トップコミットメント

※このページはBridgestone 3.0 Journey Report(統合報告2023)に掲載された内容です。

「変化が常態化」
する時代においても、
人とモノの移動を支え続ける
パッションを絶えず持ち、
持続可能な社会を実現して
いくことにコミットします。

事業環境の変化に対する冷静な危機感

ブリヂストンは、2020年を「第三の創業」—Bridgestone3.0の初年度として、サステナビリティを経営の中核に据え、ビジョンで示した「サステナブルなソリューションカンパニー」への変革を続けています。2020年に策定した中長期事業戦略構想では、持続可能な社会実現に向けた取り組みの強化や、100年に一度の大変革期と言われるEV 化やCASE※1・MaaS※2の加速などに代表されるモビリティ業界の構造変化、地政学リスク、DX(デジタルトランスフォーメーション)を含めた技術革新など、事業環境に対して冷静な危機感を持ち、変化をチャンスに変えるための方向性を示しました。取り巻く事業環境への対応と共に、自社の課題からも目を逸らさず、2015年から2019年までの当社業績を振り返り、利益低下の要因分析や経営課題をしっかりと認識した上で、事業戦略の枠組みを策定しました。今年、2023年に最終年度を迎える「中期事業計画(2021–2023)」(以下、21中計)では、その枠組みを具体的な計画へと落とし込み、グローバル経営チームで実行を進めています。21中計において目指しているのは、変化に対応できる「強い」ブリヂストンへの進化です。経営の軸として、「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、「将来への布石を打つ」の3つをグローバル経営チームでしっかりと共有し、着実に企業変革を進めています。

  1. ※1CASE( Connected:つながる、Autonomous:自動走行、Shared:共有、Electric:電動)
  2. ※2MaaS( Mobility as a Service:移動をサービスとして考える)

変化に対応できる「強い」ブリヂストンへ

その成果として、まさに“激動”の年であった2022年業績においても、売上収益は当社初の4兆円台、21中計で最重要経営指標としたROIC(Return on Invested Capital)は、「稼ぐ力の再構築」に注力してきた結果として9%超を達成、20年対比で約4%改善するなど、堅実な結果を残すことができました。21中計のターゲットとしているROIC10%以上達成に向かい、23年においても「強い」ブリヂストンへさらに近づくべく、グローバル経営チームが一丸となり歩を進めています。

人とモノの移動を支え続ける

しかし、当社が、変化に柔軟に迅速に対応しながら着実に成長をする一方で、当社を取り巻く事業環境も常に変化を続けています。中長期事業戦略構想で想定した変化が、さらに複雑で複合的に、加速度的に起こり続ける激動の時代となっていると感じています。特に22年は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した新たな国際秩序の形成、原材料・エネルギー価格の変動、急激な物価上昇などが次々と起こり、当社としても、地政学リスクの高まりによるビジネス影響や、サイバー攻撃を経験するなど、未曾有の危機を経験した年でした。しかし、この危機は当社にとって、変わりゆく事業環境の中で変わらないものを見極めるきっかけともなりました。危機をグローバルで乗り越える中で、如何なる変化が起こり続ける環境においても、人とモノの移動は変わらず存在し、我々ブリヂストンはそれを支え続けていくという想いです。ブリヂストンは、これからも、「最高の品質で社会に貢献」という使命の下、変化に対応し、新たな価値を創造することで、人とモノの移動を支え続けていくという決意と覚悟をより強く持つことができました。

そして、この「変化が常態化」する時代を生き抜くために、今、2031年– 当社の創立100周年へ向けた道筋を明示することが必要であると考え、22年8月に発表したのが「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」です。この道筋が示すのは、常態化する変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント“ブリヂストン。これまでの歴史の中で、日本からアジア、グローバルへと人々の移動と暮らしを足元から支え続ける中で培ったブリヂストンのDNA—「品質へのこだわり」「現物現場」「お客様の困りごとに寄り添う」「挑戦」を大切に、創立100周年へ向けてさらに進化させながら、グローバル経営チームがフレキシブル・アジャイルに「軸をブラさない経営」を推進していきます。

