社会

調達

ミッション

持続可能な調達活動を通じ
社会価値を創造する

私たちは、長期的に環境、社会、経済をよりよくしていくため、次に掲げる4項目をサプライチェーン全体に浸透させていくことで、持続可能な社会と価値創造の実現に向け、誠実に取り組みます。

  1. 1. 透明性
  2. 2. コンプライアンス
  3. 3. QCD(品質、コスト、供給)& イノベーション
  4. 4. 持続可能な調達活動

グローバルサステナブル調達ポリシー

ブリヂストンの持続可能なサプライチェーンの実現に向けた活動は、ステークホルダーに環境面、社会面、経済面の長期的な利益をもたらします。この活動は、「グローバルサステナブル調達ポリシー(以下、調達ポリシー)」に基づいており、2050年を見据えた環境長期目標に掲げる「100%サステナブルマテリアル化」に沿ったものです。調達ポリシーは、適正な調達先選定要件の明確化やベストプラクティスの促進、また、業界内におけるコミュニケーション促進や業務改善のツールとしても活用されています。

天然ゴムのサプライチェーンや、人権及び環境への配慮を含む持続可能な調達に対して、ブリヂストンのお客様や消費者の皆様の関心がますます高まる中、調達活動を通じた持続可能な社会と価値創造の実現というミッションは、一層重要になっています。調達ポリシーの策定に当たっては、国連の「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」、国際労働機関(ILO)の各種条約、ISO26000(社会的責任に関する手引)ISO20400(持続可能な調達に関する手引)など、広く社会に認められている人権の国際規範及び基本原則に細心の注意を払って作成しました。

調達ポリシーでは、児童労働、強制労働、土地の権利、労働条件、公平で平等な処遇を事業における5つの重要な人権課題として定め、今後ステークホルダーとの対話を通じてこれらの課題の原因を特定していくことを約束しています。調達ポリシーをもとに、長期的に環境、社会、経済をより良くするためにも、お取引先様と協力して持続可能なサプライチェーンの早期実現に貢献していきます。

※ ブリヂストンでは、「1.継続的に利用可能な資源から得られ、2.事業として長期的に成立し、3.原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。詳しくはこちらのページをご覧ください。

調達ポリシーの改訂

ブリヂストンは、外的環境の変化、社会やステークホルダーからの期待や要請を踏まえ、調達ポリシーを改訂しています。

第3版(2024年1月改訂)では、サプライチェーン全体に調達ポリシーを周知することを目的として、Tier1のお取引先様に対し、調達ポリシーの適用範囲を自身のサプライヤーにも拡張し、内容を共有していただくことを明記しています。さらに、環境・人権問題などの社会的要求事項にも対応できるよう、調達ポリシーの内容を拡充しました。

ブリヂストンは、お取引先様が調達ポリシーを十分にご理解の上、ご対応いただくようご協力をお願いしています。また、持続可能な調達活動を推進し、社会の要請に応えていく中で、継続的な改善を図り、将来的にお取引先様とより良いビジネスパートナーシップを構築していくことを目指しています。

ポリシー策定・改訂のプロセス

焦点を当てている項目

調達ポリシーは、下記の4項目に焦点を当てており、ブリヂストンとお取引いただく際に必ず実施いただきたい事項と、持続可能なサプライチェーンの早期実現のために実施をお願いしたい事項を定めています。

  • 透明性 ― 調達に関わるトレーサビリティの向上と、優れたガバナンス体制の構築を含めて定めています。
  • コンプライアンス ― ブリヂストンが事業を展開する国及び地域で適用される全ての法律と規制を遵守すべきことを定めています。
  • QCD(品質、コスト、供給)&イノベーション ― 高品質の製品とサービスをタイムリーかつ適切な価格で供給するとともに、国際社会の発展に寄与する革新的なテクノロジーを追求すべきことを定めています。
  • 持続可能な調達活動 ― 環境関連法令の遵守など環境への責任ある調達活動、差別のない最低賃金の遵守や強制労働防止、結社の自由と団体交渉などの人権の尊重、安全で健全な働きやすい労働条件、水利用、土地の利用及び保全、防災、レジリエンス(変化に対処する能力)に関する事項に取り組むことを定めています。

推進体制

ブリヂストンの「サステナブル調達ワーキンググループ」は、調達やサステナビリティ担当の経営層など、世界各地のブリヂストン従業員から組織横断的に構成され、調達ポリシーや関連施策を策定・展開する上で中心的な役割を果たしてきました。持続可能な調達活動の推進と施策実施面をさらに強化するため、2024年以降は、議論の場を「サステナブル調達ワーキンググループ」から戦略的事業ユニット(SBU)の調達責任者で構成される「グローバル調達コミッティ」へと移しており、関連するテーマについての議論は、テーマ別のタスクフォースにおいても実施されています。また、グローバル調達コミッティは、グローバルで進める取り組みや活動の進捗状況を確認し、グローバル経営執行会議(Global EXCO)に報告しています。

※ Global CEOを含むメンバーから成り、グループの事業戦略と執行を監督する最高位の会議体

「グローバルサステナブル調達ポリシー」の実行

調達ポリシーの導入以降、ブリヂストン全体で教育を実施し、中でも調達、法務、技術、顧客対応業務に関わる多くの従業員に対する教育活動を積極的に行ってきました。

ブリヂストンは、購買の量と頻度によってお取引先様を以下の3つのレベルに分類し、取り組みを推進しています。レベル1のお取引先様の多くは、タイヤ製品の原材料を取り扱うお取引先様で、主な原材料は天然ゴム、合成ゴム、スチールコード、ゴム薬品などです。国内外のお取引先様と共に、持続可能な調達に向けた活動を進めています。

お取引先様の分類

  1. ※1「調達ポリシー」における「必ず実施いただきたい事項」及び「実施をお願いしたい事項」への対応状況。
  2. ※2原料や製品がどこから調達され、どのように生産され、誰が関わっているか、また、これらの原料や製品の調達が、サプライチェーンに関わる全ての人に与える影響を明確に知り、確認するための能力。

