トップコミットメント

※このページはサステナビリティレポート 2020-2021に掲載された内容です。

2021年に、創立90周年を迎えたブリヂストンは、「最高の品質で社会に貢献」を不変の使命として、ビジョンに掲げた「2050年サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」と進化することで、これまでも、そして、これからもヒト・モノの移動と動きを支え、持続可能な社会の実現に貢献し続けます。

ブリヂストングループの使命は、創業者・石橋正二郎の「単に営利を主眼とする事業は必ず永続性なく滅亡するものであるが、社会、国家を益する事業は永遠に繁栄すべきことを確信するものである」という事業観に基づき、現在のサステナビリティの考え方にも通じるものです。そして、今日、この使命はかつてないほど重要性を増しています。

私たちを取り巻く社会は、国際関係・経済・技術革新などあらゆる面で大きな変化の中にあり、そのスピードは、年々加速しています。自動車を中心とするモビリティは、MaaS※1、CASE※2といった100年に一度の大変革期を迎えており、また、昨年から続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響は、私たちの生活や経済に大きな変化をもたらすだけでなく、気候変動、自然環境の劣化、格差の拡大といった世界が直面する喫緊の課題が、互いに切り離せないことを明らかにしました。これからも、すべての人々が地球と共存しながら活き活きと安心して暮らしていくためには、持続可能な社会の実現に向けて、社会全体で取り組まなければなりません。

当社グループは、1931年の創業以来、変わりゆく社会のニーズに対応し、それぞれの時代において一人ひとりの安心・安全な移動や暮らしを支え続けるため、日本からアジア、そしてグローバルへ、タイヤ事業に加え、生活・産業を支える多角化事業、そしてソリューション事業へと、事業を拡大・進化させてきました。

これからも、社会、一人ひとりを支えていくために、当社グループは絶えず進化を続けます。そして、当社の事業活動、それらを支えるイノベーションや先端技術等を通じて、お客様に価値を提供するだけでなく、社会価値の創出にも力を尽くし、これらの両立へ挑戦しながら、より一層、持続可能な社会の実現に貢献していきます。また、事業領域以外においても、世界各地で幅広く社会貢献活動を推進し、業界のリーダーとして、今後も未来に対する責任を果たします。

特に「持続可能な開発目標(SDGs)」については全17の目標のうち、当社グループが企業活動全般、バリューチェーン全体を通じて注力する13の目標を特定しており、SDGsの2030年達成に向けて積極的に貢献していきます。社会の変化を先取りし、変化をチャンスに変え、事業活動・社会貢献活動を通して、持続可能な社会の実現に向けて貢献することこそが、「最高の品質で社会に貢献」を使命とする当社グループの果たすべき役割・責任だと考えています。

  1. ※1MaaS(Mobility as a Service:移動をサービスとして考える)
  2. ※2CASE(Connected:つながる、Autonomous:自動走行、Shared:共有、Electric:電動)

サステナブルなソリューションカンパニーへの進化 - Bridgestone 3.0 Journey -

当社グループは、昨年、変わらぬ使命を前提に、2030年、2050年を見据えた新たなビジョン「2050年サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」を掲げ、新たなチャプターへと歩み出しました。

2020年を、1931年の創業と、1988年のファイアストン買収を契機とした第二の創業に続く、「第三の創業」、Bridgestone 3.0の初年度と位置づけ、ビジョン実現のために「中長期事業戦略」を策定しています。

「中長期事業戦略」は、サステナビリティを経営の中核に据え、タイヤ・ゴム事業の強みを活かしたソリューションカンパニーへ進化することで、社会価値と顧客価値の両立、競争優位の獲得を図るものです。今年2月には、「中長期事業戦略」を軸とした2021年から2023年の具体的な実行計画として、「中期事業計画」を発表しました。今後はこれに沿って、「攻め」と「挑戦」の姿勢で、中長期事業戦略を「構想」から「実行」へと推し進めていきます。

