社会

人権・労働慣行

ミッション

人権と責任ある
労働慣行を推進する
私たちは、多様な人々を受け入れる文化を醸成します。
ブリヂストングループのすべての事業体と事業拠点は、倫理的な労働慣行を取り入れ、従業員と信頼関係を築き、多様性と人権を尊重します。

ブリヂストンは、真のグローバルリーディングカンパニーとしてあらゆる面で真摯に行動し、世界各地域で展開している当社の事業活動において、人権を尊重し適正な労働環境の整備を進めています。この取り組みは、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を提供する会社へ」という当社ビジョンを実現する上で重要であり、当社が掲げる「Bridgestone E8 Commitment」、なかでもすべての人が自分らしい毎日を歩める社会づくりにコミットする「Empowerment」の基盤となります。ビジョンの実現に向け、ステークホルダーの皆様と連携して、事業、製品そしてサービスによって、実際に、または潜在的にもたらし得る人権への影響に対処し、改善していきます。

ブリヂストンでは「グローバル人権方針」に基づき、人権の尊重が日々の業務に組み込まれています。本方針は、国際的に認められた人権基準に対する当社グループの姿勢を明確にし、当社グループ内外のすべてのステークホルダーが、ブリヂストンとお取引先様に期待される行動を定めています。また本方針は、「ダイバーシティ、エクイティ及びインクルージョン(DE&I)の尊重」、「差別とハラスメントの禁止」、「職場の安全・衛生の推進」、「適正な労働環境整備の推進」、「結社の自由及び団体交渉の保障」、という5項目を掲げています。ブリヂストンは、従業員、お客様、お取引先様、ビジネスパートナー、及び、当社が事業を展開する地域の人々との関わりにおいて、「グローバル人権方針PDF」に定める人権に関する諸原則を遵守することに努めます。この方針が定める通り、ブリヂストンは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)及び「国際人権章典」(IBHR)、ならびに国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」が定める人権を尊重し、支持しています。当社は、サプライヤー、協力会社、販売会社、お客様を含む、当社と共に事業を行うパートナーの皆様にも、本方針に示される諸原則を支持いただきたいと考えています。これらの人権尊重に係る姿勢は、ブリヂストンの「行動規範」及び「グローバルサステナブル調達ポリシー」とも共通するものです。

「グローバル人権方針」は、前述の国際基準により国際的に認められた人権に関する諸原則を尊重するという、ブリヂストン全体の一貫性のあるコミットメントを示すものとして、グローバル経営執行会議体(Global EXCO)の承認を経て、Global CEOの支持と署名のもとに、2022年に改訂されました。

特にグローバル企業に対して、ステークホルダーや社会から、人権への取り組みや行動に対する責任がより具体的に問われるようになってきており、当社グループにおいてこのミッションの重要度は一層増しています。ブリヂストンは、ビジネスモデルやバリューチェーン、優先課題、経営方針、事業戦略などに人権への取り組みを積極的に組み込み、その実行を通じて社会価値と顧客価値を創出し、ステークホルダーの皆様からの信頼につなげていきます。

グローバル人権方針

ブリヂストンは、「グローバル人権方針」に基づき、多様な人権課題への取り組みを推進しています。

推進体制

ブリヂストンの人権尊重の取り組みは、Global CEOを議長とする事業戦略・執行を統括する最高位の会議体であるGlobal EXCOが支持・主導しています。Global EXCO(G-EXCO)のもとではGlobal CAO・Global CSOを責任者として、グローバルサステナビリティコミッティ(GSC)が包括的なサステナビリティフレームワークを整理し、人権や労働慣行を含むサステナビリティの取り組みを計画・実行しています。Global CAO・Global CSOは、それらの活動において、横串・グローバル最適責任を果たし、経営課題をGlobal EXCOへ報告・答申します。