調達ポリシーの展開

お取引先様と共に調達ポリシーをサプライチェーン全体に浸透させていくことを目標に、 ブリヂストンのレベル1及び2の全てのお取引先様に受領確認をお願いしています。2018年の初版においては、99%を超えるレベル1及び2のお取引先様に調達ポリシーを受領いただいたことを確認しています。第3版を2024年1月に改訂・発行し、レベル1及び2の全てのお取引先様からの受領確認を目標にしています。(2026年3月末時点では、95%のレベル1及び2のお取引先様から調達ポリシーの受領書をいただいています。)

ブリヂストンは、数年にわたり、お取引先様に調達ポリシーなどのブリヂストンの活動を十分にご理解いただくため、事業活動を行う様々な地域で「調達方針説明会」を毎年開催してきました。説明会では、調達ポリシーで焦点を当てている、透明性、コンプライアンス、QCD &イノベーション、そして環境への配慮や人権の尊重といった持続可能な調達活動に関する4項目についてお取引先様にご説明しています。2025年は、各地域合計で400社を超えるお取引先様を招待いたしました。

お取引先様への調達ポリシーの展開活動は、サステナビリティに関する国際的な調査・評価機関であるEcoVadisにより、「持続可能な調達」分野で77点という評価を得ました(2025年11月時点、全体では76点)。

サプライチェーンの可視化とリスクの特定

責任ある調達とレジリアントなサプライチェーンの実現のため、AIを用いたツールを活用して、グローバルサプライチェーンのサステナビリティリスクをマッピングし、確認するパイロットプロジェクトを行っています。これにより、Tier1のお取引先様以降のサプライチェーンの透明性も高められるとともに、早期に潜在的な環境・社会リスクを特定できます。まだ試用段階ですが、従来のアプローチに加えてAIを活用したツールを導入することで、サプライチェーンのレジリエンスを強化し、より高度なデューディリジェンスへの要求に対応するとともに、ステークホルダーの皆様への透明性と信頼性の高い報告を実施していきます。

EcoVadisによるアセスメント

ブリヂストンは、EcoVadisによるアセスメントを通じて、人権課題への取り組みをはじめ、Tier1のお取引先様のサステナビリティへの取り組みを評価しています。同社のアセスメント結果をモニタリングし、定期的に社内に共有しています。調達ポリシーに基づき、お取引先様と共に持続可能な調達活動と競争力の向上に取り組んでいます。

新規及び既存のレベル1、2のお取引先様(約1,000社)に対しては、EcoVadisによる、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する詳細なアセスメントを実施しています。エネルギー消費、水、生物多様性、汚染、廃棄物、お客様の安全、労働安全、労働慣行、人権、汚職、贈収賄、不正行為、マネーロンダリング、持続可能な調達などに関するESG課題について、調達ポリシーに照らして評価しています。

ブリヂストンは、EcoVadisのアセスメントに関して以下のような目標とKPIを設定しています。

  1. 1.Tier1のタイヤ原材料のお取引先様との取引金額ベースにして95%以上がEcoVadisのESGに関する詳細なリスクアセスメントを受審。(2026年3月末時点では、98%が受審しています。)
  2. 2.すべてのTier1の天然ゴムのお取引先様がEcoVadisのESGに関する詳細なリスクアセスメントを受審。(2026年3月末時点では、100%が受審しています。)

2026年3月末時点で、タイヤ原材料のお取引先様のうち76%にEcoVadisによるアセスメントを受けていただきました。そのうちの90%が、ブリヂストンが定める持続可能な調達活動の基準である、総合平均45点以上のスコアを満たしています。また、44点以下のお取引先様は、フォローアップや再受審を経て、10%に減少しています。

お取引先様の改善支援と監査

ブリヂストンでは、前述の通り第三者機関の評価を用いて、お取引先様の環境・社会パフォーマンス・ガバナンスを数値化し、お取引先様に必要な解決策の助言や支援を行い、改善を促します。

調達ポリシーの内容とアセスメントの結果に基づき、お取引先様のESG活動の改善に向けた支援として、各地域において下記のような持続可能な調達のためのセミナーやワークショップ、支援を実施しています。

  • カーボンニュートラルに関するワークショップ/セミナー(欧州、米国、日本、アジア)
  • EcoVadisのスコア改善のための個別支援(中国)

今後もお取引先様とのさらなる対話を通して、持続可能な調達活動に努めてまいります。

天然ゴムの持続可能な調達

グローバル化により、 世界中から原材料等の調達が可能となり、また地理的距離によらず、 企業間の協働も可能となりました。一方で、企業は、事業を展開するあらゆる地域で、人権問題や気候変動などのサステナビリティに関する問題に影響を与えるリスク、またこれらの問題から影響を受けるリスクの両方に直面しています。近年の不安定な地政学的状況やカーボンニュートラル化に向けたグローバル規模での流れを受けて、企業は自社の事業活動だけでなく、バリューチェーン全体において、人権の尊重や森林破壊の防止といったサステナビリティ関連リスクに対処するためにお取引先様とも協力することが急務となっています。

ブリヂストンでは、社会やビジネスへの影響を踏まえ、特に、天然ゴムの持続可能な調達に注力しています。天然ゴムはタイヤの製造に使われる主要原料であり、高品質のタイヤを生産するために不可欠な再生可能資源です。また、天然ゴムの栽培には、世界中で600万人以上が関わっているとも言われ、多くの人々の生計を支えています。しかし、天然ゴム需要が増加し続ける中、世界的な森林破壊の懸念が広がっており、社会的課題となっています。天然ゴムの持続可能な調達を事業の継続と社会のウェルビーイングの双方に不可欠な経営上の重要課題に位置付け、リスクベースでのサプライチェーンの管理、トレーサビリティの向上、森林破壊ゼロの実践と促進、人権尊重及びバリューチェーン全体のレジリエンス向上を目指す業界団体との連携強化などの活動を促進しています。

(%は四捨五入)

※ ブリヂストンは事業の継続性を維持するため、承認サプライヤーへの割り当てを流動的に調整しており、定期的に国別構成を見直す権利を有しています。

お取引先様との連携を通じたサプライチェーンのリスク軽減

持続可能な農業手法に関する研修の様子

2025年、ブリヂストンはお取引先様と戦略的に連携し、リスク軽減の取り組みを拡大しました。リスク評価の結果を現場での具体的な行動につなげることで、コンプライアンスや地域社会のレジリエンス向上を目指しています。外部の独立した専門家の支援を受けながら、コンプライアンスの検証だけでなく、小規模農家やお取引先様、地域社会との共通価値創造にも取り組みました。

