社会|人的創造性

人的創造性の向上

事業戦略と連動した人財戦略の推進

ブリヂストングループでは、事業戦略と連動した付加価値創造により企業価値向上を図ると共に、個人の成功・自信の波及を通じて多様な人財が輝けるようになることを人財戦略の軸とし、事業戦略と連動した人財戦略の推進に取り組んでいます。「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」の実現を目指し、中期事業計画(2024-2026)において、グローバルで現物現場を大切に、「価値創造に、よりフォーカス」することで変革を加速させていくため、経営・業務品質の向上を最優先に、変革の原動力である人財一人ひとりの生産性・創造性の向上に向けて様々な取り組みを進めています。

これらの取り組みを表す指標として、「人的創造性」を2023年から試行し、中期事業計画(2024-2026)からグローバル経営指標として導入しました。「人的創造性」は、人財投資を強化し、付加価値を上げ、価値創造の好循環を生むことを基本的な考え方としています。グローバル共通の一本の軸として、人的創造性KPI(調整後営業利益(付加価値)を人財投資(労務費、教育訓練費、福利厚生費の和)で割ったもの)でグローバルの推移を把握しながら、地域別・国別の課題に取り組んでいます。

人的創造性KPI

自動車業界やタイヤ業界の構造変化の加速等による厳しい事業環境を生き抜くため、当社グループは、2025年を「緊急危機対策年」と位置付けています。厳しい事業環境においても生産性・創造性の向上を目指し、課題に正面から向き合い、正しい危機感を持って、企業理念の一つとして掲げる「熟慮断行」をそれぞれの持ち場で実行します。そして人財一人ひとりが「品質へのこだわり」「現物現場」「お客様の困りごとに寄り添う」「挑戦」という当社DNAに共感し、体現しながら価値創造に取り組むことを重視し、事業戦略と連動した人財戦略を推進しています。

経営・業務品質向上の追求

当社グループは、価値創造の基盤として、「良いビジネス体質を創る」ことを、中期事業計画(2024-2026)の最優先課題としています。1960年代に卓越した総合的品質管理を実施している企業に与えられる「デミング賞実施賞」の受賞に向けて策定した、「ブリヂストン独自のデミング・プラン」に沿って、イノベーションと継続的改善に取り組み、グローバルで経営・業務品質の向上を追求しています。このデミング・プランは、当社DNAを反映しているものです。

当社グループは、この経営・業務品質の向上を図るため、当社DNAへの共感を育み、行動変革を促進する「デミング・プラン再浸透施策(経営・業務品質向上)」、「創業の地研修」、当社DNAを次世代につなぐ上で重要な次世代グローバル経営リーダー育成「Bridgestone NEXT100」プログラムを通じた経営人財の重点育成に取り組んでいます。

人財一人ひとりの生産性・創造性向上-多様な人財の挑戦・成長支援、多様な人財が輝く場づくり

当社グループは、厳しい事業環境を生き抜くため、変化に対応できる「強いブリヂストン」への進化と「稼ぐ力の強化」に取り組んでいます。稼ぐ力の強化の実現には、人財一人ひとりの生産性・創造性(人的創造性)の向上が必要であり、当社DNA強化を進めていくと共に、会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現が両輪をなすものであるよう、ブリヂストンらしい人財育成と職場環境整備に取り組んでいます。具体的には、多様な人財が自身のキャリアを自覚的に捉え、ブリヂストンの幅広い業務領域で現物現場を大切に、価値創造に主体的に挑戦する人財づくり(挑戦・成長支援)、働きがいと働きやすさを両立した職場環境づくり(多様な人財が輝く場づくり)を重視し、様々な取り組みを加速させています。

また、当社グループは、断トツ商品を「創って売る」プレミアムタイヤ事業をコア事業として強化すると同時に、お客様が「断トツ商品」を「使う」段階でその価値を増幅するソリューション事業を成長事業として拡充しています。プレミアムタイヤ事業とソリューション事業の連携を深めていくことが、新たな社会価値・顧客価値の創造につながり、当社グループの企業価値を向上させ、持続的な成長につながると考えています。その実現のためには、当社の断トツ商品や現場力などの強いリアルにデジタルを組み合わせ、社会やお客様の困りごとに寄り添い、解決することが重要であると捉えています。そうした「リアル×デジタル」を加速させるブリヂストンらしいデジタル及びソリューション人財の育成に取り組み、新たな価値創造を支えます。

これらの取り組みが、変化に対応できる「強いブリヂストン」、「稼ぐ力の強化」を実現し、2026年「真の次のステージ」への基盤構築につながると考えています。

当社グループの企業経営の基盤は、「安全宣言」に掲げている「安全はすべてに優先する」です。お客様をはじめとするステークホルダーの皆様からも期待されており、高い安全基準の適用により当社グループの従業員や協力会社の労働安全・衛生を確保する上で、一層重要となっている、この安全宣言に基づき、従業員一人ひとりが安全な職場で安心して働くための環境整備にも取り組んでいます。

自律的キャリア開発支援

当社グループは全ての事業所で従業員にキャリア計画や能力開発計画の策定を推奨し、従業員が上司や経営陣の協力・支援を得て意義とやりがいのある業務を完遂し、自律的なキャリア開発に取り組むことを支援します。具体的には適切かつオープンなフィードバック文化を推進し、定期的なキャリア開発面談や360度評価等の多面評価の導入を行っています。また、当社グループは従業員の成長を支援することを通じて組織成果を高めるため、目標による管理を実施しています。

定期的に業績評価やキャリア開発面談(評価)を受けている従業員の割合を以下の表に示します。

定期的に業績評価を受けている従業員の割合
2024
日本 合計 90%
株式会社ブリヂストン 100%
アジア・大洋州・インド・中国 86%
米州 56%
欧州・中近東・アフリカ 84%
スクロール

※ 当社では基幹職は年に1回、一般層は年に2回目標設定を行い、期中に上司との面談をしながら、目標達成に向けたプロセスを推進しています。

キャリア開発面談(評価)を受けている従業員の割合
2024
日本 合計 68%
株式会社ブリヂストン 96%
アジア・大洋州・インド・中国 15%
米州 25%
欧州・中近東・アフリカ 52%
スクロール

幅広い層に対する学びの機会

当社グループで長期的に活躍してもらうべく、従業員の継続的な学習と成長文化の促進、学習する組織づくりを目指し、地域別・国別の状況を踏まえながら、グループ全体で人財育成投資の継続的強化に取り組んでいます。従業員の自発的な学びを促進する活動も地域別に開催しています。

2024年、グループ全社で合計311万3,511時間を従業員研修に投資しました。これは従業員1人あたり、年間平均27.7時間(3.7日)に相当します。

2021 2022 2023 2024
当社グループの従業員一人当たりの研修・能力開発の平均時間 11.1 16.8 19.6 27.7
スクロール

※ 1日あたり7.5時間を労働時間として換算。

自ら挑戦・成長する意欲のある人財への重点機会支援

「挑戦」に関しては、特に探索事業において、他社とのアライアンスに加え、社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を立ち上げ、新しい事業をゼロから創り出したいという起業家精神を持った多様な人財が集結、「ゴムを極めたブリヂストンの新たな挑戦 – “いい感じ”にモノをつかむ、そしてゴムの力で、すべての人の生活を支える」ソフトロボティクス事業の早期事業化に挑戦するなど、「多様な人財が“輝く”、多様な挑戦の場」づくりを進めています。当社グループには、プレミアムタイヤ、ソリューション、化工品・多角化といった幅広い事業領域と川上(原材料)から川下(販売・サービス)までのバリューチェーンがありますが、どの事業領域・バリューチェーンにおいても、ステークホルダーにさらなる価値を提供すべく、主体的に行動を起こし、挑戦する姿勢は不可欠と考えています。また、自ら手を挙げて在籍国の内外の現場において、自分で立てた課題・仮説の現場での調査・検証、改善、解決に取り組む「現場100日チャレンジプログラム」は2023年に日本からスタートし、2024年よりBSAPIC(アジア・大洋州・インド・中国)へ拡大、今後もさらなるグローバル展開を推進し、本プログラムを通じた挑戦の後押し、挑戦風土醸成に取り組んでいきます。

