ガバナンス

コンプライアンス・公正な競争

ミッション

コンプライアンスと誠実さにより
卓越した存在になる
私たちは、倫理的に意思決定し、業務全般で責任ある事業活動を実行することによって、全てのステークホルダーの皆様と信頼を築きます。

ブリヂストンは倫理的意思決定、コンプライアンスの遵守、事業のあらゆる面で誠実であることを追求しており、そのことが、ブリヂストンの使命「最高の品質で社会に貢献」を具現化し、効果的な倫理的意思決定やコンプライアンス遵守の仕組みを作ることにつながっています。2018年に制定・公表し、2022年末に改訂したブリヂストンの「行動規範」は、従業員が誠実さをもって行動するための心強い指針となっています。Global CEOが「行動規範」の改訂にあたって発信したメッセージでも、「ブリヂストンにおいては常に行動規範を指針とし、誠実さをもって行動する」ことが各従業員に求められています。

また、贈収賄防止や公正な取引に関する活動は、セクシャルハラスメントやデータプライバシーなどと共に、ブリヂストンの「行動規範」や「グローバル贈収賄防止ポリシー」で対象としている事項の一つであり、その取り組みがますます厳しく問われる中で、このミッションを行動に移すことが一層重要になっています。

ブリヂストンがサステナブルなソリューションカンパニーへと進化するために、「行動規範」や「グローバル贈収賄防止ポリシー」をはじめとする各種ルールや、グローバル及び地域のコンプライアンスプログラムも、変化する環境や規制に継続的に適応・進化させていきます。ブリヂストンでは長年にわたり、地域に根差したコンプライアンス活動を行ってきました。現在、各地域の取り組みをブリヂストン共通の枠組みに統合すると共に、グループとしての一貫性や、地域特有のリスクに効果的に対処できる柔軟性とのバランスを取りながら活動を推進しています。ブリヂストンの多岐にわたる事業内容及び各地域の地理的状況や法規制によって、リスクそのものが大きく異なる場合がありますが、基盤となる企業理念や経営方針のもと、グローバル共通の枠組みに沿って各地域で活動を展開しています。

コンプライアンスの主な取り組み

ブリヂストンのコンプライアンスの取り組みは、次の5つの要素から成り立っています。

  1. 1.
    リーダーシップ
    (従業員に誠実な業務を促すよう、管理者や監督者をコンプライアンスの取り組みに関与させることを含みます)
  2. 2.
    リスク分析
    (ブリヂストンにおけるコンプライアンスの取り組みはリスク・ベース・アプローチに基づいています)
  3. 3.
    ルールの策定
    (「行動規範」「グローバル贈収賄防止ポリシー」のほか、グローバルまたは地域のルールなど)
  4. 4.
    研修とエンゲージメント
    (それぞれのリスク、研修対象者に応じて準備されたeラーニングや対面研修など)
  5. 5.
    モニタリング
    (従業員などが不正や違法行為があると疑いを持った場合に通報できる複数の窓口の設置など)

リーダーシップ

ブリヂストンのコンプライアンス活動をはじめとする効果的な取り組みを遂行するためには、管理者や監督者から成る組織全体のリーダー層が継続的かつ積極的に関与し、コンプライアンス文化を醸成、維持していくことが不可欠です。以下に、ブリヂストンが組織全体であらゆる階層の管理者をどのように巻き込んでいるかを説明します。

取締役会

取締役会による監督と関与は、長年にわたりブリヂストンのコンプライアンスの取り組みを特徴付けています。
ブリヂストン全体及び各地域におけるコンプライアンスの取り組みに関する計画の策定や運営、評価及び強化については、ブリヂストンの取締役会の監督のもと各地域の経営層の協力を得て、チーフコンプライアンスオフィサー(CCPO)、グローバル法務リーダーシップチームが主な職責を担います。CCPO及びグローバル法務リーダーシップチームは、ブリヂストンのコンプライアンス・公正な競争ワーキンググループ(WG)や、専任のコンプライアンス専門家で構成される各地域のチームと協力して、単年及び長期の優先事項や目標を設定すると共に、地域及びブリヂストン全体における活動全般の進捗を確認し、その結果を経営層に報告します。これまで、コンプライアンス・公正な競争WGは、効果的なコンプライアンスの取り組みにおいて重要な要素や活動を慎重に検討し、短期・長期の戦略を策定し、ブリヂストンの企業理念や経営方針に沿ったコンプライアンス文化を醸成してきました。