“新たなプレミアム”の創造 –ENLITEN–「究極のカスタマイズ」

「長期戦略アスピレーション」の柱は、断トツ商品の価値の増幅です。ブリヂストンの経営を力強く支えるコア事業は、これからも変わらず断トツ商品であるタイヤを「創って売る」プレミアムタイヤ事業。断トツ商品は当社の全ての起点であり、断トツ商品なしには、ブリヂストンのソリューションも育ちません。21中計では、プレミアム化・ソリューション事業連動への布石を打ち、次のレベルへの成長に向けた基盤を整えてきました。例えば、乗用車用タイヤについては、市販用タイヤの内、高インチタイヤの需要拡大を確実に取り込み、拡販、シェアアップを継続すると共に、お客様に断トツ商品の価値を認めて頂くことによる戦略的価格マネジメントを推進しています。

さらに、既存生産能力の中で、高インチタイヤに対応する生産設備置換を進めるなどの投資も実行しており、トラック・バス用、鉱山用、二輪用タイヤについても、プレミアム化へ向けた生産強化投資を推進しています。今後、この基盤の上に、需要起点ではないブリヂストン独自の“新たなプレミアム”の創造に本格的に着手していきます。そのベースとなるブリヂストンの「モノ」基盤技術が、商品設計基盤技術と位置付けたENLITEN(エンライトン)、モノづくり基盤技術であるBCMA(BridgestoneCommonality Modularity Architecture)の2つです。ENLITENは、乗用車用タイヤにおいては“EV 時代の新たなプレミアム”、トラック・バス用タイヤにおいては“循環ビジネス時代の新たなプレミアム”として、従来のタイヤ性能を全て向上させた上で、サステナビリティへ繋がる環境性能、それぞれの市場やお客様のご要望によって顕在化している要求(ニーズ)、潜在的な要求(ウォンツ)、さらには当社が市場・お客様が想像もしえない新たな価値を提供する性能(インスパイア)をカスタマイズして大幅に向上する、一言で言うと「エッジを効かせる」ための「究極のカスタマイズ」を実現する基盤技術です。この「究極のカスタマイズ」を支えるモノづくり基盤技術として、タイヤを構成するモジュール(部材)を3つに集約し、それを異なる商品間で共有するBCMA(Bridgestone CommonalityModularity Architecture)の展開を進めていきます。モジュール共用により開発・サプライチェーンをシンプルにすることで、コスト最適化と開発・生産におけるアジリティ(変化に素早く対応できる機敏性)を向上することが可能となります。この「モノ」基盤技術の融合(フュージョン)により、価値創造と競争優位獲得の融合へ挑戦していきます。

商品設計基盤技術 ENLITEN(エンライトン)

そして、価値創造、競争優位の獲得に向けて、最も重要なのは、これらの基盤技術を使いこなす力です。技術から機能へ転換し、機能からタイヤ各性能のベネフィットに転換し、その個々のベネフィットを的確に組み合わせた商品力の構築と、それを企画することができる商品企画力の強化が、今後の肝だと考えています。特に、ENLITENにより「究極のカスタマイズ」が可能となるニーズ、ウォンツ、インスパイア性能の内、インスパイアの部分が重要です。ブリヂストンが独自の”新たなプレミアム“を創造していけるのか否かは、当社の技術・想いを新たなベネフィットに変換し、市場・お客様が想像も出来ない価値創造、従来発想をブレイクスルー(打破)しインスパイアさせる(直感を呼び覚まさせる)商品を提供することができるかにかかっていると思います。その実現に向けては、一つ一つの商品計画をグローバルで見直し新たに企画すると共に、組織体制の構築、商品企画人財の多様化も推進していきます。

