ブリヂストンは、人々の生活の質の向上と職能の開発につながる教育が重要であると考え、事業を展開する地域においてインクルーシブで開かれた教育を支援しています。特に初等教育や技術・職業訓練に重点を置き、タイヤの製造・販売で培った強みを活かし、次世代の自動車整備のプロフェッショナルを育成するための様々な研修プログラムを提供しています。
2024年は、18の国と地域で286件※1の教育に関する取り組み(うち263件は外部パートナーと連携※2、2,364人の従業員ボランティアが参加※3)を25,049人の地域の方々に対して実施※4しました。

- ※1活動数の集計方法は国や地域によって異なります。
- ※2外部パートナーとの連携集計方法は国や地域によって異なります。
- ※3従業員ボランティア数は延べ人数であり、一部活動では推計値を含みます。
- ※4活動による直接裨益人数を集計し、集計方法は国や地域によって異なり、確認できた活動のみを対象としています。
グリーンIT教室(中国)


中国では、慈善団体であるZhonggu Charityと連携し、「Green IT Classroom」プログラムを推進しています。中国の農村部の学校は、コンピューター技能を身に付ける機会がなく、また半数が再生可能であるにもかかわらず、多くのPCが廃棄され相当量のごみが生まれるという課題に直面しています。こうした課題への対応策として、普利司通(中国)投資有限公司(BSCN)は、Green IT Classroomプログラムの下、複数の取り組みを実施しています。
具体的には、BSCN及びパートナーによるPCの寄贈・再生、農村部の学校でのコンピューター室の整備、またこれらの農村部に住む学生向けにコンピューター訓練の提供などを行っています。この取り組みにおいて、ブリヂストンは、社内外のステークホルダーが連帯してPCを寄贈する、コラボレーションの機会を創出しています。また、ブリヂストンの従業員ボランティアが、PCの再生、教室の整備、講習会の実施を担っているほか、当プロジェクトに資金援助も行っています。
この取り組みを通して、中国農村部におけるコンピューターリテラシーの向上、電子機器廃棄物の削減、さらには若者の間でのサステナビリティ文化の育成と教育の機会を促進していきます。

学校からのメッセージ:ブリヂストンは愛にあふれた、責任ある企業です。コンピューター室のおかげで、学生はインターネットを通じて世界に関する知識を深めることができるでしょう。

販売代理店からのメッセージ:ブリヂストンと共に今回の非常に有意義な取り組みに参加することができ、Tianli Groupの社員一同、大変誇りに思っています。この援助プログラムの結果、農村部の子どもたちがより良い教育体験を得て、デジタル時代に溶け込み、大局的な観点から成長してくれることを期待しています。
| 実績 |
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| インパクト | 参加した11人の従業員を対象にインパクトアセスメントを実施。社会貢献活動に参加後、全従業員がブリヂストンと地域コミュニティ双方への帰属意識が高まったと回答。さらに、全従業員が仕事関連のスキル、姿勢、生活全般での言動、そして全体的なウェルビーイングにポジティブな変化を感じたと回答 |
女性のエンパワーメント・能力開発・運転技能講習(インド)



