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交通安全に関する取り組み

世界では毎年135万人以上が交通事故で命を落としている※1とされ、交通安全はグローバル共通の課題と認識されています。ブリヂストングループも、タイヤメーカーとして安心・安全な移動やレジリアントな社会基盤を支えていくために、交通安全を重要な課題と捉えています。

安心・安全で快適な移動のためにはタイヤの適切なメンテナンスが重要なため、より安心で心地よいモビリティライフを支える「Bridgestone E8 Commitment」の「Ease」の一環として、お客様や地域の方々にタイヤの安全点検などの安全啓発活動を実施しています。また、すべての人が自分らしい毎日を歩める社会の実現に向け、「Empowerment」につながる活動として、次世代に向けた交通安全や地域社会における生活の質の向上の重要性について啓発しています。さらには、従業員向けの交通安全教育も充実させ、バリューチェーン全体で安全への意識を高めることで、商品やサービスだけでなく、日々の業務を通じて交通安全に貢献していきます。

グローバルで展開する交通安全に関する様々な取り組みの強化を検討していくため、当社グループで社会貢献活動に取り組むワーキンググループの傘下に、交通安全タスクフォース(RSTF)を2022年に設置しました。国連の持続可能な開発目標の「ターゲット3.6 世界の道路交通事故による死傷者を半減させる」と「第2期道路交通安全のための行動の10年 2021-2030」へ貢献していくため、RSTFは、企業や開発・政府機関、市民社会組織などをつないで交通安全の活動を推進する国際NPOであるGlobal Road Safety Partnership(GRSP)と協力し、従来の各地域での活動を、グローバルで相乗効果を生み出すプログラムに発展させた包括的な枠組み「ブリヂストン交通安全プログラム(BRSP)」を構築しました。同プログラムは、2023年より試験的運用を開始しています。BRSPの実行にあたっては、GRSPとも連携して社内向けガイドである「ブリヂストン交通安全プログラムプレイブック」を作成し、グローバルの従業員間で共有しています。

ブリヂストン交通安全プログラムプレイブック

当社は2022年7月に、BRSPのもと、国連交通安全基金(UNRSF)へ2022年から2025年の4年間で総額100万ドル(約1億3千万円)の寄付を行うことを発表しました。UNRSFとのパートナーシップを通じて、当社のグローバルでの交通安全活動を強化し、交通安全に対する国際社会の高まる期待に応えることを目指しています。

2022年は、17か国で47件※2の交通安全に関する取り組み(うち38件は外部パートナーと連携※3、1,036人の従業員ボランティアが参加※4)を96,169人の地域の方々に対して実施※5しました。

  1. ※1出典:世界保健機関「Global status report on road safety 2018」
  2. ※2活動数の集計方法は国や地域によって異なります。
  3. ※3外部パートナーとの連携集計方法は国や地域によって異なります。
  4. ※4従業員ボランティア数は延べ人数であり、一部活動では推計値を含みます。
  5. ※5活動による直接裨益人数を集計し、集計方法は国や地域によって異なり、確認できた活動のみを対象としています。
Global Road Safety Partnership CEOからのメッセージ

Dave Cliff
ONZM MStJ.
CEO, Global Road Safety Partnership(GRSP)

2022年の国連宣言では、民間セクターのリーダーに対し、世界の交通安全向上に向けたさらなる協力を要請しました。同宣言では特に、安全な自動車の購入、ドライバーと車両の安全性、資金提供、バリューチェーンへの「セーフシステム」の原則の適用など、民間セクターが大きな役割を果たせる領域に重きを置いています。持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット3.6は、2030年末までに交通事故による死傷者を半減させることを掲げており、そのためにはあらゆる領域での協調的な取り組みが必要です。ブリヂストンは創業以来、交通安全を提唱し、また行動でもそれを示してきたことで知られていますが、この宣言を支持することで、同社の交通安全へのコミットメントが一層強化されました。

