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自分がプレーする姿によって、やればできる! と伝えたい

小倉理恵

  • インタビュー
  • パラバドミントン
小倉理恵

パラバドミントンに競技として向き合い、国内外での大会で優勝するなど、順調にキャリアを積み重ねてきた小倉理恵選手。2018年にブリヂストンに入社し、仕事においてもアスリート活動に向き合えるようになり、これまで以上に競技に集中できる環境が整った。目指すは東京2020パラリンピックでのメダル獲得。そのために今、できることとは?

ノートをつけて、モチベーションをアップ

2018年にブリヂストンに入社して以来、小倉選手は午前中に仕事をこなし、午後は練習に専念する生活を続けてきた。その結果、自然と競技に対する責任や選手としての自覚が生まれた。勝ち負けに貪欲になることで習慣が変わり、さらなる成長を促すためにノートをつけるようになったという。

「ノートの内容は、こういうポイントをおさえるとこういうショットが打てるようになるといった技術面のことや、その日どういう気持ちで取り組み、どういう成果が出てきたというメンタルに関すること、この1週間や1ヶ月はどうだったのかという期間を区切った振り返りなどです」

思ったことや感じたことをノートに書くことで、自分に向き合う時間が増え、客観的に自分のことを見られるようにもなった。すると気持ちが整理しやすくなり、落ち込んだ時に見返すとモチベーションがあがる。ちょっとした習慣が、大きな力に変わっているのだ。

コーチの存在が、心身を支える

小倉選手にとってパーソナルコーチは心強い存在だ。選手としての自覚が生まれたのもコーチのおかげであり、プレーに関しても細かい技術が少しずつ身についてきた。

今でも印象に残っている言葉がある。日本での国際大会で、次の試合に備えて自分なりに気持ちを切り替える行動をとっていた時のことだ。小倉選手はコーチに呼び出された。そして、「試合が終わったら毎回コーチのところに来て、試合の振り返りと次に向けた戦略のアドバイスを聞きに来るべきだ」と言われた。

「自分ひとりで戦っていたわけではなかったんですね。コーチに試合内容を毎回報告してアドバイスをもらい、もっと勝ちに貪欲にならなきゃいけないなと反省しました」。

小倉理恵選手

格上選手との試合によって、成長を実感

世界の第一線で戦えるようになった今でも、思い通りにできないことのほうが多い。そんな時はできるようになった自分を想像したり、絶対にできるようになると自分で自分を信じたりするようにしている。

「以前は気持ちの面で淡々とプレーしていましたが、今は自分が決めた時や、たとえアウトになっても攻撃的なプレーの結果であれば、"よしっ!"と声を出して、自分を奮い立たせています」。

2020年2月にブラジルで行われた試合で、自身の成長を実感する出来事があった。対戦相手は世界ランキング2位。小倉選手は8位。明らかに格上の相手だった。

「できれば勝ちたいけど、まずはとにかくぶつかってみようという気持ちで挑みました。それがよかったのか、緊張しているけどカラダは固くならず、滑らかに動きましたし、頭がクリアで邪念もなく、シャトルがゆっくり飛んでくるように感じました」。

この試合について、実力の120%のプレーができたと小倉選手は話す。

「いつもだとこのラリーをとられたらまずい、点差が開いたらどうしようと、プレー中に焦りが出てきますが、この試合では点数を気にすることもなく、自分のプレーに集中できたんです。その結果、ほどよい緊張感でいわゆるゾーンと呼ばれる状態に入ることができたのかなと思います。この一戦は、自分の自信にもつながりました。それまでは大会が多い日々が続き、練習の時間がなかなか取れませんでしたが、それでも日頃の成果を感じることができました」。

子どもたちとの絆が日々の原動力

家庭と仕事と競技。すべてを並行して継続する上で原動力になっているのは、長男と長女、ふたりの子どもたちの存在だ。

「子どもたちは習いごとをやっています。例えば、娘は水泳を習っているんですが、自己ベストを出したりすると私も負けてられないし、子どもにも自分が頑張る姿を見せなきゃなと思います」。

コロナ禍で在宅時間が増えたことで、家庭でのコミュニケーションが多くなり、子どもとの団結力が強くなった。

「ひとりひとりが頑張ろうという雰囲気を感じます。これまでは宿題をしなさいと言われなければできなかったことが、自らやらなきゃと気づいてできるようになったり、水泳が休みの日でも練習のためにプールに行ったりすることが増えました」。