このプロジェクトは、社会的・経済的に恵まれない立場の方々を支援することを目的としています。
インド政府の報告書によると、インドで車を運転する女性はわずか11%で、都市部に住む特別なスキルを持たない女性の多くは手仕事を生計手段とし、家事や単純労働で月に3,000〜4,000ルピー(40〜50ドル)ほどしか稼ぐことができません。
この取り組みでは、ドライバーの仕事に就くという従来にはない形の雇用機会を提供しています。これは、女性の自立・参画・正義・平等に向けたアプローチにつながります。特に通勤する女性や、子どもや高齢者のいる家庭からの女性ドライバーへの需要が高まる中、こうした取り組みを行うことで顧客の安全が確保され、より強い信頼感とロイヤルティを創出できると考えています。2024年時点で、合計278人の女性が講習を受け、各種交通関連組織に配属されました。
講習の内容は以下の通りです。
- 1.運転講習モジュール(90日間):講習は、プロジェクトの基本や修了へ向けた激励を行う導入研修から始まります。また、女性がドライバーのような技能職に就くことが社会経済的に与える影響も強調します。
-
2.
女性のエンパワーメントと能力開発講習:
a.地図読解スキル、コミュニケーションスキル、GPS追跡スキル
b.応急手当、自己防衛、護身術のスキル
c.女性関連法、自動車法、保険法
d.女性の健康と生殖医療
| 実績 | 2024年時点で、合計278人の女性が訓練を受け、様々な交通関連組織に配属 |
|---|---|
| インパクト |
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雲雀丘学園との「サマー合宿」(日本)
東京小平市にある「Bridgestone Innovation Park(ブリヂストン イノベーション パーク)」では、兵庫県の雲雀丘学園中学校・高等学校の学生とブリヂストン従業員による「サマー合宿」が行われました。このイベントは、未来を担う学生たちが、社会問題とそれに対する解決策や提案を考え、成果としてまとめるプロセスを通じて、思考力、判断力、表現力を培ってもらおうというものです。今回で2年目となるサマー合宿では、「どんなサステナビリティが大切か?みんなが欲しくなるサステナブルなタイヤを考えてください!」というテーマの下、学生12人と材料開発、商品企画、サステナビリティチームの従業員29人が一緒になって、新しいタイヤの企画に取り組みました。合宿の最終日には、学生たちは自分たちが開発したタイヤを装着したラジコンカーでレースを行ったほか、合宿の成果を従業員に発表しました。
| 実績 | 学生12人が3日間の合宿に参加。29人のブリヂストン従業員がボランティアとして参加 |
|---|---|
| インパクト | ボランティアとして参加した従業員のうち15人を対象にインパクトアセスメントを実施。社会貢献活動に参加後、全従業員がブリヂストンへの帰属意識が高まったと回答。また93%が地域コミュニティへの帰属意識が高まったと回答。さらに、53%の従業員が仕事関連のスキル、姿勢、生活全般での言動、そして全体的なウェルビーイングにポジティブな変化を感じたと回答 |
小中学生向け授業(日本)
ブリヂストンは、地域社会とのつながりを深め、次世代の育成に寄与するため、工場拠点近隣の小中学校に通学する児童・学生への様々な授業を行っています。
小学生向けには、ブリヂストンを紹介する施設「Bridgestone Innovation Gallery(ブリヂストン イノベーション ギャラリー)」を訪問する「校外学習」プログラムを提供し、会社やタイヤ・ゴムに関する知識に加え、企業活動に欠かせない価値観であるDE&Iについて学ぶ機会を設けています。このプログラムには従業員ボランティアが参加することで、社会貢献参画の意識を高めるとともに、従業員の人財育成にも寄与しています。また、2004年から開始した出張授業「環境ものづくり教室」では、環境問題と事業の関連を考える機会を提供し、持続可能な社会の実現に向けた意識を育むことを目指しています。
中学生向けには、グローバル企業であるブリヂストンの従業員が世界中での経験をもとに、多様な人々とのコミュニケーションの重要性を伝える出張事業「グローバルコミュニケーション教室」を実施しています。このプログラムは、国際的な視野を持つ次世代のリーダーを育成するための基盤を築くことを目的としており、学生たちが将来のグローバル社会で活躍する力を養うことを目指しています。
ブリヂストンは、地域の児童・学生への教育支援を通じて次世代の育成に貢献し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みをさらに推進してまいります。
〈小中学生向け授業:2024年※1の活動ハイライト〉
| 実績 |
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| インパクト |
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- ※1環境ものづくり教室とグローバルコミュニケーション教室は、2023年~24年をまたぐセッション
従業員からのメッセージ
森 英信
Bridgestone Innovation Gallery 館長
地域の小学生向けに、ブリヂストンやタイヤ、DE&Iを学ぶ校外学習プログラムを提供しています。多くの子どもたちが、ブリヂストンやタイヤについて理解を深め、関心を持ってくれたことを大変嬉しく思います。この活動は地道ではありますが、確実に子どもたちの心に響いていると実感しています。彼らがタイヤやゴムに興味を持ち、将来的に「ブリヂストンで働きたい」と思ってくれることがあれば、これ以上の喜びはありません。今後もブリヂストンの地域貢献活動として継続していきたいと考えています。
「ブリヂストン吹奏楽団久留米」の演奏活動(日本)