GSC傘下の人権・労働慣行ワーキンググループ(WG)は、前述の国際的に認められた人権基準を尊重するというブリヂストンのコミットメントを各戦略的事業ユニット(SBU)及び地域で実践する役割を担っています。人権・労働慣行WGは、各SBUの人事担当責任者などで構成され、グローバル本社の人権専門機能がサポートしながら、人権デューディリジェンスのプロセスやブリヂストンの「グローバル人権方針」の浸透、事業活動に関連する人権リスクの評価・予防・軽減・報告などの人権に関する活動を計画・管理しています。また、人権・労働慣行WGは、グローバル調達コミッティや環境WGと協力し、バリューチェーン全体の人権課題に包括的に取り組んでいます。ブリヂストンの経営層が重要な人権に係る取り組み及び進捗状況を着実に把握できるよう、WGの計画と進捗を少なくとも四半期ごとにGSCに報告しています。

目標とKPI

2022-2024年の実績及び2025年の目標とKPI

ブリヂストンは、人権・労働慣行のミッション達成に向け、次のような目標やKPIを設定しました。

2022年 2023年 2024年 2025年(目標)
グローバル人権方針実行ガイドラインの実施※1 - 100%(グループ会社107社) 実行ガイドラインの改訂 100%(グループ会社175社)
人権リスク調査票(Human Rights Risk Assessment Survey:HRRAS)実施率※2 100%(グループ会社104社) 100%(グループ会社107社) 100% (グループ会社175社)
強制労働、児童労働に係る実行ガイドライン禁止事項違反件数 0 0 0
スクロール
  1. ※1対象会社における「グローバル人権方針実行ガイドライン」の実施
  2. ※2アセスメント対象における「人権リスク調査票」の実施率

人権デューディリジェンスのプロセスの進展と改善が認められ、外部評価機関による評価が大幅に向上しました。ブリヂストンは引き続き、人権を尊重するというコミットメントを事業活動全体で果たせるよう努めるとともに、2025年以降も人権への取り組みを継続的に改善していきます。

ブリヂストンにおける人権デューディリジェンス

人権リスクマネジメントアプローチ

ブリヂストンはデューディリジェンスの体制とプロセスを変化に応じて継続的に見直し、発展させる事に重きをおいています。2022年に「グローバル人権方針」を改訂後、人権尊重のコミットメントを実行するための体制基盤を整備しました。外部の人権専門家、SBUリーダー、そして現場の従業員の協力の下、地域性とのバランスも考慮した「グローカル」なアプローチを取り入れたPDCAサイクルの実施を通じて、クリティカルな人権リスクを効果的に予防・管理するために、グローバルで人権デューディリジェンスのシステムの強化に取り組みました。2021年に基盤構築に着手してから、当社の体制は、グローバル企業としての責任を果たせるレベルにまで改善されました。

ブリヂストンは今後も、事業活動における人権リスクを予防・軽減し、コントロールするために、デューディリジェンス体制の強化に取り組むとともに、社会情勢や事業環境、そしてステークホルダーの期待の変化を先読みし、これらに対応していきます。ブリヂストンは、人権の尊重とこれに係る取り組みこそ、良いビジネスを創るとともによりレジリエントなバリューチェーンの形成につながり、持続可能な価値と事業活動を支え、人権リスクフリーな製品が主流となる市場・事業慣習に貢献すると考えています。社会、お客様、そして事業に関わるすべてのステークホルダーの皆様から信頼されるパートナーを目指し、これからも人権の尊重に努めてまいります。

人権リスクマネジメントアプローチ

人権デューディリジェンスのプロセス

ブリヂストンでは、グループの事業拠点ならびにサプライチェーン全体において定期的に人権デューディリジェンスを実施しています。事業拠点においては第三者機関の専門家との協力の下、UNGPsに沿って取り組みを大きく拡充・加速させており、社会の期待に応えるだけでなく、それを上回るように、包括的デューディリジェンスのプロセスを継続強化しています。このプロセスの各ステップにおいて、社内外のステークホルダー及び第三者機関の専門家とのエンゲージメントを行っています。