戦略の軸となるのは、独自のビジネスモデルの構築です。コアであるタイヤ事業をさらに強化し、その強みを活かして成長事業であるソリューション事業をグローバルで拡充することで、二つの事業の価値が増幅し、スパイラルアップし続けることを目指しています。さらに、サステナブルなソリューションカンパニーへと確実に進化するために、新たな事業ポートフォリオを設定しました。将来に向けて持続的に成長するために、コア事業、成長事業に、新しく探索事業を加えています。まずは「ゴムを極める」などの当社の強み、コアコンピタンスが活きる領域で、リサイクル事業、ソフトロボティクス事業をスタートさせています。

また、コア事業、成長事業、探索事業の中身は固定ではありません。現在の成長事業がコア事業へ、探索事業が成長事業へ、そして、新たな探索事業が生まれるように、変化する社会やお客様のニーズに合せて当社の事業ポートフォリオも進化させます。

事業活動と連動して、環境への取り組みなど、SDGs達成に貢献するための活動も加速させています。当社グループは従来から、商品を「創って売る」タイヤ・ゴム事業と、お客様が商品を「使う」段階でも価値を提供するソリューション事業において、資源生産性の向上やCO2削減に貢献してきました。今後はさらに、探索事業として、タイヤをゴム・原材料などに「戻す」リサイクルの事業化を進めます。2030年には、「創って売る」「使う」「戻す」のすべての事業で、売上や利益といった事業の価値が、サーキュラーエコノミーの実現、カーボンニュートラル化へ向けた活動と連動して、車輪の様に輪となり、循環し続けることを目指しています。

もう一つの探索事業である、ソフトロボティクス事業は、当社グループが安心・安全な移動や暮らしを支えるために展開してきた多角化事業での新たな挑戦です。人と協働することができる柔らかいロボット、ソフトロボティクスは、当社グループのコアコンピタンスである「ゴムを極める」や「接点を極める」のノウハウ・技術を活かして、作業の自動化や非接触ニーズといった社会・顧客課題に応えることができると考えています。持続的な成長へ向けて、今後も新たな領域を探索します。

Bridgestone3.0 Journey toward 2030

このように、安心・安全なヒト・モノの移動と動きを支え、社会価値と顧客価値の創出を両立させ、競争優位を獲得することで、社会、お客様、そしてブリヂストンが共にWin-Win-Winとなる、当社グループの「サステナビリティビジネス構想」の実現を目指して、挑戦を続けます。挑戦の基盤となるのは、社会・お客様に共感し、あらゆるパートナーと協働することで価値を創造する共創と、イノベーションです。

Bridgestone Innovation Park 完成予想図
Bridgestone Innovation Park 完成予想図

東京・小平の技術センターを再開発し、共感から共創へ、新たな価値を創造するグローバル拠点として「Bridgestone Innovation Park」を整備しています。昨年オープンした、当社グループの歩みや、未来に向けた活動を紹介する「Bridgestone Innovation Gallery」に加え、今年末には、イノベ―ションセンター「B-Innovation」と、ミニテストコース「B-Mobility」の完成を予定しています。グローバル各地に整備しているイノベーション拠点との連携も強化させながら、共創やイノベーションをグローバルで強化していきます。

人々がより快適に移動し、生活し、働き、そして楽しむために - Our Way to Serve -

事業活動以外にも、あらゆる活動を通じて社会的な課題の解決に取り組んでいます。2017年に制定した「Our Way to Serve」は、当社グループが持続可能な社会の実現に貢献するための指針であり、未来に対する責任を果たそうとする姿勢が体現されています。人々がより快適に移動し、生活し、働き、そして楽しむことに貢献するために、「モビリティ」「一人ひとりの生活」「環境」の3つの重点領域に焦点を当て、グローバルで様々な取り組みを推進しています。使命「最高の品質で社会に貢献」を大前提に、「Our Way to Serve」を共通の指針として、世界中で14万人を超えるグループ従業員が日々の業務にあたっています。

「Mobility(モビリティ)」領域では、誰もがより快適に、安心・安全に移動できるよう、先進的な技術やソリューションを通してモビリティの進化に貢献しています。また、「タイヤは生命を乗せている」をタイヤメーカーである当社の大原則、責任として、世界各地で交通安全教育を実施するなど、交通安全に重点的に取り組んでいます。