GRSPの創設理念は、パートナーシップを根底に置いています。これには、民間セクター、市民社会、政府のそれぞれの声を集めて、根拠に基づく交通安全政策策定や取り組みを企画し、実行することが含まれます。2020年以来、GRSPはこのパートナーシップモデルに従ってブリヂストンと力を合わせ、交通安全の考え方と行動の両面でリーダーシップを発揮してきました。

私たちGRSPは、このパートナーシップを発展させながら、ブリヂストンの交通安全への熱意とイノベーションをサポートしていきます。この先も改善を続けるためには、インパクトを創出する持続可能なプログラムや方針を生み出していく必要があります。従業員の熱意を活かしてバリューチェーン全体で交通安全に取り組むことで、ブリヂストンが事業を展開する地域や、それ以外の地域も含む世界における交通安全の推進に大きく貢献していくことを期待しています。

※ GRSP: Global Road Safety Partnership。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)により主催されています。

高校生のための「交通安全教室」(オーストラリア、ニュージーランド)

オーストラリアとニュージーランドでは、学生向けの交通安全教育機会を提供する地域イニシアチブであるRYDA外部リンクと連携した若者向けの交通安全教室を実施しています。2022年は、41,250人以上の学生に対し、道路上でより安全な行動が取れるよう、運転者及び同乗者としてのマナーを含めた啓発活動を実施しました。

RYDA CEOからのメッセージ

Terry Birss
CEO & Managing Director
Road Safety Education Limited - provider of the RYDA program

私たちRYDAは、交通安全に関する共通の目標である、道路上の命を守り、交通被害者を一人でも減らすために、皆さんと一緒に取り組んでいます。RYDAは、次世代に対して交通安全に対する知識やスキルの習得を目的とし21年前に設立され、これまでに70万人以上の生徒が参加しています。ブリヂストンの持続的な支援により、RYDAは、命がかけがえのないものであるというメッセージを学生に伝え、交通安全意識を高めることにつなげています。私たちは、ブリヂストンが、オーストラリア・ニュージーランドを含む世界各地で交通安全教育に貢献する重要なパートナーであると考え、その支援に感謝しています。

「Bridge to Knowledge」キャンペーン(ベトナム)

ブリヂストングループは、商品とサービス、様々な取り組みを通じて地域の安心・安全な暮らしを支えています。ベトナムでは、雨季に洪水が多発する地域で、老朽化した木製の橋は耐久性の面などで通勤や通学の安全に懸案があります。ブリヂストン タイヤ セールス ベトナム リミテッド ライアビリティ カンパニーは「Bridge to Knowledge」キャンペーンを展開し、2030年までに20本の橋を建設し、10年間にわたりメンテナンスを行うことを宣言しています。

2022年に新たに2本の橋を建設し、2022年末時点でプロジェクト開始時から延べ8本の橋の建設が完了しました。これらの新しい橋は2,000世帯以上の人々に利用されており、教育施設や公共施設への安心・安全なアクセスを支えています。

お客様への安全啓発研修(ベトナム)

ベトナムの技術チームは2020年、ベトナム最大手の物流会社で当社のお客様である郵船ロジスティクスに対し、交通安全とタイヤの安全性について学ぶオンサイト研修を実施しました。また、交通安全のさらなる徹底をお願いし、トラック用の交通安全ステッカーも配布しました。

子どもたちの交通安全意識向上に向け、「Bridgestone Global Road Safety」プロジェクト実施(タイ)

タイでは、子どもたちの交通安全と道路での安全な行動への意識を高めるため、「Bridgestone Global Road Safety」プロジェクトをプーケットで開始しました。交通安全NGOのGlobal Road Safety Partnership外部リンク や地域のパートナーと協力し、学生の安全な行動を呼びかけるインタラクティブなゲームやコンテストを行う交通安全デーなどのイベントを実施しました。また、地域のインフラ整備も行い、通学路の安全向上に貢献しています。

運転初心者への安全講習(タイ)

ブリヂストン セールス タイランド カンパニーリミテッドでは、タイの自動車交通庁と協力し、新規の運転免許取得希望者に対して安全運転と交通ルールに関する講習をタイ全国で毎年6回実施しています。一連の研修を受講してテストに合格した参加者には、研修修了時に運転免許証が交付されます。この講習は1990年から行われており、これまでに42,300人以上の参加者が免許を取得しています。