管理者及び監督者

ブリヂストンは、贈収賄や汚職に関していかなる不正も許さないという方針を確実に遂行することは、リーダー層、管理者、及び監督者の職責であると考えています。各地域の倫理・コンプライアンスチームは、定期的に倫理・コンプライアンス活動に関する情報の更新と報告書の作成を行い、それぞれの地域のリーダーシップチーム及び取締役会等に提出することになっています。

チーフコンプライアンスオフィサー(CCPO)

ブリヂストンのCCPOは、取締役会の諮問委員会であるコンプライアンス委員会へ定期的に報告を行っています。また、グローバルなコンプライアンス活動は、定期的に取締役会に報告されています。グローバルなコンプライアンス活動と「行動規範」(贈賄などあらゆる種類の汚職の禁止に関する規定を含む)はいずれも、最終的には当社の取締役会の監督下にあります。

従業員

コンプライアンスの取り組みや企業文化を継続的に改善する責任は、ブリヂストンの経営層だけでなく従業員一人ひとりが担うものです。そのことを踏まえ、ブリヂストンでは、コンプライアンスの取り組みの改善プロセスにおいて、経営層と従業員で、あるいは経営層内で日常的かつオープンな対話を促すだけでなく、管理者や監督者を含むグループ内のあらゆる立場の従業員がいかなるときも倫理的に事業活動を行い、誠実さをもってそれぞれの役割を遂行する責任を果たし、積極的に関与することに重点を置いています。このようなリスク管理に基づく実践的なアプローチを通じて、事業全般にわたるブリヂストンのコンプライアンスの取り組みを継続的に改善し、コンプライアンス文化を醸成しています。

リスク分析

ブリヂストンは、リスク・ベース・アプローチに基づきコンプライアンスプログラムを構築し、事業全体で真のコンプライアンス文化の醸成を促進しています。ブリヂストンでは、事業活動の変化とそれに応じて生じるリスクを定期的に評価し、それぞれのリスクに対処、低減するための適切な措置を講じています。以下に、ブリヂストンが贈賄や汚職、独占禁止に関するリスクにどのように対処しているかを説明します。

グループ全体の贈収賄防止の取り組み

ブリヂストンは、グローバルに事業を展開する中で多種多様なリスクを想定する必要があります。その中でも、贈収賄防止は、グローバルでのコンプライアンスの取り組みにおいても、各地域のコンプライアンス教育の取り組みにおいても、中心的なリスクです。ブリヂストンは、2020年に制定し2023年に改訂した「グローバル贈収賄防止ポリシー」において、「Bridgestone E8 Commitment」の実現を目指すにあたって、全ての従業員のほか、ブリヂストン傘下の合弁企業や、ブリヂストンの代理店等の方々に期待したい行為を示しています。この「グローバル贈収賄防止ポリシー」は、「行動規範」に基づいており、あらゆる種類の汚職に対するブリヂストンの包括的な方針を伝えるもので、贈賄、ファシリテーションペイメント、贈答と接待、第三者との取引、帳簿と記録、政治献金などの問題を取り上げています。また、傘下の合弁企業を含む世界中の当社グループ従業員にも適用され、合弁事業の中で当社グループが支配権を持っていない場合は、合弁パートナーにこのポリシーと同様の規範を定め、その内容を遵守するよう奨励しています。

以下に記載するとおり、ブリヂストンは、代理店・仲介業者様などによる贈賄リスクに対応するために、これらの方々に対するデューディリジェンスを実施しています。このコンプライアンス・デューディリジェンスの取り組みでは、当社グループと取引のある代理店・仲介業者様などに、贈賄リスクや取引におけるコンプライアンス・リスクがないかをしっかりと調査するスクリーニングの仕組みを整えています。