持続可能な農業手法の研修や高リスク農園の再評価、地域社会や先住民族コミュニティとの体系的な協議を通じて、天然ゴム生産に関連する環境・社会課題への理解を深めています。こうした取り組みにより、適切なリスク対応や信頼関係の構築、地域の能力向上、生産地域の長期的なレジリエンス強化を進めています。

さらに、6,675軒の小規模農家に対して法令遵守状況の再評価を行い、必要に応じて同意書や関連書類を取得し、トレーサビリティとデューディリジェンスを強化しました。

これらの取り組みは、ブリヂストンがリスク特定から測定可能なリスク軽減へと進んでいることを示しています。今後も、インクルーシブでレジリエント、かつ責任ある天然ゴム調達を推進することで、小規模農家や地域社会との共通価値を創造していきます。

上流トレーサビリティを活用したサプライチェーンマネジメントの強化

トレーサビリティは、ブリヂストンの天然ゴムのサステナブル調達活動の中心です。トレーサビリティを確保することで、原材料の産地や生産者、生産方法を可視化し、調達に関連するリスクの軽減につなげることができます。

2027年までに地区(ディストリクト)レベルで100%のトレーサビリティ達成を目指し、2025年は76%まで向上しました。農園レベルでも62%まで精度を高めています。今後も全地域でお取引先様と協力し、さらなるトレーサビリティ向上に努めます。

  1. ※1目標
  2. ※2GPSNR 定義の区分(2024~25年のデータはお取引様からいただいた情報をもとにブリヂストンで算出)
  3. ※3農園のジオロケーションあるいは境界マッピング情報ベース

2025年には、上流のトレーサビリティシステムの整備から、リスクベースのサプライチェーンマネジメントへの統合へと進展しました。リスク評価の結果、2025年の高リスクにさらされている可能性は最小限であることを確認しており、より的確なリスク軽減策も開始しています。

※区分についてはこちらを参照ください。

Geographical Classification - Global Platform for Sustainable Natural Rubber外部リンク

サプライチェーン全体でのEUDR要件への対応強化

EUDRの適用開始時期は変更されましたが、ブリヂストンは信頼できる戦略パートナーと緊密に連携し、EUDR要件への準拠に向けた対応を着実に進めています。報告期間中、グローバルで一貫した実施を促進するため、ガバナンス体制やエスカレーション、サプライヤーへの是正措置の手順を強化しました。

また、外部のデジタルプラットフォームを導入することで、体系的なデータ収集やサプライヤー書類の確認が改善され、サプライチェーン全体のトレーサビリティや透明性、信頼性が向上しています。

これらの取り組みは、EUDR対応だけでなく、森林破壊のない責任ある調達活動や持続可能なバリューチェーン構築という、ブリヂストンの広範な目標にも大きく貢献しています。

こうした取り組みは、EUDR要件の準拠に向けた対応であるとともに、森林破壊を伴わない責任ある調達活動を定着させ、持続可能なバリューチェーンの構築に向けたブリヂストンの継続的な変革を推進するという、より広範な目標にも寄与しています。

デューディリジェンス活動と第三者評価の推進

農園でのESG現地監査

2025年、ブリヂストンは全てのTier1の天然ゴムのお取引先様を対象とした包括的な環境・社会・ガバナンス(ESG)現地視察を完了し、サステナビリティ推進において重要な節目を迎えました。これにより、サプライチェーン全体の透明性と説明責任が大きく強化されています。また、全てのTier 1のお取引先様がEcoVadisによるサステナビリティアセスメントも完了し、その結果に基づきベンチマーク比較が可能となったことで、ESGパフォーマンスの継続的な改善が促進されています。

この現地視察は、ブリヂストンの調達ポリシーに基づき、WWFジャパンと共同開発したアンケートを用いて実施され、責任ある労働慣行、環境への配慮、人権尊重などの重要課題を網羅しています。2025年の視察では、労働者へのインタビューとアンケート調査が新たに導入され、さらなる改善につなげています。

ブリヂストンの視察員は、プライバシー保護を重視した調査手法を用い、現場の労働者が安心して権利や労働条件を共有できる環境を提供しました。こうした対話から得られた知見は、職場のウェルビーイング向上やサプライヤーネットワーク全体での人権デューディリジェンスの定着を支えています。

お取引先様現地視察の様子

また、デューディリジェンス活動を事業運営の中核に組み込むことで、グローバルなサプライチェーンの信頼性や責任、レジリエンスを強化しています。トレーサビリティや欧州森林破壊防止規制(EUDR)要件への対応、小規模農家との連携、お取引先様の保証など、幅広い領域での取り組みは、透明性が高く森林破壊のない天然ゴムのバリューチェーン構築へのコミットメントを示し、全てのステークホルダーに長期的な価値をもたらしています。

ブリヂストンにおける自社による天然ゴム生産

ブリヂストンは、リベリア、インドネシア、タイに4つの天然ゴムの内製事業所を保有しています。自社で農園や加工施設を持つことは、事業の持続可能性やトレーサビリティの向上の面で大きな強みとなっています。

これらの事業所は、サステナリティに関する機会創出やリスク管理の実証の場としてだけでなく、信頼できるパートナー企業との高度な取り組みや、現物現場での深い理解に基づいた密接な連携の基盤としても活用されています。さらに、自社農園では地域社会に技術支援も行っており、天然ゴムビジネスの持続的な価値創造にも貢献しています。

また、内製事業所は、ブリヂストンが世界各地で調達する天然ゴムの約20%を供給する重要なサプライチェーンの一端を担っており、EUDR 要件への対応やトレーサビリティの確保なども重要な課題となっています。
インドネシアにある2つの内製事業所のうち、1つでは既に農園レベルで100%トレーサビリティを達成しており、もう1つでも地区(ディストリクト)レベルで100%トレーサビリティを確保しています。さらに、地域社会への貢献として、リベリアとインドネシアでは幼稚園や学校、医療施設を運営しており、インドネシアでは公衆衛生教育や水害救助、防災訓練などの支援活動も行っています。

