- 持続可能な開発のための世界経済人会議
- 持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム
- エレン・マッカーサー財団
- TCFD・TNFDへの対応
- 「The Valuable 500」
- CSR研究会
- サステナビリティに関連する社外団体とのパートナーシップ
持続可能な開発のための世界経済人会議

ブリヂストングループは、持続可能な社会の実現に向け、長期的な環境・社会・経済の向上に向けた活動を、着実に推進しています。この活動は自社だけで取り組めるものではなく、多様なステークホルダーの皆様との協力が必要不可欠です。ブリヂストングループは、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD:World Business Council for Sustainable Development) 傘下のタイヤ産業プロジェクト(TIP:Tire Industry Project)
を通して、世界のタイヤ生産能力のおよそ65%を占めるタイヤメーカー10社で協力し、グローバルな取り組みを展開しています。また、TIPの活動は、Assurance Groupと呼ばれる第三者の外部科学者グループによりレビューされています。
2023年3月、WBCSDは脱炭素社会の実現に貢献する商品やサービスの開発・普及を加速するため、削減貢献量に関するガイダンスを策定し、各社の商品・サービスを通じた社会全体における排出量の「削減貢献量」の定義や算出・報告方法について指針を示しました。当社グループは、CO2削減に貢献する商品・サービスの提供をはじめとした独自のサステナビリティビジネスモデルによって創出する価値の可視化を図るために、当ガイダンスの活用に向けた議論に積極的に参加しています。
「タイヤ産業プロジェクト」

TIPは2005年に設立し、タイヤ業界の各社CEOが主導する共同プロジェクトとして、科学的な知見を取り入れながら持続可能な社会に向けた活動を進めています。2年に一度開催する会合において活動の進捗を確認し、さらに新規及び継続する研究の活動計画を策定しています。2022年には、TIPが策定したSDGセクターロードマップに基づき、環境、社会、ガバナンス(ESG)の分野でタイヤ業界に関連する幅広いサステナビリティ課題の解決を図ることを目的に、従来注力してきた研究活動に加え、TIPのミッションをさらに拡大することに合意しました。この新たなミッションに沿った組織改革により、TIPは研究だけでなく、具体的な活動への展開やステークホルダーとのエンゲージメント向上、コミュニケーション強化などにも取り組んでいます。
2005年以来、当社グループはTIPの設立とその進化において中心的な役割を担い、共同議長としてTIPをリードし、さらなる活動の拡大や進化に貢献してきました。新たに立ち上げたタイヤ・路面摩耗粉じん(TRWP:Tire & Road Wear Particles)に対する緩和策を研究・促進するタスクフォースをはじめとした、すべてのワーキンググループとタスクフォースにおいて活動を先導し、組織の活性化につなげてきました。TRWP、使用済タイヤ管理、主要なESG指標設定など、あらゆる課題に対して、研究に基づいた活動の展開、それを起点としたステークホルダーとのエンゲージメント向上、さらにはそれらの活動に関するコミュニケーション強化を図ることで、タイヤ業界のみならず社会全体における課題解決策の提案、ひいては共創促進につなげています。
TIPが取り組む課題の中で、優先順位の高いものの一つにTRWPに関する研究を加速することが挙げられます。海洋マイクロプラスチックとの関連性においてステークホルダーからの関心が高まっており、TIPでは今後これまでの研究領域をさらに拡げて、河川や海洋への影響についても調査を進めています。
TIPの取り組みの成果事例として下記のものが挙げられます。
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TRWPが環境と生態系に与える影響に関するTIPの研究
- セーヌ川流域(フランス)に焦点を当てた研究では、ほとんどのTRWPが道路脇の土壌に堆積し、約18%は道路表面から流出し地表水に到達すると結論付けました。地表水に到達するTRWPの60%以上は廃水処理施設に行くと考えられ、河口付近まで到達するのは2~5%であると示唆されます。
- 大気中のTRWPに関する研究では、TRWPが大気中のPMに占める割は、PM10、PM2.5において平均がいずれも1%未満であり、その割合はわずかであることがわかりました。また、哺乳類動物を使ったリスク評価により、大気中TRWPへの暴露による人間の健康へのリスクは低いことが示されています。
- 淡水および淡水堆積物に生息する生物に対するTRWPの急性および慢性毒性に関する研究では、水域の代表的な条件下である、堆積物1kgあたり最大10,000mgまでのTRWP濃度が用いられ、堆積物中のTRWPが水生生物に毒性を及ぼすリスクが低いことが示されています。
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2使用済タイヤ管理システムに関するTIPの研究
これまでに下記の調査・研究を行い、レポートを発行することで、各地域でのより良い使用済タイヤの管理に貢献しています。- 2008年 「使用済タイヤの管理」
- 2010年 「使用済タイヤの効果的な管理方法」
- 2018年 「使用済タイヤの回収率、再生利用方法、管理方法に関する世界の情報まとめ」
- 2019年 「使用済タイヤに関する規制、管理方法、再利用効果及びテクノロジーに関する世界の情報まとめ」
- 2023年 「使用済タイヤに関するステークホルダーの関心 – 欧州、米国、中国における課題と解決策の可能性」
持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム

当社グループは、サステナビリティの取り組みを着実に進めていますが、さらなる向上のためには業界全体の協力が不可欠だと考えています。当社グループは、同業他社と共に「持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム」(GPSNR)を立ち上げると共に、エクゼクティブコミッティのメンバーとして、天然ゴムサプライヤー、自動車メーカー、NGO、小規模農家や同業他社と積極的に議論を進めています。GPSNRの一員として、人権の尊重、土地収奪や森林破壊の防止、生物多様性や水資源の保全、天然ゴムの生産性向上、サプライチェーンの透明性とトレーサビリティ向上に向けて取り組んでいます。
当社グループのGPSNRにおける詳細な取り組みは「調達」をご覧ください。
エレン・マッカーサー財団

ブリヂストンはサーキュラーエコノミーに関する知見の獲得、能力開発、ネットワークの構築、他の企業や政府、研究機関との連携を図ることを目指し、2018年から持続可能な経済・自然・社会資本の形成を推進するエレン・マッカーサー財団のプログラムに参加しています。
ブリヂストングループは、運送事業者様を対象とした新品タイヤとリトレッドタイヤ※、サービス、ITツールを組み合わせた運送ソリューションビジネスを展開しています。エレン・マッカーサー財団の豊富な知見や他社ベストプラクティスを学ぶことで、サーキュラーエコノミーのコンセプトをビジネスモデルに取り入れ、リサイクルや資源・エネルギー・情報の有効活用を含めたタイヤのライフサイクル全体で、新たな顧客価値、社会価値の創造を目指しています。

また、当社グループではエレン・マッカーサー財団が開発したCirculyticsを用いて、事業全体におけるサーキュラーエコノミーのパフォーマンスを測定しています。このツールにより、当社グループの強みは戦略と計画がサーキュラーエコノミーの原則に基づいていることである一方、再生資源や再生可能資源に由来する原材料の使用、お取引先様との連携などにおいて改善余地があることを特定しました。Circulyticsの評価結果やエレン・マッカーサー財団の知見を活用し、サーキュラーエコノミーの実現に向け継続的に取り組みを進めています。
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※リトレッドタイヤとは、使用済みのタイヤのトレッド部分を取り除き、新たなゴムを加硫・圧着して再使用できるようにしたタイヤのことです。新品タイヤに比べて、環境面で下記の利点があります。
1. 天然ゴムなどの原材料の使用量が減少し、天然資源の使用量が削減される
2. タイヤ生産におけるCO2排出量が削減される
3. タイヤの寿命が延びるため、廃タイヤの削減につながる
TCFD・TNFDへの対応
ブリヂストングループはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同しており、さらに、2022年3月よりTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)
フォーラムに参加しています。
気候変動及び自然資本損失への対応に世界的な関心が高まり、パリ協定に代表される脱炭素社会への動き、並びに、昆明・モントリオール生物多様性枠組として採択されたネイチャーポジティブ※な世界の達成に向けた動きが加速する中で、当社グループは気候・自然資本への依存関係と影響、気候変動及び自然資本損失によるリスクと機会を統合的に評価・管理し、事業戦略への反映を進めています。
※自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性・自然資本の損失を止め、反転させることを意味しており、事業活動による生物多様性・自然資本への負荷を低減し、自然の恵みを維持し回復させ、自然資本を持続可能に利用する社会経済活動への変革が意図されています。
「The Valuable 500」

当社グループは「The Valuable 500」の主旨に賛同し、加盟しました。「The Valuable 500」は、2019年1月開催の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で提唱されスタートした世界的な活動です。障がい者がビジネス、社会、経済における潜在的な価値を発揮できるように、ビジネスリーダーが自社の事業を改革することを目的とし、世界500社の最高経営責任者(CEO)の賛同を得ています。多様性を尊重しインクルージョンを推進する「The Valuable 500」の考え方は、当社グループの企業理念と共通する点が多くあり、「グローバル人権方針」で目指す方向性とも合致するものです。当社グループは、多様性を受け入れ、障がいのある従業員がその能力を発揮しやすい職場環境づくりに今後も注力していきます。
CSR研究会
ブリヂストンは、一般財団法人企業活力研究所がCSRの諸課題について調査研究を行う「CSR研究会」に2016年度から委員として参画しています。
2022年度の研究会では、「社会の持続可能性の向上と長期的な企業価値の創出に向けた ESG 情報開示のあり方について」を議題に、サステナビリティ情報開示規制に関する動向と投資家を中心としたステークホルダーの期待について整理するとともに、統合的な開示に先行して取り組んできた日本企業への調査を実施し、企業の多様なステークホルダーの期待や問題意識の比較考察を行い、社会の持続可能性と長期的な企業価値創出に向けたESG情報開示のあり方について検討のうえ提言としてとりまとめました。ブリヂストングループは、グローバル企業としての視点を当研究会に活かすべく、委員として積極的に議論に参加しています。
サステナビリティに関連する社外団体とのパートナーシップ
ゴム及びタイヤ業界
- 一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)
- 日本ゴム工業会
- U.S. Tire Manufacturers Association (USTMA)
- European Tyre & Rubber Manufacturers’ Association (ETRMA)
- Sustainable Natural Rubber Initiatives (SNR-i)