リーダーシップ開発

当社グループは、より進化させた「グローカル」経営体制の構築と共に、将来にわたり、持続的に成長し、企業価値向上を図っていくためには、単にビジネスに精通するだけでなく、異文化対応力を持つ次世代経営リーダーの育成が急務であると考えています。各地域・国別リーダー開発と共に、グローバルで毎年約100名(規模:日本 30名、米州 30名、欧州 20名、アジア 20名)を選抜し、3階層(Next / Advancing / Developing Executive)に分け、Global CEO、副社長及び各海外Group Presidentとのタウンホールミーティングや各経営報告会議体への参画、海外ビジネススクール研修への参加等を通じた重点育成を推進しています。「Bridgestone NEXT100」プログラムには、これまで延べ220名超のリーダー候補が参画し、2024年はNext Executivesより常務役員へ2名昇格、さらに2025年には常務役員へ1名昇格、及び当社代表執行役 副社長へ1名選任しています。

カルチャーチェンジ推進、その基盤となるエンゲージメント向上活動

「Bridgestone E8 Commitment」と連動したグローバルカルチャーチェンジを推進するうえで、従業員エンゲージメントの向上を重要課題のひとつと位置付け、2023年にグローバル統一のエンゲージメントサーベイ※1,2も実施しています。各地域の文化、特性の違いを尊重しながらも、グローバル共通の強みや改善アイテムを確認し、各地域の事例を共有し合う等、取り組みを深化・進化させています。

当社グローバル共通の強み及びさらなる改善アイテム

  1. ※1“社員エンゲージメント(コミットメント、自発的な姿勢)”と“社員を活かす環境(適材適所、従業員をサポートする環境)”に関わる質問に対し、従業員一人ひとりに6段階評価(非常にそう思う/そう思う/どちらとも言えない/そう思わない/まったくそう思わない/わからない、または当てはまらない)で回答してもらい、組織単位での状況を測定するものです。質問は約90問で、業務へのやりがい、能力発揮機会などの業務意欲を促進する質問や仕事を進める上での阻害要因などの職場での改善度を把握する質問など、多岐にわたる内容で構成しています。
  2. ※22023年 グローバル調査回答率 89%

強いリアル×デジタルを加速させる人財強化

Webfleet、Azugaと当社グループ人財との融合を図りながら、社会価値・顧客価値の創造のために不可欠な、現物現場を重視するブリヂストンらしいデジタル人財の裾野を広げるべく、育成・獲得をグローバルで推進しています。また、当社グループの戦略の根幹である断トツ商品をコアに、「創って売る」から「使う」段階で価値を増幅させていくために、当社グループの強みである、現場に密着してお客様の困りごとを深く理解する技術サービス活動をさらにグローバルで強化しています。その実行を支える人財として、商品の価値とお客様のニーズ双方への深い理解を有するエンジニア育成に向けて、地域毎の市場特性やニーズに応じて必要なソリューションスキルの体系的習得を推進しています。

なお、2024年デジタル人財はグローバルで約1,750名となっています。「より大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に」をコンセプトとして、当社のこれまで培ってきた現場力などの強いリアルに、デジタル力を融合させた価値創造を進化させるため、今後も各地域でデジタル人財の育成・獲得を推進し、2026年に2,000名レベルへ拡充することを目標としています。

地域別の取り組み

日本

自律的キャリア開発支援

当社では、従業員が自律的なキャリア開発に取り組む支援として、「自ら深く考える機会」、「他者と対話する機会」、「行動・実践に繋げる機会」を重視し、各種支援プログラムの整備、適切な機会の提供・支援を行っています。

  • 自ら深く考える機会
    従業員一人ひとりが自身のキャリアを自覚的に捉えるキャリア意識醸成施策を展開しています。具体的には、定期新入社員研修時にキャリア形成の土台となる成果創出のための心構えを身に着け、入社3年目にはフォローアップとして入社からこれまでの業務や成長の棚卸をしたうえで今後のキャリアの築き方を考え、中長期的な視点で自身の行動やできることの幅を広げていくための目標設定を行ないます。2024年より、自律的キャリア形成サポート研修として、自身のキャリアをより自律的かつ主体的に考える機会を各世代へ順次、拡大しています。
  • 他者と対話する機会
    当社では、年に一度、従業員が上司との間で面談を持ち、キャリアや働き方、成長についての自身の考えを整理し、自分自身の理解を深め、キャリアの方向性や会社での価値実現のイメージの具体化、学びや挑戦に向けたアクションの具体化に繋げられる対話の機会として、「キャリア開発(C&D)面接」を実施しています。
  • 行動・実践に繋げる機会
    自ら挑戦・成長する意欲のある従業員の行動を後押しするため、2023年より、「現場100日チャレンジプログラム」「マネジメント・チャレンジ制度」「デジタル100日研修」といった人財育成投資策を継続実施すると共に、自ら挑戦したい職種、機能や業務への意欲がある従業員に対し、手挙げ式で異動・挑戦する機会も提供しています。
    • - オープンポスティング制度
      チャレンジングで多様な知見が求められるポストやポジションに対して、予めその期待値や要求レベルを会社が明示して公募、意欲を持った従業員が職位を問わず応募し、随時配置へとつなげる制度
    • - ジョブマッチング制度
      従業員が社内外問わずに得た固有スキル・経験を自ら登録し、高度な専門性/スキル/知見を持つ人財を必要とする部門ニーズと符合させ、そのスキル・経験を活かせるポジションに必要なタイミングで配置へとつなげる制度
幅広い層に対する学びの機会

当社では、職種にかかわらず、全従業員に共通して必要な能力(職務遂行力・マネジメント力)を強化すること、自ら挑戦・成長する意欲のある従業員を支援することを目的とした研修体系「人財育成カレッジ」を構築・運営しており、「学ぶ機会」と「実践の場」を効果的に組み合わせることで、個人の成長と能力発揮、組織の活性化、事業戦略への貢献を図っています。また、受講者の声やニーズを把握し、PDCAをしっかり回しながら、毎年プログラムのレビューや拡充も行なっています。こうした全社研修に加えて、各部門で必要とされる「研究開発」「生産技術」「安全防災」「品質」「環境」「販売」「財務」「知的財産」「広報」などに関するスキルや知識を習得するために、各部門の職能専門研修担当部署による研修なども実施しています。

当社の主な研修機会の内容は以下の通りです(詳細については、本ウェブサイトの後段で表にて示しています)。

  • 入社時の育成
    • - 定期新入社員研修
      新卒採用者を対象に、入社してから各部署に配属されるまでに約7カ月の研修を実施
    • - キャリア入社者研修
      入社初日のオリエンテーションに加え、約2週間の集合研修と継続的学習支援としてのeラーニングを約3カ月の期間内で断続的に実施
  • 学ぶ意欲のある従業員の支援
    当社基幹職及び一般層を対象に以下複数の形態での学びの機会を整備。受講に際しては、上司とのコミュニケーションによって本人の意欲や能力を勘案した受講コースを決定し、受講後は業務に活用することで学びを定着
    • - 集合研修:他者との議論や対話、ロールプレイングを通じてキャリア形成やビジネススキルの習得を図るための対面及びオンライン研修を整備
    • - 自己啓発支援:自身のニーズ・タイミングに合わせ、専門知識習得や資格取得、語学力の養成など、能力開発に取り組めるよう、eラーニングを含めて多様なコースを用意
  • 各種eラーニング
    企業理念及び、「Bridgestone E8 Commitment」や中長期事業戦略構想の中核である「サステナビリティ」に ついて、基盤的かつ日々の行動規範となる内容を毎年全従業員が繰り返して学習することを目的として実施。この他、全従業員が把握すべきトピックを学ぶ機会として幅広くeラーニングを活用

