にじいろのタイヤ~ブリヂストンお客様相談室より~
タイヤはどうしてくろいのですか? クルマ好きの小学生が選んだ、夏休みの自由研究テーマ。
夏休みの宿題、というと真っ先に思い浮かぶのが、自由研究。題材は何にしよう、どうやって調べようか・・、などと思い悩んだ挙句、夏休み最後の3日間で必死に体裁を整えていたほろ苦い記憶が、ツクツクボウシの声とともに蘇る筆者です。
でも、それって実はすごく勿体ないことをしていたのでは・・。自由研究を心から楽しみながら、視野を広げ、学びを深める機会にしている子も沢山いるのです!それに気づかせてくれたのは、コロナ禍の夏休みに当社のお客様相談室に届いた、一通のメールでした。
「ブリヂストンさんへ
ぼくは、小学1年の●●です。タイヤについてしらべているのでおしえてください。
①タイヤはどうしてくろいのですか。
②ぼくが大人になったら、いろのついたタイヤのくるまにのることはできますか?
ぼくはくるまが大すきです。おしごとがんばってください。ありがとうございました。」
かわいらしいメールの文面に、受け取ったお客様相談室のKは思わず微笑んでしまいました。小さな研究者さんのために何ができるか、とひとしきり考えたKは、タイヤができるまでの作業工程を紹介するパンフレットや、乗用車用だけでなく農業機械用や鉱山車両用なども含めた、ありったけのタイヤカタログを送る準備を整えます。それから、なるべくわかりやすいように、、と言葉を選びながら書いたお返事は、こんな内容でした。
「●●くん、はじめまして。Kといいます。
わたしは、ブリヂストンというタイヤをつくっているかいしゃで、おきゃくさまそうだんしつというところで、おきゃくさまからのいろんなしつもんにこたえるしごとをしています。わかりやすくこたえられるか、ちょっとしんぱいだけど、しつもんにこたえますね。
①のこたえ:タイヤをつくるときに『カーボンブラック』というくろいざいりょうを入れます。これはえんぴつのしん(くろいよね?)のなかまといえばわかりやすいかな?このカーボンブラックをゴムにいれて、たかいおんどであつくすると、ゴムがとてもつよくなります。タイヤは雨のふる日、あつい日、ゴツゴツのみちなど、いろいろなところをはしるので、とてもつよくないと、すぐこわれてしまいます。こわれないタイヤをつくるのに『カーボンブラック』をつかうので、くろくなっています。
②のこたえ:いまでは、『カーボンブラック』じゃなくても、タイヤをつよくするざいりょうがだんだんでてきているよ。そして、かわりにいろいろないろのざいりょうをいれれば、くろいろじゃないタイヤもつくれるよ。でも、タイヤ=くろいろ、とおもっている人や、くろがあんしんとおもっている人もおおいし、かわりのざいりょうは『カーボンブラック』よりねだんがたかいので、まだまだくろいタイヤがつづくかもしれません。(後略)」
※ 『あったらいいな!にじいろのタイヤ』より引用
秋の初め、Kの元に●●君からお礼のお手紙が届きました。落ち葉柄のかわいい便箋には、お母さまからのお手紙とともに●●君の自由研究レポート(コピー)も添えられていました。軽い気持ちで読み始めたKは、その内容の濃さに驚きます。
レポートは40ページ以上にのぼる大作で、Kの送ったカタログや図書館で沢山の本を読んで調べたことだけでなく、身の周りの様々な乗り物を調べたり、見近な人達にアンケートをしたり、と、●●君が多岐に渡る方法で、タイヤへの理解を深めていった様子が伝わるものでした。かわいらしい写真やイラストに目を和ませつつもKが瞠目したのは、●●君が疑問の核心に迫るまでの発想の豊かさや洞察力の深さに対してでした。
「タイヤが黒いのはなぜ?という一つの疑問から、ここまでいろいろなことを調べてレポートにまとめ上げるなんて、しかも小学一年生でと思うと、本当にすごいですよね。そもそも、車が好きな人でも、なかなかタイヤには目が向かない、気にしてくれないものです。我々の主力商材であるタイヤに、ここまで興味をもってもらえたこともうれしいですし、その疑問を追求していく過程を、微力ながらも我々がお手伝いできたことが、しみじみありがたいと思いました。
今はコロナ禍で難しいですが、いずれ明けたら、リニューアルした当社の企業博物館にもぜひ足を運んでもらって、率直な意見を聞いてみたいですね。」
後日教えてもらったのですが、このレポートは『第24回図書館を使った調べる学習コンクール』の全国コンクールにおいて、上位入賞という素晴らしい結果を収めたそうです。この話をしてくれた時のKは、なぜだか自分のことのように誇らしげな表情でした。そんな姿を見ると、お客様のよろこぶ顔が見たくて、私達は仕事をしているんだなぁ、と改めて思います。
カラフルなタイヤがふえてほしい、という●●君が自分でクルマを運転するようになる未来には、当社もにじいろのタイヤを提供できるようになっているかもしれません。
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ブリヂストンのお客様相談室では、日々、タイヤやサービスのプロが様々なお客様からの問い合わせに対応しています。時には回答にお時間を頂くこともありますが、一件一件、メールや電話の先にあるお客様のお顔を想像しながら、どんな案件でも最後は「ありがとう」と言ってお問い合わせを終えて頂けるように、お客様の困りごとを少しでも解決できるようにと、メンバー一人ひとりが心を尽くして応対しています。
また機会がありましたら、お客様からのお声とともに、そんなお客様相談室の日常を紹介していきたいと思います。
※掲載画像、お子様からのメール、ならびに、弊社お客様相談室からの返信内容は、第24 回「図書館を使った調べる学習コンクール」(主催:公益財団法人図書館振興財団)入賞作品:『あったらいいな!にじいろのタイヤ』より引用したものです。