ブリヂストンは、「グローバル贈収賄防止ポリシー」の展開とスクリーニングの実施により、贈収賄防止の取り組み強化を図っています。

第三者との関係

ブリヂストンのコンプライアンスに関する取り組みは、取引を行う第三者にも及びます。したがって、ブリヂストンと関わりのある様々なお取引先様は、贈賄と汚職に関する全面的な禁止を含めて、「行動規範」や「グローバル贈収賄防止ポリシー」の対象となります。

ブリヂストンのお取引先様へは、当社グループの「グローバルサステナブル調達ポリシーPDF」の遵守をお願いしています。このポリシーはあらゆる形態の汚職や贈賄、恐喝、着服の厳禁、ならびに競争法を含む法の遵守を求めるものです。お取引先様と共に調達ポリシーをサプライチェーン全体に浸透させていくことを目標に、 ブリヂストンのレベル1及び2の全てのお取引先様に受領確認をお願いしています。2018年の初版においては、99%を超えるレベル1及び2のお取引先様に本ポリシーを受領いただいたことを確認しています。第3版を2024年1月に改訂・発行し、レベル1及び2の全てのお取引先様からの受領確認を目標にしています。(2025年3月末時点では74%のレベル1及び2のお取引先様から調達ポリシーの受領書をいただいています。)
詳細は調達のページをご覧下さい。

ブリヂストンはまた、「グローバル贈収賄防止ポリシー」を掲げた上で、第三者それぞれに対するリスク評価を行うなど、適切なデューディリジェンスを実施して第三者リスクの低減に努めています。関連性のあるリスクや手続きの評価といったリスクベースのアプローチを用いて、高リスクと判断される第三者がデューディリジェンスの強化や継続的なモニタリングの対象となるような仕組みを整えています。デューディリジェンスの対象となる第三者の具体例としては、政府系団体または公務員と取引関係がある代理店・仲介業者様、また贈賄やマネーロンダリングその他の汚職のリスクが高い地域で事業を行う代理店・仲介業者様などが挙げられます。こうした継続的なデューディリジェンスにより得た情報をもとに、取引を行う第三者の選定や、第三者との取引関係の管理方法の決定を行っています。デューディリジェンスや継続的なモニタリングを行う中で、不正行為の兆候が見られた場合、ブリヂストンは当該第三者との取引停止などの適切な措置を講じます。

コンプライアンス・デューディリジェンスのさらなる強化と、贈収賄リスクの低減を進めるにあたり、ブリヂストンは高リスクとみられる仲介業者様等の調査を2023年から開始し、こうしたお取引先様との関係において適切な統制が行われているかの確認を行っています。2024年12月末時点で、高リスクの仲介業者様の95%が調査済みとなっています。

なお、2024年、ブリヂストンでは、汚職に関連する罰金、科料、和解金の支払いはありませんでした。

※ブリヂストンと直接取引するタイヤ原材料の一次サプライヤーを指しています。なお、当社は、内閣府・中小企業庁などが推進する「パートナーシップ構築宣言」の趣旨に賛同し、サプライチェーンのお取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築することを宣言しました(詳細はこちらPDF)。また、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の内容を踏まえた当社の日本国内のお取引先様との価格協議に関する取組方針は、こちらPDFをご覧ください。

カルテル防止・独占禁止などへの取り組み

ブリヂストンでは、カルテルなどの防止に重点的に取り組み、新入社員を含む全従業員がカルテルなどの防止のために必要な事項を確実に理解するよう取り組んでいます。現在は「行動規範」に含まれるガイダンスや要求事項に加え、地域ごとにカルテルなどを禁止する法律(以下、「独占禁止法」とします)に関するルールを整備しており、また、カルテルの防止や独占の禁止に関する取り組みをいかに継続的に改善・強化しているかを定期的に評価しています。