※ 当社の基幹職とは、ライン長(幹部層・管理層)、スペシャリスト、主査等を指しています。

自ら挑戦・成長する意欲のある人財への重点機会支援

当社では、自ら手を挙げて各業務における国内外の現場において、自分で立てた課題・仮説の調査・検証、改善、解決に取り組む「現場100日チャレンジプログラム」やマネジメントへのチャレンジ意欲のある若手従業員が、マネジメント補佐として早期にマネジメント経験に挑戦する「マネジメント・チャレンジ制度」等を導入し、意識と行動変革を進めています。2023年導入以降、現場100日チャレンジプログラムに関しては、これまで22名が挑戦に取り組み、挑戦の場も、天然ゴム農園、欧州Webfleet Solutions、小売、物流などの現場から始まり、化工品、内製(スチールコード)などへと広がってきています。マネジメント・チャレンジに関しては、これまで13名が挑戦に取り組んでいます。

リーダーシップ開発

当社では、マネジメント・ビヘイビア基盤強化支援として組織マネジメントを担うライン長(管理層)全員を対象に、以下連動した取り組みを進めています。

  • 360度評価
    多面評価を通じて、ライン長がリーダーシップ発揮に関する自身の特性を振り返り、チームの成果と成長へ導くためにマネジメント・ビヘイビア強化を図るプログラム
  • コーチング研修
    チームメンバー一人ひとりの成長に向けた効果的対話、動機づけの要諦として、「コーチング」スキルを学び、メンバーの行動・成長支援のための行動実践につなげるプログラム
カルチャーチェンジ推進、その基盤となるエンゲージメント向上活動

日本においては、当社グループの海外拠点と比べ、エンゲージメントやDE&I (ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)領域でギャップがあり、その解消に向け、取り組んでいます。

  • エンゲージメント向上活動
    当社では、2020年より、労働環境の満足度を測る「満足度調査」から、自ら仕事に自発的に取り組もうとする意欲、及び会社とのつながりに対する意識を測る「エンゲージメントサーベイ」へ切り替えました。また、2022年には、頻度を上げてエンゲージメント向上活動のPDCAを回すべく、パルスサーベイを導入し、定期的に活動の効果や組織コンディションの兆候を確認する仕組みを取り入れています。こうしたサーベイ結果を全社・部門・職場単位で分析し、各組織の特徴も踏まえながら、課題抽出、改善実行のサイクルを回していくことで、多様な人財がさらに働きやすく、働きがいを持って取り組める職場づくりを進めています。価値創造につながるエンゲージメント向上施策として下記取り組みが挙げられます。
    • - 生産現場での職場改善活動
      当社工場では、現場からあがった困りごとや改善提案の声を基にスルラク生産に向けて、小集団やCFT(クロス・ファンクショナル・チーム)活動にて継続的に改善を進めています。生産現場でのモノづくりの進化とカルチャーチェンジ推進の取り組みのひとつとして、“現場で裁量を持った予算を持ち、職場の困りごとを自ら改善する“といった改善活性化の取り組みがあり、現場の改善を通じた人財成長や活躍の機会としても強化を図っています。
    • - タウンホールミーティングの継続
      経営層と従業員が対話する機会(タウンホールミーティング)を継続し、一人ひとりの貢献と成長への意欲を引き出すと共に、従業員からの声を反映した取り組みへとつなげています。
  • DE&I推進の基盤構築への取り組み
    当社では、多様な人財が相互に尊重し合う職場環境の実現を目指すと共に、組織としての意思決定の多様化を進めるため、女性リーダーの育成・登用促進を推進すると共に、多様な人財の活躍基盤整備として、ライン長(全管理層:部長・課長)を対象としたDE&Iマネジメントワークショップの実施、女性特有の健康課題をテクノロジーを活用して解決するフェムテックプログラム導入等に取り組んでいます。概要は「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ及びインクルージョン)の尊重」に記載しています。

※ 良いモノを標準通りに作って、標準通りに流せる生産状態を実現する、或いは維持するための活動

強いリアル×デジタルを加速させる人財強化

当社では、2023年に、個々のデジタルスキルレベルにあわせてプログラムを選び、学びに挑戦できる、幅広いデジタルスキルレベルをカバーした「デジタル100日研修」を導入しました。デジタルリテラシー協議会がまとめたデジタル基本リテラシーを座学で学ぶ初級研修、自身の担当業務に関わるデジタル技術の演習をベースにより深く学ぶ演習研修などで構成しています。2023-2024年で延べ1,400名を超える従業員が自分に合ったレベルを組み合わせた本プログラムに参画し、デジタルスキル強化に取り組んでいます。また、中級・上級向けには、東北大学に社員を派遣する「ブリヂストン×東北大学共創ラボ」プロジェクトを2021年から開始し、AIやアルゴリズムの企画開発を通じてソリューションビジネスや研究開発の中核を担う「AI/アルゴリズムエキスパート」、ビジネスの現場で課題を抽出し、デジタル技術を用いたソリューションの提案につなげることができる「ソリューションフィールドエンジニア」の育成を進めています。

アジア・大洋州・インド・中国地域

自律的キャリア開発支援

ブリヂストン アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド(BSAPIC)は、従業員一人ひとりの潜在能力が発揮され、チームの成功に貢献する高いパフォーマンスの文化を醸成する重要性を認識しています。この考え方の中心にあるのが、効果的なパフォーマンス開発システム(PDS: Performance Development System)であり、優れた成果・成長、及び個人の志向と組織の目標の一致を推進する基盤となっています。 PDSの過程では、マネージャーと従業員が個々の目標を組織の目的と調整するために対話し、組織目標達成のための必要な柔軟性と一体感を持って取り組みます。持続的な対話とフィードバックを通じて、BSAPICは建設的なコーチングとガイダンスを重視し、従業員がパフォーマンスを向上させ、最大限、潜在能力を発揮することを支援しています。

  • キャリアデベロップメント&ディスカッション(CD&D:Career Development and Discussion)
    BSAPICの年次でのCD&Dプロセスは、人財マネジメントにおける重要なツールであり、従業員のキャリア志向と会社の目標とが連動できるよう、従業員とマネージャーの間での対話を促進するものです。従業員は、マネージャーとの相談・対話を通じて、実行可能なキャリア開発目標を作成することができ、個人のキャリアと組織の成長の双方を推進しています。これは、マネージャーの支援の下、能力・スキルベースのキャリア開発に重点を置いた上で、従業員自身が主導していく継続的なプロセスです。 BSAPICは、このCD&Dプロセスを2025年までに間接従業員全員に提供することを目指しており、2020年の開始以来、実施者数は500名から増え、2024年には2,900名超となりました。

BSAPICの人財開発アプローチを具現化するため、マネージャーは従業員と連携して、「70:20:10学習モデル(70%:経験、20%:他者からの薫陶、10%:研修)」を活用した個別の人財開発計画の策定に取り組んでいます。経験学習の中で、従業員はストレッチ・アサイメントや組織横断プロジェクトなどの機会に取り組み、スキルの強化や視野の拡大を行なうことができます。さらに、ネットワーキング機会やエグゼクティブコーチングを含むコーチング/メンタリング・プログラムを通じて、持続的な学習とメンターシップの風土醸成を図っています。BSAPICでは人財開発への取り組みは不変の基盤であり、PDS、CD&D、人財開発アプローチを通じて、優れた風土醸成、個々の従業員の成長、組織全体の持続的成長と成功を推進することを目指しています。