※ 地理的、政治的、社会的、産業的、または事業上の要因から人権が深刻なリスクにさらされる可能性のある拠点

2021年の実績:優先課題の特定

2021年には、拡充された人権デューディリジェンスサイクルの第一段階として、第三者リスク分析提供機関であるVerisk Maplecroft、サステナビリティ分野における主要な国際的機関であるBSRと連携し、世界各地の事業拠点における人権リスク・エクスポージャーの評価を実施し、重視すべき人権課題を特定しました。

※ 人権リスクにさらされる可能性

ブリヂストンは、これらの評価結果を受け、当社グループが重視すべき顕著な人権課題として、労働時間、差別のない均等な機会、職場でのハラスメント、強制労働、児童労働、労働安全衛生を特定しました。地理、法規制、産業及び事業の観点からリスクにさらされている可能性が高い人権の領域に対して、事業拠点での人権デューディリジェンス活動に優先的に取り組んでいます。

Verisk Maplecroft、BSRとともに実施した人権リスク評価の詳細を以下に示します。

Verisk Maplecroftとの包括的なリスク評価プロジェクトによる人権リスク・エクスポージャーの特定

Verisk Maplecroftと、グループ内の一部の事業拠点を対象にデスクトップリサーチによる人権リスクアセスメントを実施しました。評価対象となったリスク指標は、児童労働、適正な賃金、適正な労働時間、職場における差別、結社・団体交渉の自由、先住民の権利、移住労働者、現代奴隷、労働安全衛生、プライバシーの権利です。さらに、地理的、政治的、社会的、産業的、及び当社グループの事業上の要因を考慮して、より人権リスクにさらされる可能性の高い事業拠点を特定しました。これらのアセスメントを通じて、独立した機関によって抽出された世界中の事業拠点がさらされているリスクに基づき、ブリヂストンのデューディリジェンス活動の優先事項を決定しました。

BSRとの人権リスクアセスメントプロジェクトによるリスク及び管理システムの評価

ブリヂストンのグローバルに運用されるリスクマネジメントシステムを評価するため、BSRによる社内文書のレビューと社内ステークホルダーへのインタビューを実施しました。評価方法はUNGPsに則り、内容構成は以下の通りとしました。

  1. 1. 業務プロセス、関連地域における人権をとりまく状況、関連する業界標準、主要なライツホルダーやステークホルダーへの潜在的な影響を明らかにするための、社内文書及び外部開示資料のレビュー
  2. 2. 社内各部署の関係者へのインタビューと国際基準に基づく人権リスクのリストの体系的レビュー
  3. 3. 影響の重大性と発生可能性評価
  4. 4. 管理体制の全体評価

※ 権利を有する人々、人権侵害を受ける可能性のある当事者

2022年の実績:人権リスクアセスメント

ブリヂストンでは、2021年の評価結果に基づいて人権リスクアセスメントの優先拠点を選定し、データに基づく計画を策定しました。2022年にはBSRの協力を得て、タイプの異なる2種類の人権リスクアセスメントを実施しました。

一つ目の評価では、2021年の評価で特定された優先拠点における顕著な課題について、より詳細な調査を行いました。当社グループの全拠点のうち代表的な3つの拠点で重点的に調査を行い、顕在・潜在リスクを特定し、現在のリスクマネジメントシステムを検証することで、UNGPsで定められた国際基準とのギャップを明らかにしました。調査を実施した拠点は、1)埼玉県の化工品工場、2)インド・インドールのタイヤ工場、3)リベリア・ハーベルの天然ゴム農園の3か所です。これらの調査では、ジェンダー、宗教、文化など多角的な視点から、包括的な人権項目を対象にしています。また、ブリヂストンのライツホルダーに存在しうる脆弱なグループを考慮し、女性従業員、宗教的マイノリティに属する従業員、移民従業員などを含む、多様な従業員がインタビュー調査に参加しました。

