Environment(環境) | 自然と共生する

貢献の最大化(調達)

小規模農家への技術提供による生産性の向上

技術や苗木の提供を通じ、生産性向上に寄与

世界の天然ゴム生産の大半は東南アジアの小規模ゴム農家で行われており、ブリヂストングループはそこで生産された天然ゴムを多く使用しています。しかしこれら農家の生産性は低く、天然ゴムの品質と生産量にばらつきがあります。そこで、当社グループでは、生産性・品質の高い天然ゴムの苗木を配布するとともに、自社農園向けに開発した生産性向上技術をインドネシアの北スマトラ州シアンタール市に設立された農業訓練センターで指導しています。また、各地域から選抜されたインストラクター候補生に対する技術研修なども行い、小規模農家の生産性と品質の向上を支援しています。

こうした取り組みによって、天然ゴムの品質の向上、農家の単位面積当たりの収量の増加、天然ゴム生産に伴う土地利用の拡大抑制が期待されます。

AIを用いた「パラゴムノキ」の病害診断技術

根白腐病の症状

天然ゴムは、タイヤ生産の持続可能なサプライチェーンを確保する上で極めて重要な原材料であり、主にパラゴムノキから生産されています。しかし、パラゴムノキは根白腐病のような病気にかかりやすく、また根白腐病は、パラゴムノキの根が感染するため診断が難しいことから、感染は増加の一途をたどっています。

ブリヂストンは以前、当社で解析した病原菌の遺伝子配列情報をベースに開発した試薬キットを用いて、根白腐病を早期に発見する画期的な簡易病害診断テストを確立しました。これがあれば、フィールドで特別な装置を使うことなく、目視で簡易に病害菌を確認することができます。(詳細は当社ニュースリリースをご覧ください。)

今回、ブリヂストンは診断技術の開発を行い、広大な農園内から品種や樹齢に関係なく、迅速かつ90%前後の精度で羅病木を見分けることに成功しました。株式会社電通国際情報サービスとの共同プロジェクトであるドローンによる病害診断技術は、現地農園スタッフによる根白腐病の羅病木判定に関する「暗黙知」を人工知能(AI)に学習させ、そのAIの病害診断画像解析とドローンによる空撮画像を融合させています。

この技術は、根白腐病がゴムの収量に影響を及ぼす前の早い段階で、羅病木を診断・手当てすることを可能にするため、ゴム農園の生産性向上に貢献します。

詳細は当社ニュースリリースをご覧ください。

ビッグデータを活用してパラゴムノキの植林計画を最適化

事業の成長とそれに伴う環境への影響や資源の消費を切り離す「デカップリング」への挑戦をさらに進めていくため、ブリヂストングループは、パラゴムノキ由来の天然ゴムを生産する農園の生産性向上に向けて研究開発に取り組んでいます。

ブリヂストンは2021年1月、30年以上先までの植林計画を最適化するシステムを開発したと発表しました。ゴム農園は、広大な農地に複数の品種を植林しており、農地における植林の数や収穫の工数をどのように最適化するかなど、管理に関する様々な課題に直面しています。ブリヂストンは、日本の学術研究組織である統計数理研究所の助言を得て、これらの課題に対処して農園の収量増加を実現し、天然ゴムの長期にわたる持続可能な供給に貢献する画期的なシステムを開発しました。このシステムは、農園に関する様々なデータ、収量予測、樹種を含む膨大なデータを活用して、当社が開発した数理モデルと混合整数計画法を組み合わせ、「どの品種を」「いつ」「どこに」「どの程度の量を」植林すればよいかという、植林の最適なソリューションを導き出すことができます。

ブリヂストンは今後、このシステムのカスタマイズを進め、世界における天然ゴムの持続可能な安定供給に貢献することを目的として、これを他の農園にも展開したいと考えています。

詳細は当社ニュースリリースをご覧ください。

※ 施設の配置などを検討する際に、整数で答えが示される問題解決のための手法。

天然ゴム農園周辺の森林の回復

ゴム林の様子
現地成果報告会の様子

インドネシアの南カリマンタン州にあるピーティー・ブリヂストン・カリマンタン・プランテーション(BSKP)のゴム農園周辺には、火災などにより消失し、荒廃した国有林があります。ブリヂストンと早稲田大学が連携して設置したプロジェクト「W-BRIDGE」では、2012年から2020年まで、支援プロジェクトの1つとして、早稲田大学と公益財団法人国際緑化推進センターが、BSKP、Lambung Mangkurat大学、Tanah Laut 県林業部と共同で、住民林業制度を活用した国有林の回復プロジェクトを実施しました。

当プロジェクトでは、荒廃した国有林をパラゴムノキと昔から自生していた樹木の混交林として造成し、さらにパラゴムノキが成長するまでの間イネやマメなどの農作物を栽培することで、生物多様性に配慮しつつ、コミュニティにとって経済的に価値の高い森林づくりを行いました。さらに、回復した森林が再び荒廃地に戻らないよう、参加住民のパトロールによる森林火災の防止活動を実施するなど、地域住民が自立でき、森林が長期的に回復・維持できる仕組み作りを目指しました。BSKPは当プロジェクト終了後も、パラゴムノキの苗木や生産技術の供与を通じ、住民の活動を支えています。

地域社会・大学・企業の三者が一体となって進めてきたプロジェクトの成果として、2020年までに累計67ヘクタールの森林造成が完了しました。また、2012年に植林したパラゴムノキからは、樹液を集め、天然ゴムの原料となるラテックスの採取が可能となっています。BSKPは2020年に近隣住民に対しラテックス採取の研修を実施し、2021年にはパラゴムノキを寄贈する予定です。