幅広い層に対する学びの機会

BSAPICは、リーダーを継続的に育成する強固な仕組みを構築する上で、一連のマネジメントシステムの柱のひとつとして、2021年に研修・人財開発KPIを導入し、間接従業員に対して、継続的な学習と成長の文化を促進するために、年間40時間以上の研修受講を奨励しています。2024年には、年間合計650,000時間の研修を実施しました。これは、従業員一人あたり年間34時間以上に相当し、総時間で前年比22%、1人あたり時間で前年比12%増加しました。

  • 「BE INSPIRED」キャンペーン
    BSAPICは、2020年から「BE INSPIRED」キャンペーンを開始し、短時間で取り組むことができる月間毎の自己学習コンテンツの共有を通じて自律的学習の風土を促進しています。「BE INSPIRED」のコンテンツは、リーダーシップ開発、マネジメントスキル全般に関する内容と共に、実用的な分野を中心としたソフトスキルとハードスキルに関しても重点を置いて組まれています。これによって、最終的に管理職クラスの従業員もeラーニング・システムを活用し、自身の時間配分とスピードで当該コースを修了できるようになりました。
  • SuccessFactors eラーニングシステム
    2023年に域内全体で間接従業員を対象にSuccessFactors(SF)を導入したことで、以下の通り、学習・成長機会の促進につながっています。
    1. 1.
      8,000以上のeラーニングコース(ソフトスキルと機能面及びデジタル面のハードスキル)があること、そして多言語での学習が可能であることによって、個人のキャリア志向に沿ったスキルアップや自己啓発を積極的に実施することができます。
    2. 2.
      ブリヂストンがリージョン内で展開する、製造、安全、品質、人事、法務・コンプライアンスなど様々な機能領域を網羅したeラーニングコースを受講することができ、この体系的なアプローチにより、より効果的な学習機会の展開と受講管理が可能になっています。

2024年のBSAPIC地域内のeラーニング適用率は62%で、今後、さらにスキル向上及びリスキルに取り組む学習風土をPDCAを回しながら醸成していくべく、2026年までにその適用率も75%まで伸ばすことを目指しています。

自ら挑戦・成長する意欲のある人財への重点機会支援

BSAPICは、経験的な学びが人財能力開発に最も役立つと考えています。BSAPICでは、「挑戦」に焦点を当てた「現場100日チャレンジプログラム」を2024年に開始し、経営陣や域内グループ会社のリーダー層の支援を受けながら、若手従業員が成長に向けた新たな挑戦機会を獲得・活用することを促進しています。当社グループのDNAの一つである「現物現場」に基づき、挑戦する人財の、現場での経験による学習と成長を後押しすることを狙いにしており、BSAPIC域内及び日本での挑戦機会を提供しています。このプログラムを通じて、挑戦する人財はその学びを自身が所属する域内グループ会社や組織に還元することになります。BSAPICは、2025年以降も継続的にこの取り組みを進め、事業や機能の業務品質向上に役立てていきます。

また、BSAPICでは、小売タイヤ技術者のキャリアパス支援に注力しています。小売店舗運営やマネジメントをキャリア形成として目指す従業員に対し、必要なスキル向上やリスキルの機会提供を積極的に行うことで、小売タイヤ技術者のキャリアを技術者としての直線的なものから、目指すキャリアに基づくスキルベースのものへと充実させています。

リーダーシップ開発

BSAPICは、将来リーダーとなり得る人財の育成のため、効果的にリーダーとしての役割を果たす上で必要なソフトスキルとハードスキルの双方を習得できるよう、総合的な人財育成モデルを整備しています。

新任マネージャー向け研修:域内全体で新たに採用された、或いは昇進したマネージャーを対象に、ビジネス戦略、組織構造、主要な域内共通の取り組みについての理解深化を図るプログラム

  • 新任マネージャー向け研修
    域内全体で新たに採用された、或いは昇進したマネージャーを対象に、組織風土や域内共通の取り組みについての理解深化を通じて、ブリヂストンの顧客志向・事業戦略への洞察を獲得するプログラム
  • ハイポテンシャル部長層向けマネジメント研修(GMP : High-Potential General Management Program)
    域内リーダー層を対象に、集中的なビジネス・シミュレーション機会を通じて、自身の主管領域を超え、横断的な見識を身につけることで、戦略的思考や意思決定力など、高いビジネス感覚を必要とするマネジメント力の強化を図るプログラム。なお、2023年以降、(株)ブリヂストンのリーダー人財も受講対象にする等、Bridgestone EASTとしてのリーダーシップ開発の連携・拡大を推進
  • ハイポテンシャル中堅マネジメント育成研修(MDP : High-Potential Management Development Program)
    中堅マネージャー層や専門職人財に対して、自身やチームの効果を高め、戦略的な連携とコミュニケーションを行うリーダーシップスタイルの実践を通じて、高品質の事業運営力に対する自信や基盤力を強化するプログラム。なお、2024年、(株)ブリヂストンの課長層人財も受講対象にする等、Bridgestone EASTとしてのリーダーシップ開発の拡大を推進
  • 地域リーダーシップ会議
    域内トップ100のリーダー人財を対象に、ビジョンと戦略のアライン、BSAPIC経営陣との信頼構築、戦略的ビジネス感覚の強化、組織の成功へ導く能力向上を図るための機会
  • トップエグゼクティブ研修
    域内経営陣を対象に、経営陣としての自身の継続的学習・成長を促すことを目的とし、自身の実行力と多様性とやりがいのある組織づくりができるリーダーシップ開発を主要学習領域としたプログラム
  • 360度評価ツール
    組織を率いるためのリーダーシップ行動の改善を図ることを目的に、他者からの評価に基づいてリーダーシップ発揮度を測るプログラム。高い戦略性と優れた実行力とマネジメント力、組織の人財間連携を図る認知力と行動力等を総合的に測定
カルチャーチェンジ推進、その基盤となるエンゲージメント向上活動

BSAPICは、エンゲージメントサーベイを通じて、従業員のエンゲージメントと組織文化を評価し、向上させることで企業の風土変革を積極的に推し進めています。2018年以降、このサーベイを通じて着実な進展が見られています。

直近の調査結果においては、BSAPICの従業員が高いエンゲージメントと能力を持ち、組織に対する誇りと貢献度が高く、自身のスキルと能力を活かすことができる環境が整備されていると受け止めていることが示されています。BSAPICでは、「最高の品質で社会に貢献」を使命とするブリヂストングループで働く従業員経験をさらに高めるべく、これらのサーベイを、従業員の視点を理解し、組織全体での継続的改善の取り組みを推進するための貴重なツールとして活用していきます。具体的には、各域内グループ会社のリーダーはサーベイ結果に基づき、強みと改善領域を反映したアクションプランを策定し、現物現場の観点で、機能横断のグループディスカッション等も行いながら、改善を推し進めています。

BSAPICは、域内全体でアクションプランの好事例を共有し活動上の工夫に活かす「Check」に重点を置いた、エンゲージメント向上に向けたアジャイルなPDCA改善を採用し、域内グループ会社間での相互の学びと活動推進を図っています。

強いリアル×デジタルを加速させる人財強化

BSAPICは、あらゆる階層の従業員がデジタル技術、技術的リテラシー、AIやビッグデータの重要性を認識し、データに基づく自身のパフォーマンス向上、各組織での業務や貢献における組織的成功の推進につなげられるよう、後押しする取り組みを進めています。BSAPICでは、デジタル関連ハードスキルを従業員が身につけられるよう支援しており、2024年には、生成AIやデータ可視化スキル・マインドセット、データ基盤・分析、Microsoft Officeアプリケーション、Power BI / 生産性ツールといったデジタル領域に、合計10,800時間以上の研修を実施しました(2023年は7,300時間)。BSAPICではリーダー層及び従業員が価値創造に向けてデジタルリテラシーやスキルを活用することで、域内全体の人財能力を向上させていくために、これらの取り組みを2025年以降も継続していきます。

