Environment(環境) | 資源を大切に使う

アクション3:再生可能資源の拡充・多様化

考え方

原材料の使用量を減らし(アクション1)、資源の循環利用を進める(アクション2)だけでは、グローバルで増え続ける需要に対し、必要な商品・サービスを安定供給することは困難です。これらの取り組みに加えて、商品の原材料となる再生可能資源を拡充・多様化することで(アクション3)、持続可能な社会の実現に貢献できると考えています。

ブリヂストングループが取り組む「100%サステナブルマテリアル化」は、地球の自浄能力・扶養力とのバランスを前提にしていますが、単に再生可能でない資源を植物由来の再生可能資源に切り替えるだけでは不十分だという考えに基づき、アクション1、2、3を推進しています。

当社グループにとって、天然ゴムは重要な天然資源であり、環境・社会・事業の各面において持続可能性を高める必要があると認識しています。このため、様々な方法で天然ゴムの持続的な利用に向けた取り組みを行っています。天然ゴム農園における生産性向上に向けた取り組みを進めるとともに、「グアユール」をはじめとする新たな天然ゴムの供給源の開発を通じた再生可能資源の多様化に取り組んでいます。このように、生産性向上と供給源の多様化という両輪により、供給源の持続可能性の向上に努めています。

※当社グループでは、「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。

「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」の開発

"2050年を見据えた「100%サステナブルマテリアル化」を初めて具現化"

ブリヂストンは、持続可能な社会の実現に向けたタイヤの将来の形として、「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」をパリモーターショー2012に参考出品しました。

「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」は、2050年に向け「100%サステナブルマテリアル化」を達成するためのハイレベルな材料技術の結晶で、持続可能な、すなわち100%再生可能な原材料で作られたタイヤです。産学連携の取り組みなどを効果的に行いながら、「天然ゴム」や「有機繊維」は新しい再生可能資源に拡げる取り組みを進め、「合成ゴム」や「カーボン」、「ゴム薬品」などは枯渇資源から再生可能資源に換える取り組みを進めました。今後、研究開発体制の確立や基盤技術の開発、量産化の検討を進めています。

「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」

※ポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場にて開催

新しい再生可能資源に"拡げる"技術

天然ゴムは、タイヤ主原料の中で大きな割合を占めます。現在工業的に用いられるほぼ全てがパラゴムノキという植物から産出されていますが、パラゴムノキの栽培地域は赤道直上を中心に南北の狭い範囲に限られ、現在では、その93%が東南アジアに偏在しています。熱帯雨林の保護、病害リスクの低減などを考慮すると、パラゴムノキ自体の生産量を増やす取り組みと、より広い地域で栽培可能な代替植物の研究が求められます。

当社グループは、その代替植物としてグアユールからの天然ゴムの採取に成功しており、実用化に向け取り組んでいます。

※ブラジル原産のトウダイグサ科パラゴムノキ属の常緑高木。幹から得られる乳液 (ラテックス) に天然ゴムが含まれる。

グアユールの研究活動

ブリヂストングループはパートナーシップを活用して、グアユールの実用化を目指す様々な研究プロジェクトを進めています。

グアユール

バイオラバープロセスリサーチセンター

グアユールは、米国南西部からメキシコ北部にかけての乾燥地帯が原産の低木で、天然ゴムの新たな供給源として有望な植物です。東南アジアのパラゴムノキから採取される天然ゴムとほぼ同等の天然ゴムが収穫でき、干ばつと熱に強いため、商業用タイヤゴムの貴重な供給源となることが期待されます。ブリヂストン アメリカス タイヤ オペレーションズ・エルエルシー(BATO)は、米国アリゾナ州エロイ市に114ヘクタールの農地を所有しており、2013年9月にグアユールを栽培する研究農場の運営を開始しました。また2014年9月には、同州メサ市にタイヤ向けグアユールゴムの加工研究所「バイオラバープロセスリサーチセンター」を開設しました。