一方、内製事業所は、ブリヂストンが毎年世界各地で調達する天然ゴムの約20%を供給する、重要な原材料サプライチェーンの一角でもあります。そのため、EUDR 要件の準拠に向けたトレーサビリティの確保やその他の取り組みは、自社の天然ゴム施設にとっても重要な課題となっています。

また、インドネシアにある2つの内製事業所のうち、1つでは既に農園レベルで100%トレーサビリティを達成しており、もう1つの農園でも地区 (ディストリクト) レベルでの100%トレーサビリティを確保しています。

地域社会への貢献の一環として、リベリア及びインドネシアで幼稚園・学校、医療施設を運営しているほか、インドネシアでは公衆衛生に関する教育や水害救助、防災訓練など、安全衛生や環境に関する支援も実施しています。

小規模農家支援の強化

世界の天然ゴム需要が上昇傾向を辿っている中で、森林保護の観点から法規制などが進められており、生産量を増加するために農園を拡大することは難しくなっています。天然ゴムは、タイヤ製造に用いる重要な再生可能材料です。しかし、収穫量が少なければ、小規模農家は天然ゴムの栽培で生計を立てることができず、他の作物栽培に切り替える可能性があります。そのため、天然ゴムの小規模農家の生産能力を強化し、収穫量と収入を上げ、小規模農家が森林破壊や他のESGリスクの原因にならないようにすることが、ブリヂストンにとって重要な活動になります。

そこで、小規模農家の生産能力向上を目的とした支援を強化していくために、関連機能で構成した「キャパシティビルディングタスクフォース」を2022年に設立しました。また、2023年にはタスクフォースでの議論を踏まえ、「持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム(GPSNR)」の基準も考慮した上で、2026年までに12,000軒の小規模農家支援を行うことをグローバル戦略の中期目標として設定し、森林保全に向けて支援活動を強化してきました。

それ以来、NGO、地域社会及びお取引先様との強力な連携により、ブリヂストンは過去2年間、プロジェクトを円滑に進めることができました。その結果、2025年には、2023年に設定したネイチャーポジティブへの貢献に向けた目標を更新し、2026年までに30,000軒の小規模農家支援という目標に引き上げることができました。2025年は、13,300軒の小規模農家を支援し、2023年以降の累計支援数は年末時点で24,987軒となりました。

世界の多くの天然ゴムは、南米と東南アジアの熱帯雨林に生育するHevea brasiliensis(パラゴムノキ)から採取されています。森林の破壊リスクを回避するため、ブリヂストンは、パラゴムノキの苗木を小規模農家の方々へ配付するとともに、自社農園向けに開発した生産性向上技術の研修も行っています。

「セオリー・オブ・チェンジ」

2025年、ブリヂストンは、インパクト測定を専門とするパートナーであるGLIN Impact Consulting株式会社と協力し、天然ゴムの小規模農家向けの生産能力開発活動に関する「セオリー・オブ・チェンジ(Theory of Change)」を作成しました。このセオリー・オブ・チェンジを通じて、天然ゴムの小規模農家支援に向けたブリヂストンの取り組みを体系的に整理し、各取り組みと創出価値との因果関係を明確にすることで、各取り組みがなぜ、どのような目的で、どのような価値を創出するために行われているのかについて、社内外のステークホルダーの理解を深めることができると考えています。ブリヂストンはさらに、このセオリー・オブ・チェンジが有意義な目標やKPIの設定も後押しし、持続可能なインパクトの創出に寄与すると考えています。

小規模農家による持続可能な天然ゴム生産に向けた「セオリー・オブ・チェンジ」

自社農園周辺の小規模農家支援

ブリヂストンでは、自社農園周辺の地域社会や小規模農家は重要なステークホルダーであるとともに、相互に依存するエコシステムの一部であると考えています。地元のゴム農家や小規模農家を尊重することは、環境を保護し、事業活動を行う地域社会にとっての価値を創造する上で、重要です。この姿勢は、ブリヂストンが依拠する地域社会、そしてそこに住む人々の保護につながっています。ブリヂストンは、2005年から、インドネシアとリベリアで計600万本以上の苗木を小規模農家へ配付し、世界では総額約2.7百万USドルに相当する苗木を寄付しています。さらに、ブリヂストンでは、ゲノムデータを利用して育種技術や栽培方法を改良し、パラゴムノキの病害耐性や生産性の向上に貢献しています。

特に、東南アジアでは、小規模農家向けの播種成功率向上ワークショップを主催して、自社農園で開発した生産性向上のための技術支援をしており、毎年、数百の小規模農家が高品質のパラゴムノキの栽培や移植、病害の防除や最適な採取方法のワークショップに参加しています。2025年には、インドネシアで開催されたワークショップに約3,700軒の小規模農家が参加しました。ブリヂストンはまた、22,000軒以上の小規模農家に対しゴムの木や採取キットなどの資材を寄贈しました。

2012年から2020年にかけて、ブリヂストンは、早稲田大学と共にインドネシアで「住民参加ゴムノキ植林活動」を実施しました。この活動は、ブリヂストンと早稲田大学による連携研究プロジェクト「W-BRIDGE(Waseda-Bridgestone Initiative for Development of Global Environment)の一環として、早稲田大学が国際緑化推進センター(JIFPRO)と共に主導したものです。この8年に及ぶプロジェクトのスキームを使って、ブリヂストンは、2023年から新規事業として森林再生活動を再開しました。現地の大学、政府、JIFPROそして地域コミュニティといった多くの関係者が毎年この活動に参加し、荒れ地20ヘクタールへの植林を目標に活動を行っています。この活動は森林再生につながるだけでなく、農場管理に関する研修や収穫量の拡大に向けた技術指導の提供などを通して、小規模農家の生計向上に貢献しています。また、同活動を通じて、生産能力の向上に向け、2023年から2025年にかけて100軒の小規模農家を継続して支援しました。

エクステンション・オフィサーによる小規模農家を対象としたエンゲージメント活動(リベリア)