各地域のコンプライアンス部門は、営業、マーケティング、人事、調達、財務、内部監査などの地域の各部署と密に連携し、市場や職場、社会全体の変化を把握して、グループ全体及び各地域のコンプライアンスの取り組みを含めて事業全体が同時に進展するように取り組んでいます。グループ全体及び各地域のコンプライアンス活動は、グループの事業や業務のあらゆる側面と複雑に関係しているため、これらの取り組みが中期事業計画を支え、反映したものとなるよう、各地域のコンプライアンス部門は積極的に対話や活動の機会を持つよう努めています。例えば、独占禁止法とそれに関するプロセスについて法律やコンプライアンスの面から継続的に助言し、独占禁止法上のリスクに直面する可能性が高い従業員を特定して研修(状況に応じて対面研修やeラーニングなど)を行っています。

また、ブリヂストン全体及び各地域のコンプライアンス活動では、既存のプロセスと基準を定期的に評価・検証、また必要に応じて更新し、独占禁止法を確実に遵守するために有効かつ適切な内容となっていることを確認しています。

ルールの策定

ブリヂストンは、当社グループの従業員がコンプライアンスの取り組みに基づいてどのように考え行動すべきか適切な指針を示すことを目指し、従業員が正しい行動をとる助けとなるポリシーや手続き、管理方法を慎重に評価しています。ブリヂストンでは、既存のポリシーやプロセス、手続き、管理方法を定期的に見直し、それらが狙いどおりに有効に機能しているかどうか確認しています。以下、ブリヂストンの主要なコンプライアンスに関するポリシーの一部をご紹介します。

Bridgestone Code of Conduct(行動規範)

2018年、各地域の行動規範に代わり、グローバル共通の「行動規範」を導入しました。これは、世界中の従業員やお取引先様、協力会社様にとって、汚職防止、独占禁止、利益相反、寄付や政治献金といった、幅広いコンプライアンス上の問題に対処する上での実践的な指針となるものです。「Bridgestone E8 Commitment」の実現に向けて、2022年末には、ブリヂストンの「グローバル贈収賄防止ポリシー」、及び2022年に改訂した「グローバル人権方針PDF」の内容を踏まえ、グローバルに適用される「行動規範」を改訂しました。

「行動規範」は次に挙げるような様々なテーマを対象としています。
  • 尊重と尊厳、多様性(ハラスメントと差別の禁止を含む)
  • プライバシーと個人情報、秘密情報、記録・開示・財務報告書の整合性
  • 製品の安全性と品質
  • 贈賄、汚職、利益相反、贈答と接待
  • 輸出入規制
  • 自由で公正な競争

ブリヂストンは多国籍企業として、「行動規範」の理解促進に取り組んでおり、同規範を各地域において多言語で展開しています。従業員や一般の方々は、ブリヂストンのグローバルサイトや各地域の企業サイトからもご覧いただけるほか、各地域のブリヂストン従業員向けイントラネットでも閲覧できます。

グループ全体及び各地域のその他のポリシー

「行動規範」を補足するものとして、グローバル、地域及び国ごとの方針があり、従業員は、これらの方針を社内イントラネットなど様々な手段で閲覧できます。また、例えば「グローバル贈収賄防止ポリシー」など、当社グループの一部のポリシーについては、ブリヂストンのWebサイトでも公開されています。これらの方針は「行動規範」との整合性がとれており、各地域の法令を考慮しながら、主要なテーマについて詳細かつ実践的な指針を示すものです。「行動規範」やほかのグローバルポリシーを確実に運用するために、地域ごとに手順や手続き(第三者が関わる贈答、会食、接待、出張に関連する手続きや承認の要件等)を追加しています。

ブリヂストンでは、常に改善を心がけるという姿勢のもと、定期的に既存方針の評価を行います。それにより、新たなコンプライアンス・リスクに対応すると共に、 地域や国ごとの方針をグローバルの方針として適切な機会に統合します。

研修とエンゲージメント

ブラジルで行われた手話による「行動規範」研修の様子

従業員一人ひとりがコンプライアンスを徹底するためには、コンプライアンスに関連する、効果的かつリスクマネジメントに基づく教育訓練と従業員の関与が不可欠です。こうした取り組みは経営トップから始まるものであり、各部署の責任者はコンプライアンスの重要性について日頃より言及すると共に、コンプライアンス研修や啓発プログラムにおいて積極的な役割を果たしています。