米州地域

自律的キャリア開発支援

BSAMにおいては、自身の業務やプロジェクト、チーム、組織のリーダーであるか否かに関わらず、従業員全員がそれぞれリーダーであり、持ち場立場において、誰もがポジティブな影響を与えることができると考えています。そのため、2024年、West region(BSAM及びBSEMEA)として新しい「LEAD」フレームワークと人財ポータルを導入しました。「LEAD」は、BSAMのリーダーとして重視すべきことを定義し、組織の目標を達成するための行動を促進し導くものです。「LEAD」フレームワークは、従業員自身がやりがいあるビジョンを描き、イノベーションを推進し、十分な情報に基づき、意思決定を行うことを推奨しています。また、前向きな職場環境を醸成し、人財を惹きつけ、育成し、高いパフォーマンスを発揮するチームを構築することにも役立てています。

BSAMは、従業員こそが企業の成功の鍵であると考えています。従業員が優れた成果を出せるよう、年間を通じて数多くの人財開発機会を提供し、パフォーマンスへの継続的なフィードバックを実施しています。進化する事業ニーズに合わせ、従業員の評価と最も重要なビジネスの優先事項について透明性と信頼性を提供することを目的にパフォーマンスマネジメントフレームワーク(AMP:Accelerating My Performance)を導入し、従業員が目標の達成に必要なフィードバックやサポートを継続的に受けられるようにしています。

AMPを通じて、従業員と上司が継続的にコミュニケーションをとり、フィードバックを共有することで、従業員が優れた成果をあげ、キャリアの目標に向けた進捗を確認できる環境を整備しています。目標が必要に応じて定期的に見直される中、マネージャーと従業員は四半期ごとにAMPチェックインを行い、優先順位の見直しを議論すると共に、個人のパフォーマンス・成長目標も見直しを行います。

  • 地域横断的な人財の流動を目指すキャリア開発
    BSAMは、マネージャーと従業員がより効果的なキャリアに関するコミュニケーションを行えるよう支援すると同時に、より地域横断的に人財配置・交流を進めることに継続して注力しています。また、後継者計画・育成、社内での最適な人財配置、能力開発のための短期アサイメントにも力を入れると共に、一人ひとりの意欲や関心と、ビジネス上必要な能力の双方に対応する幅広い学習プログラムを引き続き提供していきます。2023年には、より地域横断の人財配置・交流をさらに促進するために、BSAM内及びBSEMEAも対象に含めた地域間短期アサインメントポリシーを策定しました。
幅広い層に対する学びの機会

BSAMは、従業員が継続的に能力を高め、キャリアの目標に向けて前進し、長期的に当社グループで活躍してもらうためには、人財への投資が非常に重要であると考えています。この目標に向け、BSAMは様々な学びと挑戦の機会を提供するよう努めています。

  • LinkedInラーニングの適用
    BSAMは、LinkedInラーニングを展開し、BSAM全体での人財開発とキャリア開発を促進し、従業員が事業に貢献する上で必要となるスキルを確実に獲得できるようにしました。丁寧なコミュニケーションに加え、学習しやすくしたことで、2022年に、BSAMの従業員は65,000以上のオンライン学習コースを修了しました。LinkedInラーニングを広く導入したことで、BSAMの従業員が個人と事業の目標に貢献する能力を向上するためのさらなる人財開発を求めていることが実証されました。そして、2023年には、「LinkedIn to Win」という学習キャンペーンを開始し、従業員にLinkedIn Learning内で毎月推奨されるコースの中から1つずつ修了するよう促す仕組みを設けました。24時間365日利用可能で、モバイル端末からも簡単にアクセスできるこれらのコースには、2024年には3,600名以上の従業員が300,000以上の研修動画を閲覧し、43,000以上のLinkedIn Learningコース(約10,000時間に相当)を修了しました。
自ら挑戦・成長する意欲のある人財への重点機会支援

BSAMは、事業の成果の実現に必要な能力を従業員が備えるべく、スキルに基づいた人財能力開発を実施しています。そして、事業遂行上必要かつ重要な労働力のギャップを埋めるために必要な能力開発、ビジネス上の課題を協力して解決するための地域間での人財配置・交流の候補となる重要ポジションの特定も進めると共に、従業員の経験機会を広げ、キャリア開発を促進することにも取り組んでいます。

リーダーシップ開発

BSAMは、従業員が成功するためのスキル、能力を開発し、自信を培うことに焦点を当てています。BSAMには、ビジネスに直接関連する経験をトップタレントに提供する人財育成プログラムがあります。2024年には、「SEAL」「Navigation」「Ignition」「Shift」「Edge」「Communicate with Impact」「Women Unlimited」の7つの主要なリーダーシップ開発プログラムに400名以上の従業員が受講しました。

  • SEAL(Strategic Excellence and Agile Leadership):リーダー経験が10年以上のシニアレベル向けカリキュラム
  • Navigation:リーダー経験が5~10年のミッドキャリア向けカリキュラム
  • Ignition:リーダー経験が5年未満の初期キャリア向けカリキュラム
  • Shift:入社後3〜5年のマネージャー向けコアカリキュラム
  • Edge:入社後2〜3年のマネージャー向けコアカリキュラム
  • Communicate with Impact:入社後1〜2年の個人の知見や経験で組織に貢献する専門職人財向けコアカリキュラム
  • Women Unlimited:中堅~シニアレベルの幹部までの女性リーダー向けカリキュラム
カルチャーチェンジ推進、その基盤となるエンゲージメント向上活動

BSAMでは、何年にもわたり、様々な取り組みを通じて従業員のエンゲージメント向上活動を支援・強化しています。2024年には、パルスサーベイを初めて導入し、地域全体の中でランダムに選ばれた従業員対象者に対して毎月実施しています。そのサーベイ結果は各リーダーがアクセス可能なダッシュボードを通じて共有され、従業員エンゲージメントをさらに改善・向上するための具体的なアクションプランに反映させています。従業員の意見に耳を傾けることで、リーダーは重視すべきこと、そして最も効果的なことに集中してエンゲージメント向上活動に取り組むことができます。また、BSAMでは、全社的なタウンホールやリーダー主導のコミュニケーションをより頻繁に実施し、全従業員に対してより高い透明性と一貫性のあるコミュニケーションを志向しています。その中で、エンゲージメント向上要素のひとつとして、社会貢献が挙げられ、その結果、BSAMは、社会的ボランティア活動の機会提供と共にそのための休暇取得ができるようにし、「United Way giving campaign」を通じ、社会への還元の重要性と活動支援につなげています。

強いリアル×デジタルを加速させる人財強化

BSAMのデータ分析チームのビジョンは、データドリブンでソリューションに取り組む文化を社内に築き、社会価値、顧客価値、ビジネス価値を引き出すことと考えています。2023年には、クラス型とオンライン型の研修組み合わせによるプログラムを開始し、データリテラシーワークショップやオンラインでの101個のデータリテラシー学習コースを実施し、2024年にも継続しました。2025年以降も従業員がデジタル関連知識と能力向上を加速させる機会を継続的に拡大していきます。

欧州・中近東・アフリカ地域

自律的キャリア開発支援

BSEMEAにおいては、自身の業務やプロジェクト、チーム、組織のリーダーであるか否かに関わらず、従業員全員がそれぞれリーダーであり、持ち場立場において、誰もがポジティブな影響を与えることができると考えています。そのため、2024年、West region(BSAM及びBSEMEA)として新しい「LEAD」フレームワークを導入し、BSAMと連動した人財ポータルを整備しました。「LEAD」は、BSEMEAのリーダーとして重視すべきことを定義し、組織の目標を達成するための行動を促進し導くものです。「LEAD」フレームワークは、従業員自身がやりがいあるビジョンを描き、イノベーションを推進し、十分な情報に基づき、意思決定を行うことを推奨しています。また、前向きな職場環境を醸成し、人財を惹きつけ、育成し、高いパフォーマンスを発揮するチームを構築することにも役立てています。