ブリヂストン流モビリティエコシステムの構築へ向けて

断トツ商品の価値を増幅するソリューション事業の拡大・強化も、当社の成長における重要な要素です。ブリヂストンのソリューションは、社会やお客様の困りごとに寄り添い、解決することを目指しています。強いリアルとデジタルを組み合わせ、小売サービスソリューションネットワーク拡充や、リトレッドなどのタイヤセントリックソリューション強化、デジタルによる車両運行管理を中心にしたモビリティソリューションを推進していきます。ソリューション事業の展開については、デジタルパートナーや当社内の異なる地域間・部門間における共創も必要です。クラウドとの連携や、モビリティ先進地域である当社欧米ソリューション組織を統合するなど効率化も含めて、活動を推進していきます。実行にあたっては、現在、ソリューション一つ一つについて、サステナビリティを含めた独自の価値創造の観点からフォーカスしてリソースを投入すべきことの見極めを行っています。

このような活動を通じて、プレミアムタイヤ事業とソリューション事業を深く連動させ、断トツ商品の価値増幅を加速していきます。そして、その価値の増幅により、社会・パートナー・お客様との信頼も増幅し、新たな価値創造を共に進めていければと考えています。共創を生むことで、ブリヂストン流のモビリティエコシステムを構築し、クルマを支え、車両運行システムを支え、将来的には、社会・モビリティシステム全体を支えることにも挑戦していきます。

経営の中核はサステナビリティ

経営の中核に据えているサステナビリティについては、商品を「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」という、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化・サーキュラーエコノミーの実現にフォーカスする取り組みと、ビジネスモデルを連動させるブリヂストン独自のサステナビリティビジネスモデルの確立を進めています。

ブリヂストン独自のサステナビリティビジネスモデル

カーボンニュートラル化については、2050年カーボンニュートラル化、2030年CO2排出量50%減(Scope 1–2、2011年対比)に向けて、22年は約30%減を達成。また、工場のグリーン化、スマート化を図るグリーン&スマート工場の実現に向けても、スタートを切っています。Scope 3についても、サプライヤーエンゲージメントの強化など着実に取り組みを進めています。サーキュラーエコノミーについては、2050年の100%サステナブルマテリアル化、2030年の再生資源・再生可能資源比率40%の達成へ向けて、商品戦略やリトレッドと連動した活動を強化しています。22年は、再生資源・再生可能資源比率約38%を達成しました。また、タイヤを原材料に「戻す」リサイクル事業、天然ゴム資源の多様化を図るグアユール事業は、このサーキュラーエコノミーの実現へ向けて、探索事業として共創をベースに、早期事業化を目指して強化していきます。さらに、新たにネイチャーポジティブへ向けたアプローチも強化し、サステナビリティビジネスモデルをより循環型・再生型へと進化させ、自然共生へ向けても一層力を入れていきます。サステナビリティへの取り組みをバリューチェーン全体で推進することは、タイヤ・ゴム業界のリーディングカンパニーである当社の役割であり、責任であると考え、事業戦略の中にしっかりと組み込み、持続可能な社会実現へ向けた活動の輪を広げていきます。

多様な人財が輝く場を実現 –人的創造性の向上

このような事業戦略を支え、全ての企業活動の基盤となるのは人財です。当社は、「過去の課題に正面から向き合う」中で、特に日本においてアジャイルな意思決定、戦略の実行を担保する組織体制のシンプル化、女性基幹職(管理職)の登用推進など、事業戦略と連動して人財を大切にする活動を進めてきました。

人的創造性

長期戦略アスピレーションにおいては、「人財投資を強化し、付加価値を上げ、価値創造の好循環を生む」という考え方をベースに、人的創造性向上に向けた取り組みをより一層強化することを決めています。人的創造性をグローバル経営指標の一つとして、「中期事業計画 (2024–2026)」(以下、24中計)から導入することを前提に、23年を試行の年としました。グローバル共通の基本フォーミュラを設定し、グローバルでの推移を把握しながら、地域別・国別の課題に向き合っていきます。特に日本においては、DX人財の育成強化、リスキングを含めたデジタル研修の拡充や、現場での経験を積むことを後押しする「現場100日チャレンジプログラム」などに加え、継続した福利厚生、生産現場を中心とした職場環境改善への人財投資を強化していきます。更に、次世代グローバル経営人財育成に向けても、100名の次世代経営層候補を選出し育成を強化するプログラムBridgestone NEXT100を設置しています。