2020年に導入したブリヂストンの「グローバル贈収賄防止ポリシー」について、従業員のより良い理解と遵守を目的として2021年にeラーニングを展開しました。また、各地域のリーダー層を対象に、本ポリシーを各自の業務に定着させるための取り組みも進めています。2024年には、大部分の地域において「行動規範」の改訂内容を反映したeラーニングを必須研修として実施しました。2024年12月末時点で報告のあった従業員の地域別受講修了率は、平均で98%でした。

ブリヂストンでは、従業員が自らの業務に最も関連の深いコンプライアンス・リスクについて確実に学ぶことができるよう、豊富な研修プログラムが戦略的に導入されています。2024年は、グループ全体で対面研修、オンライン研修を含め、計1,287回実施しました。従業員は販売担当者を含め、汚職防止や独占禁止・公正な競争などの問題に関する研修を受けます。汚職防止の研修では、贈賄、ファシリテーションペイメント、贈答と接待、マネーロンダリング、政治献金など、あらゆる種類の汚職に対する当社グループの方針を網羅しています。

対面研修に加え、対象となる従業員にはeラーニングによる研修も実施しています。2024年におけるeラーニング受講対象従業員の地域別受講修了率は平均で93%でした。2024年のeラーニングでは、「行動規範」、贈収賄防止、独占禁止、データ保護などのテーマを取り上げました。

コンプライアンスの取り組みに特化した啓発活動は、グローバルな共通ツールを土台にして各地域や国で行われ、その手段として、デジタルコンテンツやツールの重要性がますます高くなっています。経営層のメッセージに加え、2024年に実施された各地域や国での取り組みには、次のような様々なイベントがあります。

  • 日本では、グループ会社を含め全従業員を対象に5年連続でアンケートを実施し、10,000人以上から回答を得ました。その結果を通して、コンプライアンスの取り組み、「行動規範」、「グローバル贈収賄防止ポリシー」、懸念事項を報告するための様々なツールや窓口に関する理解度を把握しました。
  • ブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエー(BSEMEA)では、2024年1月1日に、「贈答と接待ポリシー」(第三者が関わる出張を含む)と「利益相反ポリシー」の改訂版を発行しました。これら2つのポリシーでは、贈答・接待の授受や従業員個人の利益相反については会社に申告することが求められますが、それらの申告は、BSEMEAの全従業員がアクセスできるデジタルツールで行うことができます。教育プログラムの対象となる従業員は、2024年第1四半期にこれら2つのポリシーに関する対面またはオンライン研修を受けました。
  • 「Speak Up(声を上げよう)ポリシー」発行のバナー
    「Speak Up(声を上げよう)ポリシー」発行のバナー
    2024年4月15日、BSEMEAはデューディリジェンスに関する取り組みをさらに強化し、Bridgestone WESTとして整合した適正な手続きを担保するため、デューディリジェンスの手続きを改訂しました。教育プログラムの対象となる従業員は、2024年第1四半期に手続きに関する対面研修を受けました。加えて、2024年10月1日には、「Speak Up(声を上げよう)ポリシー」を改訂し、通報に関する社内調査の透明性をさらに高めました。欧州地域における公益通報に関する法令を確実に遵守するため、地域内の当社グループの複数の国の社外向けWebサイトに本ポリシーを掲載しました。また、通報に関する社内調査を実施する従業員は、2024年第3四半期に改訂後の本ポリシーに関する対面研修を受けました。
  • BRIDGESTONE WEST Ethics & Compliance Celebration 2024
    BRIDGESTONE WEST Ethics &
    Compliance Celebration 2024
    Bridgestone WESTコンプライアンスチームを構成するBSEMEAとブリヂストン アメリカス インク(BSAM)は、毎年恒例の「Ethics & Compliance Celebration」を開催しました。このイベントでは、リーダー層の座談会が行われたほか、誠実さ、倫理・コンプライアンスの文化の構築・維持において手本となる行動を取っている従業員に対して、「ブリヂストン・ウェスト・インテグリティ・アワード」を授与しました。また、Bridgestone WESTコンプライアンスチームは2024年に、倫理・コンプライアンスの文化の醸成において重要な役割を果たす米州およびBSEMEAの数百名のリーダー層を対象に、年次での「倫理・コンプライアンス誓約書」の取得を開始しました。
  • シンガポールでのインテグリティ・デーのポスター
    シンガポールでのインテグリティ・デーのポスター
    ブリヂストン アジア・パシフィック・インド・中国(BSAPIC)では、2024年に、コンプライアンス意識の向上を目指し、経営層と一部の部署を対象に初となる年次での「倫理・コンプライアンス誓約書」の取得を開始し、600件を超える誓約書を受領しました。また、シンガポール、中国、タイ、インド、マレーシア、韓国、ベトナムなど、BSAPICのほとんどの国において、年間の重点施策の一環として「Integrity Day」を開催しています。2024年のイベントは、「Bridgestone E8 Commitment」の実現に向けて従業員が声を上げることができるよう、「心理的安全性」を共通のテーマに、全従業員を対象に開催されました。