Firestone Liberia(FSLB)は、小規模農家への農業技術支援を提供し、公正で信頼性の高いサプライチェーンを構築するため、2024年に改善版の普及プログラムを開始しました。このプログラムは、農園まで100%トレース可能で、現在も活動している小規模農家5000軒を対象としており、ベストプラクティスの知識共有を促進し、マーケットへのアクセス改善につなげることができます。

なお、リベリアの自社農園では、安全かつ清潔な水や無償の医療サービスを提供し、また幼稚園から高校まで18の学校を運営し、235人以上の教職員が従事しています。また、照明や電力を持続的に供給できるように、40の地域に再生可能エネルギーを導入しています。

パートナーとの連携を通じた小規模農家支援プロジェクト

サプライチェーン上流のパートナーと協働の活動

ブリヂストンは2025年、インドネシアとコートジボワールでパートナーと協働し、外部サービスプロバイダーの支援を受け、天然ゴムの上流サプライチェーンにおける環境・社会リスクに対応すると同時に、小規模農家とその周辺のエコシステムのレジリエンスを高めることを目的とした活動を実施しました。

分析と実践の両方に重点を置いたこのプロジェクトでは、ブリヂストンはお取引先様、地方自治体、地域のステークホルダーと緊密に連携し、リスクが比較的高いと見なされる小規模農家6,675軒を特定し、適正な農業及び環境管理活動に関する個別の指導を行いました。各参加者は生物多様性の保護、土壌・水資源の管理、並びに社会・労働基準の遵守について、再度評価を受けています。

改善された栽培技術の導入と環境保護活動の実践により、小規模農家は高品質な天然ゴムのサプライチェーンへのアクセスが可能となりました。その結果、収入の向上と安定が可能になると共に、より持続可能な土地利用と天然資源の保護が促進されました。

インドネシアでは、地域社会や先住民族コミュニティとの対話を通じて、生計、文化、自然環境の相互依存関係について貴重な知見が得られました。こうした取り組みにより、ブリヂストンは地域レベルでの社会的包摂、土地の管理、そしてエコシステムのレジリエンスの強化を目的とした一連の実践的な提言を策定することができました。

WWFジャパンとの連携によるプロジェクト

ブリヂストンは、2024年、WWFジャパンと連携し、インドネシアのリアウ州とジャンビ州で天然ゴムを栽培する小規模農家に対して、 収穫量向上に向けた技術を普及させるためのプロジェクトを開始しました。本プロジェクトの対象となっている両州は、天然ゴムからアブラヤシ栽培への転換が特に顕著な地域です。生産性向上を通して小規模農家の生計改善に貢献することで、こういった作目転換を防ぎ、新たな農地開発による森林破壊を阻止することを目指します。2024年を通して約4週間をかけて合計で4回実施した研修では、インドネシアにある自社の天然ゴム農園(ピーティー・ブリヂストン・スマトラ・ラバー・エステート)及び本社の技術センターから専門性を持つ人財が活動に参加し、インドネシア・リアウ州の農民組合Kuantan Singingi Rubber Farmers Association(APKARKUSI)に加入する小規模農家11軒と、ジャンビ州の小規模農家5軒に対し、採取や天然ゴムラテックスを凝固させたカップランプによる採取に必要な技術や知識の習得を支援しました。その結果、聞き取り調査では、参加したほとんどの小規模農家が、研修から約1年経過した後に生産量の向上を実感していると回答しています。出荷量データベースでは、研修前と比較して月平均で約8%程度増加した結果を得ていますが、小規模農家においては、採取の頻度は年や月によって、また農家によって大きく変動があったり、その他の要因も影響したりするため、モニタリングを継続して成果や課題の確認を進めています。
この取り組みのインパクトをさらに拡大するため、2025年には、「Farmer to farmer(農家から農家へ)」と名付けた研修プログラムを開始しました。本プログラムでは、2024年に研修を受けた小規模農家がインストラクターとなり、地元の農家と開発した標準化された収穫量増加ガイドラインを使って周辺の小規模農家に技術研修を行っています。各農家に対し年2回の研修(初回研修と、農家が自身の農園で一定期間実践を行った後のレビュー研修)を提供することで、技術評価の結果、農家の採取技術の向上と定着が確認されています。

また、本プロジェクトの対象地域には育苗場がないため、小規模農家が高品質な苗木を手に入れることが難しいことも課題です。このため、対象地域での天然ゴム生産の持続可能性を支援するため、ブリヂストンは自社の技術に基づき、苗床の設置及び管理に関する技術指導と支援を提供しています。また、小規模農家の収入の多様化を支援する可能性のある、アグロフォレストリーを取り入れた再植林手法や維持管理を実証するためのモデル農園の設立も支援しています。

本プロジェクトの成果をネイチャーポジティブな視点から科学的に測定するため、WWFジャパン及びデロイトトーマツグループと協力して、SBTNの土地開示トライアルを通してKPI及び目標の設定を試みました。本トライアルの報告書はウェブサイト外部リンク上でご確認いただけます。

天然ゴム農家への収量向上研修(インドネシア)
本プロジェクトの支援を受けている育苗場(インドネシア)
Syoffinal
Advisor of APKARKUSI
リアウ州の農民組合Kuantan Singingi Rubber Farmers Association

私たちの組合に所属する農家のほとんどは、慣行農法を行っており、若木の手入れ、ラテックス採取、カップランプの凝固と採取、病害対策といった天然ゴムを生産するための適切な技術を学ぶ機会は、これまでにありませんでした。
こうした技術習得研修の場を提供してくれたブリヂストンとWWFには、本当に感謝しています。
研修を受講すれば、天然ゴム生産の農業生産工程管理(GAP)について学ぶことができます。
天然ゴム生産の存続・発展に向けて、今後も包括的なフォローアップ研修が定期的に実施される予定で、最終的にはゴム農家の収入と暮らしの向上、そしてクアンタンシンギンギ県における持続可能な天然ゴム生産の拡大につながることを期待しています。

