組み計画の中でも具体的な事例にフォーカスし、TIPに長年携わっている株式会社ブリヂストンの柴田さんに解説してもらいます!

株式会社ブリヂストン Gサステナビリティ部門 上席マネジメント主幹 柴田 唯志(しばた ただし)
株式会社ブリヂストン Gサステナビリティ部門 上席マネジメント主幹 柴田 唯志(しばた ただし)
2007年からTIPの活動に関わり、現在TIPでは共同議長を務めている。

「科学的根拠を示し、情報を開示する」 TIPの主要な取り組み
―― TIPとはどんなプロジェクトですか?
柴田:
TIPのミッションは「科学的根拠を示し、情報を開示する」こと。タイヤ業界共通の課題に対して、各地域のタイヤ協会とも連携しながら、科学的な調査を行っています。
一方で、独占禁止法の順守を徹底しており、TIPで扱うのは環境や人体の健康といった、持続可能な社会に関わる問題のみ。主要な会議には必ず法律家も同席し、監視の目を光らせているんですよ。

―― なるほど。ビジネスでは競合していても、参加企業同士がしっかり議論できる体制を作っているんですね。では、発表された取り組み計画に示されている、TIPの具体的な取り組みについて簡単に教えてください!
柴田:
TIPでは現在、約10本のプログラムを推進していますが、今回はそのうちの3つをご紹介しますね。

1.タイヤ摩耗粉塵の自然環境への影響についての研究

摩耗粉塵

タイヤが道路を走ることで摩耗し飛散する細かな粉塵。
TIPは、その摩耗粉塵が自然環境に与える影響について、大気中に含まれる摩耗粉塵量(暴露性)、摩耗粉塵による生物への影響(毒性)の2点から調査を実施しました。
結果としては、タイヤの摩耗粉塵の量は全粉塵量のほぼ1%以下であり、摩耗粉塵を吸引することによる生物への毒性はないことが判明しました。
測定方法についてもTIPで独自に開発し、国際標準のISOに登録されています。
なお、河川や海に流れたものがどれだけ生態系に影響があるかの調査については、現在検討を進めています。

2.使用済タイヤの管理

使用済タイヤ

クルマを支え続け、すり減って交換された使用済タイヤがどこへ行くのかご存知ですか?
皆さんの周りでも、学校の校庭の“タイヤ跳び”など、寿命を終えたタイヤが活用されているのを見かけたことがあるかと思います。
世界規模で見ると、使用済タイヤのおよそ70%から90%が再利用され、主に素材や燃料として活用されています。
TIPは2008年より使用済タイヤ管理についての大規模なグローバル調査を継続的に実施し、2019年には51か国から収集されたベストプラクティスやリサイクル率などについての報告書を発行しました。
一見するとタイヤはゴムのかたまりのようですが、内側は金属などが張り巡らされ非常に複雑な構造をしています。
そのため、使用済タイヤをサステナブルに管理していくためには、タイヤメーカーをはじめとして、小売業者、政府などの協力が不可欠。
TIPはタイヤに関わる幅広い企業・団体間での情報共有のためのイベント開催などに継続的に取り組んでいます。

3.持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム

ゴムの木

タイヤの主な原材料の一つに、ゴムの木から採取される天然ゴムがあります。
そして、世界の天然ゴム産出量のうち70%がタイヤに使用され、かつ産出量の85%以上は600万世帯を超える小規模農家によって生産されています。
TIPは、公正・公平かつ環境に配慮した天然ゴムのサプライチェーンを実現するために、2018年に「持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム」(GPSNR:Global Platform for Sustainable Natural Rubber)を設立しました。
天然ゴム農家、加工業者、貿易業者、バイヤー、自動車関連企業、金融機関、NGO等を含むメンバーで構成されており、森林等の生態系・生物多様性、人権・労働者の権利、天然ゴムのサプライチェーンにおける社会問題に取り組み、持続可能な天然ゴムの普及を推進しています。
現在、GPSNRはTIPから独立した組織となっていますが、もちろん協力関係は継続しています。

――科学的な視点に基づき、タイヤ業界が関わる大きな社会課題の解決に向けて具体的な取り組みが進められているのですね。私もタイヤ産業に携わる一員として、社会的な影響力と責任を改めて感じました。

柴田:
TIPのSDGsの取り組み計画については、2023年までに進捗状況を測定するための指標を開発し、2026年までに進捗レポートを発行予定です。
また、タイヤ摩耗粉塵についての研究など、各プロジェクトの進捗については今後も継続的に発信していきますので注目いただければ幸いです。

ブリヂストンは企業としてもSDGs達成に向けた様々な取り組みを進めていますが、今回は、一企業の枠を超えたさらに大きな取り組みをご紹介しました。
持続可能な社会のために、未来の地球や子供たちのために、私たちができること。大きなことも、小さなことも、一歩一歩、着実に取り組みを進めていきたいですね。

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