子どもたちからは、金メダルを取りなさいといつも言われている。

「メダルを持って帰ると子どもたちも喜んでくれて、メダルを首にかけてくれた姿を見ると嬉しい気持ちになります。ただ、銅メダルだと子どもたちの反応がイマイチで、娘には"また銅メダルなの!"と言われます。でも、息子が"ママも頑張ったんだからいいでしょ!"とフォローしてくれるんです。娘はいつも厳しいので(笑)、もっと上を目指さなきゃという気持ちが芽生えますね」。

今の目標は、来年開催される東京2020パラリンピックでメダルを獲得すること。子どもたちをはじめ、支えてくれている人たちのためにメダルを持ち帰り、本当にメダルを獲ってきたねと喜んでもらえたら最高だ。

小倉理恵選手

メダル獲得に向けて、今できること

東京2020パラリンピックでメダルを獲得するために、コロナ禍でも体力が落ちないよう持久力の維持や向上に励んでいる。加えて、苦手としているバドミントンの技術的な練習にも取り組む毎日だ。

「私はいきなりできるようになるタイプではないので、継続は力なりだと思って、日々の積み重ねでひとつひとつを大切に向き合っています」。

午前は在宅勤務をこなし、午後は体育館に出かけて13時から17時まで4時間の練習を続けている。メニューは、前半が車いすを操作するチェアワークの向上、後半が技術の練習だ。今は基礎体力をつけるために、チェアワークに時間をかけている。

「体育館で練習ができない日は、心拍をあげるためのトレーニングとして家の周りを杖で歩くこともあります。技術面では、自宅で電源を切った状態のテレビに写る自分を見ながら素振りをして、フォームの改善に取り組んでいます」。

延期はレベルアップのチャンス

東京2020パラリンピックの1年延期が決まった時は、残念な気持ちよりもチャンスという思いが強かった。日本ランキングが1位ではなく、2位ということもあり、メダル獲得に対して確信が持てていなかったのだ。

「延期になったことで、実力を磨く時間が増えたと思っています。今はコロナ禍のために国際大会が行われていないので、手応えを確かめる機会はありませんが、レベルアップは確実にできていると感じます。例えば、私は車いすを動かすスピードは速いのに、それを活かすことができていませんでした。でも、練習を重ねるうちに、より無駄のない動きができるようになり、相手が自分の前にシャトルを打ってきた時に、以前よりも高い位置でシャトルに触れられるようになったんです」。

課題をひとつ克服するごとに、メダルへの距離が少しずつ縮まっていく。本番までにどこまで近づくことができるのか? 小倉選手の挑戦は続く。

小倉理恵選手

運命のパラリンピック

パラリンピックが東京で開催されることに運命的なものを感じている。実はもともとパラバドミントンはパラリンピックで実施される競技に入っていなかった。東京2020大会で初めて採用された競技である。生まれたタイミングが違えば、パラリンピックに挑戦する機会すらなかったかもしれない。

「みなさんにたくさん恩返しができるチャンスができたことが嬉しいですね。選手も応援してくださる方もそれ以外の方も、不安が大きいと成功しないと思います。だから、なにより安心して開催できるように今のうちからしっかり考えて行動していきたいです」。

多くの人に踏み出す勇気を与えたい

東京2020パラリンピックに出場できた時には、支えてくださって本当にありがとうございますという感謝の気持ちを一番に伝えたいと話す。

「私はもともとスポーツをやってこなかったし、運動神経もよくないんです。でも、車いすを使ったパラバドミントンと出会ったことで、身体の機能が向上しましたし、考えたり学んだりする機会も増え、自分の視野が広がって精神的にも成長できました。だからこそ、今までなにもやってこなかった方も、私のプレーを観たことをきっかけに、なにかに一歩踏み出してくれたら嬉しいです。やればできる! と自分を信じてやってみてほしいんです」。

小倉選手が懸命にプレーをする姿が、世界中の人たちに勇気や希望を与える。その絶好の舞台が、刻一刻と迫っている。

小倉理恵選手

PROFILE

小倉理恵

小倉理恵RIE OGURA

1986年埼玉県出身。高校1年のころ、ダイエット目的で通っていたスポーツセンターの仲間に誘われバドミントンを始める。先天的に関節の可動域が少ない「先天性多発症関節拘縮症」で20歳の頃から車いすを使うようになる。23歳のころ、バドミントン仲間から大会でダブルスを組まないかと誘われたのをきっかけに、競技として本格的に取り組むようになる。東京2020パラリンピックでは金メダル獲得を目指す。

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    パラアスリート歌絵巻

    パラアスリート歌絵巻

    講談風ロックと現代版の浮世絵でパラアスリートの道のりを描き出した映像作品。

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