ブリヂストン吹奏楽団久留米は、ブリヂストン創業の地である久留米地域・市民への貢献の一環として、「地域の音楽文化向上と従業員の文化活動」を目的に1955年に創設されました。団員は、久留米工場と鳥栖工場でタイヤ製造に従事する従業員で構成されています。
同楽団は、音楽がもたらす感動と喜びを多くの人々に届けるため、ブリヂストン工場所在地での演奏会や、施設・学校での訪問演奏を実施しています。また、地域に根差した様々な活動にも力を入れています。2024年には、以下の活動を通じて延べ1,000人以上の学生と、音楽指導を行いながら交流を深めました。
今後も、様々な活動を通じて地域の音楽文化発展に貢献してまいります。
「ブリヂストン吹奏楽団久留米」の詳細はホームページをご覧ください。
| 実績 |
教育支援:
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| インパクト |
公演鑑賞: 9割以上の方が、心が豊かになった/音楽への興味関心が増したと回答 344人の鑑賞者に対しアセスメントを実施 |
- ※学生以外の方も一部含む
自動車関連業界で働くための教育支援(米国)
ブリヂストン アメリカス インク(BSAM)は、全米の自動車整備技術者不足に対応するため、次世代の自動車整備技術に関する様々な教育を行っており、受講者が技術教育を修了できるようサポートするNPOを支援しています。Techforce FoundationのようなNPO団体と連携しながら、BSAMは就労先を探す多くの若者と向き合いつつ課題に取り組んできました。Techforce Foundationとパートナーとなった2022年以来、業界には目を引く変化が起こっています。2024年には、自動車産業全体の従業員数は2.8%増加し、米国の労働市場全体の増加率を0.8%上回る結果となっています。
Driving Great Futures(米国)
米国では、BSAMが「Boys and Girls Clubs of America(BGCA)」と長期的なパートナー関係を構築し、子どもがいる家庭への支援として自宅とBGCAのクラブへの送迎に使う交通手段を提供するなどしています。BSAMは国内2,200以上のタイヤ・自動車サービスセンターのネットワークを通じたお客様からの寄付などを基に、2015年以降累計でBGCAに2,500万ドル以上の寄付を行いました。
プログラムの中心は送迎補助金で、ブリヂストンの低燃費タイヤを装着したBGCA用の乗用バンの購入や既存車両の保守・修理に使用されています。また、BSAM直営店ではBGCAの車両整備を実施しているほか、地域コミュニティにあるこのクラブでボランティア活動を行っています。
2024年に約160万ドルに達したBSAMの寄付金の用途は以下の通りです。
- クラブの送迎用バン10台を10カ所のクラブに向けて購入
- 2万ドルのメンテナンス助成金を10カ所のクラブに提供
グローバルCSR&ESGサミットアワード2024:「Empowerment of Women Award」と「Excellence in Provision of Literacy & Education Award」を受賞(BSAPIC)
ブリヂストン アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド(BSAPIC)は、革新的なCSR戦略を通じてもたらしたポジティブなインパクトが認められ、第16回アニュアルグローバルCSR&ESGサミットアワード2024において2部門で賞を授与されました。BSAPICがグローバルCSR&ESGサミットアワードで表彰されるのはこれで7年連続となります。
2024年は、女性に雇用機会を創出するインドでの運転技能講習プログラム、中国でのグリーンIT教室プログラム、インドの子どもたちの教育を支援するリソースセンター、ならびにインドネシアでの職業訓練、オーストラリアでのアプレンティスシッププログラムが受賞の鍵となり、Empowerment of Women部門でプラチナ賞を、Excellence in Provision of Literacy & Education部門で金賞を受賞しました。
アニュアルグローバルCSR&ESGサミットアワードは、CSR(企業の社会的責任)及びESG(環境、社会、ガバナンス)分野におけるアジアで最も名誉あるアワードプログラムの一つです。このプログラムは、事業活動において倫理的価値観を取り入れ、法規制を遵守し、個人、地域社会ならびに環境を尊重する企業の取り組みにスポットライトを当て、表彰しています。2024年は、20部門に250を超える案件が提出されました。
BSAPIC CHRO(Chief Human Resources Officer) Paul Chooからのメッセージ
グローバルCSR&ESGサミットアワード2024においてEmpowerment of Women Award及びProvision of Excellence in Literacy and Education Awardを受賞でき、大変光栄です。このイベントでは2018年より7年連続の受賞となり、今回の受賞で15個目、16個目のアワードの獲得となりました。顧客にサステナブルなソリューションを提供するだけでなく、国際社会に雇用機会や教育、識字といった未来を形作る分野でポジティブなインパクトをもたらすことができ、誇らしく思っています。「Bridgestone E8 Commitment」を通じて、社会的価値を高めると共に人々の生活を向上させる、人々を力づける機会をこれからも追求していきたいと思います。
BSAPICの取り組み例を以下に紹介します。