また二つ目の評価として、「人権リスク調査票」によるリスクアセスメントを実施しました。この調査は、人権リスク領域として影響の大きい児童労働と強制労働の2点について、ブリヂストンの事業全体における潜在的なリスク及び管理プロセスを広範に評価することを目的としたものです。世界中の全事業拠点を対象として、児童労働・強制労働に焦点を当て、1)人権リスクの特定、2)国際人権基準に則った人権リスクマネジメントシステムの評価、を2種類の調査票を用いて行いました。

2022年に行われたアセスメントではいずれの拠点でも人権侵害は確認されませんでした。アセスメントにより、確実なリスク管理とそのプロセスの拡充に向けた改善項目が抽出され、日々の業務のなかで人権課題に取り組む意識を根付かせる上で、当社従業員を現場でサポートしていく必要性も確認できました。

ブリヂストンは、人権リスクマネジメントシステムとそのプロセスの強化を目的として、「グローバル人権方針」のコミットメントや姿勢、基準を、日常業務の中で実践し同方針の目的を果たせるよう、具体的なアクションに落とし込んだ「グローバル人権方針実行ガイドライン」を策定しました。児童労働と強制労働の防止に焦点を当てた同ガイドライン(第1版)は、2023年4月に当社グループの全事業拠点に展開されました。

また、ブリヂストンのグローバルな取り組みとしてさまざまな従業員を対象に、1)海外統括会社の人事マネジメントチームを対象としたBSRによる人権研修、2)「グローバル人権方針実行ガイドライン」第1版実施のための当社グループ会社担当者向けオリエンテーション、3)一般従業員向けの「グローバル人権方針」研修など、多くの研修を実施しました。こうした研修は、当社グループ事業拠点において、実行ガイドライン第1版に基づく児童労働・強制労働の防止に係る社内規定の策定と強化につながりました。現場の人事労務担当者との連携を通じて活動を推進しています。

2023年の実績と2024年のフォローアップ対応:人権リスクアセスメント

2024年には、2023年のアセスメントで抽出された改善項目について対応を実施しました。

特定の人権課題及び拠点における詳細な深掘り調査

ブリヂストンは、社内及び第三者機関の専門家との協議、これまでのアセスメント結果、Verisk Maplecroftが提供する人権リスクデータなどを含む包括的なリスク分析に基づいて、リベリアの天然ゴム農園、インドネシアのタイヤ工場、そしてグローバル本社及び工場、これら3拠点を2023年のアセスメント対象として選定しました。