交通安全プログラムを推進(中国)

中国では、Safe Kids China外部リンク と共に交通安全プログラムを推進しています。Safe Kids China主催の研修を受講した従業員ボランティアは、道路の利用状況に関するデータ収集を行う現場観察に参加しました。この観察結果は、地域の学校で実施される交通安全教育のカリキュラムに活用されています。現地の警察や地域社会と連携したこのプログラムには、800人以上の児童が参加し、対話型のゲームを通じた交通安全指導を行いました。児童に安全ヘルメットを配布し、正しい着用方法を指導したほか、正しい交通安全行動を促すため、保護者に対しても教育や意識啓発を行いました。また、5つのスクールゾーンで、学校の近くにある横断歩道への標識や、わかりやすい速度標識の設置、横断歩道の改善など、より安全な通学ができるよう改善を行いました。

視覚障がい者向けの交通安全のサポート(韓国)

2020年の調査に基づく現地の統計データによると、視覚障がい者の58.8%が必要とするタイミングで病院へ行けていないそうです。また、交通事故による死亡率が極めて高いとされています。ブリヂストン タイヤセールス コリア(BSTK)は、韓国視覚障がい者連合会とのエンゲージメントを通じて、点字ブロックなどのインフラや、移動を容易にする安全なモビリティツール、交通手段など、視覚障がい者が直面する移動における課題解決に着目しています。視覚障がい者は外出時に安全性への不安を感じることも多いため外出機会が減り、社会とのつながりが希薄になる場合があります。BSTKが2022年に立ち上げたプログラムでは、韓国政府による資金支援のもと、500人の方々に音響式歩行者用信号のリモコンを提供すると共に、タクシーのクーポンや回数券を1,500枚配布しました。またBSTKは、韓国視覚障がい者連合会の現地スタッフがCarroll Centerの研修を受けられるよう調整役を果たしました。Carroll Centerは、視覚障がい者の自立した生活を支援する視覚リハビリテーションセンターです。こうした取り組みは支援を提供した方々の安心・安全な移動を支えています。

ブリヂストン アジア パシフィックが「Best Environmental Excellence Award」及び「CSR & ESG Leadership Award」を受賞(BSCAP)

ブリヂストン アジア パシフィックは、Pinnacle Group Internationalが主催する「第14回グローバルCSR & ESGアワード」において、「Best Environmental Excellence Award」と「CSR & ESG Leadership Award」の両部門で金賞を受賞しました。これは環境・生物多様性の保全や、社会価値創造への取り組み、交通安全をはじめとする地域社会への貢献が評価されたものです。ブリヂストン アジア パシフィックは今後も、「Bridgestone E8 Commitment」の中でも「Energy」「Ecology」「Ease」「Empowerment」を軸に、2050年のビジョン達成に向けて、お客様や社会への価値創造に取り組んでいきます。

ブリヂストン アジア パシフィック及びそのグループ会社によるCSRの取り組みは、「グローバルCSR & ESGアワード」において5年連続で評価されています。

子どもたちへの自転車安全教育(日本)

ブリヂストンサイクルは、自転車メーカーとしてのノウハウを活かし、自転車乗用中の事故減少を目指した各種活動に取り組んでいます。

詳しくはこちらのページをご覧ください。

安全運転の啓発活動「Think Before You Drive」(中南米)

安全運転には、確かな判断力、交通状況を瞬時に察知する力、そして路上走行に適した車両が欠かせません。
BSAMが2005年に開始した安全運転の啓発活動「Think Before You Drive」は、教育プログラムや教材を通して交通安全の大切さをドライバーに再認識してもらうことを目指しています。シートベルトの常時着用、タイヤのアライメント調整やバランス調整など、安全運転に欠かせない基本的なルールを守ることの重要性をお伝えしています。また、タイヤの空気圧や摩耗状態の無料点検、車両を最適な状態に維持する方法についてのアドバイスといった、より実用的なサポートも行っています。交通事故や危険運転を減らすことを目的に、大学や政府機関と連携し、子どもや学生、ドライバーの皆様を対象にこの教育プログラムを実施しています。2015年以降、メキシコ、コスタリカ、コロンビア、エクアドルで開催し、参加者は72,000人以上にのぼります。コスタリカでは、2011年からこの取り組みを継続していますが、COVID-19感染拡大の後、2022年にeラーニングを活用したプログラムとして再始動しました。