BSEMEAは、成功の鍵は従業員にあることを認識しており、そのため、チームの組織開発に投資及び支援することが重要だと捉えています。それに従い、能力開発・成長、キャリア機会の強化、定着率の向上に重点を置き、BSEMEAは「70:20:10学習モデル(70%:経験、20%:他者からの薫陶、10%:研修)」に沿った、様々な学習とコーチング機会を提供しています。

その内、70%の経験と20%の薫陶に焦点を当て、2024年には、継続的な対話文化を促進するため、パフォーマンスマネジメントフレームワーク(AMP:Accelerating My Performance)を導入し、域内で部下を持つ全てのマネジャーに対し、AMPプロセスでの対話の中で、効果的なフィードバックとキャリア開発議論ができるよう、ワークショップを開催しました。役割責任を基盤とした企業文化と継続的なパフォーマンス開発に関するフィードバック風土を醸成するため、今後もAMPの浸透をさらに図っていきます。

BSEMEAでは、AMPプロセスを通じて、BSEMEAのよりアジャイルで持続可能な事業への変革と連動した、未来志向の人財マネジメント戦略への転換及び強化を進めており、従業員自身が成長に対する主体性を持ち、定着率の向上や人財開発等につなげていくことを推し進めています。

幅広い層に対する学びの機会

BSEMEAは学習する組織を目指しています。そのため、BSEMEAでは、全ての従業員があらゆる事業領域で学び、成長する機会を提供し、組織やチームのニーズに基づいた学習ソリューションを拡大することを推進しています。域内の各拠点のL&D(Learning & Development)チームはそれぞれの事業や機能のニーズに沿った具体的な学習機会の提供に注力し、BSEMEA L&D COE(Center of Excellence)機能は以下に挙げている通り、より域内全体に提供する学習機会の整備に取り組んでいます。

  • LinkedInラーニング
    BSEMEAは4年以上にわたり外部学習コンテンツとしてLinkedIn Learningを活用し、2023年には「ウィークリー・リンクドイン・ラーニング」チャレンジを開始、社内コミュニケーションチャネルを通じて従業員に推奨コースを案内し、受講修了者の中からランダムに受賞者を選ぶなど、従業員の受講奨励と共に自発的な学びを促進しています。これらの推進活動は2024年にはさらに適用を拡大し、West regionとしての連携により、より一貫性を持った質の高い学習経験を提供するため、BSAMとLinkedIn学習ポータルを統合しました。これにより、
    24,000の学習コースと研修動画に24時間365日利用可能となり、モバイル端末からも簡単にアクセスできるようになりました。2024年の実績は、4,000以上の学習コース修了と3,600時間以上の研修時間となりました。質の高い学習プラットフォームとアクセシビリティによって、BSEMEAは2025年以降も、様々な学習推進活動等を通じて活用率を向上させていきます。
  • 「GoFluent」プログラム
    BSEMEAは2023年2月に「GoFluent」という無料オンライン言語コースを導入しました。すべての従業員(現場従事者や契約社員を含む)が19の異なる言語で語学スキルを学ぶことができるようにしており、2024年には従業員において、合計3,500時間以上の言語学習が実施されました。
  • メンタリング・プログラム
    BSEMEAは、従業員が自身のキャリア開発につなげるため、事業横断でメンターを依頼できるメンタリングプログラムを整備しています。メンター・メンティー双方へのトレーニングを定期的に実施し、両者の連携や成功のヒントからこの仕組みの活用方法までプログラム理解を促進する機会も提供し、2024年には、120名の従業員がメンター或いはメンティーとなるためのトレーニングを受講しています。
自ら挑戦・成長する意欲のある人財への重点機会支援

BSEMEAは将来を見据えた人財能力開発に取り組むと共に、必要なスキルやリソース、適切な能力開発を確保することで従業員のエンゲージメント向上を図ることを重視しています。また、BSEMEAでは、経験学習が最も効果的な成長機会であると考えており、従業員が新しいスキルを身につけ、多様なメンバーやチームと協働し、自身のキャリアを前進させ、自身と会社双方にとって意義のあるキャリアを築くことができるよう、様々な経験とチャレンジの機会を提供しています。

リーダーシップ開発

BSEMEAは、ポジションに求められる要件とのギャップを評価し、それを埋めるための人財投資によって事業パフォーマンスを向上させることを目指しています。2023年には、新たなリーダーシッププログラムとして、部下を持つマネージャーがセルフ・アウェアネスやラーニング・アジリティ、チームに影響を及ぼすコミュニケーションスキル等のリーダーシップスキルを強化する「Lead4Success」を導入し、2024年には125名のマネージャーがこのプログラムに参加しました。

また、BSEMEAでは多様性のあるチームが事業課題解決に及ぼすインパクトが重要であると捉えており、ジェンダー・ダイバーシティを活用することで事業改善することを目指し、「Women in Motion」という女性人財のリーダーシップ開発プログラムを立ち上げました。2024年にはこのプログラムに88名の女性人財が参加し、リーダーシップ強化、セルフ・アウェアネス、業務遂行力強化を促進する新たなツール学習などを学んでいます。

カルチャーチェンジ推進、その基盤となるエンゲージメント向上活動

BSEMEAでは、何年にもわたり、様々な取り組みを通じて従業員のエンゲージメント向上活動を支援・強化しています。2024年には、新たにパルスサーベイを導入し、地域全体の中でランダムに選ばれた従業員対象者に対して毎月実施しています。そのサーベイ結果は各リーダーがアクセス可能なダッシュボードを通じて共有され、従業員エンゲージメントをさらに改善・向上するための具体的なアクションプランに反映させています。従業員の意見に耳を傾けることで、リーダーは重視すべきこと、そして最も効果的なことに集中してエンゲージメント向上活動に取り組むことができます。また、BSEMEAでは、全社的なタウンホールやリーダー主導のコミュニケーションをより頻繁に実施し、全従業員に対してより高い透明性と一貫性のあるコミュニケーションを志向しています。

2023年には「Culture of Accountability」プログラムを開始し、事業改善に取り組むべく、コラボレーション強化、顧客志向促進、プロセス効率化など、事業の目標達成に必要な風土変革に注力しています。2024年を通して、各拠点レベルで様々な取り組みが進められ、より良い方向への風土変革を後押ししています。

また、生産拠点では、過去数年にわたって継続的にカルチャーチェンジを図る「B-ME」(Bridgestone Manufacturing Excellence)という取り組みを進めており、従業員の技能熟練化や動機付け、自律的なチームによる大幅な職場改善につなげています。「B-ME」プログラムは、生産に従事する従業員の育成とエンパワーメントに継続的に寄与しており、今後もプログラムを拡大していく予定です。

強いリアル×デジタルを加速させる人財強化

BSEMEAはデジタルトランスフォーメーションを推進し、デジタル技術・ツールをより効果的に活用していく組織文化を作り出すことを目指しています。2024年には、生産性向上や業務効率化のためのOffice365や生成AIの活用などの取り組みに注力しました。刻々と変わり続けるデジタル領域の中で、デジタル能力の適用・強化を今後も続けていきます。その一つの事例として、BSEMEAでは、オンラインのeラーニング作成ツール「Flowsparks」を導入し、各領域の専門人財が様々な拠点から独自のオンラインコンテンツを作成できるようにしています。各拠点のニーズに基づき、それぞれ必要なコンテンツを作成できると共に、各拠点での活用事例共有から学び合うことも進めています。また、この取り組みは「B-ME」プログラムや各拠点の入社時研修、会社方針・ガイドライン変更時の従業員周知、DE&Iやサステナビリティに関する気づきや理解度を高めるための情報共有などでも活用が進んでいます。