対象 アセスメント項目と基準 アセスメント形式 顕在・潜在的リスク 対応・軽減策 評価・確認事項
Firestone Liberia (FSLB)
天然ゴム農園
ISCC Plus認証で監査対象となる、人権と労働慣行に関する社会的側面の総合評価 社内人権専門機能・担当者による現地調査
第三者機関※1による現地・リモート監査(文書レビュー、現地視察、従業員・地域の人々との面談など)
いずれのリスクも特定なし
  • FSLBは、人権尊重や安全な労働条件といった関連要件を遵守した天然ゴムの栽培を行っており、その持続可能かつ責任ある調達活動が評価され、ISCC Plus EUDRアドオン認証を獲得
    [Press Release]
FSLBは天然ゴムに関するISCC EUDR アドオン認証を獲得
Bridgestone Indonesia
(BSIN)
ブカシ
タイヤ工場
包括的な人権項目(インドネシアの法令とILOに基づきブリヂストンの顕著な人権課題を含む項目を調査) 社内人権専門機能・担当者及び第三者機関※2の人権専門家による現地調査(文書レビュー、現地視察、従業員とのグループディスカッションなど)
  • 人権侵害の特定なし
  • ハラスメント、差別、DE&I、及びグリーバンスメカニズムに関してILO基準とのギャップを一部特定
【ハラスメント】
  • セクシュアルハラスメント防止・対処のための標準的な手順の確立と作業部会の設置を2024年8月までに完了。セクシュアルハラスメント防止のための意識啓発プログラムを2024年11月までに実施。
【差別、DE&I】
  • 1) 評価と賃金に関する業界慣行のモニタリングと適用
    2) 定期的な賃金格差分析の実施
    3) 宗教的マイノリティ向けの休暇考慮
【グリーバンスメカニズム】
  • 1) セクシュアルハラスメント関連の通報に対応する従業員に向けた研修を2024年6月まで実施
    2) 請負・協力会社従業員に対し、通報窓口をすべてのステークホルダーが使用できることを含め、利用方法を周知(2023年12月までに実施)
改善措置の結果として、以下の施策が標準化された。
【ハラスメント】
  • ハラスメント規定・手順
  • ハラスメント対策作業部会
  • ハラスメント対策にかかる研修(年次)
【差別・DE&I】
  • 市場原理に基づいた賃金水準を保障するためのレビュー(年次)
  • 同じ職位の従業員間で公平な賃金を保障するための給与格差分析(年次)
  • 国際女性デーのイベントや、男性・女性従業員向けの健康管理サービスなどの啓発活動
【グリーバンスメカニズム】
  • ハラスメント対策作業部会メンバー向けの苦情処理およびハラスメントに関する研修
  • 請負・協力会社に対するグローバル人権方針、行動規範、BridgeLineに関する説明会(年次)
グローバル本社及び工場 協力会社と派遣労働者の包括的人権リスク管理 第三者機関の人権専門家※2による調査
  • 株式会社ブリヂストン及び栃木工場人事担当者とのオンライン面談及び文書監査
  • 提携する人材派遣会社の書面調査
社内人権専門機能・担当者による調査
  • 栃木工場の人事担当者との面談及び現地視察
  • 提携する人材派遣会社との対話
  • 人権侵害の特定なし
  • 労働条件に関して厚生労働省ガイドラインとの差異を一部特定
  • 契約社員の労働条件に関する当社方針を国内事業拠点に再通知し、厚生労働省ガイドラインに準拠した合理的な説明を実施(2024年2月)
  • 提携する人材派遣会社の協力を得て、派遣労働者に対し、当社求人を告知するプロセスを確立
改善措置の結果として、以下の施策が標準化された。
  • 人事担当者に対する労働条件や関連する国内法に関する定期周知の実施を通じて、さまざまな問い合わせに対する適切な対応を実現
  • 条件に合う適切な欠員・求人がある際に、人材派遣会社に情報を提供するプロセス
スクロール
  1. ※1Foxley及びSCS
  2. ※2BSR
BSINにおけるリスクアセスメント(1)
BSINにおけるリスクアセスメント(2)

当社グループグローバルSBU及び傘下子会社を対象とした「人権リスク調査票」 によるアセスメント

2023年9月、ブリヂストンはILO基準に則り、第三者機関の人権専門家と共同作成したセルフアセスメント形式の人権リスク調査票を当社グループの事業拠点に展開し、実施しました。

アセスメント対象 実施率 アセスメント項目と基準 アセスメント形式 特定された課題とフォローアップ対応
107のグループ会社
(国内外の子会社)
100% 児童労働と強制労働(実行ガイドラインの実施状況)

ILO基準に照らした差別、DE&I、ハラスメント

合計71の質問項目
自己評価アンケート
  • 2024年9月までに、児童労働と強制労働の防止に向けた意識啓発を進め、実行ガイドラインで定められた実施事項と基準の実践
  • 当社従業員および派遣労働者、コンサルタント、サービス提供者/業務委託労働者等第三者ビジネスパートナーに雇用される労働者を含む全ての労働者に当社グループの通報窓口として「BridgeLine」が利用できること、及び利用方法を周知
  • 2024年末までに、差別とハラスメントに対する具体的な防止・対応策と標準的な対処手順を織り込み実行ガイドラインを改訂
スクロール