また、多様な人財が輝く場の提供に向けた取り組みも推進しています。その一つの活動として、探索事業の一つである、ゴムの力ですべての人の生活を支えるソフトロボティクス事業を、23年から社内ベンチャー化。起業家精神を持った多様な人財が集結しています。ブリヂストンのコアコンピタンス(強み)を活かし、ゴム人工筋肉を使ったソフトロボットハンドで物流現場の困りごとなどを解決するべく、同じ志をもったパートナ―との共創を含めて、活き活きと活動を進めています。このような、新たな挑戦の雰囲気が社内で醸成され、個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝き、会社の成長、従業員一人ひとりの成長の実現が両輪をなすものとなるよう、様々な取り組みを進めていきます。

中期事業計画(2024–2026)策定進捗/次のステージへ

22年8月に長期戦略アスピレーションを発表して、まだ1年も経っていませんが、既に様々な面で事業環境は変化しています。しかし、当社グループは示した道筋に沿って、グローバル経営チームで軸をブラすことなく、フレキシブルにアジャイルに経営を進めていきます。その軸は、「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、「将来への布石を打つ」の3つであることは変わりません。

23年は、21中計の最終年度であり、24中計での成長へ向けた基盤を構築する年でもあります。21中計、長期戦略アスピレーションを経て、当社が取り組むべきことの明確化・具体化が各段に進み、次のステージへ成長する重要なフェーズが24中計です。

経営スタンスは、“PASSION” for Excellenceへ

24中計へ向けては、21中計での成果を踏まえながら、経営課題を一つ一つ洗い出し、次のステージへ向けて様々な進化を図っていきます。経営スタンスは、COVID-19に端を発し、グローバル共通課題解決にフォーカスした「危機」から、この先の成長へギアを入れ替え、人とモノの移動を支え続けるブリヂストンの情熱を体現する「PASSION for Excellence」へシフトしていきます。

戦略構築・経営管理は、共通課題に対するグローバル戦略主導から、リージョナル個別課題にも深く入り込み、次のステージへ向けた成長のために「やること」「やらないこと」を一つ一つしっかりと見極めていきます。21中計でフォーカスした稼ぐ力は、再構築フェーズから強化のフェーズへレベルアップすると共に、戦略的成長投資は、グローバル・リージョナル戦略の整合性を担保し、リソース投入する事業・財・地域を確実に見極めた上で、強化・拡大のステージへステップアップします。

これらをベースにビジネスステージは、強化・拡大する事業・財・地域を明確に特定し、
① サステナブルなグローバルプレミアムタイヤ事業強化
② 新興国・成長マーケットのプレミアムタイヤ事業化
③ スペシャリティタイヤ「 断トツ」ブレミアム事業へ
④ 成熟国中心でのタイヤセントリックソリューション事業拡大
⑤ 北米 モビリティテック事業構築

の5つに分けて具体化していきたいと考えています。23年を通じて、24中計を具体化し、24年3月1日、当社の創立93周年の記念日にステークホルダーの皆様へ発表させて頂く予定にしています。「人とモノの移動を支え続ける」ための新たな価値創造の具体像について、グローバル経営チームで検討を進めていきます。

ブリヂストンモータースポーツ活動60周年「極限」へのジャーニー

24中計の経営スタンスに据えたパッション(情熱)の醸成、24中計における成長に向けては、「原点」に立ち戻ることも大切にしていきたいと思っています。タイヤメーカーであるブリヂストンとしての「原点」は、モータースポーツ活動。1963年の第1回日本グランプリへ参戦してから、23年で60周年を迎えました。

当社にとってモータースポーツは、「極限への挑戦」です。ドライバーが極限の状態で挑戦を繰り返すモータースポーツの中で、「タイヤは生命を乗せている」を大原則に安心・安全を守り、クルマの動きを支えるための挑戦を繰り返してきたことで、「人とモノの移動を支える」というパッション、ブリヂストンとしての誇り、ブリヂストンDNA、技術力、タイヤの生産・供給といったオペレーションの総合力、ブランド力、人財育成を磨き上げてきました。モータースポーツは、当社がグローバルでプレミアムタイヤ事業の基盤を築いた原動力であり、今後の経営を進化させていく起点ともなると思っています。60年の歴史の中で日本から世界へと挑戦の場を広げ、90年代にはF1®モナコグランプリ、米国のIndianapolis 500®、ル・マン24時間耐久レースという世界3大レースを磨き上げた技術を結集したタイヤで走り、表彰台を獲得しています。