Rian Satria
WWFインドネシア 天然ゴムフィールドコーディネーター

2024年に実施された持続可能な天然ゴム農家のための研修は、農家の人々に大変ポジティブなインパクトをもたらしました。研修のおかげで、生産性を上げる方法に加え、適切な採取技術やカップランプによる採取方法を使うことで、原材料としての天然ゴムの品質を向上させる方法など、農家の生計改善に直接結びつく知識を得ることができます。また、農家のサステナビリティに関する理解を深めることも、本プロジェクトの目的でした。2025年には、より多くの農家を対象に研修を行う予定ですので、ブリヂストンとのこのプロジェクトのインパクトは、さらに拡大するでしょう。私たちの取り組みは、自然や人に害を及ぼすことのない、持続可能な天然ゴム生産を実現する後押しとなると確信しています。

Firman Hamdi
インドネシア・リアウ州Kuantan Singingi県 の小規模農家

この2年間のブリヂストンチームの皆様からの指導に深く感謝しています。ゴムの適切な収穫・保管方法に関する研修のおかげで、生産性と農園の状態は大幅に改善されました。トレーナー養成プログラムの修了生として、この知識を他の農家の方々と共有し、地域のゴムの生産性と品質を向上できることを嬉しく思っています。これにより、販売価格に好影響が及び、ゴムが主要な収入源として、私たち農家にさらなる自信をもたらすことを期待しています。天然ゴムに対する世界的な需要は今後も続くと確信しており、これからも私が暮らす地域での天然ゴム産業の強化に全力を尽くしていきます。

(写真左より)
ブリヂストン サステナブル技術戦略・研究部 農園・バイオ技術研究課
内島 和人

ブリヂストン サステナブル技術戦略・研究部 農園・バイオ技術研究課 研究主幹
近藤 肇

インドネシアの内製農園に赴任していた際の経験や、他の天然ゴム生産国から入手した農園技術を基に、各農家の状況に応じた生産性・品質向上の指導を開始しました。参加者の皆さんは非常に熱心に取り組んでおり、私たちも参加者の熱意に応えられるよう様々な工夫をしながら引き続き指導を行ってまいります。こうした指導の結果がさらに拡大していくことを目指し、各農家の事情に応じた指導方法の標準化、仕組みづくりも計画しています。生産性向上による供給安定と、農家の方々の生活水準の向上の両立を目指し、引き続き鋭意取り組んでまいります。

GPSNRとのプロジェクト

GPSNRは、多様なステークホルダーが参加する包括的なネットワークであり、天然ゴム業界の持続可能性の強化に向けて、ブリヂストンが他タイヤメーカー、自動車メーカー、加工・製造業者、小規模農家、NGOと協働するうえで有効なプラットフォームとして機能しており、資源や知識を共有しながら、非常に幅広く複雑な問題に取り組んでいます。
ブリヂストンは、小規模農家の生産能力と持続可能性を強化するために、2023年にGPSNRが中心となって実施する取り組みの支援としてGPSNRに6万ドル(約790万円)を寄付しており、GPSNRから重要な支援企業として認められています。GPSNRでは、この寄付金を活用してアグロフォレストリーによる収入源の多様化のプロジェクトの取りまとめを推進しており、2023年から2024年5月の期間において、インドネシア、リベリア、コートジボワールでアグロフォレストリーのワークショップや研修を実施し、計99の小規模農家に支援を行っています。

ブリヂストンは、GPSNRの生産能力強化プロジェクトへの寄付に加え、有効な支援を実現するためにGPSNRの「小規模農家ワーキンググループ」に積極的に参加し、小規模農家の意見をGPSNRの活動に反映させるべく取り組んでいます。小規模農家の作付面積あたりの収穫量を増やすことで、生産能力を強化するための支援を行うために、GPSNRの「責任共有フレームワーク」での議論に主体的に参加し、資源や知識を共有するための最も公平な資金分配メカニズムのあり方や、天然ゴムの持続可能性の向上に貢献したメンバーの取り組みの評価や表彰のあり方について協議を進めています。

国際市民団体Solidaridadとのプロジェクト:Project Unnati(インド・ケララ州での持続可能な天然ゴムプロジェクト)

「Project Unnati」は、インド・ケララ州の2つの県(イドゥッキ県及びコッタヤム県)において、持続可能な天然ゴムサプライチェーン構築へ向けたブリヂストンの取り組みの一環として開始しており、2027年までに5,000の小規模ゴム農家の生産能力を高め、生計を向上させると共に、人権や環境に配慮したゴム栽培につながるように支援を行っています。

また、ゴム農家に関連するデータの収集と、農業の生産工程管理に関するGood Agricultural Practice(GAP)及び衛生管理に関するGood Hygiene Practice(GHP)についての情報共有を目的とするアプリを開発しました。このアプリは、ゴム農家に向けて農園の優良事例に関する知識を広める用途で活用されており、2026年までにユーザー数5万人を目指しています。

国際市民団体のSolidaridadによる支援のもと、上記2つの県でニーズを調査し、ゴムの品質、燻煙所やゴムシート作成の改善を実施しています。この支援は、ケララ州で実施されたニーズ調査の結果に基づいており、以下のような成果が期待されます。

a. ゴムシートの品質向上:ゴム農家が供給するゴムシートの総合的な品質が5~7%向上
b. 質の高いサービスへのアクセス改善:ゴム生産者協会(RPS)を通じて推進
c. 既存の燻煙所やゴムシート作成への10人の出資者発掘

燻煙所改修による成果

2025年には、「Project Unnati」に参加したゴム生産者協会の一つが、ゴムシートの品質を向上させるという目覚ましい成果を上げました。コッタヤム県にある215軒の農家からなるテックムリー地区のゴム生産者協会は、燻煙所が老朽化していたために、主に低品質のRSS -4ゴムしか生産できないという課題に直面していました。同RPSは「Project Unnati」を通じて燻煙所を改修し、間隔を改善したことで均一な乾燥が可能になりました。1年以内に、同ゴム生産者協会は生産の9割をプレミアムグレードのRSS-1シートに切り替え、農家には1キログラムあたり20ルピーの追加収入がもたらされました。加えて、年間生産量も25トンから30トンへと2割増加しています。この改修により、製品の品質、農家の収入、そしてゴム生産者協会全体の加工能力が大幅に向上しました。また2025年には、燻煙所の改修により4つのグループ加工センターが設立され、品質の向上と温室効果ガス(GHG)排出量の削減につながっています。