当社グループ全体でのモノづくり人財育成

当社グループは世界に95の生産拠点(2024年11月時点)を展開しており、そのすべての生産拠点で製品の質を維持・向上することが重要と考えています。そのため、日本にある 「グローバル・モノづくり教育センター(G-MEC:Global Manufacturing Education Center)」では、各地域のSBU/事業所の人づくりの推進組織(日本:J-MEC、北米:NA-MEC、南米:LA-MEC、欧州:E-MEC、中国:C-MEC、アジア:APIC-MEC、トルコ:BRISA-MEC)と連携し、そのSBU、事業所ごとに「マスター」と呼ばれるモノづくり人財育成のキーパーソンを育成することで、「ブリヂストン流モノづくりを実践できる人財育成」をグローバルに展開しています。

マスターの人数(2024年12月時点)(単位:人)
地域種別 日本 アジア・大洋州・インド・中国 米州 欧州・中近東・アフリカ 合計
製造マネジメント 11 30 3 4 48
標準技能インストラクター 22 26 - 22 70
保全マネジメント 33 48 11 15 107
合計 66 104 14 41 225
スクロール

多様な人財が輝く場づくりに向けたその他の取り組み

地域別の取り組み

日本

当社は、個人の充実した人生と、会社の企業理念それぞれを実現するための方針として、2020年に「健康経営方針」を策定しました。セルフケアや執務環境など、個人の健康管理への働きかけや支援をこれまで以上に積極的に実施していくため、従業員の「心」と「身体」の健康維持・増進を図る取り組みを推進しています

当社は、各事業所にメンタルヘルス推進担当者(保健師・看護師など)を配置し、産業医の助言・指導を得ながら事業所内の相談・教育体制を構築・整備すると共に、ストレスチェックなどに基づく職場改善サイクルが有効に機能するように取り組んでいます。また、2020年よりエンゲージメントサーベイ、2022年よりパルスサーベイを導入し、その結果を全社・部門・職場単位で分析し、各部門でアサインされたエンゲージメントキーパーソンと連携しながら、課題抽出、改善実行のサイクルを回していくことで、多様な人財がさらに働きやすく、働きがいを持って取り組める職場づくりを進めています。

※ 詳細については、サステナビリティWebサイトの「労働安全・衛生」にて公表しておりますのでご参考ください。

アジア・大洋州・インド・中国地域

BSAPICでは、「Safety First, Show Care and Stay Connected」という共通の考えに基づき、域内12の国と地域すべてにおいて、従業員の健康とWell-beingを最優先に、取り組んでいます。今後も従業員のパフォーマンス強化とワークライフバランス向上の両立を図っていきます。具体的に、BSAPICは2022年にハイブリッドワークを導入し、各グループ会社でそれぞれの状況に応じて柔軟に実行すると共に、従業員のワークライフバランスとWell-beingを支援すべく、「Meeting Management and After Working Hours Communications」というガイドラインを域内全体に発行しました。

従業員のエンゲージメントを高め、Well-beingを支援する上でのハイブリットワークモデルの価値を認識し、各グループ会社はこのワークモデルを継続しています。テレワークとオフィスでの柔軟な働き方を提供することで、BSAPICは協力し合うことを重視しインクルーシブな職場文化を醸成することに取り組んでいます。

米州地域

BSAMは、チームの価値創造活動への支援、多様なニーズへの対応など、Well-beingを重視した風土醸成に取り組んでいます。従業員の心理的、身体的、経済的なWell-beingを支援するため、従業員の声に耳を傾け、コミュニケーションの頻度を増やし、戦略的協力体制の構築を継続的に進めることで、十分なリソースを整備し、福利厚生プログラムの充実化、教育機会の提供を図っています。

2022年、さらなるプログラム強化につなげるため、BSAMの全部門で選任しているWell-being推進者から意見を聞くことを目的とした「Well-beingタスクフォース」を立ち上げました。従業員リソースグループ(ERG)や外部ベンダーと連携し、女性の健康とウェルネス、家族形成、軍人や退役軍人の自殺予防などのトピックに関するウェビナーを提供し、さらに、BSAMでは、従業員のWell-beingを支援するための新しい福利厚生プログラム「Well-being Space」を拡大してきました。具体的には、四半期ごとに、様々なWell-beingに関するトピックを取り上げ、健康増進や危機に対するストレスマネジメント、法的支援、リタイヤに向けた計画、子どもの大学費用の積み立てなど、従業員のウェルネスを改善するための一連のツールやリソースを提供しています。

2024年のBSAMにおけるその他取り組みとして以下が挙げられます。

  • 有給育児休暇の増加
  • 会社負担での長期障害福利厚生制度の拡大
  • 医療保険プランの見直し
  • 外部ベンダーとの連携による健康増進セッションの実施
  • がんケアプログラム及び循環器サポートアプリの導入

また、ERGとの連携を拡大し、経済的なWell-being支援策として、「Well-being Moments」を立ち上げ、各拠点の活動を後押ししています。さらに、2024年、BSAMは「Well-being ツールキット」を開始し、会社の福利厚生制度や健康増進、経済的安定などについての周知促進も進めています。

欧州・中近東・アフリカ地域

BSEMEAは、従業員と組織全体の双方にとってWell-beingの重要性を認識し、2024年、従業員の心理的・身体的健康を支援すると共に、生産性向上、エンゲージメント向上につなげるためのプログラムを展開しました。従業員支援プログラム(Employee Assistance Program)は個人的な問題や業務上の困りごとに直面した従業員に対し、秘密厳守の上での無料診断、短期カウンセリング、専門機関紹介・フォローアップサービスを提供するもので 、精神的なサポートや健康面に関するコーチングなど幅広い内容をカバーしています。

エンゲージメントに関して、BSEMEAでは「Well-being」「エンゲージメント」「企業文化」「協力体制」の4つの区分を設定し、パルスサーベイを通じて、組織風土のキードライバーを定量的に測定し、スコアから改善が必要な項目に対するアクションにつなげています。このアプローチを始めてから2年経過し、様々な従業員グループにおいて、Well-beingに関するプラスの効果が見られています。具体的な事例のひとつとして、パルスサーベイを通じて集められたフィードバックに基づき、心理的、社会的、そして身体的Well-beingと職場環境整備に力点を置いたアクションプランを立てて、取り組みを進めていることが挙げられます。2024年には、社内外の専門家を招いての対面型及びオンライン型の対話イベントに数百人の従業員が参加し、高い満足度を得ることができました。その他にも、社内のイントラネットに幅広い書籍や映像コンテンツを格納したバーチャル図書室を設け、全従業員がアクセスできるようにしています。

働き方変革の取り組み

当社は労働基準法を遵守し、時間外労働の削減に取り組むと共に、従業員の年次有給休暇の取得を促進しています。また、柔軟な働き方を実現すべく、フレックスタイム制、裁量労働制、テレワーク、時間単位の有給休暇など各種制度の充実を図っています。ブリヂストンのDNA である「品質へのこだわり」「現物現場」「お客様の困りごとに寄り添う」をベースに、人財育成の促進、さらなる業務品質の向上を図るため、対面コミュニケーションの充実化を行っています。当社は今後も生産性の向上と価値創造の両立を目指し、柔軟かつ効果的、多様な働き方の追求と実現を推進していきます。

