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佐藤琢磨 x 近谷涼 「あなたのCHASE YOUR DREAM」

  • 対談
  • 自転車競技・トラック

10月24日から11月4日までの12日間にわたって開催されたイベントで、レーシングドライバーの佐藤琢磨選手とTEAM BRIDGESTONE Cyclingの近谷涼選手を迎えたトークショーが行われました。

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佐藤琢磨

1977年生まれ。 東京都出身。学生時代の自転車競技から一転、20歳でレーシングスクールに入り、モータスポーツの世界へ。2002年にF1デビューし、2004年アメリカGPにて表彰台に上がる。2010年からはインディカー・シリーズにチャレンジし、2013年ロングビーチGPにて日本人初優勝を成し遂げ、世界最高峰のレースと言われるF1とインディカー両方で表彰台に上がった唯一の日本人ドライバーとなる。更に2017年は世界三大レースの1つと言われるインディ500で優勝。2019年は1シーズンで2勝をおさめ、インディカー・シリーズ通算5勝となる。

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近谷涼

1992年生まれ。富山県出身。2019年全日本自転車競技選手権大会にてチームパシュートで日本新記録を更新。2020年アジア自転車競技選手権大会トラックにて同種目で優勝。2017-2018 UCIトラックワールドカップ第4戦 においても同種目で銀メダルを獲得。
プロフィール・主な戦歴

夢に向かって邁進するふたりの熱いトークショーが開催。

トークテーマは「あなたのCHASE YOUR DREAM」。CHASE YOUR DREAMとは、さまざまな困難を乗り越えながら、夢に向かって挑戦し続けるすべての人の挑戦、旅(Journey)を支えていくというブリヂストンの思いを表現した言葉です。そして、そのメッセージを体現する近谷選手と、この姿勢に共鳴する佐藤選手のふたりに、2019年を振り返りながら、その先の夢や抱負を語ってもらいました。佐藤選手は、学生時代に自転車競技の選手として活躍。20歳でレーシングスクールに入り、モータースポーツの世界へ。フォーミュラカーの世界最高峰のレースと北米最高峰のレースの両方で表彰台に上がった唯一の日本人ドライバーです。近谷選手は高校時代から自転車競技をはじめ、2018年にはマレーシアで行われたアジアの国際大会チームパシュートで、アジア新記録で優勝。個人パシュートでは日本新記録で優勝し、2冠を達成。東京2020オリンピックでのメダル獲得を目指しています。

今、まさに活躍中の選手同士のトークショーということもあり、ステージ周辺には開始前から多くのファンが集まりました。そして、拍手に迎えられながら、佐藤琢磨選手、近谷涼選手が登壇すると、いよいよトークショーのスタートです。

2019年は、目標だった複数戦での優勝を達成できてよかったです。(佐藤)

― 2019年も残りわずかですが、
振り返るとどんな年になったと思いますか?

佐藤:「良いシーズンだったと思います。アップダウンはありましたが、北米最高峰のフォーミュラカーレースでシーズン2勝をあげることができて、当初の目標だった複数戦の優勝を達成できたことはよかったです。同時に課題もたくさん残りまして、ランキングでいうと序盤は3位まで上がり、最終戦も6位に位置していたのですが、アクシデントで貴重なダブルポイントを失って、大きく落ちてしまったのは悔しかったですね。レースは相手があってのことなので、自分たちの実力とパフォーマンスもさることながら、戦略に加えて、運も味方にしなければいけません。そのためには、運がいい時にそれをつかめるポジションにいることが重要なので、やはり常に上位で頑張らなければいけないんですよね。アラバマ州バーミンガムで行われた第3戦で優勝した時はポールトゥフィニッシュと言いまして、予選で一番になり、決勝でのポールポジションを獲得。そこからそのまま優勝できました。個人的に、初の完全制覇を達成できたことは、本当に嬉しかったです。イリノイ州マディソンで開催された第15戦での2勝目の時は前のレースで大事故に巻き込まれて、精神的にも凹んでいる状態からチームが一致団結してくれて、奇跡のようなカムバックでの優勝だったので、これも忘れられない勝利になりました」

― 近谷選手は2019年を振り返っていかがですか?