現在は世界のサーキットから遠ざかってしまっていますが、この60周年を節目として、カーボンニュートラル化やサーキュラーエコノミーの実現などのサステナビリティへの取り組みにおいても極限を実現するサステナブルなグローバルモータースポーツ活動を強化していきたいと考えています。この「極限のグローバルジャーニー」に再度足を踏み出し、安心・安全で楽しいクルマ文化、モータースポーツ文化の発展にも貢献していきたいと考えています。

共に楽しむ、感動する/「共感から共創へ」

モータースポーツ活動を通じて、これまで世界中の多くの仲間とたくさんの出会いがありました。共に楽しみ、感動を共有することで、当社の「極限への挑戦」に共感を頂き、様々な繋がりの輪を広げられたと思っています。そして、この感動の共有から始まる共感は、共に新たな価値を創る「共創」へ繋がるものだと確信しています。今後の当社の成長へ向けては、この「共感から共創へ」の輪を広げていくことが不可欠です。「原点」に学び、今後も多くのパートナーの皆様と一緒に価値を創造する挑戦を続けていきます。

従業員、社会、パートナー、お客様と共に価値を創出、持続可能な社会を支えることにコミットする

22年に制定した企業コミットメント「Bridgestone E8Commitment」(以下、E8コミットメント)は、ブリヂストンらしい「E」で始まる8つの価値を、ブリヂストンらしい目的と手段で、従業員・社会・パートナー・お客様と共に創出し、持続可能な社会を支えることにコミットするものです。

そして、このE8コミットメントを通じて、多くのステークホルダーの皆様にも共感を頂き、様々な「共感から共創へ」繋げる活動を進めています。原材料調達から生産までのバリューチェーン全体でのサステナビリティにむけた取り組みや、断トツ商品の価値を増幅するソリューション事業の拡充、デジタル領域など、様々な分野で当社の挑戦へ共感を頂き、サステナビリティを中核として、様々なパートナーの皆様との共創を強化していきたいと思います。そのための新たな価値創造の場として、Bridgestone Innovation Parkを構築し、22年に本格稼働させています。22年には約1,000名のお客様・パートナーの皆様にご来館を頂き、約200件の共創の芽が生まれ、10件の共同研究が開始しました。株主の皆様、投資家の皆様へも、透明性の高い情報開示を目的に、24中計策定進捗など、長期戦略アスピレーションに沿った経営戦略についての対話の場を今後も充実させていきます。

また、E8コミットメントは、従業員エンゲージメントを高め、新たな企業文化の創造へも繋がっています。22年に実施したWEB上での社内調査においては、回答した従業員の内、約9割がE8コミットメントを認知し、8割が理解、7割が共感すると答えています。従業員一人ひとりが自ら8つの「E」の実現に向けて何ができるか考え、行動を起こし始めています。最も重要なステークホルダーであるグローバル従業員が、それぞれの職場・立場において、8つの「E」の実現に向けた様々な提案・活動を始めていることは、経営としても非常に嬉しく思います。ブリヂストンは、E8コミットメントを「未来からの信任を得ながら経営を進める軸」、企業活動のベクトルとしながら、今後もグローバル13万人の従業員と共に持続可能な社会を実現し支えるため、前進していきます。

共創への招待

本年のレポートにおいては、変革の道筋とする「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」の具体像、進捗をお伝えすることにしています。皆様に当社の進もうとしている道筋をお示しすることで、新たな価値を創造しながら、持続可能な社会を実現し、支えるジャーニーを共にできるきっかけとなることを願っています。ブリヂストンは、人とモノの移動を支え続けるというパッションを胸に、「変化が常態化」する時代においても、変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに変化をチャンスに変えることで、サステナブルなソリューションカンパニーへの変革を加速していきます。

石橋 秀一
取締役 代表執行役 Global CEO