「Think Before You Drive – Kids」では、6~12歳の子どもを対象に交通安全のヒントを伝え、道路を安全に通行するために必要な行動に関する意識啓発に取り組んでいます。タイヤの安全性やメンテナンスの重要性を子どものうちから学べるよう促すコンテンツなど、ビデオ教材、学習活動、インタラクティブなゲームをオンラインで提供しています。2022年は4校で開催し、1,500人以上の子どもたちが参加しました。

従業員ボランティアによる交通安全教育(ポーランド)

ポーランドのポズナンでは、2008年より、従業員のボランティアによる交通安全教育に取り組んでいます。衝突試験用のダミー人形を模したキャラクターと一緒に交通安全に関するインタラクティブな授業を行っています。これまでポズナン市周辺の500以上の学校、36,000人以上の学生に450のワークショップを実施してきました。

歩行者と自転車運転者のための安全用反射バンド配布(ポーランド)

ポーランドのポズナンおよびヴィエルコポルスカでは、衝突試験用のダミー人形を模したキャラクターが、5,000人以上の歩行者と自転車運転者に、夜間安全用反射バンドとCOVID-19対策用のフェイスマスクや手の消毒剤を配布しました。この活動は地域のニーズに柔軟に対応しており、近年は、ダミー人形を模したキャラクターと共に反射バンドを毎年秋に配布しています。

「Eyes on the Road BSEMIA」キャンペーン(中近東、アフリカ)

プロの運転手の安全運転支援もブリヂストングループの優先事項です。中近東・アフリカ(MEA)で2020年から実施している「Eyes on the Road BSEMIA」キャンペーンでは、トラック運転手の皆様に、安全運転のための体力、人間工学、栄養、目の健康の重要性について理解を深めていただきました。2022年4月には600人のドライバーがこのキャンペーンに参加しました。

当社グループの企業理念の使命である「最高の品質で社会に貢献」に沿って、より健康で安全な社会の実現に貢献し、トラック運転手の皆様との間に心理的なつながりを築くために、「Eyes on the Road」キャンペーンを通じたコミュニケーションを継続し、さらなる内容の充実を図っています。2022年末までに、MEA全域で8,000件以上の健康診断を実施しました。

交通事故削減に向けたトラック運転手への支援(インド)

路上における安全なモビリティの確保と交通事故の削減に貢献するため、ブリヂストン インディア プライベート リミテッドでは、従業員ボランティアにより、トラック運転手を対象に、運転技術向上や視力矯正を目的としたプログラムを実施しました。450人の若手がプロのトラック運転手として訓練を受け、11,000人のトラック運転手が視力検査と視力治療を受診、2,520個の眼鏡が配布されました。また、より健康的なライフスタイルの導入に向けたセッションも実施しました。
2022年には、新たに256人のトラック運転手が訓練を受け、3,137人のトラック運転手が視力検査と治療を受けました。

交通安全に関するセミナー「Cultire」(イタリア)

ブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエー(BSEMIA)のテクノロジーセンターでは、従業員が同センターの知見を生かし、高校生などの若い世代に対し交通安全について講義を行うプログラム「Cultire」を立ち上げました。同センターの有志によるこの交通安全セミナーは、タイヤに焦点を当て、交通安全におけるタイヤの重要性について意識を高めることを目的としています。2017年の開始以来、約450人の高校生、及び職業訓練に参加する250人の若い失業者の方々にセミナーを実施してきました。2022年は3回のセッションが開催され、6人のボランティアと30人の学生が参加しました。