近谷:「いつもはトラックレースをメインに活動していますが、今年はロードレースにも出場する機会が多くて、その両方を年間通して走ってきました。忙しかったけど、充実した1年間になりましたね。中でも一番重点を置いていた日本でトップの大会で、東京2020オリンピックの種目にもなっているチームパシュートにおいて日本新記録で優勝することができ、個人種目でも2位という成績をおさめることができました。さらに先日終わったばかりの、世界大会に向けてアジアチャンピオンを決める国際大会に日本チームとして出場し、優勝することができました。前回の同大会では、ライバルである韓国チームに少し差をつけられて負けてしまい、それからずっと絶対に次は勝とうという思いで日本チームは練習をしてきました。その結果、今回はラスト1周を前にして、韓国チームを抜かして雪辱を果たすことができ、日本から応援にかけつけていただいたみなさんにも喜んでいただけたので、すごく嬉しかったですね。今回は重要な大会で、これを勝ったことでやっとスタート地点に立てたといいますか、これを励みに今後の世界との戦いでも好成績を目指していきたいと思います」

母校の高校生と一緒に合宿を行い、原点を振り返りました。(近谷)

― 近谷選手は優勝を経験されて今に至るわけですが、
過去にはパシュートをやめようと思ったこともあったんですよね?

近谷:「はい。TEAM BRIDGESTONE Cyclingに移籍して初年度の国内大会の直前にスランプに陥りました。自転車が楽しくなくなって自分を見失いそうになった時期があって。でも、前年の同大会で同じ種目で優勝していたので、どうしても連覇したかったし、チームにいいところを見せたかったんです。そこで一度実家に帰って母校の高校生と一緒に合宿をさせてもらいました。原点を振り返って、自分はどうして自転車をやっているのかとか、目標をもってやっていることを再確認して全日本に出場し、なんとか優勝することができました」

― 佐藤選手も、長いレース人生の中で
スランプに陥った経験はありますか?

佐藤:「世界最高のフォーミュラカーの大会で一番成績が良かったのは2004年なんですが、その翌年は、まさに悪夢のシーズンでした。状況を改善させようと頑張れば頑張るほど空回りしてしまって辛かったです。でもそんな時でも、決して諦めずに挑戦を続けることは大切だと思いました。周りのスタッフからの支えも大きかったです。特にモータースポーツの場合は、携わるスタッフの数がすごく多くて、彼らが頑張っている姿を見ると、彼らのためにも100%の力で走りたいなと思えるんです。あと、一度でもトップを走ったことがある選手は、言葉では言い表すことができないような達成感と喜びの境地を経験していまして、それを一度味わってしまうと負けている状態でやめるわけにはいかないんですね。うまくいかない原因をしっかりと究明して克服することで、必ず結果に跳ね返ってきますから、それを続けていけば勝てるはずだという前提で行い、勝った時の喜びは本当に素晴らしいので、それを味わうために続けていられるっていうのはありますね」

モータースポーツも自転車も、ともに車輪を駆動して走るという意味では同じなんです。(佐藤)

― 近谷選手はTEAM BRIDGESTONE Cyclingに入られて、
機材はどう変わりましたか?

近谷:「僕たちは1日中ほとんど自転車に乗っているんですが、自転車ひとつで、走りや進み方が大きく変わるんです。自動車で言うと、新車に乗り換えたぐらいの変化。そういう意味で今回の自転車は、タイムを縮める大きな要因にもなっていて、勝利にかなり貢献してくれています。まさに相棒のような存在ですね」

― 機材の変更が選手にもたらす影響はすごく大きいと思いますが、
モータースポーツの世界でもギアやタイヤは
すごく重要な存在ですよね。

佐藤:「ものすごく重要ですね。モータースポーツも自転車も原動力になる部分が人間かエンジンかの違いだけで、基本的に車輪を駆動して走ります。そのため、機械的な抵抗と空気による抵抗が、最も大きな抵抗になるんですね。空気抵抗を削減するために、フレームもエアロダイナミクスに優れた形にするんですが、その際に人間が乗った状態での風洞実験をたくさんやる。それは僕らレーシングマシンも同じです。スピード域がすごく高いから、空力はすごく大事にします。ただし、どんなに上物を上手に作ってもタイヤの性能がよくなかったら、それを伝えることができません。パワーを路面に伝える唯一の手段がタイヤで、自転車の場合はグリップだけじゃなくて、軽さだったり、真円であったりすることも重要です。しかも空気圧をものすごくあげるので接地面積がとても小さいんですね。だから転がり抵抗とグリップの両立は重要です。モータースポーツの場合は、とにかくグリップ力にフォーカスします。極端な話、コーナーごとにタイヤは摩耗していき、レース中、生き物のようにどんどん変化していきます。だからそのタイヤをどう使い切るか。タイヤの性能を100%引き出す作業はとても重要です」