ブリヂストン インディアの運転技能講習
このプロジェクトの詳細については、「女性のエンパワーメント・能力開発・運転技能講習(インド)」をご覧ください。

農村部での起業機会
インド・プネ工場の近隣地域では、これまで50人以上の女性が、子ども服や祝祭シーズンのアイテム、アクセサリーの生産といったビジネスでの自立に向け講習を受けました。ブリヂストンはサプライヤー契約の締結も手助けしています。このプログラムでは、ブリヂストンはプネのOrganization for Sustainable Development Foundationと連携して、取り組みを推進しています。

グリーンIT教室
このプロジェクトの詳細については「グリーンIT教室(中国)」をご覧ください
Women in Tech – Empower, Learn, Connectプログラム(イタリア)
ブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエー(BSEMEA)の技術センター(TCE)で実施している「Women in Tech – Empower, Learn, Connect」プログラムは、タイヤの技術部門における男女格差を縮めることを目的に、科学・技術・工学・数学(STEM)分野での教育バックグラウンドを持つ女性を対象に、テクノロジー分野での就職支援を行っています。このプログラムでは、参加者である女性をインターンとして招き、ブリヂストンの技術的側面を体験する機会を提供しています。
2023年以降、28人のインターンがローマにあるTCEに集まり、900時間を超える訓練、体験、現場研修、実地学習、そして実際の技術課題に取り組んできました。従業員100人以上が関与するこの取り組みは、ステークホルダー間の関係を強化するだけでなく、倫理的でインクルーシブな事業活動へのブリヂストンのコミットメントを裏付ける活動でもあります。
特別な支援を必要とする児童のための「Road Safety Village」(モロッコ)
ブリヂストンMEA(ブリヂストン ミドルイースト アンド アフリカ エフゼットイー)は、特別な支援が必要な子どもたちのための支援を行うNGO、La Main Douceと提携し、自閉症やダウン症、学習障がいなどのある子どもたちのためのイベント「Road Safety Village」を企画しました。
9月にモロッコのカサブランカで開催されたこのイベントの目的は、交通安全、タイヤのリサイクル、モンテッソーリ教育法という3つのワークショップを通して、子どもたちに交通安全意識の基本を教えていこうとするものです。医療専門家にも参加してもらい、こうした児童のケアに関するノウハウや見識を共有しました。
Project Unnati(インド・ケララ州での持続可能な天然ゴムプロジェクト)(インド)
プロジェクトの詳細は「調達」をご覧ください。