ブリヂストンのコンプライアンスチームは、全従業員が倫理的で法令を遵守した事業活動に従事できるよう、革新的かつ双方向での情報共有を進めます。

また、役員及び幹部層の一部に対して、定期的に誓約書に署名して「行動規範」とコンプライアンスの取り組みに関するコミットメントを再確認するよう求めています。地域ごとに誓約書の作成が行われ、対象者は誓約書を定期的に(多くの場合年1回)署名することが求められます。

モニタリング

グローバルホットライン

ブリヂストンでは、従業員が安心して声を上げられ、また、その声が届いていると感じられる環境づくりを目指しています。

ブリヂストンの従業員とステークホルダーの皆様には、疑問や懸念について思い切って声を上げることを後押しする様々な窓口が用意されています。窓口には、上司、人事部門、地域のコンプライアンス担当役員、法務部門や内部監査部門が含まれるほか、専用のホットライン「BridgeLine」も設けています。懸念が提起されると、当社グループの社内調査手順に沿って、適切な部署が速やかに調査を行います。ブリヂストンは、通報内容の種類や実際に違反が確認された割合、匿名通報率、調査完了までの期間、実施された懲戒処分や是正措置など、社内調査に関わる様々なデータを積極的にモニタリング・分析しています。

「BridgeLine」は、当社グループから独立した専門業者からもご協力いただきつつ、運営されています。犯罪が疑われる行為や、「行動規範」(贈賄、ファシリテーションペイメント、贈答と接待、マネーロンダリング、政治献金、汚職防止、様々な人権侵害に関する規定を含む)やその他グループの方針や法令への違反が疑われる行為、またはその他のコンプライアンス上の懸念や疑問について、ブリヂストンの全ての従業員ならびにお取引先様、お客様をはじめ、あらゆるステークホルダーの皆様が誰にも知られずに通報することができます。「BridgeLine」は、「行動規範」を含む様々な文書で広く紹介されており、全ての地域において、従業員であるかどうかを問わず、誰でもブリヂストンのWebサイトから、いつでもアクセスでき、多言語に対応しています。

社内調査

不正行為についての申し立てがどのように行われたかにかかわらず、通報があった場合、ブリヂストンのコンプライアンスチーム、または内容に応じて適切な部署(人事や内部監査など)が調査します。調査の質と一貫性を確保すべく、各地域で詳細な調査の手順が整備されています。また、各地域で指標を設定してそのデータを追跡し、リスクのある領域や傾向を特定すると共に、社内調査の有効性についても評価します。その結果は、ブリヂストン及び国内外にある子会社の取締役会に定期的に報告されます。調査によって何らかの違反が確認された場合には、解雇を含む懲戒処分や是正措置を適切に行います。なお、調査の結果にかかわらず、より実効性の高い統制環境を構築するために改善の可能性が特定される場合があります。

「BridgeLine」の多言語ポスター

各地域では、「BridgeLine」のさらなる浸透を推進し、従業員が潜在的なコンプライアンス上の問題を安心して打ち明けられるような環境を奨励すべく精力的に取り組んでいます。「Speak Up!(声を上げよう)」というメッセージと共に、各地域で定期的にキャンペーンを実施しています。