過去3年間に実施した複数回の人権アセスメントでは、人権に関する違反事案は特定されませんでしたが、デューディリジェンスプロセスにおけるステークホルダー(従業員、ビジネスパートナー、第三者専門家など)とのエンゲージメントの結果、改善項目として以下を特定しました。

  1. 1. 労働慣行のさらなる向上と全てのステークホルダーの人権のより手厚い保護に繋がる国際的な人権基準の尊重
  2. 2. 各グループ会社の経営層、人事担当者、現場の従業員など、すべての従業員の人権に関する意識向上と教育機会の提供
  3. 3. 第三者のビジネスパートナーとの緊密な連携に基づく、あらゆる労働者の人権の尊重。

さらなる改善に向けた2024年の活動:「グローバル人権方針実行ガイドライン」の改訂

人権尊重のコミットメントを次のレベルに引き上げるための第一歩として、ブリヂストンは、2021年から2023年に実施されたデューディリジェンスで抽出された改善項目に対応するために、「グローバル人権方針実行ガイドライン」(「実行ガイドライン」)を改訂しました。

実行ガイドラインは、世界中のグループ会社がグローバル人権方針を遵守して事業活動を行うこと、また日々の活動においてグローバル人権方針が掲げるコミットメントを確実に実践することを目指しています。この目標を達成するために、改訂された実行ガイドラインでは以下を定めました。

  1. 1) グローバル人権方針が掲げるコミットメントの実現に向けたブリヂストンの人権基準
  2. 2) 人権リスク及び違反の予防・是正を含む人権リスク管理をグループ会社が実践する際の指針
  3. 3) 当社従業員および派遣労働者、コンサルタント、サービス提供者/業務委託労働者等第三者ビジネスパートナーに雇用される労働者を含むあらゆる労働者の人権を尊重するための具体的な取り組み

実行ガイドラインの改訂プロセスにおいては、ステークホルダーエンゲージメントも重視しました。人権・労働慣行WGは第三者機関の人権専門家の協力とアドバイスを得た上で、人権に関する国際基準を参照し、実行ガイドラインの草案を作成しました。こういった国際基準には、人権に関する国際憲章(世界人権宣言(UDHR)、市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)、及び経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(ICESCR))、 労働における基本的原則及び権利に関するILO 宣言、企業と人権に関する国連指導原則、OECD多国籍企業行動指針などが含まれます。実行ガイドラインは全SBUの人事担当者、法務担当者、及び各地域のグループ会社を代表する従業員がレビューしたほか、GSCの承認も得て策定されました。

実行ガイドラインの基本情報

対象拠点 グローバル本社、地域本社及び子会社(合計175社)
目次
各章が取り上げる人権項目
  1. 1. 強制労働
  2. 2. 児童労働と若年労働者
  3. 3. 差別の禁止とダイバーシティ、エクイティ及びインクルージョン(DE&I)
  4. 4. 職場での暴力とハラスメント
  5. 5. 労働時間
  6. 6. 賃金と福利厚生
  7. 7. 結社の自由と団体交渉
  8. 8. 苦情処理メカニズムと規定違反への対処
適用範囲 ブリヂストングループの事業拠点で従事するあらゆる労働者(当社従業員および派遣労働者、コンサルタント、サービス提供者/業務委託労働者等第三者ビジネスパートナーに雇用される労働者を含む)
スクロール

※ 各人権項目は、人権リスク管理を強化するためのプロセスに従って整理されています。具体的には、1)ブリヂストンの人権基準、2)規定と手順、3)規定と手続きに関するコミュニケーション、4)規定の実施と実践、5)規定の実施状況の記録、モニタリング。レビューです。

ブリヂストンは2025年に、「人権リスク調査票」を使って当社の人権基準の遵守状況のモニタリングを行うとともに、デューディリジェンスのプロセスを通じて人権リスクマネジメントを継続的に強化していきます。