2025年に取り組んだ主な活動は次のとおりです。

天然ゴムの生産性向上に向けた主な活動
活動 目的 支援対象
1 農家の生産能力向上と動員 Good Agricultural Practiceの推進、生産性向上 農家1,196軒が参加。生産能力向上セッション56回
2 Natural Rubber Conclave 2025 知識共有とステークホルダーエンゲージメント ステークホルダー150名(ゴム農家125軒を含む)
3 間作を活用した副収入の確保と作物多様性の推進 収入源の多様化と生物多様性 農家236軒(54ヘクタール)にコーヒーとカカオの苗木27,200本を配布
4 女性ゴム農家への養蜂導入研修 収入源の多様化 女性農家41軒
5 アグロフォレストリーと土地の有効活用を通じた農家の起業家精神の育成 アグロフォレストリー、収入源の多様化、生物多様性 農家17軒
6 再生農業推進に向けた実証用農地区画の設置 アグロフォレストリー、収入源の多様化、Good Agricultural Practiceの推進 実証用農地14区画(2025年に新たに4区画を追加)
スクロール

1.農家の生産能力向上と動員

2025年は生産能力向上セッションを56回開催し、合計で1,196軒の農家が参加しました。セッションでは以下のトピックに焦点を当てました。

  • EUDR及びSustainable Natural Rubber Initiative (SNR-i)、職業安全衛生
  • ラテックス採取技術(マーキング、開口、刺激を含む)(落葉時の採取、雨対策、通常の採取、及び管理された上向き採取に関する知見)
  • 作物の加工、ラテックスの採取、高品質なシート生産に必要な様々なパラメーター

2.Natural Rubber Conclave 2025

  • Natural Rubber Conclave 2025は、ゴム栽培の課題と展望、ゴム農園における間作及び多品目栽培の取り組みの範囲、並びに代替となる生計手段について議論し、知識を共有することを目的として開催されました。
  • 会合には、125軒を超えるゴム農家を含む150人以上のステークホルダーが参加し、ベストプラクティスや課題について議論が行われました。

3.間作を活用した副収入の確保と作物多様性の推進

ブリヂストンは、農家の副収入を確保し、作物の多様化を通じて経済的なレジリエンスを構築する活動として、間作を推進しています。
この活動の一環として、イドゥッキ県及びコッタヤム県の236軒のゴム農家に対し、間作用のカカオとコーヒーの苗木27,200本を配付しました。支援対象となった農家の農地の総面積は、54ヘクタールに上ります。
この活動を通して土壌の健康状態を改善し、作物の多様化を推進することで、永年作物とゴムの栽培を一体化させ、生物多様性の保全に大きく貢献することを目指しています。

4.女性ゴム農家への養蜂導入研修

ブリヂストン インディア プライベート リミテッド(BSID)によるこの活動は、養蜂に携わる人たちの団体の結成を支援し、女性ゴム農家に技術指導を行う同社の取り組みの実例です。この活動では、合計で41の女性ゴム農家(イドゥッキ県21人、コッタヤム県20人)が研修を受けました。養蜂に携わる人たちのグループの結成やミツバチの群れの作り方、そしてミツバチの巣箱、道具、保護服といった必須道具の入手方法などに関し、総合的なサポートを提供しています。養蜂は、持続可能で低コストでありながらも利益が大きいため、ケララ州の農家には数多くの利点があります。

5.アグロフォレストリーと土地の有効活用を通じた農家の起業家精神の育成

本プロジェクトは、ゴム農園内の未使用の土地を活用して、農家が収入を増やし持続可能な農業を実践するよう、農家を支援することに焦点を合わせ、蜂蜜の加工や家畜の飼育、養鶏などに従事している農家の起業家をサポートしています。
このプロジェクトの対象として、イドゥッキ県とコッタヤム県から17人の起業家が選ばれました。収入源の多様化、製品の品質の向上、持続可能な農業の実践を後押しすることが狙いです。

6.再生農業推進に向けた実証用農地区画の設置

ゴム農家に対し、コーヒーやカカオとの混作、新しいゴム栽培、オープン採取、管理された上向き採取、被覆栽培といった再生農業の方法を紹介するため、実証用農地を合計で14区画(2024-2025年に10区画、2026年に4区画)設置しました。

病害診断技術の開発

世界のゴム農園の9割以上が集中する東南アジアでは、パラゴムノキが根白腐病に感染してしまう被害が深刻化しています。特に、対処が効果的である感染初期段階における診断技術の確立が課題となっていますが、ブリヂストンでは、ドローンや人工知能(AI)を利用した早期診断の技術を開発しました。ブリヂストンは、九州大学とBRINと共同で、パラゴムノキの根白腐病に対する予防技術を開発し、天然ゴム農園の生産性向上に貢献することを目指して、研究を開始しました。

※ インドネシア国家研究イノベーション庁(インドネシア語:Badan Riset dan Inovasi Nasional(BRIN))

詳しくは「貢献の最大化」をご覧ください。

天然ゴムサプライチェーンのグリーバンスメカニズム

ブリヂストンは、バリューチェーン全体で信頼できるパートナーと連携し、社会に対する価値を共創することが不可欠であると考えています。 特に森林伐採、児童労働や強制労働のリスクにさらされる懸念のある天然ゴム産業において、グリーバンスメカニズム(苦情受付・解決の仕組み)はバリューチェーン全体の持続可能性を高めるための有効な手段の一つになります。こうした仕組みにより、ブリヂストンの事業に関わるステークホルダーからの意見を集め、お取引先様との関係強化を図り、持続可能なサプライチェーンの構築を進める上での潜在的なリスクや機会についても把握できるようになります。 2022 年には、天然ゴムのサプライチェーンを対象としたグリーバンスメカニズムを構築しました。このグリーバンスメカニズムは、人権や環境の問題を取り扱い、通報者の秘密・匿名性を適宜確保しています。天然ゴムサプライチェーンに関わる内外のすべてのステークホルダーが利用可能で、ブリヂストンの調達ポリシーに基づき、お取引先様や第三者専門機関と問題解決を図るものです。また、必要に応じ、GPSNRとも連携して対応します。ブリヂストンは、グリーバンスメカニズムの透明性を確保するため、ウェブサイトで標準作業手順書(SOP)、苦情受付窓口、苦情への対応状況を公開しています。