2024年の日本国内における当社従業員の年次有給休暇取得率は88.1%、平均取得日数は17.6日となりました。

(2023年は年次有給休暇取得率:87.3%、平均取得日数:17.5日)。

また、当社では、一定時間以上の長時間労働を行った従業員を対象に産業医による面接指導を実施し、過重労働による健康障害発生の防止、従業員の健康維持を図っています。

平均年間総実労働時間 1,922時間(2024年度) (2023年度は1,941時間)
平均年間所定外労働時間  196時間(2024年度) (2023年度は216時間)

※ (年間総実労働時間)=(年間所定内労働時間)+(年間所定外労働時間)−(年次有給休暇取得分)−(その他の休暇取得分)

過重労働防止・柔軟な働き方を実現すべく、以下取り組みを行っています。

  • 労働時間委員会や他の委員会の活動を通じて、現状の課題や改善に向けた取り組みについて労使で情報を共有
  • 年次有給休暇の取得目標の設定、及び結果に関するモニタリング
  • ワークライフバランスセミナーの実施
  • 2011年より、在宅勤務制度(現テレワーク制度)を導入
  • 2017年4月以降、総労働時間の削減措置として、規定の勤務時間(日中)で働く従業員の所定労働時間を8時間から7時間半に短縮
  • 2021年より、年次有給休暇を年間5日(40時間)まで1時間単位で取得できる制度を導入
  • 2024年より、フレックスタイム制におけるコアタイムを廃止

福利厚生

当社グループは、多くの事業拠点で、法律上の最低要件を超える福利厚生(「ハイブリッドワーク(オフィス勤務とテレワークの併用)」、保育施設の設置、有給の出産休暇、介護休暇やボランティア休暇など)を提供し、柔軟な働き方を尊重・奨励しています。日本では、社宅や独身寮、保養所、慶弔や自然災害時の助け合いに資する共済会制度、育児・介護支援制度、財産形成支援制度、住宅融資制度、ブリヂストングループとしての各種保険制度を利用できます。また、従業員は、従業員持株会に加入し、会社の長期的な将来と共に自分自身の将来にも投資することが可能です。さらに、職場における福利厚生施設(スポーツ施設や食堂・売店・休憩室など)の改善にも計画的に取り組んでいます。なお、一部の制度は退職後も含めて活用できるようになっています。

特許報奨制度

当社は、従業員の開発意欲を高めると共に、技術戦略の進展に寄与する発明を奨励するために「特許報奨制度」を設けています。会社が従業員から特許などを受ける権利を取得した場合の相当の利益として、また発明の奨励のために、この制度に基づき従業員を適切に報奨することとしています。

給与の公平性の確保

当社グループは、人財戦略の軸である「多様な人財が輝ける場所の提供」を進める上で、その基盤として、給与の公平性を確保すると共に、その報酬制度は、地域別・国別の労働市場動向を踏まえ、各市場での競争力のあるものとなるよう設計しています。

当社の報酬制度は、「役割や職務」「能力」「成果や成長」に応じて設計されており、従業員の属性による報酬制度上の違いはありません。報酬水準は、日本の社会動向等を踏まえ、人財確保・獲得の競争優位性を確保するため外部の市場データを活用し、毎年給与改定をその要否を含めて検討、労働組合に所属する従業員の給与については、毎年春にブリヂストン労働組合と労使交渉を行い、その妥結に基づき給与改定を行なっています。生産性・創造性の向上を基本とした当社給与水準の市場競争力の維持確保、個々人の挑戦意欲・成長を支える人事給与制度・体系に向け、 労使での対話を通じて取り組んでいます。なお、男女間の賃金差異に関しては、職種間や基幹職比率等において人財ポートフォリオの偏りに男女差があり、それに伴う差異が生じていますが、女性基幹職比率の向上、生産現場における働きやすい環境整備と合わせた女性採用強化など、人財ポートフォリオの偏りの改善に取り組んでいきます。

BSAPICの報酬制度は、適財適所の人財を惹きつけ、モチベーションを高め、定着させることを目指しています。主要な報酬制度は、基本報酬及び短期・長期のインセンティブで構成され、個人及び会社の業績達成に向けて従業員のインセンティブとモチベーションを高め、パフォーマンス志向の文化を醸成するよう設計されています。年次の市場レビューを定期的に実施し、報酬制度の競争力を確保しています。また、本制度は、BSAPICの取締役会の指名・報酬委員会により毎年見直され、承認を受けています。BSAPICでは、性別その他に関係なく、従業員の経験、スキル、市場競争力、市場特有の条件、現地法令、成果などの要素を考慮することで、従業員の報酬の公平性を確保しています。労働組合の組合員である従業員については、労働協約に記載されているその他の条件が適用され、公平性のある報酬を確保しています。

BSAMの報酬制度では、国及び州や地域の法的要件を遵守し、短期・長期の事業目標の達成を可能にする従業員を引き付け、モチベーション向上を促し、雇用の維持を図っています。BSAMは、求人プロセス、年次報酬の設計・手続き、及び定期的な社内レビューを通じて、給与の公平性を確保しています。外部の市場データを活用して、競争力のある給与体系を評価・設計し、毎年更新しています。さらに、短期・長期のインセンティブについては、ビジネスニーズを満たし、競争力のある総直接報酬を提供するために活用されます。これらの制度は、BSAMの取締役会の指名・報酬委員会により毎年見直されたうえで、承認されます。給与及び手続は、時間給従業員の労働団体と団体交渉協定によって規定・運用されています。

BSEMEAの報酬制度では、市場原理に基づく業績連動型報酬制度を採用しています。この制度は、ブリヂストングループが将来の成長に向けて必要な優秀な人財を採用し育成することを目的とし、基本給、短期・長期の変動給、適切な福利厚生制度等が含まれます。外部の市場データを収集し現地での参考値を取得することで、適切なプログラムを提供できるようにしています。公平性については、BSEMEAの従業員からなる労働組合との対話を行い労働協約を締結し、BSEMEAが事業を行う国の規制を遵守しており、さらに報酬チームが毎年行っている公平性検査によって確保されています。検査の結果は、BSEMEAの取締役会の指名・報酬委員会で共有されます。

人財能力開発 – 日本の取り組み補足情報

(当社の主な研修機会)
入社時の育成
  • 定期新入社員研修
    新卒採用者を対象に、入社してから各部署に配属されるまでに約7か月の研修を実施しています。最初の1か月の集合研修では、企業理念や会社概況などブリヂストングループについての基本知識と、ビジネスマナーや社会人としての心構え、基礎的なビジネススキルを学ぶと共に、配属後に各自の持ち場・立場で役割・行動を発揮してもらうため、2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)、中長期事業戦略など、全従業員が深く理解すべき内容の認知・理解にも取り組みます。また、当社の「極限」への「挑戦」の原点ともいえる、モータースポーツ活動に対する理解を深め、楽しみ、感動を共有する場も設けています。その後、工場実習では実際の生産業務や改善活動を体験し、また、販売実習では、グループ販売会社が運営する店舗にてお客様との接点を含めた販売第一線を体験し、「モノをつくって売る」ことを現物現場で学びます。さらに、2023年からは約2か月間のデジタル研修も導入し、データを読む・使う・分析する、データに基づいて論じる力、を身に付け、基礎的なプログラミングを学びます。これらを通じ、仕事におけるデータ活用に関して基礎的なスキルを習得します。また、期間中には当社創業の地である久留米地区を訪問し、企業理念への理解を一層深めています。
  • キャリア入社者研修
    入社初日にブリヂストングループについての基本知識を学ぶオリエンテーションを実施しています。また、ブリヂストングループの企業理念や会社概況の理解促進、創業の地である久留米訪問、工場や販売の現場体験など、新しい環境へ適応し即戦力として活躍してもらうことを支援する約2週間の集合研修と継続的学習支援としてのeラーニングを実施しています。
新入社員・若手社員の研修体系
新入社員・若手社員の研修体系図