ニュースリリース

キリンホールディングス株式会社との共同研究により「グアユール」由来の天然ゴム生産性向上に寄与する技術の開発に成功

天然ゴム資源の多様化によるタイヤ原材料のサステナブル化を推進

2021年01月28日

 株式会社ブリヂストンは、キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)との共同研究により、「グアユール」由来の天然ゴム生産性向上に寄与する技術の開発に成功しました。当社は、天然ゴム資源の多様化によるタイヤ原材料のサステナブル化※1を目的として、グアユールの苗を安定的に増殖させる研究をキリンと共同で行っており、今回の研究開発の成果がグアユール農園における天然ゴム資源の生産性向上に大きく貢献するものと考えています。

グアユールの増殖イメージ
グアユールの増殖イメージ

 グアユールは米国南西部からメキシコ北部が原産の、降雨量の少ない乾燥地帯で栽培することが可能なキク科の低木(灌木)で、熱帯で栽培するパラゴムノキ由来のゴムに匹敵する成分を組織中に含む植物です。当社は、タイヤ材料として実用化すべく、グアユール由来のゴムの生産性向上や物性改良に向けた研究開発を推進しています。

 今回、キリンとの共同研究により同一のグアユールを安定的に増殖させる技術が開発されたことで、今後は遺伝子情報から品種改良を行った優良種のグアユールの大量増殖が可能となり、天然ゴムの収量を安定させながら生産性の高いグアユールの栽培を加速させることが期待されます。当社グループは、アメリカ合衆国アリゾナ州の自社グループの農園に植えた優良品種の苗木のフィールド評価を開始しています。今後、フィールド評価の結果を分析し、プロセスの最適化による物性改良やアプリケーション(用途)開発の成果と組み合わせることで、2020年代にグアユールゴムのタイヤ材料としての実用化を目指します。

 当社は、グアユールゴムの実用化に向けてオープンイノベーションを推進しています※2。今回、当社の持つグアユールに関する知見とキリンの植物大量増殖技術※3を融合させることで、より短期間で実用化に向けての重要な成果が得られたと考えています。当社は、今後もオープンイノベーションを推進し、当社のコア技術と様々な企業・団体が持つ個々の領域の知見を融合させ、天然ゴム資源の多様化に向けた取組みを促進していきます。

 2050年には全世界の人口が96億人にも達し、自動車の保有台数も24億台を超え、タイヤ生産に必要な材料量も増えていくと予想されています。また、SDGsが示しているように、経済成長と環境負荷のデカップリングが求められています。現在タイヤ原材料となる天然ゴムは、「パラゴムノキ」から生産されており、産地が東南アジアに集中していることから、病害リスクや栽培面積の拡大に伴う熱帯雨林の減少が課題になっています。この課題を解決すべく、天然ゴム資源の多様化に向けた取組みとして、砂漠のような乾燥地帯で栽培可能であり、熱帯地域の新たな森林伐採を低減することができるグアユールの研究開発を行っています。これにより、天然ゴム資源の安定供給に貢献する技術を通じて、将来にかけて環境負荷低減と持続可能な事業を両立していきたいと考えています。

 当社は、「2050年にサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社であり続ける」ことをビジョンとして掲げています。そして、事業の成長と環境影響や資源消費の拡大を切り離す「デカップリング」への挑戦をさらに進めていくため、新たな環境中期目標「マイルストン2030」を設定しました。イノベーションでソリューションを提供し、安心・安全な移動を支えると共に、再生可能資源、再生資源をより広く活用しながらサーキュラーエコノミー・CO2削減に貢献するなど、環境へのインパクトをさらに改善していきます。今後も当社独自のゴムに関する知見とデジタルを融合させることで技術イノベーションを進化させ、様々なパートナーと連携しながら価値を共創していきます。

 

  1. ※1 ブリヂストングループでは「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。
  2. ※2 NRGene社との共同研究により「グアユール」の複雑なゲノム配列の高精度な解読に成功
    https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2021012001.html
  3. ※3 キリンホールディングス株式会社 植物の大量増殖技術について
    https://www.kirinholdings.co.jp/news/2021/0128_01.pdf

本件に関するお問い合わせ先

<報道関係> 広報第2課 TEL:03-6836-3333
<お客様>  お客様相談室 TEL:0120-39-2936

以上