テクノロジーだけでなく、人間と機械の呼吸も重視しています。 (佐藤)

― ここまでのお話を聞いて、モータースポーツと自転車競技、
いろいろな共通点があると感じましたが、あらためて佐藤選手、
どんなところが共通点としてあげられますか?

佐藤:「共通点は最先端のテクノロジーを駆使して開発し、それをパフォーマンスにして結果に落としていく。さきほどのフレーム開発に関しても当然空力性能を重視しますが、いかに人間の脚力を推進力に変えるかも重要です。脚力や全身から発生する異なるパワーの出方を回転運動で行うんですけど、踏み込むとフレームがよじれてねじれてしまうわけです。だからフレームの剛性も大事ですが、硬ければ硬いだけいいってことでもないんです。跳ね返ってくる感じが、おそらく近谷選手はオーダーメイドでやっていると思いますが、ちょうど自分のペダリングとケイデンスとトルクにぴったり合ってくれると大きな推進力になるんですね。僕らも当然マシンのドライバビリティ、机上の計算だけでベストなものが果たしてトラック上でのパフォーマンスにつながるかというとそうではないんです。コンピュータの中でのシミュレーションと、人間が操る、特に気象条件が変わったり、タイヤのグリップが変わったり、路面が変わったりする中でベストを引き出すには、ドライバビリティという、扱いやすさとか、人間と機械の呼吸というところもすごく重視していきます」

― 近谷選手はいかがですか?

近谷:「僕は自転車競技を始めて14年ほど経ちますが、高校や大学にあった昔の自転車を見ると、30年前、20年前、10年前とどんどん自転車が進化しているのがわかります。形状や重さ、剛性、カーボンの素材などが改善され、それとともにタイムも上がってきて、僕らの中では更新できないと思うタイムでも、毎年世界記録が更新されているんですよ。それは単純に人の力もあるんですけど、機材の技術の進化も大きいと思います」

応援してくださるみなさんにも喜んでもらえるように、夢に向かって走っています。(近谷)

― おふたりの夢の先、夢に向かって挑戦することについて
教えてください。

佐藤:「最終的には楽しいってところにかえってくると思うんですよね。夢って考えるだけで楽しいし、それを実現したら楽しいっていう領域を超えてしまうほどの喜びがある。そして、特にここ最近感じるようになってきたのが、自分だけじゃなくて周りにいる人たちにも楽しくなってもらう、元気になってもらうってこと。自分の目標を達成するためにファンのみなさんも含めて、本当にたくさんの方がサポートしてくれて、それがひとつになって勝ったことの喜び、それが最終的には生きるエネルギーになって、その先につながる次世代の子たちへのバトンタッチができるわけですから、自分もいけるところまでは夢を常に持ち続けていきたいなと思っていますし、それが自分の走る原動力になっています」

近谷:「今チームブリヂストンでは、"CHASE YOUR DREAM"を掲げて活動しています。結果を残すことで僕たちも喜び、その結果に対して応援してくださるみなさんも喜んでくれるように、みんなで夢に向かって走っているのが現状です。これから自転車競技をさらに盛り上げていきたいですね」

最後は質疑応答のあと、みなさんへのメッセージとして、近谷選手は「自国開催の東京2020オリンピックに出場し、メダル獲得に向けて走っていきますので、応援よろしくお願いします」と力強く宣言。佐藤選手は「2020年は近谷選手がオリンピックでメダルを獲るところを、ブリヂストンジャージを着て応援するのが僕の夢です。頑張ってください!」と近谷選手を激励し、ふたりのトークショーは幕を閉じました。

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    東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の公式ウェブサイトです。

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