生産段階のCO2排出量(Scope 1、2)の削減

ブリヂストングループは、「マイルストン2030」において2030年までに排出するCO2の総量(Scope 1、2※)を2011年対比で50%削減することを目標に設定しています。
2020年は従来からの取り組みであるエネルギー効率の改善に加え、再生可能エネルギーの導入を強化してきました。2020年のCO2排出量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による生産量減少の影響も大きく影響し、2011年対比31%の削減となりました。
中期事業計画では生産量の増加を見込んでいますが、2023年のCO2排出量の目標値を2011年対比30%以上の削減とし、生産量回復によるCO2排出量への影響の最小化を図りながら、さらにグローバルでの取り組みを加速させていきます。
- ※ Scope 1は企業が直接排出するCO2(自社の工場のボイラーなど)を指す。Scope 2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)を指す。
ISO50001認証の取得

ローマにあるブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエーの技術センターは2012年5月、イタリアで初めてISO50001認証を取得しました。欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ(EMIA)地域では、各工場がISO50001認証の取得に取り組み、エネルギーの管理や効率化の改善を進めています。2020年にイタリアのバリ工場が認証取得したことで、現在EUにある全ての新品タイヤ工場がISO50001の認証を取得しています。また、トルコのイズミット工場とアクサライ工場も認証を取得しているほか、タイのランシット工場とノンケー工場は2015年、普利司通(中国)投資有限公司の惠州工場は2016年、コスタリカのサンホセ工場は2018年にISO50001認証を取得しました。
ブリヂストングループではエネルギー消費の主要因の特定、効果指標の定義、リアルタイムでのモニタリングの継続実施(欧州の「Smart Energy」プロジェクト※)、目標設定、従業員への周知、設備関連の技術者の技能向上、省エネに関する専門チーム結成などに取り組み、エネルギーマネジメントの向上を図っています。
- ※ 生産工程におけるエネルギー消費量の最適化などを図るプロジェクト。
再生可能エネルギーの利用拡大
カーボンニュートラル化への取り組みの一つとして、当社グループは再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでいます。スペインにある3つのタイヤ工場(ビルバオ、プエンテサンミゲル、ブルゴス)とタイヤコード工場(ウサンソロ)では、2018年に使用する全ての電力を再生可能エネルギーに切り替えており、2020年には、さらに欧州の5つの拠点(ハンガリーのタタバーニャ、ポーランドのスタルガルドとポズナン、ベルギーのランクラール、英国のウォーリック)においても全ての電力を再生可能エネルギーに切り替えました。さらに、イタリアのバリ工場でも同様に、2021年に電力を再生可能エネルギーに切り替え、欧州の新品タイヤ工場で使用される電力は全て再生可能エネルギー由来となりました。これらの取り組みの結果、当社グループの再生可能エネルギー比率(電力)は2020年に11%に達しました。中期事業計画では、2023年に50%以上に拡大することを目標として今後も再生可能エネルギーの導入拡大を進めていきます。
太陽光エネルギーの活用


中国にある無錫工場、インドにあるプネ工場では電力会社と連携し、共同で屋根に設置した大規模な太陽光発電による電力の利用をそれぞれ2018年、2019年に開始しました。また、2020年12月には米国のエイケン工場で2MWの大型太陽光発電システムが稼働しました。
日本では2019年以降、4か所のタイヤ工場(鳥栖、栃木、北九州、久留米)と化工品試験・開発センター(横浜)、グローバル・モノづくり教育センター(東京)に太陽光発電システムを導入しています。
国内のブリヂストン工場などでの太陽光発電システム導入状況(売電事業としての設置を除く)
工場名 | 発電能力 (kW) |
---|---|
化工品試験・開発センター (横浜) | 195 |
鳥栖工場 | 4 |
栃木工場 | 56 |
北九州工場 | 80 |
久留米工場 | 102 |
グローバル・モノづくり教育センター | 60 |