2023年には、ブリヂストンのお取引先様1社に対する苦情を受け付けました。(アフリカの数カ国及び東南アジアにおける同お取引先様の事業活動に関する苦情が複数寄せられました。)国際NGOであるEarthwormの支援を受け、苦情の対象となったお取引先様に連絡し、第三者機関による調査結果、改善のための行動計画、現状を確認しました。 対話に基づいて、2023年6月にグリーバンスリストをウェブサイトに公開し、四半期ごとに対応状況を更新しています。ブリヂストンは、引き続き人権、環境の管理・実践の改善を監視していきます。適切かつ透明性の高い運営を行うことで、お取引先様に対してリスクの是正・軽減や被害者支援を促すことができ、人権リスクの低いサプライチェーンを構築することが、ひいてはブリヂストンへの安定供給につながるものと考えています。

詳しくは「グリーバンスメカニズム外部リンク(英語のみ)」をご覧ください。

持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム(GPSNR)

ブリヂストンは、サステナビリティの取り組みを着実に進めていますが、さらなる向上のためには業界全体の協力が不可欠だと考えています。そこで、同業他社と共にGPSNRを始動させました。GPSNRを通じて、人権尊重の促進、土地収奪や森林破壊の回避、生物多様性や水資源の保全、天然ゴムの収量の向上、サプライチェーンの透明性とトレーサビリティ向上のための基準づくりを進めています。

天然ゴムの持続可能な調達の強化に向け、影響力があり広範囲に及ぶ貢献をするために、ブリヂストンは、GPSNRにおけるすべての主要な取り組みと議論への関与を深めています。例えば、2021年にGPSNRがポリシーフレームワークを承認したことを受け、ブリヂストンは、GPSNRのメンバー企業がポリシーフレームワークの実施の進捗を報告するための報告要求事項の策定に携わり、中心的役割を担いました。2022年6月のGPSNRの総会では、上記の報告要求事項、メンバーによるポリシーフレームワークの実行を支援する「実施ガイドライン」、天然ゴムの持続可能性を強化する責任をサプライチェーンの全関係者が適切に共有できる、バランスの取れた構造を構築することを目指した「責任共有フレームワーク」が承認されました。2022年後半から2023年にかけて、ブリヂストンは、GPSNRメンバーが自らの持続可能性レベルを情報開示する際に役立つ、業界全体の保証制度の構築を目指す議論を主導しました。

ブリヂストンは、タイヤメーカーを代表して、GPSNRのエグゼクティブコミッティのメンバーとして発足時から参画しており、現在は委員長を務めています。

ブリヂストンは、引き続きGPSNRのメンバーや、NGO、天然ゴムサプライヤー、お客様などの様々なステークホルダーと共に、天然ゴムのサプライチェーンの透明性とトレーサビリティ向上に向けた取り組みを積極的に推進していきます。

GPSNRは2025年に「共同投資メカニズム(SIM)」を立ち上げました。SIMは、農場レベルでの生産性、トレーサビリティ、持続可能性の向上を目的とした小規模農家向けの能力開発プログラムに対して加盟団体が共同して投資をし、大規模支援を可能にする仕組みです。ブリヂストンは当メカニズムの構築に直接貢献し、2025年のSIMサイクルにおいて2件の小規模農家向けプロジェクトの承認を獲得したほか、2026年のサイクルではさらに3件のプロジェクトの承認を獲得しました。

持続可能な変革を推進するGPSNR保証制度への取り組み

先行保証評価の報告書
GPSNR保証制度の構築に向けた議論

GPSNR保証制度は、継続的改善の原則に基づいた包括的かつ透明性の高い枠組みです。この保証制度を活用することで、企業は天然ゴム業界の持続可能性に向けた取り組みを推進し、その取り組みに関する信頼性の高い訴求を行うことが可能となります。

GPSNR保証制度を適用する場合、企業は以下の条件を満たすことが求められます。
- GPSNRポリシーフレームワークを遵守し、GPSNRの報告枠組みに基づいて情報開示を行う
- リスクを特定し、GPSNRの実施ガイドラインやその他のツール、共同投資メカニズムなどのスキームを使って取り組みを実施する。
- 加盟団体が継続的改善の実現に向けて利用できる基準、チェックリスト及び手順を活用して、第三者評価を受ける
- 評価結果を公開し、取り組みに関して信頼性の高い訴求を行う

ブリヂストンはGPSNRの創設メンバーとして、当保証制度の構築を目指す議論を主導してきました。この保証制度は2025年に正式に承認され、2027年に制度の適用が始まる予定です。

2025年後半、ブリヂストンは、自社の活動や取り組みを独立した第三者の視点から確認するため、GPSNRがメンバー向けに保証制度の準備支援用に設けた保証制度の要件に沿った先行評価の機会を活用しました。この評価の結果、ブリヂストンがGPSNRの要件を満たしていること、またサプライチェーンのマッピング、リスク評価、及びデューディリジェンス体制の信頼性が確認されました。ブリヂストンは当保証制度の早期導入企業として、2027年から開始される保証制度の全面的な義務化に向けた準備を継続しています。

紛争鉱物のリスク管理

ブリヂストンの調達ポリシーは、コンゴ民主共和国及びその周辺の紛争地域で採掘されている紛争鉱物(すず、タングステン、タンタル、金)も含めた、全ての原材料を対象としています。ブリヂストンは、400を超える世界の企業や組織が参加する「責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)外部リンク 」が作成する報告テンプレート(Conflict Minerals Reporting Template(CMRT)、Extended Minerals Reporting Template(EMRT)) を用いて、サプライチェーン全体のリスク評価を行っています。紛争鉱物を含む可能性のある製品のお取引先様には毎年、この報告テンプレートの記入とご提出をお願いしています。製錬業者がRMIによる「責任ある鉱物保証プロセス(RMAP)」に準拠していないことが疑われる、または確認された場合、サプライヤーは別の調達先、または代替鉱物を見つけ出し、行動を起こすよう最善を尽くす必要があります。

今後、調査の結果、ブリヂストンの製品において武装勢力の資金源となっている紛争鉱物の使用が判明した場合には、サプライヤーとのコミュニケーションを通じて速やかに是正処置を講じ、持続可能な調達活動を推進していきます。