スタッドレスタイヤのスベらない話。しろくま編 (くっつく性能のヒミツ)

 スタッドレスタイヤの開発に貢献したのはヤモリだけではありませんでした。前回、ヤモリの手のひらが氷雪路性能を高めるためのヒントになったというエピソードを紹介しましたが、さらに別の動物がその研究開発にヒントを与えていたというのです。その動物とはいったい?スタッドレスタイヤの開発者である山口宏二郎が今回も面白い話を聞かせてくれました。

 「ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「BLIZZAK(ブリザック)」は発泡ゴムを採用し、最初のモデルから最新のモデルまで気泡を核に水膜除去の機能を進化させています。世界のタイヤメーカーが種々のタイヤを開発していますが、我々ブリヂストンは独自の発泡ゴムを採用したスタッドレスタイヤを生み出しています。この発泡ゴムという独自の技術を生み出すヒントになったのは、実はシロクマだったんですよ」

 「シロクマはあんなに大きな体ですが、氷の上でも雪のうえでも器用に歩いていきます。水中から氷の上にあがるようなもっとも滑りそうな場面でも彼らはへっちゃらです。そこに着目した私たちはシロクマの手も研究しました。すると、ここに大きな発見があったのです。実は彼らの手はざらついた表面になっていて、これと同じようにタイヤの表面に凹凸を構成できれば氷上での性能を向上できるのでは?という想いが、発泡ゴムの真価を知る原点だった。滑りの原因である氷上の水膜をシロクマの手のひら同様に取り込んでタイヤを氷路面に密着させるということだったんです。」

発泡ゴムが水を除水するイメージ

*イメージ図

 タイヤに気泡を入れるという前代未聞の技術開発は当初失敗の連続だったということですが(この話は次回にお伝えしましょう)、試行錯誤のうえ誕生した発泡ゴムの技術は氷上での性能を向上させるひとつの答えになったのです。さらに気泡のおかげで、空気ばねのようにタイヤを柔らかくしっかりと路面に密着させることにもつながりました。また、タイヤがすり減ってもすぐに新しい気泡が現れ、3年後、4年後もその性能が持続するという氷雪性能や、乗り心地や騒音といった様々な性能に対してメリットを持つタイヤになりました。

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