人権に関する研修

人事担当者の意識向上に向けた取り組み

経営層、人事担当者、そして現場の従業員を含むすべてのグループ会社の従業員の間で、ブリヂストンの人権尊重の取り組みに関する認識を高め、教育を拡充するため、各SBUでは様々な学習機会・研修を企画しています。

各地域での取り組み

Bridgestone WEST: 米州(BSAM)および欧州・中近東・アフリカ(BSEMEA)地域

Bridgestone WESTは、経営層及び人事部門全体に向けて、複数回のコミュニケーション機会を通じて、新しい実行ガイドラインを展開、推進します。加えて、各国の人事担当者向けに、従業員のライフサイクルに関係するガイドライン要件の人事プロセスへの取り入れ方に関する講習会を開催します。講習会では、人権・労働慣行WGが管轄するより幅広い活動にも焦点を当て、参加者が懸念を打ち明けたり、慣行とのギャップを特定したり、またベストプラクティスの共有や共通の解決策の特定を行うことができるよう、開かれたディスカッションの場も設けます。この講習会に参加する人事担当者は、2025年下期に人権・労働慣行WGと連携して実施予定の「人権リスク調査票」によるアセスメントにも参加する予定です

アジア・大洋州・インド・中国地域(BSAPIC):

ブリヂストンアジアパシフィック(BSAPIC)は、すべてのグループ会社の人事担当者向けに新しい実行ガイドラインの要件を説明し、実践に向けた説明会を実施します。同時に、BSAPICの人権・労働慣行チームは、グループ会社の人事チームの懸念やベストプラクティスの共有、改善計画を策定するための指導と支援を実施しています。2025年の下半期には、BSAPICのグループ会社も「人権リスク調査票」によるアセスメントに参加し、実行ガイドラインに基づき強化された人権・労働慣行に係る各社の規定と手順を評価し、ギャップを特定し、さらなる改善のための緩和計画を策定につなげていきます。

日本:

日本セグメントでは、グループ会社の人事担当者向けにガイドラインに関する説明会を実施しています。説明会では、ガイドラインの実施におけるキーポイントに焦点を当てるほか、ベストプラクティスの共有も行っています。加えて、実施にあたって起こり得る懸念や問題にも対処しています。日本セグメントはガイドラインの実施を促進するために、継続して取り組みを行うことで、グループ会社の関係者及び人事担当者の育成を目指しています。日本セグメント傘下グループ会社においても、2025年下期の「人権リスク調査票」によるアセスメントに参加する予定です。

全従業員を対象とした「グローバル人権方針」と「行動規範」に関する研修

ブリヂストンは、「グローバル人権方針」と「行動規範」に関する教育を定期的に実施しています。2023年に続き、2024年には対象とした従業員の94.7%にあたる30,040人に対し人権教育を行いました。また、すべての管理職は、ハラスメントやいじめなどのテーマを含む「行動規範」についても定期的に研修を受けています。

人権・労働慣行WGは、グローバル調達コミッティとグローバル本社のサステナビリティ専門機能と協働で、包括的デューディリジェンス及びリスクアセスメントプロセスの一環として人権研修プログラムを推進しています。この研修プログラムの内容は、人権上の影響につながる具体的な状況や要因についての認識を高め、当社グループの事業活動と人権の関係について理解し、バリューチェーン全体で人権を尊重していくことの重要性をより深く理解できるように構成されています。

内部通報システム

グローバル人権方針の遵守を確実なものとするため、従業員、協力会社、お取引先様、お客様などすべてのステークホルダーの皆様を対象にした内部通報窓口「BridgeLine」をグローバル展開しています。「BridgeLine」は、電話やWebサイトで、グローバル人権方針などの会社の方針や行動規範に対する違反が疑われる行為、人権上の懸念や疑問について、最大限の守秘義務のもと匿名で報告や問い合わせができる窓口です。

ブリヂストンは、声を上げることを奨励しており、誰もが安心・安全に「BridgeLine」を利用できるようにしていきます。また報復を禁止する体制を整え、通報者に対するいかなる報復的行為も決して容認しません。