「People(一人ひとりの生活)」に関しては、地域社会を支え、人々の生活、学び、働き方を良くしていくために、様々な社会貢献活動を推進しています。当社グループの拠点がある世界各地域で、次世代の学びを支えるための教育や訓練の機会拡大、自然災害による被災者の支援や防災・減災への取り組み、地域の健やかな暮らしを支える健康増進プログラムや啓蒙活動などを実施しています。また、当社グループは「グローバル人権方針」を策定して、基本的人権に関する諸問題への取り組みを推進しており、多様な人財の育成・登用や、女性活躍推進に向けて積極的に取り組んでいます。こうした、異なるバックグラウンドを持つ人々が共生できる社会の実現を目指す、多様性尊重の精神は、当社グループの企業理念の心構え「誠実協調」として根付いています。

そして、連帯や相互理解、インクルーシブな社会創出といった、オリンピック・パラリンピックの精神に賛同し、世界で数少ないワールドワイドパートナーとして、グローバルでオリンピック・パラリンピックムーブメントを支えています。当社グループは、「CHASE YOUR DREAM」というメッセージの下、地域社会と共に様々な活動を通じてアスリートたちの挑戦を支えるだけでなく、様々な困難を乗り越えながら夢に向かって挑戦するすべての人の挑戦・旅(Journey)を応援しています。

さらに、今年、障がい者の活躍推進に取り組む国際ムーブメント「The Valuable 500」の主旨に賛同し、新たに加盟しました。「The Valuable 500」と当社は、様々な経験やスキル、視点を持つ人々が協働することで、ビジネスやコミュニティに新たな価値を生み出すことができるという信念を共有しています。今回の加盟を機に、ダイバーシティ&インクルージョンに向けた取り組みをさらに推進し、すべての人がより活き活きと安心して暮らせる社会の実現を目指していきます。

「Environment(環境)」領域では、2050年を見据えた「環境長期目標」、及び昨年新たに策定した環境中期目標「マイルストン2030」を基に、事業の成長と環境影響や資源消費の拡大を切り離す「デカップリング」への挑戦を加速させています。特にCO2の排出量削減においては、より積極的にカーボンニュートラル化に向けて取り組むべく、この一年間でターゲットを更新、より明確にしました。2030年には、CO2排出量を2011年対比50%削減、2050年に向けてカーボンニュートラル化を目指しています。これからも、未来のすべての子どもたちが安心して暮らしていくために、サーキュラーエコノミーの実現や、カーボンニュートラル化へ向けた取り組みなどを進めていきます。

新たな価値創出に向けて ― 信頼の醸成 ―

グローバル企業として社会の期待に応えながら、事業活動・社会貢献活動を推進し、社会的責任を果たすことで、社会やステークホルダーの皆様からの信頼を醸成し、更なる価値創出の基盤を整えていきます。当社グループは、コンプライアンス・公正な競争、BCP(事業継続計画)・リスクマネジメント、人権・労働慣行、労働安全・衛生、調達、品質・お客様価値、の6つの重要なテーマについて、基盤となる取り組みを進めています。また、約束を守って実行する、ガバナンスの徹底はもちろん、社会のダイナミックな変化に合わせて事業を進化させるように、当社グループのガバナンスも事業戦略に合わせて継続的に進化させていきます。今後、皆様をはじめとする様々なパートナーとつながり、活発に協働していくに当たり、共創のガバナンスが一層重要になります。信頼を構築し、共感を深めていただくことで、今後更なる価値の共創へとつなげていきたいと考えています。

創立90周年を迎えた2021年は、100周年に向けた重要なマイルストンであると同時に、Bridgestone 3.0の2年目、結果を出す年です。中期事業計画に沿って経営を進め、社会価値と顧客価値を創出することにより、持続可能な社会の実現に貢献し続けます。お客様、株主の皆様、ビジネスパートナーの皆様を含むステークホルダーの皆様にも、是非このジャーニーに参画いただきたく、本レポートがそのきっかけとなることを願っています。

石橋 秀一
株式会社ブリヂストン
取締役
代表執行役 Global CEO