ブリヂストン アメリカス・インク(BSAM)は、2017年12月にイタリアのVersalis社と提携し、最新の遺伝子技術を駆使してより生産性の高いグアユール品種の開発を目指しているほか、2018年2月からはゲノムのビッグデータ・ソリューション企業であるNRgene社の技術を活用したグアユールの品種改良にも取り組んでいます。

BSAMのグアユール研究では、以下のような活動も行っています。

  • 灌漑効率と量水の改善のため、2017年に米国農務省(USDA)から専門の灌漑技術研究者を農場に招へいしました。
  • 米国アリゾナ州中部で灌漑に用いるコロラド川の水不足の解決に積極的に関与しているNGOのEnvironmental Defense Fund(EDF)と、農家の畑に共同でグアユールを栽培することに合意しました。EDFは、水分をあまり必要としないグアユールを、現在この地域で栽培されている水分を多く必要とする作物に代わりうるものだと考えています。
  • アメリカ先住民族の土地での栽培について、先住民族と協議を進めています。部族には水量が多く割り当てられていますが、水をあまり必要としない作物であるグアユールの栽培に関心を示しています。
  • これらをはじめとする長年にわたる研究活動が評価され、BSAMは2018年2月にUSDAの国立食品農業研究所(NIFA)から、グアユール由来の米国産天然ゴム資源の研究開発支援先として選定されました。

2020年代の実用化に向け、持続可能な方法によるグアユールの生産性向上や生産方法の確立、物流の改善など、今後も様々な取り組みを推進していきます。

グアユール由来の天然ゴムを使用したタイヤ

2015年、グアユール由来の天然ゴムを用いた最初のタイヤが完成しました。このタイヤは、グアユールの栽培から天然ゴム抽出精製までの工程に加えて、天然ゴム評価、タイヤ生産・評価の全ての過程に当社グループの技術を適用することによってつくられたものです。

枯渇資源から再生可能資源に"換える"技術

タイヤを構成する原材料は、多岐にわたります。
そのうち、合成ゴム、例えばブタジエンゴムやイソプレンゴム、タイヤを補強するカーボンブラックなどを含め、石油由来の原材料が多くを占めています。「100%サステナブルマテリアル化」のためには、これら石油由来のものを再生可能資源に「換える」ことが必要です。ブリヂストンでは、新しい再生可能資源に「拡げる」技術に加え、こうした「換える」技術の開発にも注力しています。

一例として、合成ゴムの中間原材料として重要なブタジエンについては、バイオマスを原料とし、バイオエタノールを経由して合成することに成功しています。既にこれを用いて当社の最先端ゴム合成技術を導入した高機能合成ゴムのサンプル試作が完了しています。

また、補強材やカーボンブラックについては、原料油を枯渇資源である石油または石炭由来のものから再生可能資源である植物由来油脂に「換える」技術開発に取り組んでいます。

花王株式会社との共同研究により、高機能タイヤゴム材料を開発

ブリヂストンと花王株式会社は、ブリヂストンの基盤材料技術「ナノプロ・テック™※1」と花王の「界面制御技術※2」という両社の強みを融合することで、革新的な高機能タイヤゴム材料を開発しました。これにより、相反する性能である低燃費性能とウェットグリップ性能を高次元で達成する高性能低燃費タイヤをお客様に提供します。また低燃費性能によるCO2排出量の削減に加え、原材料を植物由来の再生可能資源へと切り替えを進めることで、環境負荷低減へのさらなる貢献が可能となりました。

  1. ※1 分子構造設計などを通して材料の微細構造を制御し、必要特性を引き出す技術の総称で、ブリヂストンの基幹技術の一つ。
  2. ※2 物質の表面・界面で起こる現象をナノレベルで理解し、それを精密に制御する技術。

パラゴムノキの生産性向上

ブリヂストンでは、パラゴムノキの病害診断技術の開発を通して、天然ゴムの生産性低下を防ぐ取り組みをしています。また、パラゴムノキを栽培する小規模農家に対して、生産性向上の技術支援も行っています。