TOPICS
太陽光発電による売電事業
株式会社ブリヂストンの子会社でタイヤ製造設備の設計、製造、販売などを手掛けるブリヂストンプラントエンジニアリング株式会社(BPE)が、太陽光発電による売電事業を行っています。
株式会社ブリヂストン佐賀工場及び彦根工場の屋上に太陽光発電パネルを設置し、2013年12月に起動式を実施しました。
当事業を立ち上げるにあたり、総額約10億円を投資し、佐賀工場と彦根工場であわせて約3,500MWh/年※の発電能力を持つシステムを導入しました。これは、日本の一般家庭970世帯分の年間電力利用量※に相当します。


※ 計算根拠は電気事業連合会出典:3,600kWh/年/世帯を参照
バイオマスボイラーを導入


ブリヂストン デ コスタリカ エス エー(BSCR)は2014年、サンホセ工場にバイオマスボイラーを導入しました。ボイラーの燃料を石油から木質ペレットに切り替えることで、工場のCO2排出量を約50%削減することに成功しました。BSCRのこの取り組みは、コスタリカ共和国が目指すカーボンニュートラルの達成にも貢献しています。また、インドのプネ工場では2021年にバイオマスボイラーを導入し、使用する蒸気を全てバイオマスで賄っています。
国内のブリヂストン工場でのガスコ・ジェネレーションシステム導入状況
工場名 | 原動機 |
---|---|
那須工場 | ガスタービン |
下関工場 | ガスタービン |
栃木工場 | ガスタービン |
久留米工場 | ガスタービン |
防府工場 | ガスタービン |
彦根工場 | ガスタービン |
ガスエンジン |

「エネルギー・サーベイ」を通じたエネルギーの無駄の見える化

生産量は需要に応じて拡大することが見込まれますが、ブリヂストングループは引き続きエネルギー使用量の削減に取り組み、CO2排出量削減の目標達成を目指します。2009年以降、ブリヂストンの技術センターが中心となって、「エネルギー・サーベイ」を積極的に行い、工場設備におけるエネルギーの無駄を「見える化」し、改善項目を特定してきました。また、省エネの取り組みを進める人材の育成を続けています。マイルストン2030では、エネルギー効率を毎年0.5%改善することを目指しており、グループ全体で取り組みを継続していきます。
原材料、流通、廃棄におけるCO2排出量(Scope 3)の削減
ブリヂストングループは、モノづくりの過程で排出される売上高当たりのCO2排出量の最小化に取り組み、2020年に2005年比37%削減※1となりました。
ブリヂストンのCO2排出量については、第三者機関であるロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッドの検証を受け、情報の正確性及び透明性の確保に努めています。
原材料調達 | 約31%削減 |
生産 | 約36%削減 |
流通 | 約25%削減 |
廃棄・リサイクル | 約56%削減 |

CO2排出量の詳細は「ESGデータ」をご覧ください。
東京都「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例 (東京都環境確保条例) 」に基づく情報開示
- ※1CO2排出量の削減活動のほか、売上高に対する為替変動の影響などを含んでいます。
- ※2売上高当たりのCO2排出量削減率(2005年対比)
物流での取り組み

ブリヂストンは、荷主としてエネルギー原単位で年平均1%のCO2削減に向け、傘下にあるブリヂストン物流株式会社をはじめとした物流事業者と協力しています。トラック輸送については、ハイブリッド車など低公害車の導入やエコドライブの推進、車両の大型化といった輸送効率の改善を図るとともに、空コンテナの返送を削減するコンテナラウンドユースや「総合配車システム」による往復輸送の拡大など、物流ルートの改善による輸送距離の短縮を進めています。また、鉄道、船舶輸送への切り替え(モーダルシフト)の推進などにより、工場から物流拠点への輸送に伴うCO2排出量削減に努めています。
生産拠点以外でのCO2削減と再生可能エネルギーの導入

テネシー州ナッシュビル中心部に建つブリヂストン アメリカス・インクの延べ床面積48,588m2、31階建ての本社ビル(ブリヂストンタワー)は、2018年、米国グリーンビルディング協会から「Leadership in Energy and Environmental Design(LEED®)」ゴールド認定を取得しました。
欧州では、ベルギーにあるブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエーの本社オフィスや、イタリアの技術センターとテストコースで使用される電気を全て再生可能エネルギーに切り替えるなど、当社グループは生産拠点以外でもCO2削減と再生可能エネルギーの導入を推進しています。