このような通報制度(ホットライン)は、従業員が通報することによって雇用上、不利益な取扱いを受けないことが保証されることによって初めて効力を発揮します。ブリヂストンは、誠実な行動によってコンプライアンス上の問題が通報された場合には、断固として報復を禁じます。長く受け継がれているこの方針は「行動規範」に盛り込まれており、各地域や国における様々な方針にも反映されています。

2024年には、全世界で合計1,933件の通報や質問が「BridgeLine」に寄せられました。通報のうち28%超は、何らかの違反が調査によって確認されました。通報や質問の49~75%(地域により割合は異なる)は、ダイバーシティやハラスメント、職場でのコミュニケーションといった人事に関する問題で、このうち32%について違反が確認されました。確認された全ての違反には、解雇を含む懲戒処分をはじめとする適切な是正または再発防止措置が実施されました。汚職の分野については、2024年に重要な通報はありませんでした。通報・質問事項の内訳は以下の通りです。

「BridgeLine」への通報・質問事項の内訳(2024年)

「BridgeLine」への報告の匿名性(2024年)

監査

「BridgeLine」での通報に加え、ブリヂストンは、様々な方法によって「行動規範」の遵守を審査し、コンプライアンス上の問題を発見します。例えば、不正取引や汚職などコンプライアンスの主要分野に関する定期的な監査などを行っています。

コンプライアンスの取り組み及びコンプライアンス・リスクの評価

コンプライアンスの取り組みは、現存するリスクに確実に対応し、ブリヂストンに寄せられる期待に確実に応えるよう、常に進化させ、評価されなければなりません。ブリヂストンでは、事業を展開する地域の重要なコンプライアンス・リスクを理解するために、法令改正やNGOトランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数(CPI)などの各種情報の動向を積極的にモニタリングしています。

毎年実施する事業リスクアセスメントでは、長きにわたり汚職防止や独占禁止、不正取引、差別などのコンプライアンス・リスクをはじめとする重要なコンプライアンスに関する事項を扱ってきました。また、地域別及びグローバル全体で、各地域の「行動規範」や汚職防止の方針に対する違反の追跡・調査を行っています。2019年以降は、コンプライアンス・リスクをより詳細に評価するために、コンプライアンスに特化したリスクアセスメントを各地域で実施しました。

こうした過程を経て特定した重要なリスクは、地域ごと及びブリヂストン全体で経営層に報告されます。高リスク地域では、汚職リスク(例えばファシリテーションペイメントや、贈答と接待、マネーロンダリング、政治献金などに関連するリスク)などの重大リスクに対する統制がなされます。こうした統制は、ブリヂストンの事業に過度の負担をかけることなく効果的に重大リスクに対処できるよう、慎重に検討され、戦略的に実行されます。

不正取引や汚職、マネーロンダリングなどの重要な統制の有効性については、定期的な事業監査の一環として評価します。常に改善を心がけるという姿勢のもと、手順と統制について頻繁に見直しを行い最適化しています。ブリヂストンの新しいグローバルコンプライアンス体制のもとでは、現行の手順を見直し、ベストプラクティスや不足を特定し、改善を試みる機会が数多く用意されています。

グローバルコンプライアンスの枠組みのもとでは、重要なコンプライアンス・リスクに関連する方針を見直し最適化する機会も設けられています。グローバル・コンプライアンスチームは、グローバルの「行動規範」を策定する際に、各地域の現行の方針や倫理規範の有効性について評価し、不足があればその修正や更新に努めました。グローバル・コンプライアンスチームは、コンプライアンスの取り組みを効果的に保つという目標を実現するために、「行動規範」やコンプライアンスの取り組みについて、今後もその有効性を定期的に評価し必要に応じて更新します。また、ブリヂストンの事業や経営が進化し続ける中においても、コンプライアンスプログラムが常に適切であり、十分なリソースが充てられ、実効的に機能するよう、その適応のあり方についても検討していきます。ブリヂストンは、グローバル・プログラムと地域別プログラムの自己評価を定期的に実施しているほか、社外のアドバイザーの協力を得てこれらのプログラムの有効性評価も実施しています。