サイト内検索

「テニスで返すしかない」
支えてくれたすべての方に応えられるようなプレーを

田中愛美

  • インタビュー
  • 車いすテニス
田中愛美

日本人選手の活躍もめざましく、年々盛り上がりを見せている競技、車いすテニス。2バウンドでの返球以外は、一般のテニスと同じルールで、テニスとしてのおもしろさはもちろん、車いすを動かすチェアワークも見どころだ。東京2020パラリンピックへの出場が期待される新星、田中愛美選手。わずか3年足らずで国内ランキング上位に急成長を遂げる、彼女の視線の先にあるものとは。

部活に戻りたい、友達と一緒にテニスがしたい

田中愛美選手

― 車いすテニスを始めたきっかけは?

私は中高一貫の女子高で、中学生から部活で硬式テニスを始めました。中学3年生では部長にも就任し、80人もの部員をまとめていました。友達と一緒にテニスをするのが楽しくて高校でも続けていましたが、高校1年生の冬、自宅で怪我をしてしまい、車いすでの生活となりました。その時も、とにかく一番に「部活に戻りたい、友達と一緒にテニスがしたい」という気持ちがあり、当時、部活の顧問の先生に「どんな形でもいいから部活に参加させてほしい」と相談しました。すると「どうせ戻るのなら、プレーヤーとして戻ってきなさい。環境は作るから、愛美はテニスができるようになれ」と言われたんです。その言葉があったからこそ、これまでテニスを続けることができたと思っています。
退院後通っていたリハビリセンターで車いすテニスを見かけ、すぐに練習をはじめました。まずは車いすの動き方を知らないといけなかったので、大変でしたけど、毎日練習して、退院3か月後には地域の小さな試合にも出られるほどにはなりました。もともと楽天家なので、「車いすで頑張ろう」と気持ちを切り替えられたことも大きかったですね。

恩返しをしたいけれど、私には返せるものが何もない

田中愛美選手

― 車いすテニスプレーヤーとして、上を目指すようになった経緯は?

私の高校はこれまで障がい者を受け入れたことがなくて、親はもちろん、顧問の先生や同級生、たくさんの方が私の高校復学、そして日々の生活を助けてくれました。クラスメイトには移動授業の度に車いすを運ぶのを手伝ってもらったり、練習や試合などで休んでいた時はプリント見せてもらっていたり、本当に支えてもらいましたね。
でも、これまで支えてきてくださった多くの方々に、どうにか恩返しをしたいけれど、私には返せるものが何もない。自分には何ができるんだろうとずっと考え続けた結果、「テニスで返すしかない」という答えに行き着いたんです。もし私がパラリンピックに出場できるような選手になれば、注目されるし、友達が私のことを周りに自慢できるかもしれない。そして、自分の頑張る姿が、誰かを勇気づけられるかもしれない。そんな思いから、東京2020パラリンピック出場を目指すことを決意しました。
たまたまブリヂストンテニスハウス新所沢が家の近くにあり、なんとか頼み込んで当初なかった車いすのレッスンをさせてもらっていたんです。高校卒業後は、現在のコーチである長島コーチのレッスンを受けられるようになりました。そして、より練習しやすく、もっと強くなるため、上を目指すための環境としてブリヂストンスポーツアリーナに、2016年に入社しました。

田中愛美選手

そんなところまでボールを拾えるの?

田中愛美選手

― 車いすテニスの魅力を教えてください。

2バウンドまで許されるという点以外は、基本的に一般のテニスと同じルールです。広いコートの端から端までを車いすで駆け抜けるので「そんなところまでボールを拾えるの?」という守備力の高さに注目してほしいですね。最近は、各選手のレベルも更に上がって、ゲーム展開も早くて迫力があります。車いすはターンをする時に相手に背を向けるので、その一瞬を狙うなど、各選手の戦術を観るのも面白いと思います。

練習を積み重ねてこそ、上を狙える

田中愛美選手

― 今、特に力を入れて取り組んでいることは何ですか?

練習と試合のギャップをなくすことです。練習でやってきたことを、試合でしっかりと出せるようになるということです。そのために、自分の持ち味でもある「明るさ」と「攻撃的なテニス」ができるよう、体力と精神力の両方を鍛えているところです。
昨年末からコーチに指導いただく練習の時間も増やしました。きっかけは、昨年の全日本マスターズで予選落ちしたことですね。ライバルに負けてショックを受けた一方で、次世代ターゲットアスリートにも選ばれ、海外で試合ができる環境が整ってきた頃だったからこそ、自分が日本の1位になって、世界で戦えるようになりたいと強く思いましたね。だから、コーチには本当に感謝しています。海外遠征に帯同いただいて指導いただけるのはありがたいことです。その練習を積み重ねてこそ、上を狙えるんです。

車いすだからこそ教えられることがある

田中愛美選手

― 東京2020パラリンピック出場に向けての意気込み、そしてその先にある夢は?

パラリンピックは、これまで積み重ねてきたことを発揮する集大成。そして支えてきてくれたすべての方に応えるためにも、東京2020パラリンピックの場でプレーをしたいですね。出場した際には、メダルを狙いたいです。もちろん、その先の2024年のパラリンピックも狙っています。
引退後は、ジュニアの育成に携わりたいとも考えているんです。周りのサポートのおかげで私が車いすでもテニスにチャレンジできたように、下の世代が存分にテニスをできる環境を作っていきたいです。そのためにも、若い世代に車いすテニスを知ってもらう講演も続けていきたいですね。それから、車いすテニスのコーチにもなりたいです。きっと世界を回ってきた人にしかわからない世界があるし、車いすだからこそ教えられることがあると思うんです。そのためにも、2020年、そして2024年とパラリンピックに出場してメダルを獲りたいですね。

田中愛美選手

PROFILE

田中愛美

田中愛美MANAMI TANAKA

1996年熊本県生まれ。2016年4月ブリヂストンスポーツアリーナ(株)入社。17歳のとき、自宅で怪我を負い、車いすの生活となる。中学から始めた硬式テニスの部活の影響もあり、病院退院後すぐに車いすテニスを始める。急成長を遂げ、国内外の大会で好成績を残している。

    SHARE
    パラアスリート歌絵巻

    パラアスリート歌絵巻

    パラアスリートたちのこれまでの道のりを現代の浮世絵巻で映像化。

    SHARE このページをシェアする

      東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の公式ウェブサイトです。

      このページの先頭へ